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ロックマンX~朱の戦士~

作者:setuna
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第五十五話 Enigma Laser Area

 
前書き
エックス、ゼロ、ルインの三人がパーツ回収に向かい、直ぐには戻れない状況でダイナモがハンターベースを襲撃する。
 

 
シグナス「ハンターベース敷地内に侵入者!!あれは…ダイナモ!!」

ダイナモがハンターベースに襲撃をかけてきた。
エックス達がいない現状において最悪以外の何物でもない。
マッコイーンを倒したエックスは水素を作るための施設を解放するためにハンターベースには戻れない。
ルインは簡易転送装置が壊れたために、武器ブローカーが所有していたチェバルでハンターベースに戻ろうとしているが、ハーネットかアディオンならともかく、チェバルではもうしばらくかかるだろう。
ゼロは3人が向かった場所で最も遠い場所にいるために、今から戻ってもらったところで間に合うかどうかは微妙なところだ。

シグナス「どうする!!?エックス達がいない今、このままでは…」

焦りを見せるシグナスを見て、アイリスが意を決して立ち上がる。

アイリス「私が彼と戦います!!」

シグナス「何!!?」

エイリア「無茶よアイリス!!あなたは戦闘用レプリロイドじゃないのよ!!?」

アイリス「戦闘訓練ならレプリフォースに所属していた時にしています!!それに、この力を使えば、私は兄さんと同等の力を…ここでエニグマが破壊されたら全て終わりですよ!!」

まだ戸惑っているエイリアだったが、アイリスの苦悩と決意の混じる瞳を見て、

エイリア「…分かったわ。でも、危なくなったら必ずここまで戻ってくること!!」

出撃を承認せざるを得なかったのであった。

シグナス「すまんゼロ…」

今はここにいないゼロに詫びるシグナス。



































ギガ粒子砲・エニグマ

100年前の大戦時に建造されて以来、老朽化が進み殆ど使い物にならなくなっていた大型の砲台である。

アイリス「ダグラスさん!!」

ダグラス「ア、アイリス…ぐっ…むぐぅ…」

絶叫するアイリスの目の前でダグラスが呻く。
エニグマを守らんと力及ばずながら立ち向かったのであろう。
辺りにはダグラスの部下である作業員達が倒れている。
その紺色のアーマーに銀髪を靡かせた1人のイレギュラーの掌に首を絞められるダグラスの姿がそこにはあった。

アイリス「ダグラスさんを放しなさい!!」

拳銃をダイナモに向けながらアイリスは叫んだ。
ダイナモは手に抱えていたダグラスを無造作に背後へと投げ捨てる。

ダグラス「がはぁっ!!」

強かに全身を叩きつけられダグラスが呻く。

アイリス「ダグラスさん!!」

ダイナモ「おお、こいつは驚いたなあ。究極のレプリロイドの片割れのアイリスちゃんじゃないか。結局エックスさんもゼロさんもルインちゃんもお留守で、アイリスちゃん1人?こりゃどうなってんのかねぇ?いくら潜在能力はあっても非戦闘員のアイリスちゃんを出すなんて…ひょっとして、ハンターの連中は俺を舐めてんのか?」

アイリス「(…どうやら私と兄さんの関係は知ってても、私がしようとしていることには気づいてないみたいね…ごめんなさいゼロ…)」

カーネルのメモリーチップを取り込もうとするアイリスだが、その前にダイナモに阻止される。

ダイナモ「お生憎様、アイリスちゃん。旦那から君のことはよ~く聞いてるんだ。君がお兄さんのメモリーチップを取り込むことでとんでもない化け物になるんだってこともね」

アイリス「っ…!!」

あまりの握力にカーネルのメモリーチップを落としてしまうアイリス。
ダイナモは薙刀型のビームサーベル・Dブレードを抜いた。

ダイナモ「アイリスちゃんに恨みはないけど、悪く思わないでくれよ。じゃあね」

Dブレードをアイリスに振り下ろそうとした瞬間。

ダイナモ「っ!!」

殺気を感じたダイナモは咄嗟に顔をずらした。
ダイナモの頬を高出力レーザーが掠る。

ルナ「調子に乗ってんじゃねえぞ糞野郎。とっととその薄汚ねえ手をアイリスから放せ」

高出力レーザーを放ったのはルナであった。
二丁の拳銃型レーザーショット・A(エー)バレットを握り締めながら、ダイナモを睨み据える。

ダイナモ「糞野郎とは随分と酷い言い方だね。傷付くなあ」

そう言いながらDブレードを構えながら、ルナに突っ込む。
武装から見て遠距離戦に特化したレプリロイドだと思ったのだろう。

ルナ「残念、俺のAバレットにはビームコーティングが施されているからビームサーベルを受け止めるのは簡単だぜ」

片方のバレットでDブレードを受け止めると予めチャージしていたもう片方のバレットを向ける。

ルナ「喰らいやがれ!!」

チャージレーザーが放たれるが、ダイナモは咄嗟に後方に跳躍することで、回避する。
ルナが不敵に微笑んだ。
ダイナモが訝しむが、チャージレーザーは壁に反射し、ダイナモの右肩を貫通した。

ダイナモ「くっ…反射!!?」

ルナ「リフレクトレーザー…このバレットのフルチャージレーザーは、壁や障害物を反射する能力があるんだよ。どんな手練でも流石に反射の軌道は読みにくいだろ?さあ、覚悟しろよ!!人様の客に手を出しやがって!!」

