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流星のロックマン STARDUST BEGINS

作者:Arcadia
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憎悪との対峙
  31 暗闇の騎士

 
前書き
しばらく実家に帰省していたのでだいぶ遅くなりました。
今回はもう一人の母親・美緒の内側がメインです。
そして前回のラストでスターダストの引き起こした停電、それに続く戦い方にもご注目を。 

 
「ブレーカーを戻したってのに、電気が戻りません!!」
「落ち着きなさい。恐らくは何らかの装置で電子機器に干渉されてるのよ。だからブレーカーは無意味」

高垣美緒は深呼吸して真っ暗な部屋の中で打開策を探していた。
急に電源が落ちてしまった。
いきなり鳴り響いたサイレン。
そして見回りに出掛け、戻ってこない部隊。
この3つの出来事は美緒の頭の中で『侵入者』、この文字を思い起こさせた。

「...電磁パルスか」

この状況下で考えられるものといえば、それしかない。
電磁パルスを受ければあらゆる電子機器は使用不能になる。

「一体何者だ!?」
「くっそ...」

「!?消しなさい!」

美緒は懐中電灯をつけようとしたジャミンカーに怒鳴りつけた。

「暗闇の中で光源を持てば格好の的よ!それくらい戦場での常識でしょう!?」

美緒は自分の部下たちの無能さに失望した。
Valkyrieの人間で安食のように普通の入社手続きで入っくる者は珍しい。
軍人崩れや出来損ないのゲリラ、傭兵経験のある人間を一方的にスカウトして雇う。
つまりスーツを着て武器を売っている者の多くも銃を握れば、一人前の兵士へと早変わりする。
はずだった。
目の前の現状は全く違った。
今の戦争とは平和なものだ。
映画で観るような斬り合いや撃ち合いはフィクションの世界だ。
一方的かつ圧倒的なミサイルなんかの兵器で僅か数秒でケリがついてしまうものも多い。
つまり傭兵経験など大した役には立たず、多少、銃火器の扱いに慣れただけの普通の人間だった。
頭を抱え、不意に目の前で眠っているメリーを見た。

「...まさか...この娘を取り戻しに来た..?」

美緒は1つの可能性を思いつく。
この少女はスターダストの逃亡を手伝い、結果、囮となって自分が捕まった。
つまりメリーにはスターダストを守るだけの理由があり、それだけ親しい関係であるということだ。
それが間違っていなければ、侵入者の正体がスターダストなら確実にここに来る。
美緒は必死に頭を回転させた。
スターダストの正体、安食はケラケラと笑いながらはぐらかしたが、間違いなく知っている。
そして自分たちの顧客である中学生が殺された事件、殺された中学生は自分の娘であるミヤの通っている学校の生徒も含まれていた。

「一体誰?」

怨恨、それが理由なら犯人は...そして犯人=ロックマンの正体だとすれば...

辻褄が合わないわけではない。
しかしそうなるとその条件に合う人間が見当たらない。
母親の自分でさえ、ミヤの復讐をしようとすら思いつかなかった。
母親の風上にも置けない人間だという自覚もあるし、むしろこれからも良い取引が出来ればいい、そんなふうに考えていた。
自分以上にミヤの事を思っている人間などいるのか?

いや...もしかしたら正義の味方面したイカれた人間かもしれない...でもあの殺し方には間違いなく強い憎しみが現れている...

そんな時、不意に頬に痛みが湧き上がった。
1週間前に殴られたものが意外に強烈だった。
それでこそ殺してやりたいと思う程に憎しみの篭ったビンタだった。

「まさか...」

何かを思い出しかけた。
しかしその思考は一気に停止した。
部屋に誰かが入ってきた気配をその場にいた誰もが感じた。

「誰だ!?」
「出てきやがれ!!こそこそ隠れてないで出てこいよ!このへっぴり腰が!!」

美緒は敵の正体に手が届きそうだった事を忘れ、今、近づいている敵を退ける術に思考をシフトした。
少なくとも部下たちが考えているような暗闇に紛れてこそこそと行動するのは弱いからではない。
それ自体が武器なのだ。
おそらく敵には自分たちの姿が見えている。
そしてこちらは見えない。
一方的に不利な状況下で急所に一撃...スムーズかつ確実な強者の戦い方だ。
銃を乱射しておしまいという本当は弱いくせに強がる独裁者とは違う本物の強者、それが側にいる。
恐らく娘や家族について本気で考えたことの無い自分には分からない程に激しい憎しみを抱いている。
自分も別に最初からこんな淡白な人間だったわけではない。
ある時を境に自分をドス黒いものが包み込むような間隔を覚え、それが自分を黒く染め上げた。
自分の親が自分に多額の借金を押し付けて蒸発、まだ社会人になったばかりで生計を立てられない状況だった。
その後に始まった職場いじめ、取り立て。
それを支えたのが今の夫だった。
しかしそれを乗り越え、娘を授かって幸せを手にしたにも関わらず、その時の記憶は根強く居座り続け、気づけば家族へ愛を向けることなど出来なくなっていた。
本当は愛しているのに誰かを愛して信用すれば、それだけのリスクを背負う。
ならば誰も信用せずに生き続けるのが低リスクであり、家族など所詮書類上の関係なのだと思うようになった。





