| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

SM的スポーツジム

作者:天沢
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

#4休息と芸

 鞭を手にした後輩に脅されながら、十分強は走った。
 結果、祐次は息を切らし、汗を滴らせている。
 疲労の色はペニスにも滲んでいた。
 勃起は中途半端に鎮まり、やや硬く膨らんだままで下を向き、見っとも無く揺れている。
 その様子を受けて、文音は休憩を取ることを決めた。
 ランニングマシーンを停止させながら言う。

「先輩……私、喉が渇きました」

 床に降りた祐次に対して、文音は小銭を渡して飲み物を買いに行かせた。
 全裸のまま、一人で動くのは酷く心細かった。
 何だか自分だけが間違いを犯している気がしてならなかった。
 急いで一人分の飲み物を買い、文音の下に戻った。
 彼女は皮製のソファに掛けていた。
 黒いレギンスの細い脚を組んでいる。
 彼女の眼前に全裸を晒すことには恥辱を覚えるが、傍に戻ると安堵してしまう。その奇妙な感覚に囚われながら、祐次が飲み物を差し出す。
 スポーツ飲料のペットボトルを受け取った文音が言う。

「ありがとうございます。……先輩、褒めてあげますから、もっと近くに来てください」

 鞭はまだ彼女の手元にあった。
 それに怯えている祐次には、逆らうことなど出来ない。
 羞恥に襲われながらも彼女に近付いた。
 もっと、と文音が言う。
 顔を赤く染めながら、脚が触れ合うぐらいの距離へ近付く。

「ふふ……。なでなでしてあげます」

 どこか嘲りめいた声音で言いながら、文音が手を伸ばす。
 彼女の指が触れたのは、祐次の亀頭だった。
 そこを手の平で撫でながら、愉しげに言う。

「偉い偉い、良く出来ました」

 敏感な亀頭を擦られ、祐次は堪らずに声を漏らす。

「あうっ、う、ううう……ふっ、文音……!」

 自身の手の中でペニスが一層硬くなったのを認めて、文音は手を離した。
 我慢汁がねっとりと糸を引いた。

「先輩、そこに正座してください」

 躊躇う祐次だが、鞭が小さく揺れたのを目にしては、従わざるを得なかった。
 後輩の女の子が椅子に座っている前で、自分は全裸で床に正座――屈辱的な状況だった。
 目の前にあるしなやか脚が、文音のものでなければ良かった。
 それなら、この状況を単なる屈辱として受け止めることが出来た。
 被虐的な興奮に、ペニスは萎える気配がない。
 その姿を見下ろして、満足げな笑みを浮かべながら、文音はペットボトルの封を切った。
 彼女はそれに口を付けて、白い喉を鳴らした。
 それを受けて、祐次は生唾が湧くのを認めた。
 自分も喉が渇いていることに気が付く。

「先輩も……喉が渇きましたか?」

 ペットボトルを左右に揺らして、文音が問う。
 正直に答えても怒られないものか悩みながらも、祐次はゆっくりと頷いた。

「そうですか……それじゃあ、上手に芸が出来たら、分けてあげますね。立ってください」

「芸……?」

 更なる恥辱の予感に祐次の声は震えていた。
 黙って口元を歪めた文音が、右脚を上げる。

「まずは『お手』からやってもらいますね」

 褒美の為に芸をさせられる。それも、お手――犬扱いを受けて、祐次の鼓動がドクドクと早くなる。
 荒っぽい息を吐きながら、文音の足に手を伸ばす。

「違いますよ、先輩。せっかくおちんちん丸出しなんだから、それを使ってください」

 文音のつま先が、いきり立つペニスを小突いた。
 どうすれば良いのか少し考えて、祐次はがに股になって腰を突き出した。

「ふふ、そうですよ」

 愉しげな声に羞恥を煽り立てられながら、足の甲に睾丸を乗せる。

「あんなに動いたのに、ここはひんやりしてるんですね」

 そう、感想を口にしながら、文音が右脚を下げる。同時に左足を上げた。

「今度はこっちです。『おかわり』出来ますか?

 惨めで情けない姿を見せているのだと自覚しながら、ペニスは嬉しそうに脈を打っている。
 鈴口から先走り汁を滴らせながら、左脚へ向かう。
 右と同じく、睾丸を甲に乗せた。

「はい、上手に出来ました。それじゃあ……最後は『ちんちん』してください」

 そう呼ばれる犬の芸が如何なるものかは想像出来るが、自分の身体で再現するとなると、どうして良いのか分からなかった。
 祐次は困惑しながら床に腰を下ろした。
 後ろに伸ばした腕で身体を支え、股間を突き出した。
 大きく股を広げて、ペニスを見せ付ける。

「くすっ……ふふ……。良く出来ました。そのまま近くまで来れたら、ご褒美を上げますよ」

 愉しげな文音の声に恥辱を覚えながらも、祐次は言われた通りに前へと進んだ。
 笑みを堪えて震える文音。俯く彼女の艶やかな黒髪が揺れる。
 祐次がすぐ近くまで来ているのにも関わらず、小さく笑い声を漏らしている。
 羞恥と喉の乾きに、せき立てられて祐次が声を上げる。

「ふっ、文音……」

 その声音は本人の予想以上に情けない色を帯びていた。

「ぷっ……くすっ、ふふふっ、あははは」

 とうとう文音は耐え切れずに、音を出して笑った。
 聴覚を揺さぶる笑い声に、祐次の顔が真っ赤に染まる。
 文音は一頻り笑った後、余韻に引かれながら、軽い調子で謝った。

「ふふっ、ごめんなさい。あんまりにも先輩が馬鹿みたいだったので……ふふ……間抜けな格好でちんぽブラブラさせてるだけでも笑えたのに、”ふ、ふみね~”なんて間抜けな声で鳴かれたら、もう面白くて……」

 何もそこまで言わなくとも。そう思わずにはいられないような嘲り。
 心臓が締め付けられるような屈辱に、祐次は泣き出しそうな表情を浮かべている。
 それにも関わらず、ペニスは甘く疼き、酷く痺れていた。
 止め処なく溢れる我慢汁がポタポタと床に滴り落ちる。

「ふふふ……はい、先輩。私と間接キスしちゃうことになりますけど、どうぞ」

 文音は、そう言ってペットボトルを差し出しながら、もう片方の手で自身の唇を撫でた。
 酷い罵倒の後に見せ付けられる、恋愛感情のツボを刺激するような仕草。
 祐次は、頭がクラクラするような感覚に陥りながらも、ようやくありついた水分に喉を鳴らすのだった。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