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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》

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【第356話】

 
前書き
遅れました

でわでわどぞ 

 
 一夏の誕生日話はさておき、先ほど出た【キャノンボール・ファスト】の概要についての整理をしておこう……俺のために。

 まず、キャノンボール・ファストと謂うのはISを用いた高速バトルレースの事だ。

 ただのレースじゃ盛り上がりにかけるらしく、これを開催した委員会曰く――「レースで順位を競うよりかはバトルも追加した方が良くね? そっちの方が観客喜ぶし」――というざっくばらんに簡素的に代弁したがこんな感じでキャノンボール・ファストと呼ばれる国際大会が開始されたとか。

 歴史自体はまだ浅く(当たり前だがIS開発されて十年程だからどの大会も基本歴史は浅い)、テレビ中継も基本専用のISチャンネル(ISに関連するテレビ)のみで中継されるからだ。

 まあこれはあくまでも国際大会だけらしく、今回のキャノンボール・ファストは市の特別イベントとして催される為、各テレビ局による放映権争奪戦が繰り広げられてるとか何とか。

 ……ともかく、そんな市の特別イベントとして今回開催されるキャノンボールは、俺達IS学園全生徒がそれに参加する事になる一大イベントなのだ。

 当たり前だが専用機と訓練機との差を踏まえた各種部門分けが行われている。

 専用機を持たない子達による訓練機部門と、専用機部門。

 ――専用機持ちは基本専用機部門オンリーでの出場だ。

 そしてその行われる場所だが、学園外でのIS実習という名目の為、わざわざ市のISアリーナを使用するとか。

 臨海地区に作られたIS用アリーナは、学園のアリーナとは比較にならないほどの巨大さで、収容人数は二万人以上だとか何とか。

 基本、市の赤字財政なアリーナだがこの時だけは+収入になるらしい(IS関連グッズの売上とか)。

 それ以外での使用では何処かのアイドルがそこでコンサートを開いたらしいのだが満員には出来ず、それ以降はライブ等の申請は全くないとのこと――だから赤字財政の温床なのだが、それでも壊されない辺りはキャノンボール・ファストが行われた時の収入の大きさが物語ってるのか、はたまた政府の圧力故なのか……定かではない。

 と、こんな感じのバトルレースが今度開催されるのだ――相変わらずISって宇宙とは関係無い所ばかり力を入れてる気がするが、突っ込むだけ疲れるのでもう突っ込まない事にした。

 ――と、一通りの概要の整理(?)を終えた所で一夏が口を開く。


「そういえばさ。 明日からキャノンボール・ファストの為の高機動調整を始めるんだよな? あれって具体的には何をするんだ?」


 軽く首を傾げて訊く一夏に、俺が答える。


「前に山田先生が言ってたが、基本的には高機動用パッケージのインストール、または駆動エネルギーの分配調整――通称キャノンボール・ファスト仕様を、各スラスター等の出力調整を行いながら自分用にセッティングするのが主だな」

「む? ……ヒルト、よく覚えているものだな、流石は我が嫁だ。 プチトマトをやろう」


 そう言って食事を食べ終えた皿の上にプチトマトが一個転がる。

 遠慮なくそれを箸で摘まみ、口に入れると咀嚼――甘いトマトの味が口一杯に広がった。


「僕もせっかくだからあげる。 ……へへっ、ヒルトって何だかんだで勤勉だよね? ご褒美ご褒美♪」


 そう言って白身魚のフライを箸で一口サイズに切ると、皿の上に乗せた。


「うん、お兄ちゃんって結構勉強してるもんね? 織斑君も見習った方がいいよ? いつまでもカッコつけてるよりかは少しでも努力して、継戦能力あげた方がいいし。 はい、私もお兄ちゃんにあげる♪」


 美冬もコロッケを一口切り分け、皿に乗せてくれた――と。


「俺だってちゃんと勉強してるぜ? 現にヒルトより一般教科は俺の方が出来るし――」

「一般教科は確かに織斑君の方が出来るけど、あくまでそれは教科書の事が出来るだけでヒルトより知識は無いんじゃないかな? ……ヒルト、勉強嫌いだけど好きになった勉強は頑張ってるしね? 現国とか、歴史とかさ」


