『外伝:紫』崩壊した世界で紫式部が来てくれたけどなにか違う
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それからあたしは、傭兵を知る
前書き
こんにちは、クソ作者です。
コラボ回ですよコラボ回!
まだハーメルン連載時、感想欄にてコラボしてくださいという要望が二件あったのを思い出し、それを実行に移すことにしました。
今回のコラボはその二件のうちの一件目です。
コラボ先の作品は実はもう完結してしまっており、さらに作者様には無許可ですけどなんかもう別にいっか!と思いコラボさせることにしました。
やけくそ気味に終わっちゃった作品なので、何とかしてクソ作者の方で救済したいなと思い書きました。
それではどうぞ!
葵紫図書館が出来て早3ヶ月。
当初の目的である英霊達の本を書くという仕事は大体出来ていた。
各地へ取材へ赴き、話を聞いて本にする。
中にはこのように書いて欲しいと頼まれたりもしたけど誇大表現はよくない、あたしはなるべくなりのままで書くことにした。
村にいたロボと森長可、
ゴーレムを販売するアヴィケブロン。
さらにその後様々なサーヴァントを取材し
孤児院にて御伽噺を聞かせるシェヘラザード
イルカショーを開催して子供達を喜ばせるジャンヌなど、
ともかく色々なサーヴァントがいる。
そして、そのたびに邪魔をしてくるのが葛城財団。
まぁ大抵はあたしがなんとかして追い払うのだけど、奴らは本当に懲りない。
で、
「傭兵…?」
「はい、この辺りにそういった生業のマスターがいると聞きまして…。」
ある日、取材のネタが舞い込んできた。
傭兵。
お金を払って雇い、護衛とか戦いとかやらせるあの傭兵だ。
この時代、やはりどうにも武力というものは必要になってくる。
というわけでとあるマスターは自らのサーヴァントの戦闘能力を活用し、傭兵稼業をしているという。
血なまぐさい職業だなぁと思いつつも、あたしはどういった仕事をしているのか気になった。
「じゃあ行ってみようか。」
「はい。」
荷物をまとめ、その傭兵がいるところへ向かうことにする。
その間図書館経営は休まない。
あたしや香子がいない時には、式神ゴーレムが代わりにやってくれるのだ。
とはいっても本の貸し借りのみだけど。
⚫
葵紫図書館から離れ、場所は神奈川県座間市、
そこに傭兵がいるのだという。
とはいっても傭兵というのはたくさんいる。
選んだ理由としてはたまたまここにいる傭兵が図書館から近かっただけだ。
それとなんかその世界では割と有名な奴らしいのは後で知った。
程なくして更地のど真ん中に広大な畑と大きな家が見える。
おそらくあれが傭兵の家なのだろう、
畑やソーラーパネル。どうやら自給自足で賄っている様子。
「すいませーん。葵紫図書館の源でーす!」
取材に伺うと事前に連絡はしてある。
ノックして声をかけると、少ししてドアノブが回った。
「いらっしゃい。お客様ね!」
出迎えてくれたのはサーヴァント。
長い金髪にあたしと同じ青い瞳、その細腕で大事そうにクマの人形を抱えており、少女は愛らしい笑顔であたし達を迎え入れてくれた。
「アビゲイル・ウィリアムズよ!よろしくね!」
そう、彼女はサーヴァント。
フォーリナーのアビゲイルだ。
「よろしく。あたしは源葵。こっちはサーヴァントの紫式部。」
しゃがみ、彼女と同じ目線に合わせ挨拶も握手をする。
「それじゃあ少しだけ待っててくださいな!」
そういい、アビゲイルは家の中へととたとたと入っていった。
中からは「マスターさんマスターさん!お客さんよ!」という彼女の声が。
どうやらマスターを呼びに言ったらしい。
それから少ししてアビゲイルに手を引っ張られる形でマスターがやってくるのだが
「な…!?」
衝撃的な光景だった。
サーヴァントというものは、原則一騎とされている。
だがたまに、複数のサーヴァントを所持するマスターも少なからず存在しているのだ。
横須賀にて孤児院を営む院長先生などがそうだったと、シェヘラザードさんから聞いたこともある。
問題はそこじゃない。
「取材ぃ?なんだそれは。吾に菓子でもくれるのか?」
「取材って何するんだろう…や、やっぱり前もっておしゃれした方が良かったのかな…!」
「図書館の人だね。うん。噂には聞いているよ!」
マスターの周りにいるサーヴァント
茨木童子、イリヤ、ダ・ヴィンチ(子供)
そしてさっきのアビゲイルを含めても、
「あの…これは…?」
自己紹介よりも前に、あたしは思わず尋ねてしまう。
「ああ、俺のサーヴァント。」
「…な、なるほど…。」
このマスター、
サーヴァントに偏りがあるというか…もしや小児愛者?
