IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
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【第425話】
前書き
ちょっとだけ文章本気だしてみた
模擬戦が開始され、ラウラは直ぐ様肩の大型レールカノンの照準を親父に合わせる、だが親父は直ぐ様上昇と共にフライヤーユニットに装備されたミサイル二基を発射、凄まじい轟音と噴煙、地面にビリビリと振動が伝わってきた。
流石にいきなり停止結界を使うわけにはいかなかったのか、後退しながらミサイル一基ずつ、大型レールカノンの射撃で撃ち落としていく。
空中で爆ぜたミサイルは、破片を周囲に撒き散らせ、爆風と共にラウラを襲う。
だが、そのダメージを受けたくなかったラウラは前面に停止結界を張り、防ぎきった。
ミサイルの爆風音に、小さく耳鳴りがするもそれは直ぐに治まる、揺れたグラウンドも一瞬の事でそれほど気にする事はなかった。
そして、ラウラの反撃と謂わんばかりに弾を装填、レールカノンの射撃を開始した。
「クッ……速い……!」
一人ごちるラウラの表情は真剣で、狙いを定めるも親父の黒夜叉の翻弄するほどの速度が、ラウラには捉えきれていなかった。
模擬戦でほとんど封印を解かない眼帯を取り、それをかなぐり捨てると金色の眼が姿を現す。
ヴォーダン・オージュ――その眼の封印が解放されたことにより、黒夜叉の速度に対応出来たのか、射撃ではなくワイヤーブレード全基射出、グンッ……と刃が空気を切り裂きながら突き進んだ。
先読みした結果なのか、一基は黒夜叉の回避先に回り、残り三基が襲撃をかけた――だが、親父は冷静な判断で先ず先回りした一基をナイフで切り払い、加速力を失わせ、身体を回転させながら両手に構えた二刀のナイフで残り三基を切り払う。
勢いを失ったワイヤーブレードは、だらんっとだらしなく垂れ下がっていた。
ラウラは急いでそれを回収、一気に巻き上げるのだがそれを追うように親父は加速、左手に握られたナイフを投擲、ワイヤーブレード同様に空気を切り裂く刃の音が妙にリアルに耳に届いた。
ワイヤーブレードの回収をしつつ、左手を翳して迫るナイフを停止結界で止める。
そして、交差する寸前にラウラは右手のプラズマ粒子を収束、プラズマブレードが形成されると親父と接近戦を繰り広げた。
停止結界で親父を拘束しようと試みるのだが、親父の黒夜叉の攻撃は苛烈極まり、左手のプラズマブレードも使って互いに二刀流による接近戦が繰り広げられる。
何度も切り結ぶ粒子の刃、小さく粒子光を発生させ粒子を四散、だが……リーチの長さゆえか、取り回しがキツくなってきたのか徐々に後手に回るラウラ。
表情はいつにもまして真剣だ――そして、僅かに見せた親父の隙を見つけると、そこだと謂わんばかりに右手プラズマブレードによる突きの一撃。
だが、その隙は親父が【わざと見せた】もので、突きのモーションで一時的に身体が硬直した隙をつくと、ワイヤーブレードを使えなくするために、射出口二つにナイフを突き刺すと、紫電を放出させて使えなくした――だが、まだ残り二基残っている。
突きのモーションから身体を捻り、二刀流による回転横薙ぎを試みるラウラだが、プラズマブレードの切っ先が僅かに親父の黒夜叉の装甲を掠めるだけに留まり、更なる隙を生んでいた。
「ッ!! しまっ――」
既に遅く、親父は残り二基のワイヤーブレード射出口にナイフを突き刺す。
紫電が走ると、ワイヤーブレード射出口はその機能を停止させた――武装破壊、篠ノ之や一夏戦では見せなかったが、仮に見せていたら篠ノ之の機体何かはボロボロにされていたかもしれない。
レールカノンの砲口を向けるラウラは、狙いを着けずにそのまま射撃、轟音が轟き、流石の親父も直撃を浴びるのだが機体には大した傷もつかず、体勢を崩せた訳でもなく、お返しと謂わんばかりフライヤーユニット上部、二門の粒子ガトリング砲がシュヴァルツェア・レーゲンを捉えた。
慌てて離れようとするラウラ――だが、回転砲身が回り出すと二門のガトリングから粒子圧縮された無数の光弾が放たれる。
堪らず腕で防御体勢を取りつつ、何とかその弾幕から逃れるものの、大幅にシールドエネルギーが削られたのは誰が見ても明白だった。
その場で火線を集中させる親父は、更に両手にライフルを呼び出す、それが火を吹くと、色とりどりの粒子弾がラウラを襲った。
足を止めて放つ親父に対して、ラウラもレールカノンで応射するも、砲弾は弾幕に阻まれて届かず、更に面制圧射撃の為、全弾回避という訳にはいかず、徐々に、徐々にエネルギーが削られていった。
