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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》

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【第426話】

 
前書き
お待たせなのだ 

 
 開幕速攻、俺はミョルニルの重い一撃を放つ、ハンマー内部に備わったブースター現れ、火を吹くと一気に加速し、真っ直ぐ黒夜叉へと叩き込むのだが、動きが単調なチェーンハンマー故か、容易く軌道を見切られて避けられる。

 鉄鎖術の応用で操りたくても、先端のハンマー部分の重さ故に全く言うことを聞かない。

 その間に親父は背後へと回り込むや、鋭い槍の一撃を叩き込み、シールドバリアーが崩壊――大きなダメージを受ける。


『主君、ハンマーでは捉えるのは難しい様だ、ここは刀か或いは対艦刀で戦うことをオススメする』

『――だな、先手必勝、当たれば儲け物って思ったが、親父相手にそれは難しそうだ』


 ミョルニルを捨てると四散、粒子がきらきらと輝きを放つ。

 右手に粒子を集束させると、対艦刀が形成され、そのリーチを生かした横への薙ぎ払いで親父を離す、これで槍の一撃を食らう心配は少し減っただろう。

 そう考え、直ぐ様対艦刀を構え、振り抜き、持っていた柄を手放すと横回転に大きく回りながら黒夜叉へと迫る――秋空の空気を切り裂き、迫るその一撃。

 両手を翳した親父は、そこからプラズマ粒子が急速に集まると共に、球状のプラズマ粒子弾が形成された。

 ある一定の大きさまで大きくなると、それを放ち、周囲にプラズマを走らせながら横回転する対艦刀【カリバーン】を撃ち落とす。

 バチバチと、プラズマが弾け跳び、四散したプラズマが周囲へと撒き散らせた。

 その一部が俺や親父に襲い掛かる、地上まではプラズマが届かないが俺や親父は近くに居る為、巻き込まれるとダメージを食らってしまう。

 それを大きく上昇して避けると同時に、北落師門を呼び出し、構えて接近戦を試みる。

 ――が、親父は接近戦で対応するのではなく、粒子ライフルを呼び出し、射撃で応射してくる。

 最初の狙いは正確で、簡単に回避も可能で左右に揺らせていたものの、合間合間の射撃が回避先を予測されてるのか、何度か直撃をもろに浴びてしまう。

 急激に減るシールドエネルギー、だが接近するのには成功し、そのまま斬りにかかる。

 戦いが始まって今さら思うが、前の襲撃でまともに身体が動かないかもと思っていたのだが、それは杞憂に終わりそうだった。

 北落師門の一撃を、親父はプラズマフィールドを発生させてその刃を受け止めると、右腕部からナイフの柄が飛び出し、その刃を息子とはいえ関係なく装甲に突き刺す。

 分子結合殻に覆われているものの、粒子刃には効果が無く、容易く装甲に傷がつく。

 バチバチとプラズマフィールドからプラズマが走り、北落師門の刃を遮る――押しても全くびくともせず、俺は一旦手放すと両手にギガント・マグナムを呼び出し、その一撃をゼロ距離から放つ――粒子撹乱膜を張る巨大な拳は、プラズマフィールドを容易く突破すると巨大な拳の一撃を受け、親父は大きく仰け反った。

 この好機を逃さないために、俺は意識を深く、沈んだ奥底で集中――すると、機体に閃光が放つと同時に単一仕様【桜花幻影】が発動した。

 ハイパーセンサーを撹乱する桜の花びら、だがこれはあくまでも【ハイパーセンサーに映し出される偽物の桜の花びら】で、ハイパーセンサーを使わない目視相手だと全く効果が無い。

 ――だが、ハイパーセンサーを切って戦うものが少ない現状なら、確実に有効な手立てであるはず――そう思い、親父の背後に回ると同時に北落師門を振り抜く。

 刀による一閃は、親父の黒夜叉、フライヤーユニットを捉えた――筈だったのだが、その一閃は避けられると強烈な蹴りによる一撃が、脇腹の装甲にクリーンヒット、体勢を崩した俺はきりもみしながら落下していく。

 ――親父に容易く弱点を見切られた衝撃――まるで、ガツンッと拳骨を受けた気分だった。

 ――多分、親父はキャノンボール襲撃時に俺の単一仕様を一度見ているのかもしれない、そうじゃなきゃ、初見で見破るのは難しい筈。

 体勢を整えると、破られたショックを受けている場合ではないと自身に渇を入れ、上空にいる親父を捉える――が、親父は既に次の行動に移していて、フライヤーユニットからミサイルの射出準備を終えてそれを放つ寸前だった。

 刹那、ミサイルの発射する耳をつんざく轟音が轟く、発射煙が軌跡を残し、真っ直ぐと俺に突き進むのが見えた。

 回避は間に合わない――そう思い、周囲に展開した四枚の大型シールドで前面をガード、ミサイルがシールドに当たると、その衝撃波と爆風でまたも吹き飛ばされた。

 更に前面に展開されたシールドの合間から、ミサイルの破片と爆炎でシールドエネルギーが減少、ミサイルの火薬の凄まじさと破片の量からか、予想以上の大ダメージを受けるも盾の外装は無傷で、シールドバリアーを突破したミサイル片も分子結合殻に覆われた装甲に傷一つつかせなかった。