「まぁとりあえず上がれよ。取材に来たんだろ?」
「え、あ、まぁはい。」
ぶっきらぼうな態度で招かれ、あたしと香子は彼らの家へと上がる。
家の中は予想通り広く、10人ほどでも余裕で暮らせそうなスペースがあった。
そして、
部屋の中に入り、あたしはさらに驚く事になる。
「あぁ、お客さんやね。いらっしゃい。」
「マスター!お客さんが来るなら前もってあちきに報告しておいて欲しいでち!来客用のお菓子も用意してないんでちよ!」
酒呑童子に紅閻魔。
さらに奥の部屋にはランサーのメドゥーサやクロエ、ジャック・ザ・リッパーもいる。
この家には、ありとあらゆる少女系…いわゆるロリのサーヴァントがいたのだ。
「…。」
「ああこの人…そういう趣味なんだうわ引くわーって思ったろ?」
「あ、い、いいえ全然!!個性的でいいかなーと!」
図星なので慌てて弁解する。
「あ、あたしだってあの…!女性しか愛せないですし!?それと比べたら小児愛者なんて全ッ然まともだしそもそも好きになるものなんて人それぞれですよ!ね!紫式部!」
「え、あ、はい…。」
あたしは何を言ってるんだろうか。
傭兵はフッと鼻で笑うとソファーに腰掛け、口を開いた。
「どう思おうが関係ねぇよ。俺達は傭兵やってるんだ。今更悪く思われようが痛くも痒くもねぇ。」
「…。」
そう言われれば何も言えない。
いや、ここで怯んではならない。
"取材"をしなければ
「というわけでその…今日来たのは取材に窺うためなんですが…。」
「ああいいよ。そこに座って。多分紅閻魔がそのうちお茶持ってくるから。」
台所らしきところからは「どうして全員に報告しなかったんでちか…これは今晩お仕置でち!」と小言が聞こえてくる。
「あの…。」
「ん?」
「前もって連絡はしたんですが…。」
「あー…自分だけ知ってればいいかと思って他のやつに言ってなかった。」
そういうことか…。
「じゃあ…取材に入らせて頂くんですが…。」
「タメ語でいい。俺より年上でしょ?」
「え…?」
どこか慣れたような感じのする彼だが、なんと世界が崩壊する前はただの高校生。
つまり、彼は未成年だ。
「が…学生!?」
「他にやるべきこともなかったし、こうしてなんだかんだで傭兵やってる。まぁこれはこれで楽しいしな。まぁ後ろ指さしてアレコレうるせぇ奴もいるけど。」
未成年であることに驚く中、彼は淡々と傭兵になった経緯を語る。
本当に成り行きのままだったらしい。
世界が壊れ、気が付いたらアビゲイル、メドゥーサ、紅閻魔がいた。
さらに後日サーヴァントが増える。ジャックとダ・ヴィンチ。そしてはぐれサーヴァントとなっていたイリヤや美遊、酒呑童子と茨木童子の四騎をこちらで引き取ったと。
最後のクロエは
「捕まってた。」
「捕まってた!?まさか葛城財団の…!」
「いや、それとは違う。なんか胡散臭い新興宗教だよ。」
酒呑童子と同じく仲間をからかい、お姉さんぶるクロエではあるものの彼女は過去に宗教組織に捕らわれ、ひどい仕打ちを受けていたとのこと。
「ホント…クソみたいな組織だったよ。あんな奴ら死んだ方がマシなくらいにな。」
何かを思い出したように、傭兵は意味深な表情をして顔を俯かせる。
「…。」
「…あの…。」
「ああ悪い。思い出したくもない事思い出しちゃってな。」
手を横に振るい、彼は誤魔化すように軽く笑う。
「ともかく今のは忘れてくれ。胡散臭い新興宗教なんてのはこのご時世腐るほどいるしな。」
新興宗教…といえば人間同盟とかいうものを思い出す。