「このクソッタレ!!!」

傭兵の1人がトリガーを引いた。
凄まじい銃撃の音に美緒は思わず耳を塞ぐ。
しかしその銃弾は標的には一発も当たっていない。
それは銃を撃ったことのある人間にしか分からない直感だ。
それどころかその場所に敵がいたのかすら分からない。
一瞬、勘違いなのか、それとも敵が発した微かな気配なのかは定かではないが何かを感じた。

「...ッ...はぁ...クソ...」
「何処にいやがる...」

何処にいるのかは分からないが確実に同じ部屋の何処かにいる。
この教室は40平方メートル、その中に自分たちを狙う強大な力を持つ何か、それも一撃で自分たちを倒せるような。
そう考えるだけで胸のあたりがムズムズして押しつぶされるような感覚に襲われた。
足が竦んだ。
見えない敵、微かに感じる気配、そして真っ暗闇は恐怖という攻撃を与えてくる。

「はぁ...くそ...出てこいよ!!!」

大声で教室中に響く程の大声で叫ぶ。
恐怖を紛らわすため、掻き消すための苦肉の策だ。
しかし恐怖をまともに受けた段階で勝ち目など無かったのだ。
彼らは武器の扱いや体へのトレーニングは受けているが、心へのトレーニングは全く受けていない素人だ。
もちろん軍役でジャングルの密林で1ヶ月程度過ごしたことはある。
しかしただ見張っているだけ、イレギュラーな事態など起こらず、最新の武器を持っている自分たちは無敵だと思っていた。
毎晩のように酒を浴びるように飲み、捕虜にした女たちを輪姦する。
それが当たり前だった。
しかし今、自分たちが直面しているのは本物の「戦場の夜」だ。
いつ敵に襲われるか分からない恐怖といつでもベストの能力が発揮できる程よい緊張感。
そんなものを知らない彼らには既に負け以外の道は残されていなかった。

「!?ぐぅ!!」

不意に腹部に激痛が走る。
スターダストが気配を殺して近づき、腹部に強烈な一撃を加えたのだ。
しかし攻撃は終わらない。
続いて肩が振り下ろした肘によって砕かれ持っていたマシンガンは手から落ちる。

「そこかぁぁ!!!」

1人が襲われていることに気づいたもう1人の傭兵は音の方向へ銃を向ける。
だがその銃も呆気なく遠心力のついたキックが手のひらに命中し弾き飛ばされ、丸腰同然の人間へと変えられてしまう。

「ぐぁぁ!!」
「ガァァァ!!!」

「なに!?」

美緒は驚きのあまり手探りで壁の方へ走った。
聞こえてきたのは傭兵たちの悲鳴、そして鈍い何かが折れる音だ。

「はぁ...まさか」

悲鳴の後には何も聞こえない。
先程までは威勢のいい傭兵2人の声や気配があったというのに、まさに「無」という言葉を体現した状態だ。
真っ暗で何も見えないし聞こえない。
しかしその世界の中でも1つだけ確かなことがある。
それは既に傭兵2人は気配も物音も発することのない程のダメージを受けているということだ。
強烈すぎる痛みは声を発することすらも許さない。
もしくは既に息がないかのどちらかだ。
美緒の背中に悪寒が走る。
しかし自分でもおかしい程に頭は冷静だった。

「出てきなさいよ...返り討ちにしてあげるわ...」

報告によればスターダストは安食=ナイトメア・テイピアのエンドレス・ナイトメアを受けた。
しかし今ここに現れたということは、既にスターダストにはダークチップは効かない。
何らかの免疫、医学的に言うところのワクチンのようなものを使っている可能性が高い。
ならば実力行使で対応するのが一番効果的、というよりも美緒自身が興味があった。
スターダストの実力、そして自分自身の実力について。