 そんな未来の擁護(?)を受ける俺――と。


「一般教科だったら僕が教えるし、ヤル気出せば多分一夏よりもヒルトの方が点数高くなるよ?」

「ふーん。 ……まあそれは置いといてさ、キャノンボールの話に戻るけど、高機動パッケージっていえばセシリアだよな?」


 強制的に一般教科の話を止めた一夏に、困ったような表情を浮かべたシャル、そしていきなりセシリアの話題になってセシリアも目をぱちくりさせていると軽く咳払いして――。


「えぇ、そうですわね。 わたくしの駆るブルー・ティアーズには、主に高機動戦闘を主眼の据えたパッケージ『ストライク・ガンナー』が搭載されてますわよ」


 いつもの様に変わらずの態度で答えるセシリアだが、どうもフレキシブルの訓練が上手くいっていないらしい。

 セシリアとしても壁にぶち当たった為、また基礎としてのBTに関する内容のお復習もしてるって俺に打ち明けてくれた。

 ……フレキシブル、俺には出来るかどうか未知数の領域の為、力になれないが話すだけでもやっぱり少し気が楽になるらしく、時折夜、セシリアの話に付き合っている。

 どうにかマスターすればセシリアの戦闘の幅が広がり、代表への道も一歩近づく為何とかならないか俺も時間がある時はシャルの性別詐称による問題も含めて解決策を探してはいるが――。

 シャルの問題に関しては、シャル自身が代表になれば問題解決になるらしいが、やはり選択肢は沢山ある方がシャルも安心するだろうし――。

 ……それはそうと、先日の襲撃事件はうやむやになった様だ。

 ニュースでもさっぱり取り扱わなくなり、今は韓国の軍事基地襲撃事件ばかりがニュースになっている。

 このニュースの概要に関しては基地に生き残りは誰一人として居らず、韓国の軍人問わずその場にいた人も含めて惨殺されたと報道された。

 噂ではそこにISのコアがあったとかネットのニュースに流れていたが、それもぱったりと消えていた。

 事件自体は報道されてはいるが、これも直ぐに報道されなくなるのだろう。

 それはさておき、この間の襲撃してきた組織――『亡国機業』――『ファントム・タスク』の情報だが……ラウラ曰く、第二次大戦中に生まれた組織らしい。

 国家に寄らず、思想を持たず、信仰は無く、民族にも還らないとか。

 昔から目的も不明で、存在理由すら不確かで、組織の規模も誰にもわからないらしい。

 こういった『らしい』という濁した言葉なのは、あまりにも情報が少なすぎるからだ。

 母さんが狙われる理由もよくわからないが……もしかすると、母さんが作ったPPSに関連するのか、はたまた母さんの頭脳が欲しいのか、それとも何と無くなのか……。

 ――考えてもよく分からず、まるで深い霧に覆われた森林を駆けていく様な感じだ。

 だがそれでも現状わかっているのはISをコアを含めて奪取する事と、母さんを狙う事だろう。

 警備強化の話は織斑先生には伝えたものの、どうしてもISを用いない警備だと心許ないとか――自衛隊に配備されている対空戦車の配備なども進言してみたが、これだと対空戦車が破壊された時の搭乗員の命の危険にも関わるとか……正直お手上げかもしれない、高校生程度が考える頭の中じゃ。

