この凄まじいセカイに祝福を?(カズマがサッキュバスにヤられたり、触手の化け物や両性具有の天使にガチ堀されて出産する話)
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79汚染され感染していた二人
里の外、決闘会場
「ううっ、ギャグキャラじゃなかったら絶対死んでた」
Anotherなら間違いなく死んでて、密室殺人じゃなくても何か芸術的な猟奇殺人になって例え女の子でも死んで、ソッチの死体愛好趣味がある人には好評な悲惨な死に方をしていて、アクアと一緒で首が取れたり爆発したりしてから、ガイバーの主人公みたいにコントローロメタルから復活していたと思われるコピーカズマ。
破損部分や骨折部分から煙吹いて、超人ロックか巨人から戻ったエレンみたいにシュウシュウ言いながらセルフ回復していた。
「大丈夫ですか? カズマ、あんなところに割り込むから…」
めぐみんからも優しい言葉を掛けられるが、仲間同士で殺し合いしていたのは反省していないらしい。
同じ顔のセラフ5も地上から20センチぐらいを飛行して来て来てこういった。
「こいつら二人は「感染」したようです、もう救えません」
「ヘ?」
何に感染したのか分からず疑問符を浮かべるが、ここ数日の問答を覚えていれば、その病原は一つしか無い。
「この二人も世界中で亜人同士殺し合っている雰囲気と空気、貴族共が処刑されている血の匂いを感じたのでしょう。脳の中にある皆殺しのスイッチが入ってしまって、集団自殺して食料が足りる人数に減るまで死ぬか、殺し合って殺し合って蠱毒の壺の中の最期の勝者になるまで闘って、一人になって荒野に立ち尽くすまで殺し合うのです」
めぐみんもダクネスも、そう言われると思い当たる節が多すぎて言い返せなかった。
日常のほんの少しの失敗、水を零した、食べ物を落とした、顔を洗ってもタオルが見つからなかった、その程度でマジ切れして叫び、カズマにも当たり、幼い少女や友達にだけは優しくしようと思ってもそれは不可能だった。
多くの死体の死臭、血の匂い、街路樹に吊るされて腐り落ちるまで晒されている死体を見て、大勢の市民が囃し立てる中で王族貴族の首が断頭台で切り落とされ、住民全員が大喜びで大歓声を上げる光景。
それらは全て人を狂わせ、アドレナリンやノルアドレナリンを放出させ、その放出量が標準になり、もう元には戻せない。
「神の計画の中にも、この地獄で生産される化け物の中から、最悪で最強の蠱毒を生み出す計画があるのでしょう、私たちはその計画にも反対します」
大災害に遭遇して、その場ではは大丈夫でも、多くの死人が出たと聞き、遺体を見てしまい、焼けて骨になった者、建物に潰されて肉の塊にされた者を一瞬でも見てしまったり、もし見ないでも嗅覚の方が遥かに敏感で、焼け落ちた木の匂いに混じって同族の死体の腐臭や、処理されない糞便の匂いを嗅いでしまえば、そのスイッチは確実にオンになる。
スラムでの犯罪率が異常に高いのも、子供までギャングになって拳銃を持って平気で殺し合い、相手が死んでもゲラゲラ笑っていられるのも、そのスイッチが入ってしまっているからで、緊急時の別モードのように最初から人体の機能として準備されている。
天災ではないただの列車事故で、自分は怪我一つ負わなかったのに、誰かを救うために駆け回り、救急隊員と共に活動して「とても役に立った」と満足しても、そのアドレナリン量が再現されない限り、残りの人生が廃人同様になった人物も多数存在する。
PTSDを発症すると修復する方法はなく、大麻草や阿片に頼って生きる人生が始まる。
大人になって破損や損傷が蓄積して大きくなっていくと、アルコールやタバコなどの麻薬で自分を誤魔化さなくては生きていけなくなり、自己矛盾を自己弁護と嘘で塗り固めて生きて行かなくてはならない。