あたしの両親だった人が支部を勤めていた、本当にクソみたいな宗教組織。
「それじゃ話を戻すか。図書館の方々が聞きたいのは俺の仕事内容だろ?」
「まぁはい。」
いよいよ取材らしい取材が始まる。
ちょうど紅閻魔もお茶とお菓子を持ってきてくれた。
「さっきも言ったが俺は傭兵をやってる。金次第でなんでも請け負うってヤツだ。」
「はい。」
「なんなら殺しもな。」
「…。」
金次第ではなんでもする。
言い換えれば、金さえ積めば誰であろうが躊躇なく殺す。
彼という男に何があったのかは知らない。
けど、未成年でありながら彼は人殺しをすることが出来るという覚悟があるのは確かだ。
それに普段の立ち振る舞いからひしひしと感じる謎の威圧感。
そのせいで最初は私より年上かと思ったほどだ。
「まぁこんな世の中、俺みたいにサーヴァントを連れて傭兵業を営む輩はごまんといるが、どうやら俺達はその中でも得にイイらしい。自負もしてる。」
これだけのサーヴァントを連れているんだ。
いい評判や実績を持っていても不思議ではないだろう。
「ああそうだ、なんなら見てくか?俺達の仕事。」
「えっ、」
と、言われたことをメモしている中、突拍子もないことを言い始めた。
「百聞は一見にしかずだ。こうして聞くより見てもらった方が早い。ちょうど仕事の依頼も入ってる事だしな。」
「え、そ、そうなんですか…。」
そう言うと、彼はソファから立ち上がり、ノートパソコンらしきものを持ってきた。
「アンタは最近ネットで評判の"テイマー"って知ってるか?」
「テ、テイマー?」
勿論知らない。
テイマー。英語なら"調教師"という意味だがどういうことだろう。
調教…おそらく子供には見せられないソッチの意味ではないだろうか、
そう思ったが見せてきた動画は、あたしの予想を見事に裏切った。
「なに…これ?」
パソコンの液晶に映っているのは走っている女性。
服は所々破れボロボロであり、彼女は時節振り向きながら何かから逃げているように見えた。
そして、
「…!?」
建物の陰に潜んでいた何かが飛び出し、女性を押し倒す。
子供ほどの身長、酷くやせ細った手足とは対照的に出っばった腹部。
それはFGOの敵モンスターの一種、『小鬼』であった。
「なにこれ…!」
「まぁ見てな。」
押し倒された女性。
さらにそこに数匹の小鬼が押し寄せ、次々と女性に襲いかかる。
服を破られ、裸に剥かれた女性は抵抗も虚しく犯される。
小鬼達に強姦され、悲鳴に近い声を上げ、嫌だ嫌だと叫ぶ。
足をバタバタとさせ、足掻いてはいたものの次第にそれは弱くなり、やがて動かなくなった。
ひとしきり犯し終えた小鬼達は、動かなくなった女性はの髪を掴むとどこかへと引きずっていく。
すると、撮影していたカメラが動き、今度は仮面を被った男が映し出された
『ざんねーん。今回のゲストも無事に逃げ切ることはできませんでした!ま、そっちの方が視聴者さん的にも有難いしいっか!というわけでまた次回!おったのしみに〜!』
仮面の男は明るく間が抜けた感じにそういい、手を振って動画は終了。
しばらく唖然となっていたが、傭兵は口を開く。
「これが動画配信者、テイマーだ。どこかから女性をさらい、そいつを自分が飼ってるモンスター達と文字通り"鬼ごっこ"させる。」
「そんな…そんなこと…!」
「ちなみに生還者はゼロ。ゲームから逃げ切ったとしてもまた捕まって第2ゲームが始まる。」
つまり、
元から帰す気はないと?
