IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
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【第442話】
前書き
原作戻りの短め
次の日、本当なら今日は休みなのだが、雑誌【インフィニット・ストライプス】の取材がある為現在移動中――。
「おーい」
そんな呑気な声で、先々歩くポニーテールの少女に追い付こうと足を速めるのは一夏だ、ポニーテールの少女は篠ノ之箒。
二人して早歩きの為、此方も早歩きで追い掛ける。
「……篠ノ之さん、少しは歩幅を抑えてくれないかなぁ」
「幾ら秋でも、これだけ早歩きすると少し汗かいちゃうよ……」
俺の後ろに続く二人の声――幼なじみの未来と、妹の美冬だ。
未来の服装は赤のチェック柄のミニスカートに黒のブラウス、他は黒のベレー帽を可愛らしくちょこんっと被っていた。
美冬もフリルのついた白のミニスカートで、ニーハイの為か絶対領域が眩しい。
上着はスカートと同じく、フリルのついたブラウスで首もとにワンポイントで小さなリボンの様なネクタイが付いている。
――と、いつまでも早歩きを止めない一夏が箒に対して――。
「待てってば、箒!」
一夏のその言葉に、勢いそのまま振り向く篠ノ之、やり取りがやり取りだけに周囲からは好奇な目で見られていた。
「うるさいぞ一夏! 名前で呼ぶな! 私は一人で行きたいんだ!」
顔を真っ赤にしてそう告げる篠ノ之、勿論一人でも行くことは可能だろうがそうなると受付の説明等を全て自分で言わなきゃいけない事になる。
今日の予定など、篠ノ之が上手く伝えられるかどうか――微妙だろう。
――と、軽く一夏は息を吐きながら呟く、俺と未来、美冬もやっと二人に追い付いた。
「何でだよ……。 今日の取材、俺やヒルト、未来に美冬と皆で受けるんだから一緒に行った方がいいだろ。 それにお前――だけじゃねぇけど、皆迷子になるかもしれないし」
さらっと自分以外迷子になる様な発言、一応下調べに地図アプリや周辺の駅など各自で調べてきてるんだが。
「ば、ば、馬鹿にするな! 迷子になどなるものか!」
「そうだよ、今回は篠ノ之さんに同意。 私もみぃちゃんもちゃんと雑誌編集部のある貸ビルの住所、調べてるんだからね?」
「うん。 ……てか、織斑くん私達の事子供扱いし過ぎ。 織斑くんこそ迷子にならないでよ?」
「……ひでぇ」
未来の言葉にガックリ肩を落とす一夏だが、先に子供扱いしたのは一夏である以上、俺は擁護する気もなかった。
とりあえず歩くのを再開すると一夏が――。
「箒」
「な、名前で呼ぶな馬鹿! ……な、なんだ!」
とりあえず先行する形で歩いていた俺だったが、また足を止めて二人を見る――行き交う人々も、一夏や篠ノ之が気になったのかチラチラと横目で見ながら歩いていった。
「その服いいな。 いつ買ったんだ?」
足を止めるから重要な事かと思うとそうではなく、篠ノ之の私服が気になって訊いた様だ。
一夏の問いに面食らう篠ノ之だが、僅かに視線を逸らして一夏に答えた。
「あ、いや……これは、その……この前、友達と買い物に行った時に……」
友達――あの取り巻き連中の事だろうか?
まあ彼女達も本気で専用機手にいれたいからこその、篠ノ之のコーディネートをしたのだろう――因みにだが黒のミニスカートに白のブラウス。
アウターには薄手の秋物――色は明るい蒲公英のパーカーコートだ、似合うかどうかはわからない――というか、興味がない。
興味がないのは由々しき事かもしれないが、生憎と篠ノ之に対して恋愛感情が持てないのが事実、おっぱいがでかく、容姿も整ってはいるが性格が破綻し過ぎてるのが原因だ。
後は暴力もマイナス点、これが幼なじみだと思うと俺は多分胃痛に悩まされるだろう――そう思いながら未来を見ると、軽く首を傾げながら見つめ返してきた。
美冬の刺さる様なジト目が気になる――が、それよりも二人のやり取りが終わらないのが気になった俺は――。
「二人とも、往来の邪魔だから早く行くぞ。 取材の時間まではまだ少しあるが、到着は早い方が確実だしな」
言ってから腕時計で時間を確認、予定された時間までまだまだあるが、地下鉄での移動からそこまでの徒歩を考えても早く到着するに越した事はない。
そう思って言ったのだが、篠ノ之は――。
「う、うるさいぞ有坂! ……せ、せっかく一夏に褒められていたのに、貴様のせいで台無しではないか! ふんっ!」
言ってから鼻息荒く、すたすたと先に歩き出す篠ノ之――。
「……相変わらずお兄ちゃんの事が嫌いみたいだね、篠ノ之さん。 ……ストレス、溜まってない?」
「……まあ溜まってるが……。 とはいえ、往来の真ん中で話をしても邪魔になるのは事実だし、誰かが言わなきゃいけないからな」
「……そっか。 ……ふふっ、後で美冬からお兄ちゃんになでなでしてあげるね?」
なでなでって、美冬は美冬で俺を――まあ俺も頭を撫でてるから言えないがな、これが。
とりあえず歩くのが再開され、暫く歩くと一夏がコーヒーショップを指差した。
「それにしても今日はちょっと寒いな。 皆、あそこのコーヒーショップで何か買うか?」
そう指差すのだが生憎と俺はコーヒーが苦手だ、首を横に振って否定する俺――と、篠ノ之が一夏に。
「こ、コーヒーはいい。 そ、その、だな……もごもご」
何か言いにくそうにする篠ノ之、一夏は首を傾げて篠ノ之が言葉を口にするのを待っていた。
「い、いい、一夏。 さ、ささ、寒いのなら、て、手を、手を繋げばいい!」
勢い強く、そう言葉を口にする篠ノ之だったが手を差し出した時点でうつ向いていた。
そんな篠ノ之に、一夏は特に気にもせず、まるで名案と言わんばかりに篠ノ之に同意した。
「ああ、それはいいな。 んじゃ、そうしよう」
言ってから躊躇なく篠ノ之の手を握る一夏――対して、篠ノ之は有り得ないぐらい顔を真っ赤に染め上げた。
コーヒーショップへは寄らず、その足で地下鉄の改札口へと向かう二人――篠ノ之は狼狽しながら、手を引かれるまま一夏に連れられて改札口を抜けていった。
「……人前で手を握って出掛けるとか、良く出来るよな……。 俺は恥ずかしくて無理だ」
「そう? 美冬はお兄ちゃんなら恥ずかしくないよ、ほらっ」
言ってから左手を握る美冬、暖かい手が冷えた俺の手を暖めていく。
「アハッ、お兄ちゃんの手、つめたーい♪」
「わっ、本当? ……えぃっ」
未来も空いた右手を握る――その冷たさにびっくりした表情を見せたが、直ぐにいつもの笑顔になると未来は口を開いた。
「私の体温、分けてあげるね? こうすればぽかぽかしてくるでしょ?」
両手で包むように握る未来――徐々にだが手が暖かくなっていくのを感じた。
「美冬も分けてあげるっ。 ――てか、よくよく考えると早く地下鉄に乗らないとあの二人に置いてかれちゃうね」
その指摘を受け、俺と未来は小さく声をあげた。
あまり待たせたらまた怒る可能性もあるため、俺と美冬、未来は慌てて地下鉄の改札口へと向かっていった。
後書き
とりあえず次回が取材?
まあ原作ページ見ればこの辺りだなってのはわかりますし
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