IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
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【第432話】
四組の教室前へと辿り着くと、昼休みなのに未だに四組の子は多数教室内に居た――と、俺に気づいた女子一団が声を掛けてきた。
「あ、有坂くんだ。 もしかして織斑くんも近くに居るのかなー」
「え、うそうそ! 織斑くん何処!?」
言ってから廊下を見渡す女子だが、一夏が居ないとがっくりと肩を下ろす。
「悪いな、てか俺が居る=一夏も居るって事は無いからな」
「それもそうだよね、織斑くん篠ノ之さんがほぼ独占しちゃってるし」
俺の言葉に肯定しながらそう呟く女子だが、そんな話をしに来た訳ではないので早速訊いてみる。
何しろ四組の教室内は昼休みなのにほぼ全ての四組生徒がそこにいてわからないからだ。
髪が水色だから一発でわかると思ったが、もしかすると何処か一人になれる所で食事をしてるかもしれない――まあ当てにならない直感だが。
「んとさ、更識さん今教室に居るか?」
そう俺が訊くと、一様に互いに顔を見合せ、驚きの表情をあげた。
「更識さんって……『あの』?」
あの更識さんと言われても、俺が知ってる彼女はいつも自身の機体、打鉄・弐式を一人で組み上げていた彼女しかわからず、疑問符しか浮かばなかった。
――と、訊いた女子の指した指の先、女子の壁が開いた向こう側の一番後ろの窓側の席に更識さんはいた。
購買部で購入したであろうパンは机の脇に無造作に避けられていて、空中投影ディスプレイを凝視しながら整備室で見た時と同様に手はキーボードを叩いていた。
まだ打鉄は完成してない――俺の脳裏にそう過る、夏の後半から約二ヶ月か三ヶ月、見る度に少しずつ完成に近付いていた様にも思えたが先日のキャノンボール・ファストには参加出来ず――完成度がどの辺りなのか気になる。
そんな事を考えていると、女子の一人が呟く。
「もしかして、有坂くんって今朝校内放送で説明があった専用機持ちのタッグマッチのパートナーに更識さんを選んだ……?」
「あぁ、そうだがそれがどうしたんだ?」
俺はさも当たり前の様にそう告げると、俺が来たのが気になって集まっていた女子がざわざわと騒ぎ始める。
「え……。 だってあの子、専用機持ってないじゃない。 それ知っててパートナーに選んだの?」
「それは七月から知ってるよ、何で更識さんの機体が完成してないかの事実もな」
またそれを訊いてざわざわと騒ぐ一同――というか、早くしないと昼休み無くなるんだが――そんな俺の思いとは裏腹に、女子は――。
「今までの行事、あの子全部休んでるでしょ?」
「うんうん。 それに、あの子が専用機持っているのって、お姉さんの更識楯無生徒会長の妹だからって噂も――」
その言葉を聞き、俺は口を開く。
「……楯無さんの妹だから、更識さんは専用機を得たって言いたいのか? ……悪いが、憶測で噂をたてるのはやめた方が良いぞ」
「なっ……!?」
俺の指摘に、顔が赤くなると目尻を釣り上げて俺を睨む女子。
「悪いが、睨んだからって怖いとは思わないぞ? ……それよりも、自分のクラス代表の陰口叩いてどうするんだよ、クラスの仲間で四組の長だろ?」
「そ、そぅだけど……」
俺の言葉にしどろもどろになる女子、だが別の女子が――。
「陰口だって叩きたくなるわよ! 大して苦労もせずに専用機よ!? 貴方も、篠ノ之箒も、……そして、あの子も……」
俺を含めて三人を差す彼女、言葉は徐々に消沈していき、最初だけ語気は荒かったが今は見る影もなかった。
「……そうだな、俺なんかIS初めて触れてそこから専用機だもんな。 お前らからすれば何も苦労もせずに専用機手にしたと思われても仕方ないさ。 ……でも、彼女――更識簪さんは違うと思うぞ? お前たち、あの子が一人で自身の専用機を組み立てる所、一回でも見たことあるのか?」
「…………っ」
俺の言葉に、誰も応える事は出来なかった――その事実が、クラスの女子がどれだけ彼女に関心が無かったのかを表している様に思える。
「……代表候補生になるのが並大抵の事じゃないのは、俺も美冬を見て知ってる。 ……彼女だって、誰も見てない所でいっぱい勉強して知識を吸収してやってきたんだろ? もしかしたら楯無さんの妹だからって部分も少しはあったかもしれないが、それだけなら今頃代表候補生降ろされて専用機も取り上げられてるんじゃないか、違うか? ……まあ、篠ノ之に関してだけは俺も擁護は出来ないがな、これが」
