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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》

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【第573話】

 
前書き
ちょい短いです 

 
 次は食堂、何故皆こんなにバラバラに居るんだ?

 正直向かう俺の気持ちになってほしいとは思うが、よくよく考えると手作りかつ昼飯用意してない俺が色々言える立場ではなかった。

 次の相手は何と箒だ、いつもなら一夏と食べてるはずだが……。

 食堂へと辿り着く、ドアを開けると。


「む? 来たか」

「悪い箒、遅れたか?」

「いや、気にする程遅れた訳ではない。 それに、たまに待つのも悪くない」


 腕組みし、実った巨峰がたぷんっと腕に乗っていた。

 相変わらず容姿とスタイルは悪くない、まあ最近は性格も角がとれてきてるから心配はないが。


「そういや、一夏は良かったのか?」

「き、今日はヒルトにこれまでの無礼と非礼を詫びるつもりで来たのだ。 一夏とならいつでも食べられる、それに……今日は何だかアイツは忙しそうだったしな」


 運動会に関しては一夏はほぼ出番無い気が――だが昼から来てるおっさん連中の相手で忙しいのかもしれない。


「それよりもだ。 まだ腹の調子は大丈夫か?」

「ん? 元々よく食べる方だからまだまだ問題ないさ」

「ならば良かった。 折角だ、これを食べてくれるか?」


 そう言って開いて見せた弁当の中身は唐揚げだった。

 そういや以前一夏に作ってた奴に見えるが――。


「油ものはどうかと思ったのだが、ヒルトは肉が好きだと聞いた。 ならばと思って唐揚げにしてみたのだ」


 揚げてから時間が過ぎてるが、正直めちゃくちゃ美味そうだ。

 一度揚げたてを食べてみたいものだ。


「さあ、食べてくれ! 私の自信作だ!」


 胸を張り、言い切った箒は何処か誇らしげだった、たゆんと弾む乳房の存在感も増していく。

 箒から箸を受け取り、俺は早速唐揚げを口に入れて咀嚼。

 自信作と豪語するのもわかる、正直この唐揚げは本当に美味い。

 これを一夏は独り占めしてたとは……それはムカつく。


「ど、どうだ? 美味しいだろ?」


 なんだかんだで瞳に不安の色を見せる箒、ちょっとからかいたくなるが箒は冗談が通じなさそうだし、素直に感想を告げた。


「ああ、自信作って言うだけの事はある。 美味しいな、唐揚げ」

「……!! ふふっ、そうだろうそうだろう! 遠慮なく食べていいぞ。 無論これで私が今まで行った非礼と無礼、精算出来るとは思ってないから」


 そんなこともう気にしなくても良いんだが。

 ……それに、俺にも悪い所はある。

 だが今は箒の唐揚げを堪能したかった――それに、箒なら美春とかみたいに理性を刺激する事は無いだろう。

 あまりの美味しさに、箸が進む――一つ、また一つと唐揚げが胃の中に消えていく。


「あ……思わず箸が進んだが、全部食べて大丈夫なのか?」

「無論だ。 私の分はまた別にあるからな」


 柔らかな笑みを浮かべて告げる箒、いつも怒った所しか見てないため、新鮮だった。

 用意された唐揚げを全て食べて俺は――。


「ご馳走さまでした」

「うむ、お粗末様でした」


 しかし、本当に美味かった――また食べたいものだ。

 お腹を擦り、時計を見る――まだ時間に余裕もあり、俺は折角だから聞いてみた。


「そういやさ、話はいきなりブッ飛ぶが何で箒は一夏が好きなんだ?」

「え? ――い、いきなりだな。 き、気になる、のか……?」

「まあな。 勿論離せる所までで構わない」


 顎に指を当て、少し考える箒。


「……簡単に言っても構わないか?」

「あぁ」

「簡潔に言えば、小学校の頃……私が虐められていたのを助けてもらったのがきっかけだな。 ……昔から私は融通も利かなく、ヒルトもわかる通り手が先に出てしまうのだ」


 そういやいつも帯刀してたな、最近は持ち歩く事をしてないが――以前はいつそれで斬られるか気が気でなかったというのは俺の心の内に秘めておく。


「助けてもらったのがきっかけか。 ……まあ後はISの登場で離ればなれだっけ?」

「そ、そうだ」


 要するに、初恋の延長線で子供の頃から好きって事か。


「……だが」

「?」

「だが今は……少しわからなくなってきてる。 好きな気持ちに変わりはないが、逆にいえば……私の一方的な気持ちを押し付けてるだけではないだろうか」


 それに関しては何とも言えなかった。

 とりあえず、俺は箒の頭を撫でる――払い除けられると思ったが、驚いた様な表情を浮かべるだけだった。


「……俺にはわからんが、気持ちに関しては箒が決めることだ」

「……そうだな。 ありがとう、ヒルト」


 気恥ずかしそうに微笑む箒――また携帯がぶるぶる震え始めた。


「もう時間か。 んじゃ、唐揚げ美味しかったぞ。 ありがとうな」


 お礼を言い、急いで俺は食堂を後にした。

 残された箒は――。


「……あまり、私に意識させないでくれ、ヒルト……」 
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