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『自分:第1章』

作者:零那
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『曰く付きの寮』

寮は店の近く。
パチ屋の横。
古くて暗いビル。
朝やのに暗い。
階段が怖い。
部屋も異様に暗い。
曰く付きの部屋。
リビングのカーペットには結構な量の血痕。
リビングを挟んで部屋があった。

玄関側の部屋にはベッドと机があって窓もあった。
アッチの部屋は、2部屋あるらしいけど見ることさえせなんだ。
いや、リビングも広いからアッチ行くのに勇気が要る。
やからもう行かんって決めた。

玄関入ったらスグ左に部屋。
部屋に入らず3歩進むと風呂。
その横にトイレ。
この寮では、この3つしか使わんだろう...

リビングも、家具や家電はあるものの...異様な雰囲気。
普通に5人家族でも充分住める感じの部屋。

霊感は無いけど、異様な空間ってのは感じる。
怖くて、血痕の主が此処で死んだかどうかは聞けれんかった。

怖かったから、今シャワーして良いか聞いた。
笑いながらOKしてくれた。
風呂と洗顔セット、着替えを持って風呂に向かった。
店長はベッドで待っとくって。

血痕の所にはバスタオル置いて隠した。

急いで洗って急いで出たら店長に『そんな急がんで良いのに』って。
優しそうな人で良かった。
風俗ってヤクザが主や思てたから。

改めて宜しくって握手されて、こちらこそお世話になりますって自然とまともに挨拶した。

店長は、此処にいた子がリストカットの癖ある子やって話を始めた。
自分もや...
黙って手首見せた。
店長はまた頭を撫でてくれた。
『さっき、店で話してくれた時、もしかしてと思って手首確認したから知ってる。
そぉすることでしか無理やったんやろ?しゃあないわ...
店行こか!準備あるし、服装も決めよっか♪』

『はい』

車内でも少し話した。
シンさんとの経緯が気になったらしく、MJの事を話した。
完全に怪しいやんけ!って爆笑やった。
アパレルに拘りすぎて現実見えて無かったんよなぁ。
現実は風俗やわ...


『ところで、何の店ですか?』

『今更かっ!』

『昨日、松山来てくれたときはシンさん雀荘言うてたけど、夜話したら、明日店連れてくけんって。』

『なんやそれ!無責任やな...そぉやったんかぁ...知らんかったわ。アイツ大丈夫なんか?』

『此の店は直接関わりないんやろ?ならもう来んよね?』

『いやぁ―――――――...来るんやないかなぁ―――?』

なんか超不安。
店に到着。

『いや、ところで何の店ですかね?』
聞こえてない?
わざと?
奥行った。


奥から叫ぶ。
『とりあえず気に入る服選んでみてぇ―っ!』
行ってみた。
此、服ちゃうし。
キャミソール、ベビードール、コスプレ的なモノ...が、ズラリ。
たぶん、ランジェリーパブ、セクシーキャバクラの類って解った。

店長が来る前に女の人が来た。
なんか超メイク巧い。
金髪のストレートロング。
モデルみたい。
大人の女性って感じ。
松山のMJの寮にいた御姉様方のメイクとは比べモンにならんくらい綺麗。
見とれてしまうくらい...

慌てて頭下げた。
『おはよ、初めて?』
『はいっ!』
何故か笑われた。
『店長から、私見て覚えなさいって言われるやろうから、頑張ってね♪心配せんでも慣れるから...』

美しい女性ってのは此の人のことをゆうんやろうなぁ...
笑顔も綺麗だった。
愛らしい...
男はこんな綺麗な女性見たら放っとかんやろうな。

零那も男だったら間違いなく虜になるわ。
てか既にオチてる気がするんやけど...

女性をこんなに美しいと想えたのは、零那の人生で此の人だけ。

変な感情抜きでホンマに綺麗だった。
存在自体が芸術だとすら思う。

 
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