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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》

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【第533話】

 
前書き
ワルパ美冬編 

 
 私の名前は有坂美冬――。

『ワールド・パージ、侵入開始』

 私の名前は有坂美冬――有坂ヒルトの双子の妹でIS学園一年一組――。

『ワールド・パージ、強制介入開始』


 ――わ、たしの名前は……有坂、美冬……わた、し……わたし――。


『ワールド・パージ、強制書換開始――』

 ――私の名前は織斑美冬、一番上のお姉ちゃん、織斑千冬が留守の間、家の家事全部を担当しているの、今日も寝坊助なお兄ちゃんを起こすのが私の日課。

 階段をかけ上がる音と荒い呼吸、上りきり、部屋のドアを開けると寝坊助のお兄ちゃんを叩き起こす。


「お兄ちゃん! いつまでもお寝坊さんはダメなんだよ!!」


 朝からフライパンを激しく打ち鳴らす私に、気だるげに起き上がる銀髪の――あれ?


『ワールド・パージ、書換中――』


 ――黒髪の爽やかなイケメンである一夏お兄ちゃんが爽やかに目を覚ました。


「おはよう、美冬。 朝からフライパンで起こすなんて」

「てへへ……いつもならみぃちゃ――」


『ワールド・パージ、再書換開始……』


 ズキッと頭が痛む――だけどそれは時折起きるただの偏頭痛。

 でも何故だろう……美冬、いつもと違って違和感をいっぱい感じる。


『ワールド・パージ、書換中……書換中……』

「うぅ……な、に……これ……」


 美冬のお兄ちゃんは一夏お兄ちゃん――の筈なのに、記憶の奥底に見える銀髪の男の子――表情に靄が掛かっているのに――そっちがお兄ちゃん……?