ババアやクソジジイの人格が腐り果てているのはこのためで、キレやすい老人はもう「感染」してしまっている。
「私達も? 感染している?」
パーテー仲間で、先日まで仲良く遊んでいて、男を奪い合っていてもある程度許容していたのにも気付かず、ついさっきまで決闘して殺し合っていたのも普通の行動だと認識しているダクネス。
子供同士のじゃれ合いや、子猫同士の格闘のような、訓練程度に感じている自分がいて、それを異常だとも思えない。
「私が? あんな市民みたいに狂ってる?」
もうめぐみんも自分が異常なのだとは思わず、仲間や同級生、故郷の先輩後輩に爆裂魔法を叩き込んでも、将来夫になる人物にも魔法や杖、刃物を突きつけて刺したり噛んだり、それが普通の嫉妬心だと感じている自分がいて、何の変哲もない、少々手荒だが標準的な冒険者だと思っていた。
「もう疑問にすら思わないのだな? 殺し合うのが当然だと、最期の一人になるまで減らし合うのが普通だと思うんだな?」
皮肉にも、この地獄の獄吏である魔王やウィズ、ドラゴンンの少女は感染しておらず、何故か愛を語って、この煉獄での正解を出して天使の軍団も退かせていた。
一般人で破滅戦争に加担せず、傍観者の立場で見ていただけの二人、せいぜい魔王討伐に参加した程度の二人も、その高揚感が忘れられず、冒険者なのだから殺人之為之生なのが当然とさえ思っていた。
「この二人の代わりは私とセラフ2がします、お前たちの腹にいる子供も私達が引き受けよう、だが、お前たちは死ね」
手のひらを差し出し、着床済みの子供を引き剥がして自分とセラフ2の腹に移植し、殺人スイッチが入ってしまい殺し合う事しか知らない物を、亜人でもある母体は殺処分しようとした。
「やめてええええっ!」
まだ骨折が直りきっていないカズマがまた割り込み、二人を塩の柱にしようと差し出された手を遮った。
「あっ、ああっ? ああああああああああああああああっ!」
そこで叫んだのはカズマでもめぐみんでもダクネスでもなく、天使セラフ5だった。
その場に膝を付いて顔を覆って嘆き、呪われた光輪が光を失って地面に落ち、外見は白いが悪魔の翼も腐り落ちて消えて行った。
ついでにカズマよりゴッツイ持ち物も取れた。
「何っ、どうしたのっ?」
魔王城での出来事を知らず、自分が何かやってはいけない事でもして、天使を苦しめているのかと思ったカズマ。
カズマには殺戮のスイッチが付いていないのか、アンテナの感度が最悪で圏外なのか、ヘタレ過ぎたのか、殺し合いの病には感染していなかった。
数万年にも及ぶ旧人類からの呪いを解かれてしまい、星を修理し改造を続け、自分たちのボディーの性能も上げ続けて複製を製造してまで、人類と動植物を管理し続けなければならない恐ろしい呪詛から開放され、自分のためだけに生きるように言い渡されてしまった哀れな天使。
その後の指令など何一つとして言いつけられていないのに、宇宙の孤児として放り出されてしまった落とし子。
彼女、彼らも次の世代に命のバトンを受け渡し終わり、四次元空間に向けて人類や天使の記憶を送り出し、永遠を作り出して神をも含めた究極を上位世界へと命を紡ぎ、その役目を終え、監獄の中の囚人から赦されようとしていた。
「何が起こったのだ? 天使が苦しむなど?」
流石に天使に向けては殺意が湧かず、剣が通じるとも思わず切っ先を向けなかったダクネスだが、二人共、間違ってでも上級天使に剣と魔法を向けた時点で塩の柱にされて死んでいた。
紅魔族の里の外に設置されていた巨大な女神像も崩壊を始め、決闘の破壊に巻き込まれないように逃げ出していた子供たちは巻き込まず、穏やかに崩れて行った。
