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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》

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【第347話】

 
前書き
美冬回 

 
 一旦部屋に戻り、シャワーで軽く汗を流してから美冬&未来の部屋へと向かう。

 ちらほらと女子の姿を見かけるが、特に声を掛けられることはない――一夏だと、引く手あまたに女子に声を掛けられるって言ってたが……本人は「何で俺に声を掛けるんだろうか?」って俺に訊く始末。

 理由ぐらい自分で考えろよと思うも、鳥頭故に考えられないという事実があることに直ぐ気付くため、結局俺は何も語らず笑って濁すだけに留める。

 ……てか、中学時代の一夏の友達もこんな感じなのかな……まあ、一夏の友達は学園祭で見た五反田って奴しかしらないから何とも言えないが。

 そんな考え事をしてる間に美冬と未来の部屋へと到着し、早速ドアをノックする。

 ドアの向こうから足音が聞こえ、ドアノブが回され開くと――。


「あれ? お兄ちゃん?」

「おっす、未来に訊いたけど俺に用事があるってな? どうしたんだ?」

「あ……う、うん。 とりあえず上がって? ここで話すより中の方がいいと思うし」


 美冬がそう促して来るので小さく頷くと俺は室内へと入る。

 美冬が後ろ手でドアを閉めるとその音が耳に聴こえ、そして――。


「……えいっ」

「ん? どうした美冬?」


 ドアが閉まると同時に俺のお腹に腕を回すように抱きつく美冬。


「……へへっ、やっぱりたまにはお兄ちゃんにスキンシップしたくてね♪」

「……成る程、まあ俺で癒されるか分からんが気のすむまでスキンシップしていいぞ?」

「へへ。 ……あ、せっかくだし久しぶりにお兄ちゃんの耳、掃除してあげよっか?」

「え?」


 俺の返答を待たずに美冬は抱きつくのを止め、自分の机から耳掻きセットを取り出すとベッドに座り――。


「はい、お兄ちゃん。 膝に頭を乗せて?」


 ポンッと自身の膝を叩く美冬。

 フリルの付いたミニスカートを穿いている為、生足なのだが――。


「ほら、お兄ちゃん。 早く早く♪」

「わ、わかったって。 ……ったく、急かすなよな美冬」


 美冬が急かす為、美冬の膝に頭を乗せるとベッドに横になる。


「……わぁ……お兄ちゃんいつ見ても耳が綺麗だよねー。 少しは残しても良いのに」

「どんな注文だよ。 寝る前に毎日掃除だけはやってるからな」

「そっかぁ。 ……でも美冬、耳掃除するからね? 奥の方はわかんないんだし」


 そう言って明かりに照らされながら耳掃除を始める美冬。

 毎度の事ながら、絶妙な耳掻きテクニックで正直めちゃくちゃ気持ちがいい……流石は俺の妹だなと改めて認識する。


「ふふっ、気持ち良いでしょ? お兄ちゃんの気持ちよくなる所は美冬にはお見通しだからね」


 嬉しそうな声色と共に耳掃除をしていく美冬。

 股の感触と耳掃除の心地好さについうとうとしつつ、瞼が少しずつ重くなるのを感じた――と。


「うーん、お兄ちゃんの耳、綺麗すぎ~。 耳掃除しがいが全然無いよぉ。 ……次は反対側ね? ……パンツ、見ないでね?」

「……ならこんな短いスカート穿くなよ。 ……ったく」


 そう言いつつ、反対側へと向き直すとちょうど美冬の股とスカート、服に隠れているが腹部が見える。

 そして残念ながらパンツは見えない――てかそうそう見えるはずが無いのだが。

 ……まあ美冬の事だから今日辺りは水色の下着だろう……上下共に。

 そんな妹の下着姿が脳裏に過ってしまい、軽く頭を振ると美冬が――。


「こらっ! じっとしててよね、お兄ちゃん!? お、お兄ちゃんが私の膝で頭を振ったら擽ったくなるんだから……もぅ」


