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Fate/imMoral foreignerS

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始まりから夏休みまで
  シリアスに突入する話。

 
前書き
どうも、クソ作者です。
ここから話はシリアスなものとなり、事件が解決するまでエロはごっそり減ります。
どうか最後までお付き合い頂ければ、こちらも感無量です。
それでは本編、どうぞ。 

 
「桐生が来ない?」
「うん。家にも帰ってないらしいぜ。」

翌日。授業の合間の休み時間。
今タクヤくんや平野くん、友作くんといつものメンバーで話をしている訳だが妙な事を聞いた。

「昨日彼のお母さんから学校に電話が入ったらしいです。そしたら学校にも居ないし家にも帰ってないと。」
「こえーな。あいつ何があったんだよ…。」

心当たりは…あるにはある。
多分桐生…取り巻きの前であんなにボコボコにされたから多分恥ずかしかったんだろうな。
学校に来るのが嫌になっちゃったとか?
けど家に帰らないのはおかしい。
何かあったんだろうか?

「そういや葛城…お前昨日桐生から呼び出されてたよな?」
「あ、あぁうん…そうだね。」
「なんだその言い方…なんか怪しいなぁ?」

適当にはぐらかすが怪しまれる。
だって言えるわけないじゃないか。
僕がサーヴァントを持ってて、葛飾北斎が来て助けてくれたことなんて。

「その点は問題ねーよ。」
「友作くん?」

どう理由を取り繕うか、
そう考えていた中で友作くんが口を開いた。

「俺がボコした。」
「マジで!?さすが友作!俺達には出来ないことを平然とやってのけるッ!そこにシビれる憧れるゥッ!」

と、手に巻かれた包帯を見せながら言う友作くん。
それに納得したタクヤくんは彼を褒め称えるが…

「…?」

何かおかしい。
まるで友作くん…昨日言えないことがあったことを知ってるみたいなフォローの仕方だ。
確かに友作くんはお栄ちゃんのことを知っているし、何もかも知らないわけじゃない。
だが昨日の呼び出しは僕以外はいないはずだし、そもそも友作くんはバイトに行ったはず。

「まぁ良かったな葛城。これでしばらくはあいつも手ぇ出さんだろ。」

ポンと肩を叩いて友作くんは席に戻る。
するとチャイムが鳴り、教室に授業の先生が入ってきた。
結局そのことについては友作くんからは詳しく聞けず、心のモヤモヤが晴れないまま僕は授業を受けるのであった。

それから、
日が経つにつれて桐生の失踪事件は生徒達の話題から薄れていった。
警察は必死の捜索を続けてるらしいし、母親も政治家という自分の権限を駆使して大事な一人息子を探している。
ちなみに父親はいない。1年前に離婚したそうだ。

それと、これは別に大したことでもないのだけれど…

「な、なぁ…。」
「?」

ある日のこと、
昼休みにいつものメンバーで楽しく雑談していたところ、ある人が話しかけてきた。

「キミは…?」

茶髪で、どこか頼りなさそうな男…。
見たことある…そうだ!彼は…!

「なんだ?また葛城いじめに来たのかよォ?」

彼は…桐生の取り巻きにいたあの男子だ!
最後までいじめに加勢しなかった…確かクレマくんとか呼ばれてた…!
なんだろうと思って話しかけようとしてみるがそれに割って入るようにタクヤくんが彼に話しかける
あっちは1人、こちらは数で勝ってるからかタクヤくんは喧嘩腰だ。

「あ、あーいや…そうじゃなくて…。」
「ア"ァん?」
「い、いやその…。」

もじもじしながら話す彼。
一体何がしたいんだろう?

「お前ら…FGOとかいうゲーム…してるじゃん?」
「ああそうだよ。テメェの親玉桐生いわくキモオタゲーのな。おめーみてーな奴には理解できないゲームだよ。」
「タ、タクヤくん!いくらなんでもそんな…!」

サングラスをかけた彼がすごむとそれなりに怖さはある。
ほら、クレマくんビビっちゃったじゃないか。

「わ、悪い…急に話しかけたりしてごめんな…!」
「おうおう!一昨日来やがれコノヤロー。」

そそくさと去っていくクレマくん。
彼…何か言いたそうだったな。
それか、ただ単に僕らと話がしたかっただけのような気がする…。

「きっと葛城をいじめようとしたに違いねぇぜ。でも安心しろよ。友作がいればあいつらもそう下手に手ぇ出してこないからな!」
「いや他力本願かよ。」

友作くん本人からツッコミが入る。

「でも…。」
「でも?」

教室から出、自分のクラスへと戻るクレマくんを見て思う。

「あの人…悪い人じゃないと思うんだ…僕。」


それから、後で聞いたことだけど彼は隣のクラスの狩井 暮馬(かりい くれま)という名前なのが分かった。
桐生と同じクラスで、何かと取り巻き達といることが多かったがその実はほぼパシリ的存在だとかなんとか。