「フッ...」

紫色のカードを取り出す。
しかし心に潜伏していた恐怖は必死に抑えていたつもりの動揺を引き起こし、手元が震えてトランサーに挿入する前に足元に落としてしまった。

「あっ!?」

美緒は慌ててカードを拾おうとする。
しかし真っ暗で床に這い蹲るように手を滑らせるが見つからない。
美緒は全身の毛穴から一気に汗が噴き出るような恐怖に襲われた。
このままでは傭兵2人と同じ末路を辿ることになるのは避けられない。
敵はWAXAでも警察でもない、自分たちを制圧し、生きたまま確保して事情や情報を聞き出そうとする公権力ではない。
自力救済を目的とし、私刑を加え、殺すことも辞さない自分たち同様に法の外の怪物だ。
そう思うだけで更に胸が潰されるような感覚に襲われ、呼吸が止まりそうだった。
早くこの苦しみから逃れたくてカードを探す手が更に早まる。

「はっ...はぁ...何処に...!?キャァァァ!!!」

美緒は自分の左手に走った激痛に悲鳴を上げた。
骨が折れたような感覚で全身の感覚器官が一瞬、麻痺する。
そして歯を食いしばりながら必死に目を凝らし、自分の手に何が起きているのかを見つめた。

「...あっ...あなたは!?」

手に乗っていたのは灰色に紺色のラインが入った重厚感のある戦闘用ブーツ、それに全体重を乗せて踏み潰されたのだ。
ゆっくりと顔を上げていくと底には紺のスーツに灰色の鎧を身に纏った電波人間、スターダスト・ロックマンが立っていた。
その澄み渡る青のバイザーから除く目が冷たく美緒を見下ろしていた。

「あっ...キャァァァァ!!!!」

次の瞬間、スターダストは美緒の胸ぐらを掴み、そのまま壁に美緒の体を叩きつけた。

「ぐぅぅ...」

「少しは懲りたか!?」

スターダストは美緒にこれでもかと言わんばかりに顔を近づけ怒鳴りつけた。
ギリギリと首のあたりにスターダストが胸ぐらを掴むことで苦しさと嫌な音が美緒を更に襲う。

「はっ!?何のことよ!?キャァ!?」

美緒はいきなりの怒鳴りつけられたことの意味が分からず、というよりは恐怖を掻き消そうと逆に怒鳴りつけるくらいの大声で言い返した。
しかし次の瞬間にはスターダストの平手打ちが美緒の頬を直撃した。
美緒は左手に続く激痛で再び痛覚が呼び戻され、恐怖で冷静な判断を下せない状況にありながらも、ある程度思考が回るようになっていた。

「自分の娘が死にかかっているというのに、キサマは母親の風上にも置けないゴミクズだ!!!」
「うぅぅ!?」

スターダストは更に美緒に怒鳴りつけ、今度は腹部に膝蹴りを加えた。
もはや自分でも抑えられない程に怒りの感情が湧き上がり、それをサンドバッグにぶつけているような感覚だった。
しかし我に返り、近くのベッドで死んだように眠っているメリーの方を見た。

「この娘に何をした!?」
「フッ...この娘がアンタの仲間だってことくらい分かってた...だからアンタと同じようにダークチップ漬けにしてやったわ...」
「!?」
「1時間もすれば...人間としての自我が保てなくなり...ただ暴れるだけの怪物になる...ザマァ見なさい!!」
「キッサマァァ...!」

スターダストの拳に籠もる力も徐々に強まっていく。
シンクロによって美緒の感情が脳に流れ込み、言葉に何の嘘偽りも無いことを感じ取れるためになおさら怒りは強まる。
しかしスターダスト=彩斗は何故かその美緒の感情に違和感を覚えた。

「ん?」

美緒の感情自体は何らおかしくはないし、この手の人格にありがちな思考パターン、しかしおかしいのは人格そのものだ。
まるでマジックペンで真っ黒に塗りつぶしたようなものを感じる。
覚えがある、それもつい最近同じような状態になったことがある。
その不思議な感覚に不意に胸ぐらを掴む手の力が僅かに抜けた。
だがその隙に美緒はとうとう後戻りの出来ないことを口にした。

「あぁ...人間じゃなくてネットナビ?アンタ同様に日向の道を歩けないようなどっちつかずの人間なんでしょう!?」

「...それ以上言ったら二度と口が開けなくなるぞ...」
「ぐっ...」
「自分でも味わってみるといい!!この娘と...ミヤの受けている苦しみを!!!」
「!?」

