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威萌宇斗十二制覇

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04威萌宇斗 亞理亞

 
前書き
 威萌宇斗と言うより、「侵雄、悪鬼汚」ですが、ご笑納下さい。 さらに途中、紛らわしい表現がありますが、気にせず読んで下さい。 

 
 海神航、奴は金持ちだった。 優しくてお人好しで、暖かい家庭で汚い物も見ずに育った、本物の「お坊ちゃん」だった。
 その才能も財産も自慢する事無く、誰からも好かれる奴だった。 奴は俺に無い物を全て持っていたから、妙に馬が合って友人になった。
 ある日、航はあるゲームを持ちかけて来た。 プロミストアイランドと言う島で、二人が入れ替わってバカンスを過ごすと言うゲームだ。 俺にとっては願っても無いチャンスが来たのだ。
 そこから俺は「アキオ」と言う名前を捨て、海神航になった。 そしてヨットの上で二人っきりになった時、俺は計画を実行した…… さようなら航、海の底でゆっくり眠るがいい。

 俺は俺の家にいたケダモノ達のように、自分の自由になる「道具」を探し、一匹を調教した。 そう、俺の妹「眞深」だ。 こいつは俺の命令なら、どんな事でも聞いた。
 例えそれが、見ず知らずの航の別荘に行って「妹です」と偽って住み着く事さえも。
 その別荘には奴の3人の妹がいた、亞理亞、花穂、雛子、どれもまだ幼い子供だ。 他の妹達は出掛けて留守だったが、航と運命を共にしたのだろうか?
「兄や~、あげる~~」
「ああ、ありがとう」
 俺の前に自分が舐めていたキャンディーを差し出す亞理亞、他の女達なら投げ捨ててやる所だが、こいつだけは違った。 
 海神家の財産の大半を相続した娘、航にとっては腹違いだが叔母に当たる女だ。 他の娘のように、海外のメイドや、家庭教師に産ませた娘とは訳が違う。 
 前の海神家の当主と親族の、道ならぬ恋の果てに産まれた娘。 血が濃すぎて頭が弱かったようだが、俺にとっては好都合だ。

 やがて1週間ほど経ち、俺は航のサインや筆跡を真似、外から連絡があっても、声色を使って上手くやっていた。
 しかし、花穂や雛子は俺に懐こうとしなかった。 普通の態度で接したつもりだったが、俺の本性を見抜いたのだろう。 
 でも亞理亞は…… こんな俺を慕ってくれた。 醜い心を持った俺に、天使の微笑みで笑いかけてくれた。 亞理亞を篭絡するはずだった俺は、次第に癒され、逆に引かれて行った。
「兄や~、あそぼ~」
「ああ、今日は何がいい?」
「ん~~、お花~~」
「あのお花畑だね、暑いから日傘を持って、水筒も持って行こうね」
「うん~~」
「眞深、留守は任せたぞ」
「ええ…」
 俺達は手を繋いで出掛けた、もう「亞理亞語」も分かるようになって来たな、いつまでもこんな日が続けばいい。
「お花~…… くすん、まださいてない~~」
「まだ半分ぐらいだね、あっちで一本咲いてるから、もうすぐだよ」
「うん~~」

 しかし夢のような生活も終わり、奴の妹達が帰って来た。 それも一人じゃない、ぞろぞろと9人も。
「あら? どちら様でしたか?」
「ああ、航の親友でアキオだ、よろしく、あいつから何か聞いてなかったかい?」
「え? ええ」
「もうだめだよ、あたしこんな生活耐えられないっ!」
「どうしたの? 眞深ちゃん」
 怖気づいたのか、眞深が膝を着いて泣き出した。 何を言うつもりだ?
「どうしたんだ? 眞深、悩みでもあるのか」
「いいかげんにしなよっ、兄貴っ! あんたって奴はっ、返してやりなよっ、この子達に本当の兄さんを返してやりなよっ!」
 俺にすがって泣き崩れる眞深、何がそんなに悲しい?
「何を泣いてるんだ? これはゲームだ、単なるお遊びじゃないか」
「あんたにとってはお遊びでもっ、本当の航さんはっ、みんなの兄さんはもう死んでるんだろ? うわあああ~~~~~~っ!」
「何ですって?」
「お兄様がっ!」
 眞深の言葉で青ざめる妹達。
「誰が死んだって? あの航が?」
「だって言ってたじゃないかっ! 「航はもう海の底だ」って、あんたが殺して沈めたんだろっ!」
「もうっ、何を言うかと思ったら、驚かさないで眞深ちゃん、お兄様はそれぐらいで死んだりしないわよ」
「え?」
「呼んだ? 眞深ちゃん」
「え? あんちゃん」
「そうだ、お前は口が軽いから説明しなかったが、航は海の神殿に行っていただけだ」
「ええっ?」
「そうなんだ、ちょっと「ポセイドン神殿」に行って、「チトセ君のママ達」と戦ってたんだ。 だから僕達が留守の間、アキオに小さいみんなの面倒を見て貰ってたんだよ」