石化や塩化もせず、元から物質ですら無かった外装は、事象の水平線の向こうに沈んで行った。
最後にはセラフ1と同じような赤銀色の球体だけが残って浮遊していた。
「天使が崩れるなんて…」
今まで絶対の権力と猛威を振るい続け、何種類かの魔族を絶滅させた化け物。
めぐみん達もその使用人として爆裂しまくり、一時賞金首にまでなったが、それも天使や革命指導部の命令としてなら通用して来た。
しかしその庇護を失った途端、自分はただの賞金首に戻って、ダークエルフ一族の不倶戴天の敵になって、今は別の星にいるサッキュバスとか、天国か地獄に行った王族の呪いなんかも一身に受ける事になる。
「うわぁ…」
同級生に見せられた人相書き、ダークエルフが発行していた金貨千枚の賞金がかかっていた自分の手配書を見ていたので、天使がいなくなるとそれが現実の物になる。
ダクネスならその転落の人生とかを喜べたが、めぐみんは犯罪者の溜まり場でゴロツキの吹き溜まりの街まで落ちぶれ果て、そんな街でカズマをヒモにして体を売って生きていくような願望は持ち合わせていなかった。
「逃げましょう、カズマ」
即断即決。女には標準で装備されている打算上皿天秤が作動して、一瞬で脳の中の殺し合いのスイッチもガッツリとオフ。
紅魔族の公民館爆破と同級生先輩後輩の殺人未遂?の罪で連行される前に、自分専用カズマを連れて逃げる決心をしためぐみん。
里に忘れ物を取りに帰って捕まり、牢屋に入るような無様な真似はしない、狡猾な子だった。
「に、逃げるのか? 最果ての街まで逃げて落ちぶれて、名前まで変えて逃げて、手配書の人相書きを見ても分からないぐらい、顔が歪んで最低のクズになって、髪の毛を切られて男の冒険者の振りまでさせられて、酒浸りの日を送って体も売らされて、立ちんぼで売春させられるのだな?(ビクンビクン)」
当初の目的を思い出したのか、殺戮のスイッチがキッチリとオフになって、今後最低の生活をさせられて、カズマの命令で体まで売らされて、それも屋内じゃなくて路地の奥とか公園の茂みの奥や公衆便所で立ちバック、文字通り公衆便所になって他人にも覗かれながら、夫に目の前で犯されるのを見られながら中にもタップリ出されて精液便器にされて、ほんの小銭を受け取って、その稼ぎすらカズマに奪われて酒代に消える。
そんな夢のような?未来図を思い描いて、バラ色の笑顔になってビクンビクンする変態姫騎士さん。
「さあ、急ぎましょう、カズマ」
紅魔族から追手が掛かる前に、天使が役立たずになったのを知られる前に逃走しようとしためぐみん。
もちろん赤いアクアは見捨てて、何なら紅魔族で治療魔法を使うホイミスライムとして生涯を送らせ、限界村落の地域医療に携わらせる気でいた。
秋田か青森か「とうほぐ」の無医村になったクズ村落に行って、人間を観察して比較する分野にも興味があった医者も、村長派閥と地主派閥の戦争に嫌気が差して数ヶ月以内で裸足で逃げ出したが、そんな場所でも逃げられないし、女神なので寿命でも死ねない。
今まで散々世話?になったセラフ5すら平気で見捨てて、とっとと立ち去ろうとする二人。ついさっきまで殺し合っていた女同士とは思えなかった。
「ああ~、セラフ5~~!」
カズマは倒れて泣いている女の子を見捨てられず声を掛けたが、二人に引きずられて連行された。
「テレポート!」
めぐみんは偶然、魔法システムが全停止する前に転移魔法で消え、今までに自分が行った一番の僻地、畑と川と果樹園が少し残された、サッキュバスすら消えた山奥の巣、魔族領の巣跡の空き地でクソBBBBBAが少々残っている場所に転移した。
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