「それでだ、どうやらこいつここから少し行った所の廃工場を拠点としてることが分かった。今から潰しに行くが、どうだ?」
どうだと言われても、行くしかないだろう。
仕事内容を知るためにもそうだが、まず
「酷過ぎる…まるで女性をオモチャみたいに…!」
ゲームと称し、女性をモノのように扱うことが許せなかった。
「じゃあ決まりだ!イリヤ、ダ・ヴィンチ、酒呑。今回はお前達の出番だ。」
膝をパンと叩き、立ち上がるマスター。
名前を呼ばれたサーヴァント達は振り返り、各々の反応を示す。
「え、わ、わたし!?」
「そないなとこ行くんやろ?惨い死体がぎょうさん転がっとるやろなぁ…。」
「こ、怖いこと言わないでください!!!」
酒呑童子にからかわれ、青ざめた顔でイリヤちゃんはそう叫ぶ。
「んで、アンタと紫式部にも手伝ってもらう。」
「え、あたしも…?」
「当たり前だよ。なーに職場体験ってやつだ。実際に体験した方が本にも書きやすいってもんだろ?」
確かにそっちの方がいいかもしれない。
香子はどう思っているのだろうと振り返り聞こうとしてみると
「なんやろこの牛女みたいな乳。牛乳でも詰まっとるん?」
「いえ…そうではなく。」
「おもしろいわぁ。つつけば跳ね返ってきはるしゴムボールみたいやね。茨木も触ってみ?」
それどころではなかった。
鬼二人に絡まれ、弄られている。
「!!なんだこれは…!一体何を喰らえばここまで大きくなれるのだろうな?酒呑。」
「さぁ?」
「や、やめてください…!!」
主に胸を重点的に。
「おーいいつまでやってる、次の犠牲者が出る前にさっさと行くぞ。」
「はぁい、旦那はん。」
艶かしい声色で返事をし、酒呑童子はマスターに寄り添う。
「あ、葵様。」
「話は聞いてた?これからあたし達もそこに行くんだってさ。」
「ええ、ある程度は聞いておりましたが途中からは…。」
⚫
それから家のそばに停めてあった装甲車らしき車に乗り、あたし達と傭兵はその残酷極まりない配信が行われている廃工場へと向かう。
「あの…えーと…。」
「尾頭 守。自己紹介が遅れて悪いな、葵さん。」
「ああ、尾頭さん。」
装甲車の中で会話を交わすあたしと尾頭さん。
彼は運転席に座ってはいるのだが、ハンドルは握らず手を頭の後ろに回してリラックスしている。
そもそも彼は未成年だし、運転していい年齢ではない。
「この車は?」
「ダ・ヴィンチちゃんがイロイロ魔改造してくれてな。俺と神経が繋がってて念じるだけで走れる。まぁ自分が車になったみたいな感じだな。」
何そのオーバーテクノロジー…。
「そうだ葵さん、着くまでの暇つぶしに昔話でもしてやろうか?」
「…?」
傭兵から聞ける貴重なお話だ。
ここは聞いておこう。
「アンタは世界がこうなってから、インチキ臭い宗教団体がわんさか出てきたのは知ってるよな?」
「ええ、勿論。衝突したし。」
あたしが出くわしたのは『人間同盟』
しかし尾頭さんによれば、全国には様々な宗教があるらしい。
場所によって様々ではあるが、目的や理念は皆同じ、
サーヴァントは人類の敵、ということだ。
「これは、俺がある宗教組織を潰しに行った時の事なんだけどな…。」
「…。」
「サーヴァントは人類の敵、とか言いながら道具みてぇに扱う極悪組織がいてな。そりゃひどいもんだったよ。」
人類共同戦線。
世界がこうなったのはサーヴァントなるもののせいだと決めつけ、それらを排除すべく動き出した宗教組織。
だがそれは名ばかりで、彼らも悪の象徴であるサーヴァントを使っていた。
まさに"矛盾"だ
「クロエもそこで捕まっててな。んでカチコミかけたらお偉いさんが知り合いだった。」
「知り合い?」
「そう、誰だと思う?」
と、尾頭さんはあたしに少し時間をくれるが、友達や元クラスメイトだろうかと答えても全てハズレだった。
答えは
「俺の両親だよ。見ねぇと思ったら、インチキ宗教率いてやがった。」
「…。」
「葵様と…同じ…。」
同じく装甲車の中にいた香子がそう言う。
そう、彼は…あたしと同じだった。
「ん?そうなのか?」
「いやまぁ、あたしも両親が人間同盟の支部長任されてたってだけ。縁は…切ったけど。」
「切るんなら縁はだけじゃなくついでに首も切っとけ。俺はそうした。」