 わからない……わからない……。


 目映い閃光が収まり、空中から地上に降り立つ。

 周囲は俺の知る街並みで、陽の様子から見るに朝方だと思った。

 美冬の世界なら多分、自宅の筈……。

 全速力で駆ける俺、胸に過る不安は晴れる事がなく、嫌な予感しかしなかった。


「美冬、大丈夫か?」

「ぅ……お、にい……」


 虚ろな瞳で見上げる私に、優しく声をかけてくれる一夏お兄ちゃん――次の瞬間、美冬はお兄ちゃんにお姫様抱っこされていた。


「……!? や、止めてよ、織斑君!!」


 無意識な拒絶反応と共に思わず出た【織斑君】という言葉に、私は目を見開く。


「暴れるなよ美冬、暴れたら危ないだろ。 全く……こうすれば落ち着くかな」


 そう言って徐々に顔を近付けてくる織斑一夏に、私は恐怖を覚えて暴れ始めた。


「止めてよ! た、助けてお兄ちゃん……!!」

「何言ってるんだよ美冬は、俺がお兄ちゃんだろ?」

「ち、違うもん! 美冬のお兄ちゃんは――私が愛してるお兄ちゃんは【有坂ヒルト】だもん!!」


 泣き叫ぶ私、織斑一夏の唇が重なる前に聞こえてきた言葉。


「……美冬に無断で手を出す馬鹿は、俺が倒してやる……!!」


 その言葉と共に情け容赦なく拳が顔面にめり込む、勢いよく吹き飛ばされ、私は床に激しく尻餅をついた。


「美冬、危なかったな。 痛むか?」

「お、にいちゃん……。 ううん、大丈夫だよ」


 何で一時とはいえ忘れていたんだろう――昔から大好きだった兄の顔を、小さい頃から美冬に向けてくれる優しい笑顔を今向けてくれて、きゅんっと胸が高鳴る。

 頭に掛かっていた靄が一気に晴れ、偽物の記憶は全て本物に入れ替わる――そんな奇妙な感覚。

 吹き飛ばされた織斑一夏を見ると、目の色が明らかに異形の色へと変わっていて、小さな悲鳴が美冬から漏れた――だが。


「美冬、大丈夫だ。 ……俺が居るからな」

「……ぅん」


 お兄ちゃんの言葉に、美冬はいつも安心させられる。

 世間では美冬の方が凄い等といわれているが、美冬から見ればお兄ちゃんの方が圧倒的に凄く感じる、贔屓目とかじゃなく純粋に……。

 立ち上がった偽者の織斑君がお兄ちゃんに襲い掛かる。


「ミフユハオレノイモウトダ!」

「ちっ! 何が妹だよ!! ならお前はどれだけ知ってるっていうんだ!」

「ミフユハシタギヲセンタクキニイレッパナシ――」

「馬鹿か! うちはちゃんと男性用と女性用で分けてるんだよ!! やっぱり偽者じゃねえか!!」


 そんな恥ずかしいやり取りに耳まで赤くなる私、殴り合いが続き、美冬の内心はハラハラしていた。

 お兄ちゃんの喧嘩する姿を見たのが初めてだったからだ、確かに喧嘩自体はあれど、美冬の前ではこれまで一度もなかった。

 心の中で私は願う、お兄ちゃん、負けないでと。


「オレハニセモノジャナイ、ニセモノハオマエダ」

「馬鹿野郎! 偽者も何も、美冬の兄は俺しか居ないんだよ!! 今も昔も、そして――これからもだ!!」


 お兄ちゃんの言葉一つ一つが美冬をドキドキさせる――兄と結ばれるのは禁忌だとしても、もう美冬は迷わない。


「お兄ちゃん! 偽者織斑君何か、倒しちゃって!!」


 自然と声高く応援する、それに応える様にお兄ちゃんは怒涛の攻撃を繰り出した。

 最後の一撃が偽者の腹にめり込む――身体は粒子となって四散していき、残されたのは美冬とお兄ちゃんの二人だけだった。


「遅くなってすまなかったな、美冬」

「……ううん。 大丈夫だよ、美冬はお兄ちゃんがいくら遅れても待ってるもん」


 小さく舌を出し、私はギュッとお兄ちゃんに抱き着く。


「……どうした、美冬?」

「えへへ、二人きりだから……甘えたくなったの」

「……そっか」


 小さくそう返事を返したお兄ちゃんは、私の頭を優しく撫でる。

 その心地好さに瞼を閉じ、ギュッと背中に回す腕の力を強くした。

 お兄ちゃんもそれに応える様に力強く抱き締めてくる――それだけでも美冬は嬉しくなっちゃう。

 ……でも――やっぱり。


「お兄ちゃん……キス、しよ?」

「ぅ……わ、わかった」


 助けてくれたお兄ちゃんへのお礼――勿論、何度お兄ちゃんとキスしても美冬は飽きないし、お兄ちゃんの事がより好きになっちゃう。

 いつか彼氏が出来る――そう思っていた時期もあったけど、今はお兄ちゃんさえ居ればいい――。

 ゆっくりと唇を重ねる私とお兄ちゃん、それだけで心臓の鼓動が高鳴り、舌を絡ませると頭がぽーっとしてくる。

 拙い私の舌に応える様にお兄ちゃんは激しく絡ませてきた――。

 唇が離れるその時、まだ物足りなかった私は軽く触れる様な口づけを交わし、お兄ちゃんを見つめると顔を赤くしながら視線を外していた。

 そんなお兄ちゃんの仕草に可愛いなと思っていると――。


「美冬、あんまり悠長にここで過ごしてる場合じゃなかった。 ……戻ろう」

「う、うん」


 顔は赤いまま、真剣な表情のお兄ちゃんに小さく頷く私。


「……その前に、美冬、どこか悪いところはないか?」

「だ、大丈夫だよ? 何でかわからないけど……さっきまでは美冬、織斑美冬だって思い込まされてたけど今はちゃんと有坂美冬だって記憶もあるし、ヒルトお兄ちゃんがお兄ちゃんって認識も出来てるもん。 ……お兄ちゃん、美冬を助けに来てくれてありがとうね?」

「当たり前だろ、妹――だからって訳じゃないが、美冬が大事だからな」

「……えへへ、お兄ちゃんに大事って言われたら、キュンキュンしちゃうよ……」


 高鳴る鼓動が抑えきれない私、だけど――二人の時間に終わりを告げるかの様に空間に亀裂が入り始める。

 不安になった私は咄嗟にお兄ちゃんの腕に抱きつき、成り行きを見守っていると目映い閃光が私達の視界を奪っていった。

 そして、次に気付いた時は私達二人は最初に訪れたドアのある空間に居た、目の前には既にみぃちゃんと美春以外の全員が居て、隣に居たお兄ちゃんの表情がさっきとは違って更に険しい表情になっていた。


『ヒルト、急いで! 未来に対する攻撃が強まってる!』

「ッ……! このまま未来の救出に行く!」


 表情に余裕のないお兄ちゃん――事態を理解するには情報が足りないものの、みぃちゃんが不味い状況だというのには直ぐに気付いた。

 離れていくお兄ちゃん――急に訪れる不安、だけど美冬は無理やり笑顔を作ってお兄ちゃんを見送る。


「お兄ちゃん! みぃちゃん……無事に助けてあげてね?」

「……当たり前だろ、他の皆も無事なんだ。 未来だけ無事じゃないなんて、俺が許さないからな」


 そう言い、ドアを開けるとお兄ちゃんは閃光に包まれ、開けたドアが粒子となって消えていった。


「お兄ちゃん……無事に帰ってきてね」 
 

 
後書き
ヤル気無くしてるからちょい短めにした

感想やメッセージは基本読んでるんで

んで、再度言うけど似合う似合わない関係なしに、必要のある話なら取り入れるし、いらなかったら入れない、ぶれずに書けと言われたらこう答える。

「無理です」

商業してるならいざ知らず、未だに趣味の領域で書いてるから全員の要望は聞けないってのは理解してね

後は、18禁内容遅い少ないに関しても、書く書かないは俺の判断っす、それでも言うならぶっちゃけ同人誌読むorよその18禁話を読んでくれって事で

探せば無数に出るだろうしね 
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