 とりあえず今はその話を頭の片隅に置いておき、またキャノンボールの話に意識を戻すと俺は口を開いた。


「何にしてもさ、キャノンボール・ファスト。 それを主観におくと次からは高機動訓練主体になるな」

「そうですわね」


 小さく同意するようにセシリアが頷く――と、ここで一夏が。


「高機動訓練か……」

「フッ、高機動訓練なら私が教えよう。 紅椿の展開装甲を機動モードにすればどんな機体も私には追い付けないからな」

「……そうだな。 白式も機動力のスペックならセシリアのストライク・ガンナーにも負けてねぇし」


 そう二人して盛り上がるのを見つつ、俺は心の中で「そりゃ篠ノ之束が携わってりゃ、機体の性能も高いって」と突っ込む。

 ――まあ白式に関しては、倉持技研の開発頓挫した機体を拝借して篠ノ之束が完成させた訳だが――まあどちらにせよ、篠ノ之束が携わってる事には変わりないだろう。

 村雲も弐式も天照もだが、スペックは白式には負けてない――天照は特に、展開装甲起動してない紅椿より総合スペックは上だったりする。

 母さんが独自に開発したIS用フレームと新設計したスラスター等が要因だとか言ってたが……わからん、難しい話は。

 ……どちらにせよ、母さんの頭の中がどうなってるか気にはなるが。

 何気無くそう思っていた矢先、鈴音が――。


「うちの国は一体どうなってんだか。 夏の臨海学校の時にバラバラになった『甲龍』用高機動型パッケージ、まだ届かないし」


 そういえばそうだったなと思う――確か、篠ノ之の紅椿が空から飛来した衝撃でコンテナの中がぐちゃぐちゃだったか――あれ?

 コンテナの意味が無い気がする。

 まあそれは良いとして、篠ノ之が原因なのにそれを責めない辺りはやはら鈴音は良い子だろう――本当、一夏はバカだなとしか言えん。

 未だにフラれたという事実を理解してないのだから――というか、あいつ篠ノ之ばかりに構ってるのがなぁ……。

 そんな感じで考えつつ、鈴音を見てると俺の視線に気付いた鈴音は視線を逸らし、少し頬を赤く染め上げた。

 それを誤魔化すかの様に鈴音はシャルに話題を振る。


「そ、そういやさ、シャルロットの所はどうなの?」

「んと、『リヴァイヴ』は第二世代で元々これ以上の開発は無いから、増設ブースターで対応するよ。 元々リヴァイヴは速度関係に関しては増設しやすいような設計になってるしね。 『疾風』の名前は伊達じゃないって事だよ」


 そう鈴音に言ってから俺へと振り返り、ニコッと笑顔を見せるシャル。

 ラファール・リヴァイヴを和名に直すと『疾風の再誕』――その名に恥じぬ機動性を持っていて、それを更に強化出来るって訳だろう――増設してシャルの技術もあれば篠ノ之の紅椿にも負けないだろう。


