雲は遠くて
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26章 TOP 5入り・祝賀パーティー (6)
26章 TOP 5入り・祝賀パーティー (6)
2013年、12月1日の日曜日の正午ころ。
晴れた 空からの 日の光が、ライブ・レストラン・ビートの
外壁の 赤レンガに、
暖かく 降り 注いでいる。
祝賀 パーティーの 開演まで、あと 5分であった。
フロントで 受付をすませた、美樹と 陽斗、
真央と 翼は、ホールへと 向かう。
ホールの1階と 2階の、合わせて 280席は、
全席、指定席で、ほぼ、満席だった。
美樹は、ホールの入り口で、陽斗と、
驚いたような表情で、目を合わせる。
「すごい、人でいっぱいだわ!」と 美樹。
「うん、ステージの前のテーブルにいる人たちは、
テレビ局とか雑誌社の人たちみたいだよね。
一般の お客さんは若い人たちが多いよね」
そういって、微笑む、陽斗を、
まぶしそうに見る、美樹。
きょうは、挨拶をするときだけで、
歌ったり、演奏しなくてもいいって、いうから、
気も楽だわ!
お酒も飲んで、いっぱい、楽しんじゃおう!
・・・と美樹は思う。
美樹たち4人は、ステージからは 後方の、
クラッシュ・ビートやグレイス・ガールズのメンバーたちや、
モリカワの社長、副社長、ほかの社員たちや、
早瀬田大学で、いつも会っている、
ミュージック・ファン・クラブの 仲間たちのいる、
テーブルに着席した。
1番、遅れた、美樹たち4人を、
みんな、笑顔で 迎えてくれる。
華やかな、充実した 照明の、
ステージに近い、1階の フロアのテーブルでは、
雑誌社、新聞社、テレビ局、ラジオ局など マスコミの、
招待した客たちが、
ウエイトレスや ウエイターに 料理や飲み物を
注文したりして、
ゆったりとした ムードで、開演を待っている。
祝賀パーティーの、ステージの演奏は、いまをときめく、
音楽家の 沢秀人と、
彼の 率いる、総勢 30名以上による、
ビッグ・バンドが、メイン (中心)ということもあって、
会場は、特別な、盛り上がりを見せている。
ギターリストでもある 沢秀人は、ここ数年、
映画音楽や テレビ・ドラマなどの作曲家としても、
活躍していて、レコード大賞の作曲賞も受賞している。
インプレッション( impression = 感動 )という名の
会社を設立して、この ライブ・レストラン・ビートを
経営していた、沢秀人だった。
しかし、沢は、人気とともに、多忙となり、
音楽活動だけに 専念したいと
考えるようになっていた。
そこで、旧知の仲でもある、
森川学が 副社長をしている、
芸能 プロダクションの、モリカワ・ミュージックに、
自分の会社、インプレッション( impression )と、
ライブ・レストラン・ビート の すべてを、
任せることにしたのであった。
それと、同時に、沢秀人自身も、
モリカワ・ミュージックに 所属の アーティストとなった。
そんなことを、迷わずに、実現できるほどに、
森川学と、沢秀人とは、
価値観にも 共通点も 多く、正義感も 強く、
おたがいの情熱 や 資質も 理解し合い、
信頼し 合っているという、無二の親友であった。
「みなさま、お待たせしました!
これより、クラッシュ・ビート、そして、
グレイス・ガールズの、ヒット・チャート、
トップ・ファイブ(5)入りの、
祝賀パーティーを 開催いたします!」
店長の佐野幸夫が、開会の言葉をいった。
「本日は、お忙しいなかを、誠にありがとうございます。
楽しいひとときを、過ごしていただくために、
美味しい、お料理やお飲物もご用意いたしました。
そして、
日本のトップ・ミュージシャンによる すばらしい ステージも
ご用意いたしました!
本日は、まさに、五感で、楽しめるライブ・ショーですので、
お楽しみください!」
≪つづく≫
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