俺の言葉に、誰も返答はしない――教室内にはキーボードを叩く音だけが聞こえる、更識さんも流石に俺の存在に気づいたのか、一度チラッと視線を此方に移したが直ぐに戻した。
「……悪いな、色々偉そうに言って。 でもさ、自分のクラス代表の陰口は叩くなよ。 ……少なくとも、半年仲間をやってきたんだろ? 更識さんと仲がいい子が居るかはわからないが……それでもさ、彼女なりに苦労して打鉄を組み上げてるんだから。 俺の事は悪く言っても構わない、事実、俺はISの適性ランクも正直この学園に入学出来ないレベルだからな……。 ……悪い、そろそろ俺も彼女に話さないと昼休み無くなるんでな、そこ、通してもらえるか?」
「ぅ、ぅん……。 ……有坂くん……」
何かを言いたそうにする一同、文句ではなく、何か謝罪みたいな雰囲気を感じる――。
「……俺に言えることは、もし更識さん相手に悔しい、苦労もせずに専用機って思うなら代表候補生になって専用機を勝ち取ればいい。 ……まあ俺が偉そうに言える立場じゃないがな、ははっ」
苦笑を溢し、その場を後にしようとするが制服の裾を掴まれてしまった。
「……有坂くん、ありがとう……」
「……いや、悪かったな、俺も結局偉そうに語ってるし。 ……俺も、学校の皆に認めてもらう様にずっと努力するさ。 だから四組の皆も……まあ俺に言われても嬉しくないだろうが、頑張れよな」
そう言いながら俺は裾を掴む手を外し、更識さんの元へと向かうのだが、何故か四組女子が俺に注視して非常に気になる。
側にある椅子を勝手に借りると、更識さんの近くに座り、彼女を見た。
「こんにちわ、更識さん」
開口一番、先ずは挨拶をする――キーボードを叩く音が止まると、更識さんは顔を此方に向けた。
「こん、にちわ……有坂……くん」
まだぎこちないものの、ちゃんと挨拶を返してくれた更識さん――少しは、気を許してくれてるのだろうか――と。
「……さっき」
「え?」
「さっきは……あり、がとう。 ……それだけ」
まさかお礼を言われるとは思わず、呆気にとられていると更識さんは――。
「有坂くん……用件は?」
「あ、そうだった。 ……こほん、唐突だけど、今度の専用機タッグマッチ大会、俺と組んで出場しないか?」
本来の目的であるタッグマッチ大会のパートナー選び、それを告げるのだが流石に困惑してるのか眉根を下げている。
「私……と?」
再度確認するように訊いてくる更識さんに、頷くと――。
「……でも、有坂くんは……私以外にも、組みたい相手……いるでしょ……? ……有坂くんなら、組む相手には、困らない……筈だし」
その指摘通り、確かに俺は組む相手に困らないだろう、セシリア、鈴音、シャル、ラウラ、美冬、未来、美春と――だが、それだと更識さんが組む相手がランダムになりすぎる、下手すれば篠ノ之や一夏になる可能性もあれば、今不仲の姉、楯無さんとも可能性はあるのだ。
「……まあ実際組む相手には困らないな、さっきだって二組の鈴音に組まないかって言われたし」
正直にそう告げると、掛けた眼鏡のズレを直しながら更識さんは――。
「だったら、私じゃなくても――」
「いや、悪いが俺は君と組みたいんだ、もう俺はそのつもりで来てるし、誘われても断るつもりだ」
「…………っ」
俺の言葉に、僅かに頬を蒸気させる更識さん、視線が定まらず、うろうろと周囲に目が行くが、俺は彼女を真っ直ぐと見つめている。
「……少し、考えさせ、て……」
「あぁ、勿論だ。 ……じゃあ更識さん、いい返事を期待してるよ、これがな」
そう言って立ち上がる、結局持ってきたおにぎりの詰め合わせには手をつけず、話ばかりになってしまった。
「じゃあ更識さん、また」
「……うん」
そう言って僅かに手を振ると、更識さんはまたキーボードを叩き始めた――内容は打鉄のOSか何かだと思うが、やはり個人の力では限界もあるかもしれない。
勝手に借りた椅子を戻すと、俺は四組に居た全員の視線の砲火に曝されながら教室を後にする。
……もしかすると、俺は女尊男卑なのに偉そうな事を言い過ぎたのかもしれない、だから四組女子が俺に注視していたのかも。
そんな不安が過るなか、俺は一組教室へと戻っていった……。
後書き
原作と違う点は、一夏は女子の簪への悪口を自分の耳で訊きたくないから無理矢理中断させて簪の元へ、ヒルトは――見ての通りで
後は簪の応対だけど、これに関してはまあ二次ですからな
後は四組の応対、これに関しては――どうなるでしょうか( ´艸`)
モッピー知ってるよ。
一夏は私の婿って事。
_/⌒⌒ヽ_
/ヘ>―<ヘヽ
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