それと友作くんのことだが聞くたびにはぐらかされ、とりあえずもういじめられることだけはないと思うぞ。とだけ言われた。

そうして時間は過ぎ、帰宅して時刻は深夜。


「へぇ、そんなことがあったのかい。」
「うん。」

その日の夜。
ベッドの上で最近の事をお栄ちゃんに話した。

「いじめてた奴が話しかけてきた…ねぇ。」
「正確には…彼は見てただけなんだけどね。」
「いや、止めずに傍観してたのならそりゃいじめと同罪サ。見つけ次第おれがしばき倒してやるから安心しナ!」
「そこまでしなくても…。」

ふぅ、と煙管の煙を吐きお栄ちゃんはそれを一旦戸棚に置く。

「それじゃあマイ…今夜もシようじゃないか…♡」

窓から差し込む月明かりに照らされた彼女の裸体。
妖しさというか美しさというか、その芸術的な様子は嫌でも僕のものを奮い立たせた。

「お栄…ちゃん。」
「分かってる。今夜もたぁっぷり…朝が来るまで搾り取ってやるヨ。」

顎に手を添えられ、くいと持ち上げられる。
そのまま重ねられる唇。
そうして僕は流されるまま押し倒され、いつものように熱い夜のひとときが始まった。










「…?」

お栄ちゃんとは行為に及んだ。
でもその事はなんだかよく覚えていない。
何故だか身体がふわふわする。
なんだろう?いやそれよりも

「ここどこ?」

だだっ広いどこか、
目の前には真っ黒な何かがどこまでも広がっており、それはよく見ると"水"であった。
湖…だろうか?

「…。」

無意識のうちに足が動く。
真っ黒な湖に向けて、僕は歩き始める。
濡れるとか、泳げないから溺れるとかそういうのは考えてなかった。

ただ、呼ばれてるから会いに行かなきゃって思った。


会いに行く?
呼ばれている?



僕は…誰に?



「黒きハリ湖、ご存知ないかしら?」
「…っ、だ、誰!?」

後ろからの声で我に返り、振り向く。
するとそこには年端も行かなさそうな小さな少女が立っていた。
いや、僕はこの少女を見たことがある。
彼女は確か…

「アビゲイル…?」
「初めまして。会えて嬉しいわ、舞さん。」

彼女はそう、FGOにて登場するサーヴァントの1人、アビゲイル=ウィリアムズだ。

「ここはどこ!?それに君は…!」
「言ったでしょ?ここは黒きハリ湖。あなたを呼んだ声の主が封印されてる場所。」
「声の…主?」

僕を呼んだのが…この湖の中にいる?

「でもダメ。私はあなたを巻き込ませないためにここに来たの。」
「巻き込ませないって…何を?」
「多くは語れないわ…関わればあなたの人生はロクでもないことになる。ただ…。」

アビゲイルは一息置いて、僕に言った。

「お願い。あなたの住む町がおかしな事になる前に、"葛飾北斎"とは縁を切って。」
「…?」

お栄ちゃんと、縁を切る。
すなわち、サーヴァントととの契約を破棄しろということなのだろうか。

「黄衣の王は私が何とかする。だからあなたは北斎と離れるの。そうしないとあなたは…あなたは…!」
「…。」

突然、空から光が降り注ぐ。
気だるさに包まれ、今度はしっかりと僕を呼ぶ声が聞こえた。
これは…お栄ちゃんの声だ。

「時間みたいね…いい?舞さん。私との約束は必ず守って。」
「守るって…でもお栄ちゃんは…。」

お栄ちゃんはただ、僕に恩を返したいからこっちに来たと言っていた。
悪いことなんて考えて無さそうだし、それをこちらから縁を切るだなんて。
それにそんなことをしてみたとしよう。僕が危ない。

「これは必要なことなの。あなたがこれから起きる事に巻き込まれないために…黄衣の王に…■■■■に呑まれないために…。」

最後の方はよく聞こえなかった。
だが、彼女は一体何を警告しに来たのだろう。
何かに巻き込まれないため、と言っていたが…。
しかしそう考えているのと束の間、
視界は真っ白になり、身体も白い光に包まれていく。
しっかりと聞こえる彼女の声。

そうして僕は、夢から覚めた。




それから、
桐生が行方不明となった話は次第に学校の話題から薄れていった。
けどそれは時間の経過によるものじゃない。主な理由としては新たな噂があるからだ。

「ねぇねぇ聞いた?この街の連続殺人事件。」
「あー聞いた!マジヤバいよね!」

臨時で開かれた全校集会。
近くの女子がひそひそと話しているソレだ。

「えーみなさん。こんな時に集まってもらって申し訳ないね。」

校長先生の話が始まる。
集められた理由も、それだ。

この街で起きている謎の連続殺人事件。
被害者はホームレスやサラリーマン、土木作業員などの工事に携わる人達など職も年齢もバラバラ。
共通するのは深夜であることと、そして