Rebuilding...Ok

『リビルト!エンドレス・ナイトメア!!』

スターダストは腰のカードホルダーからハートレスから受け取った中の1つのカードを左腕のトランサーに読み込ませた。
すると瞬時に紫色の煙が美緒を覆った。

「!?キャァァァァ!!!アァァァァァ!!!!」

それはトラッシュのメモリーが記録したナイトメア・テイピアとの戦いのデータから再構成された『エンドレス・ナイトメア』のシミュレーションデータだった。
当然、本物のように人格を破壊してしまう程の力は無い。
効果もエンドレス=終わりのないと謳いながら数十秒から数分程度の体験版といったところだ。
しかしスターダスト=彩斗の味わった感覚を数分の1だけでも体験するには十分過ぎる威力を持つ禁断のカードだった。
美緒は今までの若干の余裕を持った顔を失い、恐怖で顔が歪み、鼓膜が破れそうな程の悲鳴を上げながら苦しみ始めた。
美緒に襲い掛かったのは、自分が死にかかっているというのに見舞いにも現れない冷酷な母を呪う娘、ミヤの姿、そして過去に自分を苦しめてきた経験が増幅した悪夢だった。

「あぁ...ミヤ...あぁぁぁ!!!私は...あなたを....キャァァァァ!!!」

「...ッ」

スターダストは胸ぐらから手を離し、そのあまりにも痛ましい光景に目を背けそうになった。
しかし激しい怒りとあまりの哀れさからその中道を行く答えを出した。

『バトルカード!スタンナックル!!!』

バトルカードを読み込み、右の拳に力を込めた。

『キサマに母親を名乗る資格なんかない...』

「!?まさか...」

スターダストはバチバチと音を立てたその拳で思いっきり美緒の頬を殴りつけた。

「キャァァァァァァァ!!!!」

美緒は襲い掛かる悪夢の中で聞こえてきたこのセリフ、そして頬の痛みで遂に届きそうで頭の中で掻き消されていたスターダストの正体に辿り着いた。
なるほど納得といったところで自分でも何故すぐに気づかなかったのかと思う。
その全身を駆け巡る高圧電流にエンドレス・ナイトメアの影響で意識を失いたくとも失えずに苦しむ呪縛から開放され、ただ激痛が一瞬しただけで美緒の視界は暗くなっていった。
このスターダストの行動は制裁、そしてある意味、救済でもあった。
いくら純真無垢の少女に麻薬同然のものを射ち込み、自分の娘に暴力を振るうような最低の母親でも母親なのだ。
娘であるミヤは昔は良い母親だったと言い、暴力を振るうようになってもその頃の母への愛は変わらないと話してくれたような気がした。
別に手心を加えたつもりはない。
先程、感じ取った美緒の心を覆い隠すどす黒い闇が美緒を優しい母親から冷酷外道な母親に至らしめると勝手な想像で美緒のやってきたことを許したわけでもない。
苦しんいるのが哀れで一撃で楽にしてやりたいと優しさを出したのではなく、自分の手ではなく自分の悪夢で自滅するのが許せずに自分の手でトドメを刺したかっただけだと頭の中で理屈をつけ、美緒を壁にもう一度叩きつけ、意識を無くした美緒の体はぐったりとそのまま地面に倒れる。
そして美緒のポケットから彼女が普段から使うLumiaとプライベートで使っていると思われるXperiaを取り出す。
この部屋に侵入してから僅か40秒程の出来事だった。
スターダストはそのまま踵を返し、メリーの方へと向かった。

「メリー!!...ヒナ!ヒナリ!!しっかりしてくれ...」

スターダストは声を戻し、メリーをゆっくりと抱きかかえて起こし、顔を近づけて頬をなでた。
バイタルは正常、呼吸もしている。
死んではいない。
頬は温かく、顔色こそ優れないものの、間違いなく生きている。
するとゆっくりと目を開いた。

「ヒナ!」
「...兄さん」

メリーは声を絞り出し、力の無い笑顔を作った。
スターダストは更に顔を近づけ、自分の鼻をメリーの鼻にすり合わせながら抱き寄せた。

「もう大丈夫。絶対助けるから...」

そう言ってメリーの体を拘束していた金属製の拘束具とベッドに寝かせておくためのナイロン製の黒いベルトを外すと、脇のテーブルに置いてあった、トランサー、財布、巾着袋と少ないメリーの所持品をバッグに詰める。
そしてメリーを抱えて教室を飛び出した。











「ロックマンの位置と敵の位置は!?」

「えっと...ロックマンは地下1階、敵の集団は地上4階の会議室、巡回している連中がそれぞれの階に数人ずつ、地下の連中はロックマン...が倒してしまったので、戦闘不能状態で10数名、戦闘可能なのは3名程です」

