雲は遠くて
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28章 モリカワに、M&A(合併、買収)の危機!(1)
28章 モリカワに、M&A(合併、買収)の危機!(1)
2014年 1月20日 月曜日。
風は東に向かって、そよいでいて、
よく晴れているが、気温は10度ほどだった。
下北沢駅南口から、すぐそばにある
マクドナルドの角を、左折して、
東に 5分も歩くと、モリカワの本社がある。
モリカワの会議室は、10坪33平方メートルほどで、
畳にすると、20畳ほどである。
会議用のテーブルが、コの字に配置されて、
正面の南の窓側には、
横幅、2メートルの大型ディスプレイがあった。
午前10時。モリカワの社内会議が始まるところであった。
「 おはようございます。ただいまから、社内会議を
はじめさせていただきます。よろしくお願いいたします」
そういって、微笑むのは、本部(ヘッド・クオーター)
の主任で、司会の 市川真帆である。
真帆は、1988年生まれで、4月5日で、26歳になる。
この会議の席上にいる 本部・部長の村上隼人
(むらかみはやと)と真帆は、社内のみんなに
祝福されるような、さわやかな 交際をしている。
村上隼人は、1982年生まれ、10月6日で、32歳である。
幅2メートルの 大型ディスプレイには、会社の目標や
企業理念が、映っている。
会議の出席者は、社長の森川誠、
その弟の副社長の森川学、
社長の長男で、課長の森川良、
良の弟の課長の森川純、
森川純の大学からの友人で、ロックバンド・クラッシュ・ビートの、
課長の、川口信也、岡村明、高田翔太たち、
全店の統括・シェフ(料理長)の宮田俊介、
副統括・シェフの北沢奏人、
いかに、IT(情報技術)の活用や、そのプログラミング、
その保守・運用・メンテナンスなどをする
コンサルティング・ファーム・部長の岩崎健太、
本部・部長の村上隼人、
そして、本部・主任の市川真帆の、12人であった。
「それでは、社長、お願いいたします」と、森川誠を見て、
ほほえむと、真帆は 着席する。
「みなさんの、日ごろのみなさんのがんばりと努力で、
会社の業績も順調に伸びていまして、
このディスプレイのグラフのとおりであります。
ほんとうに、ありがとうございます」
といって、満面の笑顔で、森川誠が話を始めた。
「2013年 12月の本決算は、売上高 365億30百万円、
営業利益 70億4500万円、純利益 25億9900万円、
純資産 167億7700万円、総資産 551億500万円、
従業員数 755人、であります。
このように、前年度と比べても、売上高だけでも、
30%を超える、順調な業績の推移でありまして、
今年の2014年度の本決算に向けては、
大いなる躍進が期待できそうな状況です。
特にですね。わが社の経営理念に基礎をおいた、
いわば、会社本来の理想の姿を追求した形の、
経営理念をよりどころにして、みんなでがんばってきた、
その結果が、このような立派な数字になって
表れているのだと思ってます」
そこまで、森川誠が話をすると、みんなからは、
自然と拍手がわきおこる。
「わたしの若い時からの持論は、機会のあるたびに、
お話してますが、働くばかりでは、
ダメだということなんです。ちゃんとした休養が
取れてこそ、人間らしい生活だし人生だってことなんです。
質のいい仕事も、質のいいサービスも、
そして質のいい商品も、ちゃんとした休養をとって、
社員のみんなが、いつも元気で、
仕事に情熱をかたむけて、がんばれる状態で、
初めて実現できるのです。
≪つづく≫
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