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素直になるということ

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寮に着いたら自然と手は離れる。
少し、残念。

「あっれぇ~、副会長が風紀と仲良く帰宅してる~。なぁ、何で?何で?前はそんな距離近くなかったじゃんよ。」

自販機でドリンクを買ってた男子がこっちを見て目ざとく指摘してきた。
余計なことを…。
ほっといてほしいのに。

「一緒に帰ってきたらいけないの?」

「はぁ?そーじゃねぇけどよ…なんつーの?…花と花が一緒に居るみてぇな…」

会長と同じこと言ってる。
おかしくないのに、おかしいって言われるのは理不尽だ。

「…今日は就寝時間に見回りするからね。起きてたらチェック付けるから。あと一つチェック付いたらペナルティーだったよ?忘れないように」

相沢の背中を押して寮長室に入る。

「ごめんね、不快だったよね」

「いいえ、大丈夫です」

「そっか。…相沢、同室の人とはどう?何か問題があるならこっちにくる?」

「ほ、本当にいいんですか!?」

すごい食いつき…!

「何かあったの?」

「いえ、最近、同室の人が卑猥な嫌がらせをするので眠れなくて…」

「な、何かされたの!?」

「いえ、大丈夫です。毎日、夜、自慰を聞かされるだけで…」

な、なにそれ…同室の人、危険…。

「俺のとこにおいで。代々寮長は自分で同室の相手を決めることを許されているからね」

「今からでも…いいですか?」

「うん、もちろん」

よほど、嫌だったんだね…。
そりゃ、怖いよね。
毎日、自慰行為を聞かされるなんて。

「荷物、持ってきます」

「あ、待って。俺も行くよ」

一度同室の人の顔を見ておきたい。
いなかったらそれでいいけど。
部屋に着いて中に入る。

「あれ、おかえり…て、何で…」

「僕、今日からここ出ていくんです」

「え、それ、本気?」

「嘘言ってどうするんです?」

「え、でも、出ていく意味が…」

「…理由があるわけじゃないです。寮長の指名で寮長室に移るんです」

「そ、そうなんだ…」

それから2人の会話はない。
なんとなく察してしまった。
この人、やっぱり相沢が好きなんだ。
それにしても毎日、自慰を聞かせてる自覚ないのか?
まとめた荷物を半分持って移動する。

「さっきの人、狼狽えてたね」

「バレバレなのに気づかれてないと思ってるんです」

「厄介だね」

「…でも、これで寝れます…玉木くんだから安心…」

あ、不意打ち。
顔が熱くなる。
相沢ってやっぱり天然だよね…。
恥ずかしいことをサラリと言うっていうか。
寮長室に戻って相沢の荷物を下ろす。

「もう、相沢!」

「え…」

「こっち来て!」

「な、何を…」

自分のベットに相沢を押し倒す。
その横に自分も寝転ぶ。
顔に手を添えてキスする。

「天然って、怖いね…」

「天然?」

「相沢のことだよ…」

「玉木くん…しますか?」

「相沢、したいの?」

「し、したくないですっ」

「うそ。どうして?」

「どうしてって…そんなの…」

本当に相沢は可愛いな。

「相沢、俺はしたいよ」



 
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