ダイナモ「客?君はハンターじゃないのかな?」

ルナ「俺はただのジャンク屋さ。パーツを得るためにイレギュラーを処分して、そのパーツを売っ払って利益を得る…たまに実力を買われて用心棒をしたり…非合法なことをしている点はお前に近いかな?」

ダイナモ「成る程、ある意味同業者なわけね。それにしてもアイリスちゃんと言い、君といい。可愛い女の子ばかり来るとは…僕は罪な男だねえ!!」

ルナ「生憎、俺はてめえみたいな男は好みじゃねえんだよ!!」

二丁のバレットを連射するが、ダイナモはダメージを感じさせない動きでレーザーの嵐をかわす。

ダイナモ「喰らいな!!」

Dブレードを連続で投擲するダイナモ。
ルナはブレードの軌道を読みながら回避する。
ダイナモは跳躍するとバスターを放つ。
1発の弾が2つに割れて、左右に飛び散る。

ルナ「破裂弾か!!」

ダイナモ「それだけじゃあないよ!!」

投擲したDブレードがブーメランのように戻って来る。
何とかギリギリでかわし、バレットを向ける。
ダイナモとダイナモが持つDブレード。
そして投擲したDブレードをロックオンする。

ルナ「ホーミングショット…コネクションレーザー!!」

ロックした敵、物体を連鎖的に電撃のようなレーザーを放ち、攻撃する一撃をダイナモに見舞う。

ダイナモ「やるねえ、そろそろ本気でやるかい?お互いに?」

ルナ「ご勝手に。てめえに構ってる暇はねえんだよ」

ダイナモ「そう…けど、危ないんじゃない?本気出さない…と!!」

Dブレードを受けていたバレットが弾き飛ばされた。

ルナ「チッ!!」

ダイナモ「貰ったぁ!!」

Dブレードがルナの身体を貫こうとする瞬間。

ルナ「舐めんなああああっ!!!!」

彼女の身体が発光し、しばらくして光が消えた後には…。

ルナ「ふう…」

ダイナモ「っ…」

大きく息をついたルナと右腕を切断されて、膝をついているダイナモの姿があった。

ダイナモ「っ…その能力は…一体…?」

信じられない物を見たかのようなダイナモにルナはニヤリと笑った。

ルナ「秘密♪俺としては…お前の身体の一部を手に入れられただけでも儲け物だぜ…」

ダイナモ「全く…信じられない物を見たよ…思いがけず力の入ったバトルになっちゃったけど…今日はこれで帰らせてもらうよ……シーユーアゲイン!!」

ダイナモは転送装置を使い、何処かへ消えた。

ルナ「…ふう、何とか追い払えたか…エニグマには何の損傷もなし…おい、アイリス。大丈夫か?」

アイリス「え、ええ…」

あまりの眩しさに目が眩んでいるのか、アイリスの目は瞬きを繰り返している。

ルナ「おい、オッサン。生きてるか?」

ダグラス「オッサン…言うなっての…」

痛みに顔を顰めたが、ダメージは大したことはないようだ。

ルナ「言葉が返せれば大丈夫だな。ほら、大将のトコに行くぞ」

アイリスの手を取ってシグナスの元に向かうルナ。





































指令室では、侵入者を撃退したルナを、目を丸くしたシグナスとエイリアが迎えていた。

シグナス「あの光は…ただの目眩ましではないようだが、一体何なんだね?」

ルナ「秘密♪」

同じことを何度もシグナスに聞かれるが、それを何故かルナはごまかす。

ルナ「そうそう、エイリア。これ土産」

エイリア「え?キャアッ!!?」

回収したダイナモの右腕をエイリアに投げ渡す。
流石に腕を投げ渡されるとは予想していなかったエイリアは飛び退いた。

ルナ「ダイナモの右腕。そいつを解析すればいい物が見つかるかもしれねえぞ?」

エイリア「どういうこと?」

ルナ「ダイナモはシグマウィルスが蔓延しているコロニーにいながら発症した様子は見られなかった。もしかしたら最新型のシグマウィルスのワクチンプログラムを入手していたかもしれねえ。もしそうなら…」

シグナス「成る程、ワクチンプログラムを入手出来れば、イレイズしたイレギュラーを正常に戻せる。分かった、ライフセーバーに伝えておこう」

兎に角、招かれざる来訪者がいなくなったことで、シグナス達は胸を撫で下ろすのだった。


































ダイナモは依頼人から与えられた拠点で右腕の修理をしていた。

ダイナモ「…一体、何だったのかねえ、あれは……」

彼女の身体が光り輝いた瞬間、気を取られたダイナモはビームサーベルで右腕を切断された。
それだけなら大して気にはしなかったが、問題はそこじゃない。
自分の右腕を切断したのは、ルナではなかった。
かつての大戦でドップラー博士が造ったとされている世界中のレプリロイドを研究して造られ、エックスとの死闘の末に破壊されたはずのヴァジュリーラFFであった。
しかも、次の瞬間にはルナは元の姿に戻っていた。

ダイナモ「…何者…なのかねえ……」

コピーとして造られるレプリロイドは職業柄、よく見てきたが姿と能力をコピーする能力など聞いたことがない。
しかしこれはよく考えれば…。

ダイナモ「これは退屈しなさそうだ」

ダイナモは笑みを浮かべながら右腕の修理を待った。 
 

 
後書き
オリキャラ大活躍。
この時点では新世代型レプリロイドの“し”の字もありませんからダイナモが分からないのは当然のこと。 
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