 そう言ってまた耳掃除を再開する――時計の秒針を刻む音だけが室内に響き、気持ちよさで再度うとうとしているとふぅっと耳に息を吹き掛けられ、背中がゾクゾクした。


「な、何をするんだよ美冬」

「何って――最後に耳に息を吹き掛けただけだよ。 ……もぅ、そんなに驚かなくても良いじゃん」


 耳掃除が終わり、向き直すと美冬が俺を見下ろすように見ていた。

 軽く俺の前髪を掻き分け、ゆっくりと近づいてくる……。


「……み、美冬?」

「……動かないで、お兄ちゃん」


 その言葉に、まるで金縛りにあったかのように身体が固まる。

 美冬の唇が近づいてくるのが見え、早鐘を打つように心臓が鼓動する――キュッと瞼が自然と閉じてしまう。

 そして、俺の額へ口づけを落とす。

 小さなリップ音が室内に響き、瞼を開けると僅かに頬が上気した美冬が――。


「……へへ、口にキスされると思った?」


 悪戯っぽく微笑む美冬の姿に、自然と顔に熱を帯びるのを感じて思わず――。


「そ、そんなわけないだろ。 ……ったく、あんまり兄をからかうなよな?」

「本当かな? お兄ちゃん……おもいっきり瞼閉じてたよ?」

「……ッ!? な、何となく閉じただけだよ! ……もぅ、あまりからかうなよ」


 ……それでなくても時折美冬が女に見えてしまうダメな兄なのに……本当、どうしたんだろうか。

 自分の妙な気持ちを戒めたくても、どう戒めれば良いのかが分からずにもやもやとしていると。


「ふふっ。 ……でも、美冬はお兄ちゃんにならファーストキス、あげてもいい……よ?」

「……はっ? い、いきなり何を言って……」


 唐突なファーストキス捧げる発言に、頭の中が混乱しつつも美冬は顔を真っ赤に染めながら――。


「お兄ちゃんは……美冬の事、嫌い……?」

「そ、そんなわけ無いだろ? 家族なんだ、嫌いになるはずないし」

「……なら大丈夫だよ。 両想いだし、キス迄ならお母さん許すって言ってたもん」


 ……母さん、一体美冬に何を吹き込んだんだよ。

 流石にこの膝枕の体勢のままだと本当にキスをしかねないので起き上がろうとするが――。


「ダメだよ、お兄ちゃん? ……美冬の膝にそのまま寝てて?」


 まるで子供をあやすような優しい言葉遣いとは裏腹に、膝に無理矢理寝かされる。

 力は強いわけではないのだが……自然と逆らう気持ちが薄いのは俺の気持ちだからだろうか……。


「……お兄ちゃん、良いよね……? ……キス……しても」

「……っ。 こ、後悔するからやめとけって……な?」

「……後悔しないもん」


 表情からも俺をからかってるという訳ではない事がわかる。

 熱っぽい眼差しに僅かに涙を浮かべ始めた美冬に観念し――。


「……わ、わかったよ。 ……でも、それなら膝枕でじゃなくちゃんとするぞ? ……こ、後悔しても遅いからな……?」

「……へへっ、しないってば。 ……お兄――ううん、今だけは兄妹じゃなく……男と女で……何てね」


 身体を起こすと、妨害も無くスムーズに起き上がれた。

 このまま逃げるという事も出来るが、多分それをやると美冬は一生口を利かない気がする。

 ベッドに座り直し、美冬の隣に移動すると小さく身を強張らせた。


「……やっぱり止めとくか? ほら、身を強張らせてるし――」

「だ、大丈夫! ち、ちょっと緊張しただけだもん! お、お兄ちゃん……んっ……」


 軽く呼吸を整えると、美冬は顔を此方に向けて上顎を上げると瞼を閉じた。

 ――妹とキスをする。

 そんな背徳感が妙に俺の気持ちを早まらせていくのがわかる。

 いけないこととわかっていても、此処でしなければ本当に口を利かないかもしれない。

 両肩に触れると、他の皆と同じ様にぴくりと小さく身を震わせる美冬。

 ドキドキと高鳴る鼓動とは別に、本当に良いのかという自問自答が脳裏に過る――最後の理性が歯止めをかけてるのだろう……だが。