だが、そんな親父の攻撃も急に止む――粒子ガトリング砲が過熱し、小さく白煙を上げていた――暫くは使えないだろう。
ラウラもそう思ったのか、レールカノンに弾を装填し、射撃をしながら瞬時加速で一気に肉薄。
砲弾は親父にその場に留める為の牽制射撃で、黒夜叉の左右を抜けていく――が、親父もそれをわかってか微動だにせず、粒子ライフルかなぐり捨てそれが粒子四散、腕部装甲から新たなナイフの柄が飛び出すとそれを握り、刃が形成されて蒼く発光する。
ラウラも、右手プラズマブレードを収束させると、そのまま互いにさっきと同様の接近戦が開始された。
だが、少し違うのはラウラがリーチを生かした戦い方をして、親父の手数による押しの攻撃をさせない様に、自分のペースに持ち込もうとしているのがわかった。
ラウラの口元に、僅かな微笑が溢れる――勝てるからではなく、親父と手合わせ出来るのが嬉しいからかもしれない、あくまでも俺の勝手な考えだが。
ラウラの攻撃の激しさが増す一方、親父はちょっとずつだが防戦に押しやられている――わざとなのか、はたまた本当に押しやられてるのか。
それはそうと、さっきまで見せていた戦いとは違い、凄まじい応酬に、一組二組の生徒の大半は声も出さずにディスプレイと空で戦う二人を交互に見ていた。
山田先生も、その様子を眺めているのだが何だか若干興奮してる様に見える、織斑先生に関してはいつも通り腕組みしながら見ている――。
また俺は視線をディスプレイに戻すと、ラウラの袈裟斬りをバックステップで避けると同時にナイフを投擲、ラウラは左手プラズマブレードを収束させてそれを切り払うのだが、小さな閃光が放たれるとナイフは紫電を放出し、爆発、黒煙が立ち込めるがそこから抜け出すと更に追撃を行うべく距離を詰めた――だが、待っていた親父の手には槍が握られていて、そのリーチを生かした突きによる一撃がシールドバリアーを掠めると、バリアーが決壊した。
「こ、これは――バリアー無効化攻撃……!?」
堪らずラウラは接近戦を止めるのだが、親父がそれを許さず無数の突きによる攻撃がシールドバリアーを崩壊させていく――そして、止めと謂わんばかりの薙ぎ払い、空気を切り裂く刃の音が轟くと同時に、ラウラのシールドバリアーは切られた箇所から崩壊していき、それが収束する前に模擬戦終了のブザーが鳴り響いた。
基本的にナイフしか使わなかった親父だが、新たに槍を見せた辺り、ラウラに少し応えたのかもしれない――。
負けはしたが、ラウラの表情には悔しさは無く、逆に清々しさを感じる表情を浮かべていた。
模擬戦時間は、最初の二人よりかなり時間をとったが、まだ後一戦、又は二戦は出来るだけの時間が残されていた――。
地上へと降りてくるラウラと親父、ラウラは軽い会釈だけに留めたが、本当ならさっきみたいに敬礼をしたかったのだろう。
シュヴァルツェア・レーゲンを粒子化させ、クラスへと戻ると親父もまた歩いて織斑先生の元へ――。
「黒夜叉先生、後もう一戦可能ですか?」
「…………」
無言でサムズアップする親父に、織斑先生は頷くとまたさっきと同様に――。
「では、次の模擬戦誰か志願するものは――」
言ってる途中で、俺が手を挙げる。
勿論、親父相手に勝てるかどうかと言われれば微妙だとしか言えない、だがそれでも俺はせっかくの機会だと思って腕を高々と空へと伸ばした。
「うむ。 なら有坂、準備を整えろ」
「了解です」
言ってから前へと出ると、軽く屈伸運動をしてから俺はその身に打鉄を纏う――と、早速雅が口を開いた。
『……主君、あ、あまり夜や入浴中、それと妹君とああいう事をするのは……』
『……ん?』
『……な、何でもないのだ。 ……こほん、では主君、しゅ、出陣だ!』
咳払いをして空へと促す雅――もしかして、ラウラや美冬との情事を見ていたのか?
まあ、見ていたとしても構わないが……そう思いつつ、空へと飛び出すと、規定位置へと到着、親父は俺が屈伸してる最中に既に規定位置へと移動していて、今はさっき見せた槍を頭上高く掲げ、旋風棍の様にぐるぐると回していた。
俺は粒子化させたミョルニルを持つと、鎖からは金属音が鳴り響く。
シグナルが点灯――親父はこれが四連戦だが、疲労を見せてない辺り凄まじい程の体力と精神を兼ね備えてる様に見える。
呼吸を整え、シグナル二つ目が点灯――そして、三つ目が点灯するや四戦目の模擬戦が開始した。
後書き
結果は、大して変わらねぇじゃねぇかッ(`o´)
って思った方多数かも
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