 ちなみに「海神」航は、現世での海神ポセイドンの化身で、奴の妹達は、この世に悪がはびこる時、必ずや現れると言われる十二人の乙女達らしい。
「花穂も行きたかったな~、円盤皇女(ユーフォープリ*セス)に変身したら、ママさん達にも負けないのに」
「亞理亞も~~」
 ちなみに亞理亞は、電子レンジのプリズムを使うと7人に分身して、気の強い亞理亞や、泣き虫の亞理亞達になるらしい。
「ひなね、まほうもつかえるからね、つぎはつれてってね」
「だめよ、七転さんのアッパーカットなんか食らったら、ただじゃ済まないんだからねっ」
 マーメイドの咲耶は、兄との関係を告白した途端、「不潔よう~~~~~っ!」と叫ばれ、水中神殿の天井まで飛んだらしい。
「わたくしも、「オバ宮のはづき」さんに、もう少しでミカエルを食べられてしまう所でした」
「それにしてもママさん達、凄かったわね、さすがと言うか何と言うか」
「まさか薙刀を持っていて、日本刀に遅れを取るとは思いませんでした、ぽっ」
「でもチトセさんって面白かったわね。 いきなり黒い拘束衣で縛られて、きさらぎさんにメインプレドウィナの中に放り込まれて、だんだん水位が上がって来るなんて、ふふっ」
「ええ、「ママの愛情が信じられる試練、バージョン1.0」でしたか?」
 奴の妹達も楽しそうに戦果を報告し合っている。
「で? 結局どうなったんだ?」
「うん、あっちはゴールドクロスが5人もいたからね、メインプレドウィナを折られて負けちゃったよ」
「そうか、残念だったな」
「あんちゃん…… そんな次元の問題なの……?」
「うん、また来年、夏になったら遊びに来るって言ってたよ」
「…………」
 一人で真っ白になって倒れている眞深、哀れな奴だ。

「兄や~~、こっちも兄や~~?」
「そうだよ亞理亞ちゃん、どっちも君の「兄や」だからね」
「ああ」
 俺は計画通り、亞理亞を懐かせる事に成功した、きっと将来は夫になってみせる。 そして……ハァハァ、航の奴は「お兄ちゃん」って呼んでやるんだ、覚えていろ航。
「ね~~、おさんぽ~~」
「ああ、お花畑だね」
「うん~~」
 そして全員で(眞深を除く)、いつもの散歩道を歩いて行く俺達。
「あ~、咲いてる~~!」
「ああ、綺麗だね」
 もちろん、俺には亞理亞の方が美しく見えている。 そして満開のひまわり畑を指差して亞理亞が言った。
「太陽がいっぱい~~」 
 

 
後書き
ぶみ> 元ネタのアランドロンの映画を知っていて、シスプリと、聖闘士星矢と、ハピレスまで知っている人は、どの程度いるんでしょうか?

ぶみ(偽) > 次回予告
「妹達との平和で穏やかな日々をおくる航とアキオ。だがその頃、冥王ハーデスとして覚醒した千影に攫われたチトセが、変な壷に入れられて生き血を搾り取られていた。
激しい激闘の末、多くの犠牲を払いながら『嘆きの壁』を粉砕したママ達と妹姫S,。だが、真の敵は千影を操っていた本当のハーデスだった!!
「にゃはははは~!この世界と妹さん達はボキのモノさぁ~!」
「「そして、ママさん&妹さんの写真集を出すのです~!!」」
迫り来る山田と、その配下文芸部員二人組み(名前なんざぁ覚えてねぇ)!!
はたして、航、チトセ、アキオの三人はこの強敵を倒せるのかっ!?
次章・冥王編。俺の心に、小宇宙が萌える!!」
この番組はハウス食品の提供でお送りしません(死) (12/5-17:01) No.4869

他のSS書きさんからも妙な評価を頂き、未完の迷作、ハピレス星矢に続きます。 
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