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『自分:第1章』

作者:零那
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『ナンパ営業/代償』

で、夜、丸亀向かった。
部長が言い出した。
ゴールドタワー行くって。
何なんか知らんかった。
『タワーやか何しに行くん、昨日から何か...やたらおかしい』
そう思った。

2台の車で行った。
着いたらしく、人も車も、ごっつ居った。
着いたゆうても路肩。
男連中が話してる。
『どこら辺にする?』

首を傾げて眺めてた。
彩さんに、逃げれんよって言われた。

暫くして車は少し動いて、エンジン切れた。
降りたら腕持たれて助手席に乗らされた。
彩さんは運転席。

男連中は『サヨナラー、頑張って!』って。
『えっ!放置!何なん!』
彩さんが言う。
『コレ、ナンパ待ち。』


『...なんで?』

『必死な奴は個人情報出してくるやろ、友達なって人脈広げる為。』

『...で?』

『事務所近くのガストで会う。勿論誰かがバレんように付き添う。』

『...うん。で?』

『社員か客で呼べるか見極める。確率は低いけど...』

『...わかった。』

それって、あるいみ詐欺やん。
騙してるやん。
てかナンパ待ちとか笑える。
確かに言われてたら行かんけど。
わざわざコッチ来んでも昼間でも街でウザイ位されるのに。
それでえんやないん?
あかんのん?


みんな、携帯聞いてくる。
教えたくないって冗談っぽく言う。
ほな向こうが教えてくる。
恵ちゃんの分も頑張るって自分で言った。
集客の為って解ってる。
でも何か違う。
納得できんけど逃げ道は無い。
こっちからは教えん。
唯一の些細な抵抗。


次から次にナンパ車が廻ってくる。
異様な光景。

酔っとんかラリっとんか脳味噌に虫湧いとんか知らんけど、外出て来いやって車殴るクソバカも居った。
部長に発信して緊急事態を告げた。
速攻で来た。
で、鮮やかな手捌きで数人シメあげた。


携帯、メアド、何人分集まったか聞かれた。
彩さん35人位。
零那47人位。
ダブっとんが約半数。
ソレは彩さんに任した。

とりあえずバカなオスのおかげでノルマ達成。
やりとりから、殆どが定職に着いてるのが解った。
仕事内容や住んでる地域など、情報をリストにして書き足していく。
ヤリ目のオスが殆ど。
[いつ会える?]
って毎日聞いてくる。
どんだけ飢えとん...
真面目なやりとりが続くのは絞られた。


部長はこまめにリスト情報のチェックをする。
『こいつどんなぞ?』
『客より社員側かな』
『逢って来い』


アパレル興味ある言ってた子。
18歳、タメ。
可能性有り。


仕事休みの日、アポ取って逢うことに。
昼間の予定やけど急用入ったらしく夜になった。

ガストで逢う。
補佐が付き添う。
補佐が付き添いなんは気付いてない筈...?
でも、補佐がトイレ立ったときに急にドライブ行こって引っ張られた。

やりとりでも優しかったし良い子っぽくて、警戒心が無かった。
ドライブ。
山向きに...
嫌な気しかせん。

携帯は、朝から営業してて充電切れ。
車内にはAyuの歌が流れてたから、それが救いだった。

辿り着いたのは紛れもない山。
工事中の現場。
此処が高松やっての忘れそうな位に山。

想像通りの事態。
苦し紛れに言った。

『誰にも言わん、抵抗もせん、せやから、せめて、痛くせんといて...』

情けないお願いや。
けど、これならレィプ被害に遭ったって気持ちが多少マシんなる。
無理矢理痛くされるよりマシ。

『ごめん...わかった...』

捨て犬みたいな顔して言う。
コッチが悪いみたいな...
なんか違う。
被害者ぶることが出来ん。


事務所に帰ったのが夜10時過ぎ。
補佐がごっつ心配してた。
トイレから出たら居らん。
携帯も繋がらん。
深夜0時迄に帰らんかったら捜索願出すとこだったらしい。
急いで取り繕う。

『急に車見て欲しいって連れて行かれて、ドライブ行こう言うて乗らされたけん...携帯も充電切れで、すみませんでした!!あと、今の会社の給料が良いから歩合制は無理って事です。だからもう連絡しません。』

『そぉかぁ...頑張ったのにな...残念やな。次がんばろっ!なっ!俺は零那が無事に帰ってきたけん良かったわ!!』

ホンマのこと言ったら、あの子は部長に殺されかねん。

彩さんが、コッソリ、本番行為があったんか聞いてきた。
必死で涙堪えてたのに、緩んでしもた。

彩さんは、補佐に声かける。
『一緒にローソン行ってくる、一服もしてくるぅ~』

ローソン行って『水買っといで!』って言われた。
『コレ飲んどきぃ』ってアフターピルくれた。
凄く不安やったから凄く救われた。

『今のうちに泣いとき。てか補佐は居らんかったん?』

『ちょうどトイレ行ってた...』

『そっか...』


ユウから、何回もメールあった。
充電してからは着信もあった。
メールで返信した。
[ごめん、忙しかった。充電も切れてて...バイト大変やのにごめんね、また明日...]
速攻着信。
事務所出てエレベーター。
其処で小声で話す。
『声聞いて無事を確認できて良かった。』
すぐ切った。

嫌な事が続いた。


逃げ出したいと思った。
でも、此処に来たからには、展示販売を体験せな意味が無い。


此の日、部長から通達。
松山での展示販売決定。
其れに伴い松山の寮に行く事に。

 
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