木場の怒号に熱斗は驚きつつ、自分のネットナビと同じ名前の電波人間を呼ぶのに苦労しながら答えた。

『電波妨害の影響で敵自身も無線通信が使えないため、連絡が行えていないようです。そのため地下でのサイレンの後、ロックマンに地下に向かった部隊が倒されているのにも気づいない...つまりそれぞれの階の敵を悲鳴や物音を抑えて倒していけば、人質に危害を加えずに...』
「ネットナビは黙っていなさい!!!私の計画に変更は無い!!敵を制圧できれば、人質などどうでもいい!!人質に構うから事件が解決しないんだ!!計画通り、A班は地下へ!!B班は会議室へ上の階を目指し、それぞれの階で小隊に別れ、それぞれの階の武装した傭兵を制圧するように!!」

ロックマンが熱斗の説明に補足し、人質を見捨てずに救えるようなプランを挙げようとしたにも関わらず、木場は無視した。
シドウはその様子にため息を漏らした。
A班は警察やSWATだけで構成されたチーム、そして自分のいるB班、地上の人質たちの方へ向かう連中は3割がWAXAの隊員で構成され、残りのWAXAメンバーは待機という状態だ。
早い話がWAXAを地下に入れたくないのだ。
そして木場は先程からSWATを含めた警官たちに近づいてはボソボソと耳打ちをしている。
WAXAには伝えられないような特別な指示を出しているのは容易に想像がついた。
所々で警察庁からの圧力を受けている。
そして人質を巻き込んでValkyrieを確保し、その事実を隠蔽できなかったとしてもWAXAが混じっていれば、警察やSWATだけが人質もろとも撃ち殺しても大勢いるということは大勢でWAXAがやったと証言することが出来る、事実がどうあれWAXAが責任を負わされる可能性が高い。
シドウは舌打ちをしながらG-SHOCKを見た。
無慈悲にも秒針が12の位置に入った。

「突入!!」

木場が指で指示を出すと、部隊の人間が声でそれを伝える。
それを受けたシドウを含めた隊員たちが一斉に校舎内に入り込んだ。
時刻は17時ジャスト、木場の打ち出した突入計画が現実のものとなった。


 
 

 
後書き
今回は前回のハートレスと美緒が対になりつつもどこか似てるような感じで、美緒も最初から冷酷な母親だったというのではなく、何らかの要素がそうさせているという部分を出しました。
次回、残念ながらここからさらに掘り下げるということは無く、美緒もしばらく退場します。
気になっていた人がいたらあしからずm(__)m

今回はあとがきを無駄に多くしたいと思いますw(しばらく更新できなかった上、本編も大して進んでいないので代わりに)

スターダストも真っ暗な状況を作り出して戦うというヒーローらしからぬ戦いを展開しました(しかも美緒一人をふるぼっこにするためにw)が、スターダスト=彩斗自身が今までいじめによる暴力や陰口などで全うな戦いだけでは勝てない、結果が全ての命の駆け引きでは正々堂々という言葉は武士の世だけの幻想と言い切りそうなくらいの経験をしているというのが重要な要素になります。
1章の方の最初のロックマンの話なのかすら怪しかった頃の話や謎の集団による訓練などがスターダストの基礎となっています。

割とどうでもいいことですが、物語にはいろいろと実在のものも出てきます。
彩斗が麻酔針を仕込んでいた腕時計はクロノグラフやローカルタイム機能のついたスカイブルーのシチズンのエコドライブ、実際3万5千円くらいで売ってましたが限定カラーなのでもう無いかも...
中学生にしては結構お高いものをつけてますww
そしてトランサーの色は白に青ラインと腕時計同様に他の小道具も青系のラインナップとクールで知的なキャラクター?が出ている...?のかなw
ハートレスの時計はオメガ、車はランボルギーニ・ガヤルド、パソコンはMacとおしゃれでカッコいい上に性能もいいが高いラインナップなど小道具はそのキャラクターを表すのに結構使えたりしますw
安食はNISSAN・GT-R、熱斗パパもHONDA・NSXに乗るなど登場人物、無駄にスポーツカーに乗ってたりします。
他にもいろいろ出てきてますので、いつまでも更新しねぇなぁ...とか思ったら振り返って探してみるのも面白いかも...しれません

そして次回、プログラム、メリーと3分の2の目的を果たした彩斗は残る地上4階の人質の救出に移りますが、そこに警察が突入すると...
その状況をどうやって乗り切るのか?
何となくわかってしまうかもしれませんがw
ヒントは彩斗が今、何の組織に属しているのか?です。
この現場において彩斗と関わりがあるのは、メリー、スズカ、そして退場した美緒、後は...?
ネクストコ○ンズヒント!的にww


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