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n-01
私は気が付いたら森の中にいた。今先まで、病院のベッドに寝かされていたはずなのに。本当に、私はアノわけも分からない人の言葉を喋る生物に知らないところに飛ばされてしまったようだ。一体、私が何をした……。びくびくとしながら周りを気にしながら辺りを探る。しかし、周りに生えている木は日本では見たことがないような色をしたものばかり。ついでにキノコなども生えているが大きさがおかしい。もしかして、私は縮んでしまったのだろうか、と考えたがここの住人も見たことがないし、それにここは日本がある地球ではないことを思い出す。もしかしたらこの世界のキノコは全てこの大きさなのかもしれないし。きっとそうだ、と思い込ませながら明らかに辺りの木々より大きいキノコの前を通り過ぎる。きっと空から見たらすごい光景なんだろうな、ぐらいの楽観的な考えを抱きながらさらに歩みを進めた。歩きながら気になることと言えば。
「あぁあああぁあああああ!!!!」
先程から大きな叫び声が聞こえてくることだろう。これは生物の鳴き声なのか、人の叫び声なのか。どっちでもいいけど近付いているような気がしてならない。立ち止まると私の中から恐怖が溢れ出す。さっきから叫び声が何個も上がっているから。私は自分自身に大丈夫だと暗示を掛けながら進むスピードは緩めない。大丈夫、大丈夫に決まってる。腕で体を抱きしめながら進む。行く宛もない、どこに街があるのか分からない、どこに行けばいいのか分からない状態だけれど、私は生きていたい。
「だずげでぐれぇぇええええ!!!」
酷い叫び声が近付いてくるのに怯えながら真っ直ぐ、真っ直ぐ進む。進むスピードは先程から少しずつ早くなって、いつの間にか、気付かぬうちに走っていた。怖い。なんで私が。怖い。死ぬのは嫌だ。馬鹿なのは分かってる。けど、死ぬのは嫌だ。怖い。怖い怖い怖い!息を切らせて、真っ直ぐ一直線に、走る。走った先は……。
「ひひっ、獲物一匹発見だなぁ?」
死なのか、絶望なのか。分からない。誰も助けてくれない。私は顔を引きつらせて逃げようと体をあろうことか、男に背を向けて走り出そうとした。しかし、私は一瞬で地べたに押さえつけられていて。
「あぁああ……」
私の口から悲痛の、聞いたことのない音が漏れ出して。自分自身で止められない。怖い。いやだ。なに、されるの。殺されるのは、いや。助けて。怖い怖い! 私は暴れようとするけど、その力を利用されて男のほうを向かされいつの間にか馬乗りになっていた。しかも、腕は押さえつけられ。足は動かしてみても男には届かない。
「はっ……ガキじゃねぇか……ひひっ」
男は私を見てそういった。ガキだと思うなら離してっ。と叫びたいけれど、怖くて声が出せない。言葉が、言葉にならず音となって、男を悦ばせた。男はニヤァと汚い笑い方をしてあいていた片方の手で私の顔を優しく触る。それが、気持ち悪くて、汚くて。私の瞳からは涙が零れた。
「あぁ、いいねぇ……」
男は涙を見てそんな事を言い、汚い舌で私のほほを舐める。ひやぁ、と泣き声のような音を漏らし、顔を背けようとすると片手で力強く男のほうを向かせられて逃げられない。やめてっ。そんな思いも声にならない。ただ、だらしない泣き声としてもれるだけ。嫌だ、嫌だ、と足を動かしたり、腕に力を入れてみるものの、びくとも言わない。でも、そんなものでも男には少し煩わしく感じたらしい。男は頬から手を離し、どこからか取り出したか分からない短剣をザンッと私の目の前へと振り下ろした。ヒィッと情けない声が私の口から漏れ出す。
「女ァ、死にたくなかったらじっとしてろ。じっとしてたら痛いことはしねぇ……。それよか気持ちよぉくしてやるよ」
ねっとりとした男の声が私の耳に纏わりつく。私はびくびくしながら、動けずにいた。それどころか、体に力が入らない。さっきまではきちんと動いていたのに。手も、足も。私の意志のとおりに動いてくれない。それどころか、震えを止めようとしているのに、更に大きくなっていく。
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