「なんか食い散らかされたみたいだったんだって。」
「マジ?やっぱオオカミの仕業なんじゃない?」

被害のあった現場は非常に惨いものだったと聞く。
まるで何かに食い荒らされたような、
そして時折聞こえる、狼のような動物の遠吠え。

学生達の間ではオオカミが化けて出て人間達を襲っているという噂で持ちきりだ。
絶滅に追い込んだ人間に復讐してる説
まだ生き残っていたオオカミが狩りをしてる説など
あくまで仮説と噂に過ぎないが僕ら学生達はそれらを信じきっていた。

そしてこの臨時集会を通して校長先生がみんなに伝えたことは

夜間の外出を控えること。
アルバイトをしている者もしばらく夜の仕事は休むこと。
どうしても外出しなければならない時は近場で済ませるか、人通りの多い場所を歩くか1人では絶対に行かないこと、など注意を促すものだった。

警察達も必死の捜査をしているとのことだが、犯人は未だに証拠のひとつも残しておらず難航しているという。
僕も夕方から夜にかけて喫茶店のバイトをしているが、店長に話して暫くは控えた方が良さそうだ。




深夜。

最近の事件のこともあり、繁華街も人通りが少なく、街は静かだった。
そんな中、ひっそりとした駅周辺にて騒ぐ若者が何人か、

「やべー俺!酒飲んじゃった!!」
「マジやばくね?こいつロックで一気飲みだよ!?」

それは葛城舞が通う高校の同級生達。
さらに言えば、彼らは桐生の取り巻きであった。
いや、元・取り巻きと言った方がいいのかもしれない。
男女複数人、彼らは校長先生の注意など知るかと言わんばかりに夜の街を練り歩き、酔っぱらいの財布をスリ、さらには飲酒など非行のオンパレードであった

深夜であるというのにもお構い無しにギャーギャー騒ぐ彼ら。
そんな彼らの前に

「よう…俺なしでも楽しそうだなお前ら。」

かつてのリーダーが姿を現した。

「あれ?桐生じゃね?」
「あ、マジだ。キモ。」

制服は薄汚れ、不気味な笑顔を浮かべた彼に女子の1人は思わず率直な感想を漏らす。

「おいやめろよ可哀想だろ。女にボコされて傷心中なんだからよ!」
「そーだよ桐生!今までどこいってたんだよ〜!」

そんな女を前にして逃げ出した自分を棚に置き、ふざける取り巻き。
1人は半ば励ますように桐生と肩を組み、ポンポンと背を叩くが

「ご…」

その肩を組んだ男子生徒の首がちぎれた。

「…。」

さっきまで騒いでいたが、そんな現実離れした光景を見せつけられ静まり返る一同。

ゴリゴリ、ゴリゴリと何かを砕くような音が聞こえ、

「ひっ…!」

どこからともなく、男子の頭がべしゃりと吐き出された。

「い、いやぁぁぁぁーーーーッ!!!!」

女子の悲鳴で周囲はパニックに。
だがそれに反比例するかのように桐生の笑顔はどんどん歪む。

「俺を見捨てたろ?これはその時の罰だ。」

何かに切り裂かれ、男女複数人が上半身と下半身で真っ二つになる。

突如脇腹が何かに"食いちぎられ"、血を振りまくスプリンクラーと化す生徒だったもの。
手足、頭、それらが何かに噛みつかれ、切り裂かれ、周囲にバラバラになって散っていく。
まさに地獄絵図。
数分前まで若者が騒いでいた駅前は、
一瞬にして地獄と変わった。

「ひ…ひぃ…っ!」

そして、運良く生き残ってしまった女子生徒が1人。
完全に腰は抜け、あまりの恐怖に失禁してしまっていた。

「き、桐生くん…おねがい…おねがいゆるして…!!」

どうなっているのか分からないが、ともかくこれは彼の仕業だろうと推測し彼女は必死に謝る。

「お願い…なんでもする…なんでもしますから…!!」
「あっそ。」

ズン、と、女子生徒の前に何か大きなモノが降り立った。
目には見えない。だが、"何か"が確かにそこにいる。

「じゃあ死ねよ。」

ひゅん、と何かが通ったこと思えば次の瞬間、ゴトンと彼女の首が落ちる、
幸い彼女は、苦しむことなく絶命した。

「ああ…復讐ってのは実に気持ちのいいもんだなぁ…。」

血みどろの道路を歩き、彼は夜空を見上げて清々しいほどの笑みを浮かべる。

「さてそろそろだ…俺をコケにした奴らを…ぶっ殺しに行こうかな?」

その日の夜もまた、
狼の遠吠えがこだました。 
 

 
後書き
生徒たちを襲った"巨大な何か"
毎晩聞こえる狼らしいものの遠吠え
桐生が従わせているのが一体なんなのか、
まぁリメイク前のもの知ってる人なら分かっちゃうやつですね。
次回からエロは消え失せます。
ハンバーグのないハンバーガーみたいな回が続きますがどうかそこのところはご勘弁を!
これが終わり次第、ガッツリ舞くんいじめる予定ですので!
それでは次回もお楽しみに!! 
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