居場所を奪われし少年は異世界を目指す。
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第3話「出会いと再会」
リリンやヴァーリの所属する組織【禍の団】に入ることになった俺はヴァーリと共に魔法で禍の団の本拠地へとやってきた。
リリンがいないのは俺の母さんに事情を説明してくれるらしく俺の家へと向かってしまったからだ。
「へー、結構でかいんだな……」
「それなりの人数がいるからね」
本拠地は西洋風の城を思わせる建物で規模もかなりのものだ。
ただ気になるのが建物の周りが濃い霧で包まれていることなんだが……
「なあヴァーリ、なんでこんな霧深いんだ?」
「ん?ああ、これね。この霧は……」
「おや?ヴァーリじゃないか?隣の彼は新しい仲間かい?」
ヴァーリが霧のことを教えてくれようとしたのだが前の方から歩いてきた中国の漢服を着た黒の短髪の同い年くらいの男の登場で止まってしまう。
む……せっかくヴァーリが説明しようとしてくれたのに邪魔しやがって。
「一誠君、紹介するね?彼女は曹操といって三国志の魏の長曹操の子孫で禍の団の神器持ちのリーダーをしているの。曹操、彼は兵藤一誠君といって貴女の言うとおり私達の新しい仲間よ」
三国志の曹操の子孫?!
そんな奴までいんのかよ……
しかも神器持ちのリーダーってことは曹操って奴も神器を持ってるってことか?
ん?今ヴァーリはこいつのこと「彼女」って言わなかったか?
「な、なあヴァーリ……曹操って女なのか?」
「ふふ……よく間違われるが私はれっきとした女だよ。なんなら後で裸にでもなって証明してあげようかい?」
「「な?!」」
そ、曹操の奴なに言ってんだよ!
は、裸になってなんて……
そりゃあ俺だってそういうことに興味ないとは言わないけどさ?
「曹操!!なに言ってるのよ!一誠君もなに顔赤くしてるの!?」
「うっ……わ、悪い」
「ごめんごめん、今のは私が悪かったね。ごめんよ?」
ヴァーリに注意され曹操が俺へと飄々とした態度で謝ってくる。
曹操ってもしかして悪戯好きなのか?
今後もこういう風にからかわれ続けるのは嫌だぞ俺……
「でもちょうど良かったわ。曹操、一誠君の神器を目覚めさせたいから協力してくれない?」
「私でいいならよろこんで」
神器を目覚めさせる?
そういえばそこら辺は何にも聞いてなかったな……
どうせならさっきリリンに色々教えてもらった時に聞いておけばよかったと後悔しながら俺はヴァーリと曹操に着いていき広い空間へと辿り着いた。
「ここはいくつかある訓練場の1つで私なんかはよくここで訓練してるの」
「へぇ~……」
「ありゃ?ヴァーリちゃんに曹操ちゃんじゃん。2人も訓練?」
俺達が入ってきたのに気付いたのか剣を振るっていた白髪でポニーテールのとある部分が凄く大きい俺達と同じくらいの少女がこっちへと近づいてくる。
あれ?あの娘なんか見たことあるような……
「そういう君は訓練をしてたのだろ?フリード」
って、フリード!?
「え?もしかしていっちゃん?」
「フリー……なのか?」
「?!いっちゃん!」
おお!?
マジで俺の幼馴染のフリードかよ!
いきなり抱きついてくるとか昔と全然変わってないな……
身体だけ無駄に育っちゃってさ。
「あれ?2人って知り合いだったの?」
「うん♪ボクといっちゃんは幼馴染って奴!」
「ハハハ……そういうことなんだ。それにしてもひさしぶりだな?10年ぶりくらいになるんじゃないか?」
フリーが引っ越してしまって別れたのが俺がまだ5歳か6歳の頃だしそれくらいだと思うんだが……
「正確には5年と10ヵ月と8時間23分14秒ぶりだよ!」
「いや、そこまで細かく覚えてないから」
秒数までってどんだけ細かいんだよ。
ヴァーリと曹操も呆れ顔だぜ?
「むぅ……いっちゃんあんまり嬉しくなさそう。ボクはいっちゃんと再会出来てこんなに嬉しいのに……」
「嬉しいには嬉しんだぜ?」
ただどちらかといえば戸惑いの方が大きいっていうか……
数年ぶりに再会した幼馴染がもの凄い美少女に成長してたら誰でも戸惑うと思うんだ俺。
「ところで……いっちゃんがここにいるってことはいっちゃんが仲間になるってこと?」
「うん。私とリリンで勧誘してきたの」
「そっか。それじゃあまたいっちゃんと一緒にいられるんだね?ボク嬉しいなぁ……」
「ああ、ところで俺の神器を目覚めさせるんじゃなかったけ?」
なんかこのままだと最初の目的が忘れ去られそうだったから話を切り出してみたんだが……
おい、そこの2人はなに「忘れてた」って顔してんだよ。
特にヴァーリは最初に言い始めた本人だろ?
「そういうことならボクも手伝うよ!」
というわけで1名追加し俺、ヴァーリ、曹操、フリーの4人で俺の神器(ちなみにフリーと曹操も神器を持っているらしい)を目覚めさせることになった。
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