天馬
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ピピ、ピピ、ピピピ━━━━━━ッ!!
「うっ…………もう朝かよ…………」
鳴り響く目覚まし時計とカーテンから入り込む朝の日差しで目を覚ました俺。
「何か身体が怠い………」
普段通りの朝とは違う事に俺は違和感を覚えていると、ルシウスが話し掛けて来た。
『漸く、目覚めた様ですねイッセー』
「おはよう、ルシウス。何だか今日は、体調が優れないみたいなんだ…………」
体調の不調をルシウスに伝えると、耳を疑うような応えが帰って来る。
『当然です。貴方は、人間から悪魔へと転生したのですから慣れる迄は、致し方無いでしょうね?』
「………………はい?ルシウスさん、もう一度言って貰えるかな?」
『貴方は昨日、天野夕麻と名乗る堕天使に殺されかけた事は覚えていますか?』
「……………あっ!!」
彼女の問に昨日の事を思い出した俺は、刺された場所を手探りで調べたが傷痕の痕跡は一切無く、綺麗なものだった。
『瀕死の状態だった貴方は願った。神や悪魔でも構わない助けて欲しいと貴方は願った。その願いが通じたと言うよりも、その布石を貴方は手に入れていた』
「どう言う事?」
『駅前へ向かう途中、1枚のチラシを貰ったのを覚えていますか?』
「…………そう言えば!?」
『貴方にチラシを渡したのは、貴方を助けた悪魔の遣い魔です。恐らくは、貴方が神器持ちと見抜いたか、或いは…………どちらにしろ、その悪魔にマークされていたのでしょう。そして貴方は願い、その悪魔は貴方の命と引き換えに悪魔へと転生させたと言う事です』
ルシウスの説明にて取り敢えず納得した俺は、怠い身体を無理やり起こし制服に着替え、朝食を取る為に一階のリビングへと向かう事にした。
▽
俺が悪魔に成ってから数日が経とうとしていた。
あれから俺を悪魔へと転生させた主様は姿を現さず、普段通りの高校生活を過ごしていた。
「なぁ、ルシウス。俺を転生させた人物って誰だよ?」
『うふふ、それは貴方が良く知る人物です。それに、貴方の前に姿を現さないのは、順応仕切れていない貴方の為に様子を伺っているのでしょう。現に、こうして遣い魔を見張り役として放っているのですから』
「うむ………本当に誰なんだろうか?」
下校しながら、そんな会話をルシウスと脳内で話していた時だった。
「ほう、これは数奇なものだなぁ?こんな片田舎の町に貴様の様な輩が存在するとわ」
「…………ッ!?誰だ!!」
異様な殺気に俺は振り返ると、トレンチコートを羽織テンガロンハットを被る男性が近付いて来た。
俺は咄嗟にバックステップで距離を取ったが、軽く跳んだだけなのに、かなりの距離を飛躍していた。
「な、なんだよこれ!軽く跳んだだけだぞ!?」
『悪魔に転生したのですから、身体能力が飛躍的に向上した訳ですから当然です。それよりも不味いですね。また堕天使ですか…………イッセー、ここは一先ず逃げましょう!幾ら、身体能力が向上したとは言え今の貴方では堕天使を退けるは無理があります』
「…………ッ!!悔しいけど、ルシウスの言う通りだな」
「なんだ逃げ腰か?」
俺はルシウスの言う通り、この場から逃げる為に反転し全力で駆け出したが、上空から黒い羽が無数に降り落ちて来た為に上空を見上げると、羽を広げて上空を飛翔する男性の姿が目に入った!
その堕天使はスピードを上げ、俺の退路を塞ぐ様に降り立つ。
「……………チッ!!」
「下級な存在は、これだから困る。主の存在も仲間の存在も無し。消える素振りも、魔法陣すら展開しない。状況を鑑みるに、お前は『はぐれ』か?」
そう言って堕天使の男は右手に光の槍を展開した
「…………なっ!?」
「それなら、貴様を殺した処で問題在るまい?」
そう言いながら展開した光の槍を俺に向けて投擲する。
だが!