「……美冬、するから……な?」

「……ぅん。 ……お兄……ちゃ……ん」


 小さく俺を呼ぶ声に、最後の理性も何処かへと吹き飛ぶとゆっくりと唇を重ねた。

 唇から伝わる美冬の体温がまるで伝染するかのように俺の身体の熱を上げていく。

 何度か、軽く浅く口づけを交わし、唇を離すと顔が真っ赤に染まった美冬が――。


「……えへへ、お兄ちゃんとキス……しちゃった……♪」


 嬉しそうな笑顔でそう告げる美冬――だが、本当に良かったのだろうか……。

 暗くなる表情を見た美冬が、俺の頭を優しく触れる様に撫でるとゆっくり口を開く。


「……お兄ちゃん? ……美冬が望んだ事だから気にしないでね? ……えへへ、無理かな……ごめんね、お兄ちゃん……」


 僅かに涙を浮かべる美冬、そんな美冬の表情を見た俺は――。


「……いや、謝らなくて良いぞ?」

「え……?」

「き、キスしたからって……兄妹仲が悪くなる訳じゃないからな。 ……ただ、本当に後悔しないよな?」

「……大丈夫だよ。 後悔しないし。 皆には悪いことしたかもしれないけど……ね? へへっ、でも黙ってるからバレないよね♪」


 普段通りの悪戯っぽい笑みを浮かべる美冬。

 そんな美冬の頭を撫でると、美冬は瞼を閉じて気持ち良さそうにする。


「……そういや、美冬の用事って結局何だったんだ?」

「え? ……お兄ちゃんの鈍感。 ……今のがそうだよ」

「うっ? ……って、お前、最初からそのつもりで呼んだのか?」

「良いじゃん良いじゃん! ……美春ちゃん、義理の妹になるんだし少しはお兄ちゃんに私にも構って欲しかったし」


 軽く頬を膨らませる美冬に、苦笑を溢しつつ俺は――。


「時間がある時は構ってやるからそう膨れるなよ。 ……さて、用事が済んだなら俺は戻るぞ?」

「あ……う、うん」


 ベッドから立ち上がると、美冬もつられたように俺と一緒に立ち上がった。

 そのままドアまで向かうと、美冬も後ろから着いてきて――。


「あ、お兄ちゃん?」

「ん? どうした?」

「……ううん、呼んでみただけ♪」

「何じゃそりゃ? ……何てな、美冬」

「う、うん?」


 俺の呼び掛けに首を傾げる美冬に、また優しく頭を撫でると――。


「スキンシップならいつでも良いからな? ……き、キスに関しては……た、たまにぐらいなら良いぞ?」

「ふぇ? ……良いの、お兄ちゃん……?」

「あ、あぁ……。 って、お前は嫌じゃ――」

「ないよ? えへへ……なら、たまにしちゃおうかな♪ 何てね、お兄ちゃん。 また明日ね?」

「あぁ、また明日な」


 そう言ってドアを開けて部屋を出ると共に俺はその場でドアに背凭れ――。


「……あぁ、遂に妹にまで……俺の見境なし……」


 呪詛の言葉を吐きつつ、唇に触れる――まだ唇には妹としたキスの感触が――と。


『……主君は妹君とも接吻を交わすのだな』

『ぉぉぅ……返す言葉も無いよ』

『……むぅ、しゅ、主君の接吻を見せられている私の気持ちにもなってくれ……馬鹿者……』

『……ごめんなさい』


 一言そう謝る――というか謝るしか出来なかった。


『……仕方がない。 英雄色を好むと昔から言われているようだしな……』

『……英雄って柄じゃないがな、俺。 ちょっとISが使える高校生だ』

『……ふむ。 ……主君、このあと主君はもう休むのだろうか?』

『いや、美春に会いにいってシャルが制服の上着を持ってくるからまだまだだな』

『了解した』


 そう短く返事をすると声が聞こえなくなった。

 まだ頭の中がもやもやとした状態のまま俺は教職員の部屋のエリアへと向かった……。 
 

 
後書き
俺の脳味噌は腐ってる可能性ががが

やっちまったぜ(ぇ

まあ妹も当初から候補と言えば候補なのですが(-_- )

 
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