「成る程ね。 んじゃ、ラウラんとこはどうすんの? そっちも第三世代型でしょ?」

「姉妹機である『シュヴァルツェア・ツヴァイク』の高機動パッケージを調整して使う事になるだろう。 装備自体はあっちの方が本国にいる分、開発も進んでいるのでな」


 鈴音の問い掛けに素直に応えるラウラ――当初のいがみ合いも無く、仲良くなった事に嬉しさを感じる。


「ふむ。 高機動パッケージ装備したシュヴァルツェア・レーゲンか――気になるな」


 何気無い呟きに、ラウラはいち早く反応すると――。


「む? お、御披露目する機会があればヒルトにも見せよう」

「良いのか?」

「うむ。 ツヴァイクに関しては国家重要機密故に教えるわけにはいかぬが、レーゲンに関しては別だ。 この学園に来た以上、情報公開は許されてるのでな」

「成る程? ――色々複雑だな、条約関連って」


 そう思い、頭の中に過るアラスカ条約という単語――だが、正直条約にしてはお粗末過ぎる気がするが……軍事利用禁止辺りが特にどの国も守ってないし。

 微苦笑を漏らすと、それを気にせずラウラは――。


「ヒルト、明日は久しぶりに私と模擬戦を行おうではないか。 まだその打鉄を受け取ってから一度も実践してないのだろう?」

「そうだな。 基本的に今までやってたのが調整メインだったし……相手してくれるか?」

「無論だ。 では明日の放課後、一六:○○より第二アリーナにて模擬戦を行う」

「……えと、四時だな。 了解したよ。 お手柔らかにな?」

「ふふん、嫁と謂えど流石にそれは出来ない相談だな」


 そんなやり取りをしつつ、食事を摂ると鈴音が――。


「……何か仲良いわね……。 ……むぅ」


 僅かに陰りを見せる眼差しに気付き、鈴音を見ると慌てて視線を逸らした、そしてその視線の先には美冬達が居たので――。


「そ、そういやあんた達はどうすんの? 高機動パッケージ用意すんの?」

「村雲に関しては、一応フライヤーユニットの装着かな? 無くても大丈夫だけどエネルギー配分的に見るとやっぱり装着した方が安定するもん」


 鈴音の問いに答えたのは美冬だ。

 フライヤーユニット――確かこの間見た奴だな、あの時は強化外骨格【クサナギ】を見に行って、後はコアの無いISがその場にあっただけだが。


「私の天照は多分ラファール・リヴァイヴ用パッケージの用意かな? ほら、【ブランシュ・エール】あるじゃない? 専用パッケージに関しては今テスト最中だから多分間に合わないかもだし。 まあブランシュ・エール使えなきゃ、美冬ちゃんと同じく背部にフライヤーユニットを接続するって感じ」


 未来が言う専用パッケージというのは、先日言っていた展開装甲をコピーしたというパッケージなのだろうか?

 機能の一極化で、各機能に特化したっていう……。

 外から見ただけで殆ど再現が出来たとするなら、母さん的に見れば展開装甲も難しくない技術といえるのか――。

 ――あまり深く考えても仕方ないが、母さんが時たま本当に何者なのかと考えてしまう。


「村雲・弐式は弄らないかも? 弄らなくても紅椿には負けない加速力だし。 敢えて追加するなら美冬や未来と同じフライヤーユニットだよ?」


 美春も同じ様にそういうと、フォークでパスタを食べ始める。

 ――何気に美春も結構食べる、何でも人間が作った食べ物全部が信じられないぐらいの美味しさだとか。

 俺達は普段から食べなれてるから感動は少ないが、美春にとっては全てが感動なのだろう。

 ――と、ここで紅椿の名前を出されて篠ノ之が……。


「ふん。 紅椿が村雲に負けるものか」

「残念だけど、村雲は紅椿にも負けないよ? てか、世代差で勝敗はそうそう決まらないしね」

「……言ってくれるな。 では私と模擬戦で勝負しろ、圧倒的な実力の違いを教えてやろう。 何ならハンデをつけても良いぞ? 幾ら有坂から機体を譲ってもらったとはいえ、乗りなれてないから負けたと言い訳されては敵わないからな」


 何処からそんな自身が来るのか……ご飯を食べながら篠ノ之を見やると余裕の風格すら漂わせていた。

 多分、乗りなれてないと思ってるからだろう――と。


「模擬戦なら良いよ? 後、ハンデもいらない。 てか逆に私がハンデとして武器を天狼――それも、峰打ちで相手するよ。 これならバリア無効化攻撃使えないしね?」


 軽くウインクする美春の言葉に、カチンと頭に来たのか目尻をつり上げて睨み付けるように――。


「良いだろう。 なら明日の夕方四時に第三アリーナでハンデ無しで相手してやる。 ……果たし合いだ、逃げるなよ」

「逃げないよ? じゃあ明日の四時にね? ヒルト、見に来て――って、ラウラと模擬戦だったね? 後で事後報告に行くね♪」

「あ、あぁ……」


 若干曖昧な返事をした俺だが、美春は嬉しそうに目を細めて笑顔で頷いた。

 ……どうなることやら、暗雲が立ち込めてる気がするな、これが。 
 

 
後書き
さて、久しぶりにモンハンしてイビルジョーにマウント捕食されて泣いたが何とか勘を取り戻したぜ( ´艸`)

因みに大剣メイン( ´艸`)

PSPだから前の奴だが、それでも久しぶりのモンハンは面白かったぜ( ´艸`)

まだアマツマガツチ出してなかったから出さないと('A`)

また遅れたらすみません 
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