 姿勢制御するため、各部スラスターを小さく噴かせつつ、俺は再度ギガント・マグナムを粒子形成させるや直ぐ様それを放った。

 加速する巨大な拳、だが更にそこに俺は【瞬時加速】も加えると、周囲に軽い衝撃波を発生させると共に巨大な拳は超加速、黒夜叉は回避が間に合わずにもろにギガント・マグナムの鉄槌を受けて吹き飛ばされた。

 好機――そう過ると、二射目、轟く轟音を周囲に響かせてのギガント・マグナム、その一撃は吹き飛ばされた黒夜叉に瞬時加速による加速で容赦無く突き進む。

 流石になすがままという訳にはいかない親父も、体勢を崩した状態ながらも粒子ライフルを呼び出すとギガント・マグナムに向かって発砲、粒子残光が空に軌跡を描きながらギガント・マグナムを迎撃するのだが、拳に当たる寸前で粒子ビームは四散し、キラキラとその周囲一帯に粒子片を散らせた。

 ギガント・マグナム内に備わる粒子撹乱膜機能、実質これの迎撃は実弾で行わないといけないのだが生半可なライフルでは迎撃すら叶わないだろう。

 防御体勢をとる黒夜叉、前面に腕を交差するクロスガード――二射目の一撃を受けた親父だが、流石に防御体勢に移行していた為に吹き飛ばされる事はなかった。

 ――が、俺も直ぐ様連続攻撃、ミョルニルを再度呼び出し、それを振るうと先のハンマー部分がドリルの様に高速回転し、突き進む。

 そして、ギガント・マグナムと同じ要領でミョルニルに備わったブースターで瞬時加速――その勢いは凄まじく、持っていた柄が俺の手から無理矢理離れて空気を切り裂きながら迫っていった。

 堪らず親父はプラズマフィールドを展開、前面に可視化されたプラズマの壁がミョルニルの進行を阻む。

 ミョルニルとプラズマフィールドが互いに干渉し合い、バチバチッと何度も紫電がその周囲の空間に走る。

 勢いの失わないミョルニルに対して、防ぐ黒夜叉のプラズマフィールド、だが……ミョルニルの勢いは無くなり、地表へと落下――親父の方も、プラズマフィールドを張りすぎたのか、腕部装甲がスライドすると一気に溜まった熱を放出、白い蒸気が黒夜叉周囲に立ち込める。

 ハイパーセンサーには何の障害にもならない蒸気だが、流石にあの熱さではシールドエネルギーを徐々に減少させるため、近付けない。

 絶対防御が生身を守るのだが、実際それが仇になって過酷な環境下での使用が可能なのかが疑われる――無論、リミット解放するとどうなるかはわからないのだが。

 ――と、黒夜叉に動きがあり、両手の指を絡ませて前へと突き出す。

 その瞬間、立ち込めた蒸気は一瞬で吹き飛び、腕部からはプラズマ粒子が螺旋を描き、まるでドリルの様に回転していた。

 前回の襲撃時に亡国機業のあの男に対して使った技だ――そう脳裏に過ると、俺は左右に機体を激しく揺らして狙いをつけさせないようにするのだが、親父はそれを何ら気にすること無く加速、確実に俺を捉えていた。

 既に距離が縮まっているため、ギガント・マグナムを形成させてから射出の迎撃だと間に合わないため、粒子形成だけさせたギガント・マグナムで迎え撃つ。

 そして――俺と親父の一撃がぶつかり合うと、小さな衝撃波を発生させた。

 その衝撃に機体は揺らぐ――ギガント・マグナムとプラズマ粒子のドリルは、互いから激しい火花と紫電を撒き散らす――だが、親父の出力の方が遥かに高く、ギガント・マグナムが弾かれるとそのままシールドバリアーに当たり激しく干渉、周囲に目映い光が何度もチカチカと輝かせ、そして――試合終了のブザーが鳴り響いた。

 シールドエネルギーがゼロになったのだ、絶対防御発動までしなかったのだが、シールドバリアーに常に干渉していたプラズマドリルの一撃が、何度も何度もシールドバリアーのエネルギーを消失させたのだろう。

 ある程度の善戦はしたかもしれないが、負けは負け、親父相手にいい勉強になったと思うしかないだろう。

 額から汗が流れ落ちる、それを拭いながら先に降りた親父の後を追い、俺も降りると同時に纏った打鉄を解除する。

 ――と、ちょうど五時限目終了のチャイムが鳴り響き、軽い小休止を挟んでからまた六時限目の授業が始まると山田先生の声が聞こえて、そこから一組二組のクラスメイトは休憩に入る――と、同時に親父に群がる女子生徒無数、模擬戦の凄さに魅せられたらしく、戦いかたのコツ等を訊いていた。

 親父も律儀に一人一人に対して、画用紙を使った筆談でそれに応対――と、篠ノ之の隣を通るとごちる言葉が風に乗って聞こえてきた。


「……紅椿に負ける要素は無い筈だ……ならば、何故私は負けたのだ……。 ……まだ私は弱いという事なのか……」


 真一文字に唇を結ぶ篠ノ之、俺の視線に気付くと顔を逸らし、踵を鳴らして一夏の元へと戻っていった。

 ……よくわからないな、アイツの考えは。

 そう思うと、俺は美冬達の元へと駆け足で戻っていった。 
 

 
後書き
次は飛んで部活派遣の話

 
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