IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
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【第250話】
前書き
ここから五巻です
短いですが
高校生活の夏休みもあっという間に過ぎ、九月三日。
まだまだ夏の残暑が残る厳しい日差しに、吹き出る汗は止まらない。
始業式では、新たに臨時教師の就任で学校の生徒を湧かしたが、その人が誰だかもう知っていた俺と美冬は驚く事はなく、ただただ挨拶を聞き入るだけだった。
その人は自分の母親でもある有坂真理亜その人で、一年生の基礎整備技術及び一般教科として現国を教えることになったのだ。
……何か、母さんも一緒にここに居るってのが不思議な感じがする。
一応母さんからは、「学園では先生って呼んでねぇ」という相変わらず間延びした言葉で俺や美冬に言ってきたが……。
それはそうと現在、IS学園グラウンド内に、一組二組の生徒が集まっている。
理由は、これから二学期初の実戦訓練が始まるからだ。
「二人とも、準備はいいか」
織斑先生の鋭い眼光が光る。
その言葉に、正面に対峙していた二組代表【凰鈴音】――通称、鈴音(俺だけが呼んでる)は――。
「えぇ。 準備万端です! 気合いも充分ッ!」
織斑先生の言葉に、力強い言葉と共に頷く鈴音の瞳には闘志が宿っていた。
「有坂、準備はどうか?」
眼光の鋭さは変わらず、腕組みしたまま視線を移す織斑先生――。
「ん。 大丈夫です。 ステータスに異常も無く、すこぶる調子が良いですよ」
その言葉を聞き、瞼を閉じると――。
「……そうか。 山田先生、埋設したシールド発生器の起動を」
「わかりました」
短く返事をすると、機械を操作する山田先生。
すると、一組二組の生徒全員を取り囲む様に青色の、まるで膜のような薄いバリアーが四方八方に発生する。
……夏の臨海学校で、織斑先生が母さんに頼んだ物らしく、生徒の安全を守る為の物らしい。
これを織斑先生が発注したということは、多分俺と篠ノ之の臨海学校の模擬戦が原因だろう。
因みに、触れても問題はないどころか、普通に出入り出来るのだからこれまでのバリアーの上をいく技術かもしれない。
……耐久力までは俺はわからないが、何でもフル出力の荷電粒子砲すら弾いたと聞いたが……。
「二人とも、ISを展開しろ」
透き通る声がグラウンドに響くや、一旦思考するのを止めて――。
「来て! 甲龍ッ!」
「村雲、展開!」
二人の叫びがグラウンドを木霊し、一瞬の目映い光を放つとその身にISを纏っていた。
「ふふん。 二学期初戦からあんたと対戦とはね。 ……模擬戦はいっぱいやったけど、やっとあの時のクラス対抗戦の決着がつけられるわねッ」
光る八重歯に眩しい笑顔。
決着をつけられるのが嬉しいのか、軍のテスト以外で久々にのびのびとISが動かせるのが嬉しいのか定かではないが――。
「……決着か。 あの時と違うのは、俺が空を飛ぶのと【単一仕様の発現】、そして【第二形態移行】だな」
「そうね。 ……だからって、手加減して手、抜いたら怒るからねッ! 本気のあんた、あたしに見せなさいよッ!!」
言って、光の粒子が鈴音の掌で集束すると甲龍の武器、双天牙月が握られる。
「……まあ今回は特にレギュレーション決められてないからな。 使うかどうかは俺の判断だけどな」
静かにそう言い、虚空から現れた天狼が空から降り、地面に突き刺さる。
それを引き抜くと、淡い翠の光がポゥッ……と刀身を包みこんだ。
――と、ここで俺に語りかける声が聞こえてくる。
『ヒルト、聞こえる? ……久しぶりっ』
声の主はムラクモ――暫く話せないって言ってたが、どうやら話せるようで――。
『久しぶりだな、ムラクモ。 ――あれから福音は?』
『んと、やっぱり封印されてて私だけじゃちょっと無理かも。 ――また、時間があったら此方に来てくれる? 案内するから』
『了解。 時間を作るよ。 ――今から模擬戦だが、ムラクモは大丈夫か?』
そんな俺の言葉に、嬉々とした声で応える――。
『へへっ、勿論大丈夫よ? ……でも、あんまり女の子と仲良くなってるとIS起動させないからね』
『……おぉぅ、それされたら緊急時にピンチになるから勘弁を……』
『うふふ♪ 冗談よ♪ ――じゃあヒルト、いつも通りにね? 私もサポート出来るけど、今回はヒルトの試合を見させてもらうねっ』
そんな言葉を残し、聞こえなくなると――ハイパーセンサーに映し出されるシグナル。
一つ目が点灯すると、俺も鈴音も上空八〇メートル地点まで飛翔――直ぐ様二つ目のシグナルが点灯する。
ISを纏った為、夏の残暑は感じないものの、太陽の眩しさだけは変わらず俺や鈴音、IS学園を照らしている。
――そして、三つ目のシグナルが点灯するや、俺と鈴音、二人の実戦訓練が始まった――。
後書き
暫く戦闘が続くかもです
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