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素直になるということ

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翌日、校門で服装チェックをする相沢を見つける。

「相沢、おはよう」

「あ…おはようございます。昨日は寝れましたか?」

「ご心配なく。寝れたよ。…俺は相沢をもっと知りたいみたいだ。どうかな、友達からは」

「十分です。これからよろしくお願いします」

なんか、可愛いよな。
俺のこと、まっすぐ見てくるんだもん。
この視線を俺だけが知ってるんだって思ったら嬉しくなる。
世の中、属性が同じで失望して別れたり、フラれたりする確率はどれくらいだろうか。
その中で属性が同じでも幸せに付き合って、セックスまでする確率はどれくらいだろう。
きっと少ないだろうって思う。
バリネコって本気でネコしか出来ないんだろうか。
やってみたらタチも出来たりするのかな。

「玉木くん?」

「あ…ぼんやりしてた」

俺と相沢だとどっちがどうなのかな。

「相沢はさ…抱かれたいの?抱きたいの?」

ちょっと直球すぎたかな。
しかもこんな場所で。

「…分からないです…どっちでもいいんです…こんなの変ですか?」

「い、いや…そんなことないよ…」

あれ、どうしよう、恥ずかしい…。
それに何か顔が熱い。
いま、目が合ったらダメだ。

「玉木くん?」

「な、なに?」

「目を合わせないのはワザとですか?」

「えっ」

ハッとして顔を上げたら目の前に相沢がいて。
う、わぁ…目が合っちゃった…。
心臓がバクバクとうるさいのはきっと勘違いなんかじゃない。
しょうがないよ、だって、ネコとかタチとかそんな問題どうでもよくなっちゃうくらい、綺麗で、可愛いんだもん。
あれ、俺「可愛い」奴にもドキドキ出来るんだっけ。
「かっこいい」奴にしかドキドキしないと思ってたけど…何かいまはすごく目の前の「可愛い」相沢に心臓が痛いくらいドキドキしてる。
「可愛い」って思うことは好きってこと?
そんなはず、ないよね。
ドキドキしてるってことは好きってことなのかな。
まだ、何も分からない。
可愛く見られたい、でもカッコよくて思われたい。
こんな気持ち、初めて。
ねぇ、相沢。
俺、ちゃんと好きになるよ。
だからね、もう少し待っててほしいんだ。
自分がネコなのに、俺のことをネコだとわかった上で好きだと言ってくれた。
普通のゲイカップルよりも悩みもハンデも多い選択をあえて選んでくれた。
そんな相沢の想いに答えてやりたいんだ。
こんなのおかしいかな。
でもいいよね。
俺たちの恋愛は始まったばかりなんだから。


 
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