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居場所を奪われし少年は異世界を目指す。

作者:ATEMU!
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番外編①「第四次聖杯戦争~Fate/Zero編~」
  第1話「召喚そして救済」

 
前書き
息抜きを兼ねて本編と同時進行で番外編を投稿

【この先を読むにあたっての注意事項】
1.本編の未来軸に当たる話なのでネタバレが嫌なら見ないことをお勧めします。
2.私の原作知識が二次創作でしかないのでオリジナル展開ばかりになると思います。

最後に、この番外編でのみ「〇〇side」を使わせていただきます。 

 
冬木市にある間桐邸の地下では1つの儀式が行われていた。
その儀式とは聖杯戦争に必要な英霊の召喚
正史であれば儀式を行っている人物(間桐雁夜)によって召喚されるのは狂戦士のサーヴァントであった。
しかし、正史とは違い雁夜はたった1つの願いを込めて召喚の儀式を行っていた。
それは小さくも大きな願い。

「間桐臓硯の手から間桐桜を救って欲しい」

「その為であれば自身の命を差し出してもいい」

ただ1人の幼い少女を救って欲しいという人によっては小さくも大きくも見える願い。
もちろん、どれらけ強い願いでも雁夜1人の願いで召喚される英霊に影響を及ぼすことは無い

しかしである。

世界とは不思議なものでこの時、雁夜以外にも世界中で様々な人間が様々な願いを抱いていた。
それもその全てが「善」に分類される願い
そしてこの日の天気は快晴で夜空には満点の星空が展開されていた。

「数多なる願いが集い満点の星空に輝く星となる」

ふと頭に浮かんできたこの言葉を召喚の呪文の最後に雁夜は唱える。
すると、召喚が成功したのか眩い光が発生し収まるとそこには1人の10代後半くらいの姿をしたどこかの学生服を着た青年が現れる。

「あんたが俺のマスターか?」



間桐雁夜Side


こいつはどんなサーヴァントなんだ?

俺が最初に頭に浮かんだのはそれだった。
召喚の呪文の最後に頭に浮かんだ言葉の影響なのか現代風のサーヴァントが召喚されてしまった。
ステータスを見る限りでは狂化ランクが限りなく低いEということもありバーサーカーでは無いとは思うし全体的なステータスもそれ程高くは無いから三騎士のクラスでも……ん?
はあ?!神格?!
まさか俺は神霊を呼んでしまったのか?!

「なあ、あんたとそっちの気持ち悪いののどっちが俺のマスターなんだ?」

「わ、悪い、お前のマスターは俺だ」

つい驚いてしまいこのサーヴァントの言葉を無視していたのか相手は少々不機嫌な表情に変わってしまっていた。
危ない、危ない。
こいつは神霊かどうかはともかく神格を持つ程の英霊なんだ。
もしも聖杯が俺の願いの為にこいつを呼んでくれたのなら友好的な関係を築いて俺の願いの為に動いてもらわなくてはならない。
その為にも機嫌を損なう訳にはいかないからな。

「そうか、俺はシグナーだ」

シグナー?
聞いたことのないクラスだ。
やはりこいつはイレギュラーサーヴァントなのだろうな。

聞いたことのないクラスで神格を持つイレギュラーサーヴァント

俺もとんでもない奴を召喚してしまったのではないかと思うな。

「ではシグナーとやら。さっそく動いてもらおうか?」

っく!
せっかく苦しんでまで呼び出したサーヴァントすらもお前は奪っていくというのか!間桐臓硯!

「断る。あんたは俺のマスターじゃない。俺が指示を受けるのはマスターからのみだ」

「シグナー……」

これは想定外だ。
このサーヴァントは意外と忠誠心が高いらしい。
見た目的にそういうのはあまり無いタイプかと思えば違うようだ。

「ならば雁夜よ。シグナーに命令をしろ」

「シグナー」

悪いな臓硯。
俺がこいつを呼び出したのは目的があるからであってお前の為じゃないんだ。
だからこそ俺は……

「お前に対する最初の命令は2つ。1つはその間桐臓硯により捕らわれている少女間桐桜の救済。2つめは間桐臓硯の殺害だ」

「な?!貴様!」

「っふ……了解だ。マスター。ところでマスター、こいつを殺すのは炎による焼殺、重力による圧殺、風の刃による斬殺、水による溺死、生命力の操作による強制的な死のどれがいい?」

「待てシグナー、そいつを殺すのは桜ちゃんを助けてからだ」

「桜ちゃんってのは上で蟲に囲まれている女の子であってるか?」

ほぉ……まさかこの短期間で桜ちゃんの状態を知ることが出来るとは……
どんな方法を使ったのか気になるが今は桜ちゃんを助ける方が先だ。

「そうだ。ここからでもいけるか?」

「おい、魔術に特化したキャスターでもないのにそんなことが出来るはずなかろう。それにこちらは不老不死なのだ。大人しくこちらの言うことを……ガッツ!?」

「うるさい、黙ってろ。マスター、可能だからさっそくやるからな?」

「お、おお……」

シグナーが背中に白銀の翼を生やしたかと思うと急に臓硯が何かに押しつぶされるような感じで地に伏してしまう。
あれがシグナーの宝具なのか?

「ライフストリーム」

今度は金色の槍か……
シグナーの出した槍から槍本体の色と同じ粒子が天井をすり抜け桜ちゃんのいる上へと昇っていく。
あれはいったい……

「これで桜ちゃんは大丈夫だ。蟲の生命力は全て奪い、その全てを桜ちゃんに与えた。多少の副作用はあるかもしれないが命に別状は無い筈だ」

「き、貴様ー!」

「おっと、そういえば次はあんたの殺害だったな。エンシェント、ブラックローズ」

臓硯がシグナーの宝具の影響からどうにか抜け出したと思うとそのまま無数の蟲となってシグナーを襲う。
おそらくは怒りで我を忘れているのだろう。
聖杯戦争の根本的な部分である「英霊には英霊でしか勝てない」を忘れているとかしか思えん。
実際にシグナーは金色の槍と白銀の翼を一度消して今度は新たに水色の宝石が先端に付いた杖と赤い棘付きの銃剣を両手に出現させた。
すると結界が俺を囲うように現れ銃剣からは無数の棘が無差別に放たれ部屋中の全て(結界に守られている俺と原因であるシグナーを除いて)に襲い掛かる。

「ブラックローズの特殊能力ブラックローズガイルは周囲を無差別に破壊し尽くす」

その言葉通りに部屋中を覆っていた棘が消えた時には臓硯の蟲は全ていなくなっていた。
こいつは……まさかこうも簡単に俺の願いを叶えてくれるなんてな。

「シグナー、ありがとう。俺の願いを叶えてくれて」

「おいおい。俺はマスターの命令に従っただけでこんなのサーヴァントとしては当然だろう?」

俺の心からの礼にシグナーは照れた感じで頭を掻いている。
すると、何かを思い出したのかシグナーが俺の方を向いて……

「そういえば、マスターの名前を聞いてなかったな。俺は今回の聖杯戦争にイレギュラークラス「シグナー」として召喚された並行世界の英霊で真名は「兵藤一誠」」

まさか並行世界の英霊だったとはな。
それも名前からして日本の英霊か……

「俺は間桐雁夜、普段はフリーのジャーナリストをしている。今回は目的を持ってお前を召喚した」

こうして俺達の聖杯戦争が始まった。



俺の目的はすでに達成してるんだがな。  
 

 
後書き
一誠が神格を持っている理由はいずれ作中で語る予定 
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