と、親指で首を切るジェスチャーをする彼。
その後「いや、正確には散弾銃でミンチにしたか。」と付け足した。
「両親を…。」
「俺を息子とも思わなかった。サーヴァント達をこき使い、消耗品のように使い潰していく。そんなの育ての親じゃない。"クソ"だ。そこら辺にあるハエのたかった犬のクソと大して変わらないクソ野郎だ。」
立てかけてある大きめの散弾銃を持ち、彼はその時のことを思い出すかのように話していく。
「旦那はんはやると決めたらやる。うちはそういうところにも惚れ込んでな。一生ついて行こうと思ったんよ。」
酒呑童子がそういうと、尾頭さんは余計なことを言うもんじゃないと注意はするが、満更ではなさそうだった。
「その他にも殺しはやった。躊躇なく殺した。金のため、生きるために俺と俺のサーヴァント達は無慈悲に容赦なく殺してった。これが…このぶっ壊れた世界での俺達の"生き方"だからな。」
「…。」
「最低のクズ野郎って思っただろ?今なら取材をやめて図書館に逃げ帰ってもかまわないぞ。」
いや、それは違う。
「人を殺すってのはよくないと思う。けどあたしはそれが完全に悪だって決めつけることはもっと良くないと思う。アンタが誰かを殺すことで、他の誰かが救われることもあるかもしれないから。」
「へー、そうかよ。」
人を殺すことは確かにいけないこと。
だが、それで救われる命もどこかにある。
これから行う依頼もまさにそうだ。
テイマーという動画配信者を殺すことで、救われる命はきっとある。
「なかなか面白い意見が聞けたよ。悪い人殺しもあれば良い人殺しもある。自己満足の偽善者が言いそうなくさい台詞だが、気に入ったよ。」
「しない善よりする偽善。自己満足でも満足するならそれでいい。あたしのおばあちゃんはそう言ってました。」
「すごいばあちゃんだな。ま、俺のばあちゃんはもっとやべぇけど。」
そういい、尾頭さんは車を停めた。
前を見れば立ち入り禁止のプレートが何枚もぶら下げられたフェンスが行く手を阻んでいる。
ということは
「着いたぞ。それじゃあお仕事開始だ。」
散弾銃を担ぎ、装甲車から出ていく尾頭さん。
彼の後に続き、イリヤちゃん、酒呑童子と出ていく。
そしてダ・ヴィンチちゃんは
「私はここで車の見張りをしてるよ。何かあったら無線で伝えるからね。」
そういい、装甲車にて待機。
「葵様。」
そうして、あたしも装甲車から飛び降りようとした時、香子が心配そうな面持ちで話しかけてくる。
「どうしたの?」
「いえ、先程の会話、ピリピリと緊迫した空気だったので。」
「…そう?」
マスター同士の会話。
その間には独特な空気が流れていていつ弾けるか、香子とイリヤちゃんは別の席でそわそわしていたことを聞かされた。
「問題ないよ。あの人は色々と最低な人かもしれない。けど"悪人"ではないと思うんだ。」
先に装甲車から降り、後から続けて降りる香子に手を伸ばし、リードする。
「ほら、お手をどうぞ。」
「ありがとうございます。」
装甲車から降りると目の前に広がるのは廃工場。
かなり大きく、場所によっては蒸気やら煙が吹き出し、どうやら稼働しているようだ。
「ここにテイマーが?」
「ああ、間違いない。動画に映ってた場所まんまだ。」
散弾銃をコッキングし、尾頭さんはいくつもの南京錠がかけられた入口らしきところめがけ発砲。
改造したものなのだろうか、威力はすさまじく鍵どころか入口ごと消し飛んだ。
「さぁ行くぞお前ら。人気配信者気取りの異状性癖者を狩りにな。」
そうしてあたし達は、傭兵の仕事を目の当たりにする。
後書き
色々書いていた時、ふと思ったんですよ。
今回でてきた尾頭くん、そして葵ちゃんには思わぬ共通点があったなと。
両親が新興宗教の組織に入ってるんですよね。
そしてどちらも決別してます。
この共通点を見つけた瞬間、これはコラボするしかねぇなと思い今回の話を書きました。
尾頭さんの態度終始悪いけど…こんな感じだったような気もします。
でも、クソ作者はこの人は悪い人じゃないと思います。
こんな世界だもん。悪いやつの1人や2人殺したっていいじゃない。
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