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『曹徳の奮闘記』改訂版

作者:零戦
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第三十五話

 
前書き
秘密兵器登場。
一話の書簡からの情報ですがね。
緊急アンケートは締め切らせていただきます。 

 



 それから三日間、劉備軍と孫策軍はシ水関に対して(まぁ主に桜花に対して)罵倒を繰り返していた。

 時には名も知らない一般兵士達も桜花を罵倒していた。

 罵倒される度に桜花がキレていたが、何とか俺が抑えていた。

 ん? どうやって抑えていたかだと?

 やる事は簡単だ。

 桜花を抱っこして俺は椅子に座り、そのまま抱きしめていた。

 そして膝の上には桜花が乗っていた。

 もうこれだけで、俺は戦えるよ?

 まぁ桜花は膝に乗せてたら顔を真っ赤にして、時折湯気が出ていた。

 ……桜花の出撃を抑えたから良しとするか。





―――劉備軍―――

「うぇぇん、御主人様ぁ。袁紹さんがカンカンに怒って総攻撃を命令してきたよぅ」

 劉備が袁紹からの命令にかなり慌てていた。

「まぁ三日間も膠着していたらあの袁紹の堪忍袋も切れるよな……」

 劉備からの報告を聞いた北郷が溜め息を吐いた。

「でも、洛陽で悪政を強いている董卓を討つためだから仕方ないよね……」

「あぁ。被害は出来るだけ抑えよう」

「うん、そうだね」





―――孫策軍―――

「冥琳。兵士だけで突撃してくれないかしら?」

「雪蓮は行かなくていいのか?」

「……何か嫌な予感がするのよ……」

 雪蓮は茶化さずに周瑜に言う。

「……分かった。兵士だけで突撃させる」

「ありがとう冥琳」

 そして翌日に劉備軍二千、孫策軍二千の四千の兵士が突撃を開始した。

『ウワアァァァァァーーーッ!!!』

「……とうとう、向こうが折れて来たな……」

 二軍の兵士が雄叫びをあげながら前線陣地へ突撃してくる……が。

ズボッ!!ズボッ!!

『ウワアァァァァァーーーッ!!!』

 前線陣地の五十メートル手前で次々と消えていった。

 ……落とし穴に落ちたのである。

「落とし穴だッ!! 下がれッ!! 下がれェッ!!」

 異変に気づいた関羽が慌てて兵士を下がらせる。

「縄を降ろして落ちた奴を救助しろッ!!」

 関羽の言葉に、兵士達は鉄製の薄い楯を持ち縄を落とし穴に垂らしていく。

「隊長。どないしますか?」

「……まぁ放っておけ。洛陽に通じる道はこのシ水関を通らないといけないからな。流石に崖の上は険し過ぎるからな」

 結局、二軍は負傷者を救助した後に後退した。




「劉備さんに孫策さんッ!! 一体何をしているんですのッ!!」

「……だから説明したでしょ? かなり大きい落とし穴があるのよ。しかもかなり深いらしいわ。そんな無謀に兵を出せないわ」

「そ、そうですよ………」

「ぬわぁんですってェェェーーーッ!!」

 袁紹が怒る。

「こうなったら全軍で行きますわよッ!!」

「いい加減にしなさい麗羽ッ!! 私は行かないわッ!! 落とし穴の他にまだ罠があるのかもしれないのよッ!!」

 曹操が袁紹の命令に反対をした。

「キィィーーーッ!! おだまりなさい華琳さんッ!! これは総大将命令ですわよッ!!」

「ッ!?(此処で総大将命令を出すわけなのッ!!)」

 曹操は内心舌打ちしていた。

 もし、此処で逆らえば董卓達と内通していたと、有らぬ疑いを掛けられてしまうかもしれない。

「(……従うしかないわね……)……分かった。突撃しようじゃないの。そのかわり、袁紹軍が先に突撃しなさい」

「初めからそう従えばいいのですわ。袁紹軍の戦いを見せてやろうではありませんか。オーホッホッホッ!!」

 袁紹は高笑いをした。

 そして翌日、反董卓・袁術連合軍は総攻撃を開始した。

「全軍突撃ですわッ!! オーホッホッ ホッ!!」

 袁紹の号令と共に連合軍の兵士は突撃するが、落とし穴で立ち止まってしまう。

「……袁紹は阿呆なんだろうか……」

「阿呆なんだよ……」

 クロエの呟きに俺は頷く。

「ですが、こちらも攻撃しましょう。弓隊、用意ッ!!」

 雪風の言葉に弓隊が弓を構える。

「放てェッ!!」

ビュンビュンッ!!