「見える!!」
「ほう、あれを躱したか?これは少々楽しめそうだ」
そう言って更に無数の光の槍を展開して次々と投擲する。
「チッ!!数が多すぎる!」
「ほれどうした。躱すしか能が無いのか貴様は?それともその程度なのか?何れにせよ遊びは終わりにしよう!」
そう言って先程より大きな槍を展開する堕天使。
「チッ!このままでは!!やるしか………やるしかないッ!!」
『なりません、イッセー!今の貴方では勝ち目は在りません』
「判っている!判っているけど………このまま大人しく殺られるらな、せめて一矢報いて見せる!星矢達が幾多の強敵に報いた様に、俺も目の前の強敵に渾身の一撃を叩き込むッ!!」
『……………ッ!!』
「燃えろ!俺の小宇宙よッ!!うぉぉぉぉ━━━━━━━━━ッ!!」
俺は、星矢が小宇宙を燃やす様に、ペガサス座の13の軌跡を描きなが小宇宙を爆発させる!
「な、な、何ッ!?下級悪魔である貴様が発生させた純白のオーラがペガサスの形に姿を変化させただと!?それに、貴様は神器持ちか!?」
堕天使のオッサンは、俺が爆発させた小宇宙によって発生したオーラと突然左腕に現れた神器を見て驚愕している。
『イッセー………貴方の想いに私も応えましょう。何の取り柄も無い私ですが、貴方の力になりたい。さぁ、叫ぶのです!禁手化と!』
「あぁ、行くぜルシウス!!禁手化ッ!!」
『Pegasus GOD Balance Breaker!!!』
籠手の宝玉が白い閃光を解き放つ。
天空に解き放たれた白いオーラが激しさを増し、閃光の中から一体のペガサスが現れた。
そのペガサスは俺の身体を通り抜けると、俺は軽鎧を纏っていた。
「こ、これって光牙が纏っていた、ペガサスの聖衣!?」
『いいえ、これは貴方の想いに応えた結果がこの姿に成ったのです。能力的には聖衣と、ほぼ同じと考えて下さい。それに私には、どこぞの二天龍の様な特殊の能力は在りませんので後は、貴方次第ですイッセー!』
「あぁ、判った。なら今後は禁手の姿を『天馬神の聖衣』と名付けようぜルシウス!」
ペガサスの聖衣を纏った俺は、感触を確かめるようにしていると、驚愕していた堕天使は不敵な笑みを浮かべながら笑っていた。
「フッ、フハハハハッ!!突然、禁手を使ったと思えば、そんな貧相な鎧を身に纏っただけとはなぁ?とんだこけ脅しも良いところだ!フハハハハッ!!まぁ、良い。貴様を殺した後に、神器を抜き取りアザゼル総督様に献上するとしよう!」
「舐めるなよ堕天使野郎ッ!燃えろ!!俺の小宇宙ッ!!」
「それは私の台詞だッ!死ね!!下級悪魔ッ━━━━━!!」
堕天使は今一度、大量の光の槍を展開して投擲する。
「ペガサス流星拳━━━━ッ!!」
大量に投擲された光の槍と、俺の放った流星拳が中央で激突する!
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!」
「なっ!?私の槍が押し負けているだと!?ば、馬鹿な!?う、うわぁぁぁぁぁッ!!」
俺の放った流星拳が、まさに流星群の如く光の槍を押し退けながら堕天使に命中し、後方へ勢い良く吹き飛んだ!
「ば、ば、馬鹿な…………この私が、下級悪魔ごときの攻撃で……………グハッ!!」
「や、やった!堕天使を倒したぞ!」
『見事でしたイッセー。まさに流星の如く、音速の領域を越えた「音速拳」を放つ事が出来ましたね!』
「ありがとう、ルシウス。何となくだけど、小宇宙の燃焼の仕方がわかった気がするよ」
堕天使を倒した俺は禁手を解除し、未だに残る右手の感触を確かめながら、ルシウスと話しをしていた。
「あっ!?そう言えば、この堕天使をどうしよう?このままでは、何かと不味いよな?」
『そうですね…………どうしましょう?』
既に息絶えている堕天使をどうするか、ルシウスと考えていると…………。
「後は、私に任せない。兵藤一誠君」
「…………えっ?あ、貴女達は!?」
声を掛けられた方向へ振り向くと、ストロベリーブロンドより赤い髪が特徴の女性と、艶やかな黒髪ポニーテールが特徴の女性が後方に控える様に優雅に立っていた。
「リアス・グレモリー先輩!?それに姫島朱乃先輩まで!?」
そう、俺が通う駒王学園の三年生にして『駒王学園の二大御姉様』と呼ばれる二人が今、俺の目の前に現れたのだった……………。
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