 矢が一斉に放たれて、落とし穴で立ち止まっていた連合軍の兵士に突き刺さる。

「丸太を持ってきて橋をかけるのですわッ!!」

「……渡っても狙い撃ちされるよ姫……」

 顔良が溜め息を吐くが、袁紹からの命令は絶対なので直ぐに行動に移す。





―――前線陣地―――

「隊長。敵は丸太を持ってきたで」

 真桜が言う。

「……袁紹は早く洛陽を占領したいんだろうな……」

 俺はそう呟く。

「……だが、そうはさせるか。雪風、矢に毒を塗って打て。それと敵の指揮官を狙え」

「分かりました。全員、矢に毒を塗って下さいッ!!」

 弓隊は壷に入った毒を鏃に塗って構えて発射していく。

 毒矢に命中した連合軍の兵士は次々と倒れて力尽きていく。

「姫ッ!! 敵は毒矢を射っていますッ!!」

 部下である顔良が慌てて袁紹に報告してきた。

「だからどうしたというのですのッ!! サッサと渡りなさいッ!!」

「ガハッ!!」

 その時、袁紹を護衛していた兵士の一人が喉に矢を受けて倒れ、そのまま絶命した。

「姫ッ!!」

「~~~一旦後退しますわッ!!」

 袁紹は慌ててそう言って後方に逃げた。

 こうして、連合軍の二回目の総攻撃も失敗した。









「キィィーーーッ!! 悔しいですわッ!!」

 撤退した連合軍は袁紹の命令で作戦会議が行われた。

「……だから言ったじゃないのよ。あんたが無茶な作戦をするから私の可愛い兵士が負傷したじゃないのよ」

 袁紹の言葉に曹操が呟く。

「五月蝿いですわよ華琳さんッ!! どなたかいい作戦は無いんですのッ!?」

 袁紹がバンバンと備えられたテーブルを叩く。

『……………』

 対する劉備や孫策達は名案らしい案は浮かんでこなかった。

 しかし、たまたま出席してはわわ軍師――諸葛亮孔明が手を挙げた。

「はわわ。袁紹さん、一つだけ案がありましゅ。……あぅ、噛んじゃった……」

 諸葛が言う。

「どんな案ですの?」

「兵士一人一人に衣服を持たせて、衣服に砂を入れるんです。そして、一番最初に落とし穴に砂が入った衣服を入れた者と敵の陣地に入った者に莫大な恩賞を取らせるんです」

「……そっか。衣服を土のう代わりにするのか……」

 北郷が成る程と頷く。

「諸葛さんとやら……それは成功するんですの?」

「成功すると思います」

「……ならその案を採用しましょう」

 袁紹はそう決定した。

 翌日、兵士達を集まらせて諸葛の案を袁紹が演説すると、兵士達は我先にと衣服に砂を積めて落とし穴に向かう。

「莫大な恩賞は俺のものだッ!!」

「いいや俺だッ!!」

「急げッ!!」

 兵士達は鉄製の楯で身体を守りながら落とし穴に、砂が入った衣服を次々と投げていく。





―――前線陣地―――

「うげ……あれは諸葛の案だな……」

 確か横山三国志では南蛮に侵攻してる時に使用していた。

「雪風、毒矢を打てッ!!」

「はいッ!! 弓隊射ェーーーッ!!」

 雪風の叫びと共に毒矢が次々と連合軍兵士に突き刺さる。

 しかし、数が多過ぎるので効果はあまり無かった。

「長門ッ!! このままではやられるぞッ!!」

 クロエが焦ったように叫ぶ。

「分かってるッ!! ………第一砲隊発射用意ッ!!」

 俺は遂にチート兵器を使用する事にした。

 特殊隊が二門の砲に弾を入れる。

「用意完了ッ!!」

「……よし、ちょっと柵から出る」

「あ、主ッ!? 正気ですかッ!!」

「大丈夫だ。連合軍に恐怖を与えればいいんだ」

 驚く星にそう言う。

「……分かりました。護衛は私がします」

「スマンな」

「いえいえ。それなら酒の相手をして下さい」

「お安い御用だ」

 俺と星は柵を出た。

 連合軍は俺と星が出てきた事に少し驚いた。

「連合軍ッ!! これ以上、洛陽の民を脅かすような事をすれば天から怒りの鉄槌を喰らう事になるぞッ!!」

 俺はそう叫んだ。

「黙りなさい下郎ッ!! 我々は陛下を、洛陽の民を救うためにやってきたのですわッ!! 貴方達の非道を倒すためですわッ!!」

 いつの間にか連合軍の中に袁紹がいた。

「張譲と手を結んだ生娘が。ならば倒せるものなら我々を倒してみろッ!!」

「誰が生娘ですかッ!!」

 ……そっちに怒るんかい。

「天の怒りの鉄槌を喰らえッ!!」

 俺は刀を抜いて、連合軍に向けた。

「第一砲隊撃ェェェーーーッ!!!」

ドオォォンッ!!ドオォォンッ!!

 前線陣地から砲撃が始まった。





―――劉備軍SIDE―――

ドオォォンッ!!ドオォォンッ!!

『ッ!?』

 いきなりの音に劉備軍……全軍の兵士が動きを止めた。

「……そんな……今の音は……」

 連合軍でただ一人、天の御遣いである北郷一刀だけは信じられないという表情をしていた。

ヒュルルル……。

 何かの音が聞こえてきた。

 音は上からで、皆は反射的に上を見た。

 そして………。

ズガアァァンッ!!ズガアァァンッ!!

 突如、二つの衝撃がして砲弾が落下した場所にいた兵士達を吹き飛んだ。

 よく見ると、片腕や片足、上半身、頭が吹き飛んでいた。

 それらは無事であった兵士に降り懸かり、血が雨となって兵士の服を赤く染めた。

『ーーーッ!?』

 連合軍の兵士は何が起きたのか分からなかった。

 勿論、それは兵士達の大将である袁紹や劉備、曹操達もだった。

「第二砲隊用意完了ッ!!」

「撃ェッ!!」

ドオォォンッ!!ドオォォンッ!!

 前線陣地から再び砲撃が始まる。

「……逃げろッ!! 出来るだけ敵の陣地から逃げるんだッ!!」

 唯一、その武器を知っている北郷は叫んだ。

「ご、御主人様?」

 北郷の焦りに関羽が思わず尋ねた。

「説明をしている暇は無いんだ愛紗ッ!! 早くしないと死んでしまうッ!!」

「わ、分かりましたッ!! 劉備軍は退避ッ!!」

 劉備軍が撤退したのを受けて、曹操、孫策、馬謄、蜀、袁紹軍は慌てて撤退をした。








 
 

 
後書き
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