崩壊した世界で刑部姫とこの先生きのこるにはどうしたらいいですか?
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コラボ章-様々なサーヴァントとマスター…そして性癖。-
『J』姉なるやべーもの/イルカショーの乱入者
前書き
こんにちは、クソ作者です。
ついにコラボ二件目。いや、三件目か。
みんな大好きな自分を姉だと思い込んでる夏のお姉さん(鮫)のあの人とのコラボです。
ポロリはないよ!
それでは本編どうぞ!
そうして葵さん、北斎と別れを告げ俺達はイルカショーの会場、『シルク・ドゥ・ルカン』へとやってきた。
やってきたわけなのだが
「めっっっちゃ並んでんじゃんかよ…。」
「だね…。」
すごい。
滅茶苦茶長い行列。
これどこまで続いてんのってくらい長いやつ。
俺はこういう並ぶのは嫌いなんだよな。
ネズミの国のアトラクションとか、行列のできるレストランとかあんじゃん?
よく並ぼうと思えるよな。
俺だったら見ただけで断念するわ。
「まーちゃん、平気?」
「何がだよ?」
「だってまーちゃん短気そうだし、行列とか嫌いそう。」
「さすが俺のサーヴァント。マスターのことよく分かってるじゃんかよ。」
だけど折角ここまで来たんだしな。
これはおっきーのための慰安旅行なのだから彼女の意見を尊重しよう。
「でも俺は平気だよ。お前は?」
「へーきへーき。こんなのサバフェスの列に比べればなんてことないし。」
歴戦の兵士はやはり違うのな。
そんなわけでこのクッソ長い行列に加わることにした。
「イルカショーか…鴨川で見たくらいだな。」
「へぇ、そうなんだ。」
「小学校の遠足でな。クラスの奴らがギャーギャー騒いでて何が面白ぇんだかって一人で見てた。」
(昔からそういう人だったんだまーちゃん…。)
友達?いたことねーよ。基本人生ソロプレイだわ。
「でも今は楽しみだよ。イルカショー。」
「そうなの?」
「お前が一緒にいるから。」
「…。」
おい、黙るなよ。
くっせぇ台詞吐いてただでさえ死ぬほど恥ずかしいのによ!
「そ、そうなんだ…へぇ…。」
「…。」
「…。」
「…。」
「ね、ねぇまーちゃん。」
「うん?」
「"同人誌"とかって、興味ある?」
気まずかったんだろな。
話題を変えてきたぞ。
「まぁ興味はあるわな。」
「いつかさ、サークル開いてサバフェス行ってみたいなぁーって思うんだけど、どう?」
「…。」
サバフェス。
実はこの崩壊世界にはそんなものがある。
定期的に行われるもので、本売ったりコスプレ披露したりする大会みたいなやつ。
まぁ平たく言えばコミケだ。
世界が大変なことになっても、そういったサブカルチャーは元気にやってるもんだ。
さっき言ったように俺はそういった人がたくさん集まるところは嫌いだ。
だが、
「面白そうかもな。興味はある。」
「ほんと?」
買いに行くのではなく"売る"側になる。
そういった経験をしてみたいなとも思った。
いつかサークルを開いて、神クオリティレベルのおっきーのえっちな同人誌を出したいぜと夢見たこともあってな。
まぁ夢見ただけに終わったけど。
「じゃあいつか参加する?サバフェス!」
「いつかな。」
こうして、二人でサークルを設立してサバフェスに参加することを約束した。
ちなみに初参加し、
『秘密庭園 葵紫』と『肉棒むらむら』とかいうサバフェスで超有名な二大サークルに挟まれるのはまた別のお話…。
それから…
「まーちゃんてさ、ロリコンってどう思う?」
「クソ。」
「ハッキリ言うね。」
「俺ロリには興味ねーから。メスガキとかただムカつくだけじゃん。」
「なぁ、昼どうする?」
「んー。折角だから名物とか食べてみたいよね。」
「調べてねーや…。」
「まーちゃんて、マキさんのどの辺が好きなの?」
「優しいとこ。太ももと尻がえっちなとこ。これは俺の推理なんだが多分あの人、未亡人だぜ?そしてその寂しさを常連客である俺で埋める毎日。やりきれない葛藤。俺に対する欲望は積もりに積もり、ついにマキさんは危険な領域に突入してしまう。性の捌け口となってくれていた夫は最早どこにもいない、せめて一度だけ…そう呟きマキさんは押し倒した俺のズボンのジッパーをゆっくりと下ろ」
「シチュの話はもういいから!」
「まーちゃんはさ、世界がこうなる前なにしてたの?」
「人生ソロプレイ。人の不幸を笑う。」
「…そっか。」
「ねぇまーちゃん。」
「なんだよ。」
「式部パイセンと、そのマスターいたじゃん。」
「おう。」
「…絶対レズだよね?」
「ああ、あれ絶対裏でナメクジみてーなレズセックスしてるよ…。」
「おしとやかな文学系女子と見た目不良なスポーツ系女子…。」
「正反対な二人が密室で二人きり…何も起きないはずがなく…。」
とまぁ並んでいる間はこうしてロクでもねぇ話をして時間を潰した。
しかし、待てども待てども行列は縮まらない。
大丈夫?これ今日中にイルカショー見れんの?
と、そう思った時だ。
「喧嘩だー!!」
「サーヴァント同士の喧嘩だぞ!!巻き込まれたくなきゃ散れ散れー!!」
「?」
なにやら騒がしい。
サーヴァント同士の喧嘩らしいのだが
「すんげぇのが喧嘩してんぞ!!宮本武蔵と長尾影虎だ!!」
なんとその二騎の喧嘩なのだという。
野次馬だらけであまりよく見えないのだが確かにちょいちょいそれらしきものは見える。
そして野次馬達はどちらが勝つかと勝手に賭け事を始める始末。
あっちには譲れない武士としての戦いがあるのかもしれないが、それは娯楽に飢えた大衆にとってはただの見せ物なんだろう。
「答えなさい!大和くんはどこ!?」
「貴方のマスターなら、私のマスターとお楽しみ中ですので。それでは私達は私達で楽しみましょうか。」
人だかりの間からちらっと見えた二人。
何やらキレてる武蔵ちゃん。
そして相変わらずヤンデレみてーなやべー笑顔をニンマリ浮かべてる影虎。
「つまり、倒せばいいってことねッ!」
次の瞬間、二人が消える、ほぼ同時に起きる火花。
そう、人間には視認できないスピードで戦っているのだ。
これがハイレベルなサーヴァントの戦い。
きっとこの中におっきーが何らかの手違いで入ってしまえば、文字通り秒殺だろう。
「…。」
「すごいね…。」
「仲間にいれてもらう?」
「無理!」
猛烈に首を振られた。
さて、多数の人達が目の前の殺し合いという名のエンターテイメントショウに移ってくれたおかげで、俺達もだいぶ楽が出来る。
ほれみろ、さっきまであったクッソ長い行列が半分以下だ。
何の因縁をつけられたかは知らないがあの武蔵と影虎には感謝しなくちゃだな。
「行こう。今のうちに前の方とっちゃうぞ。」
それから十分ちょっとで会場内に入ることができた。
やったぜ。
⚫
ペアチケットを見せ、席を指定する。
比較的前の方が空いてるので遠慮なくそこにした。
「…広いな。」
「うん。」
イルカショーの会場はドーム状になっている。
しかし天井は開いていて日の光が差し込みイルカ用のプールの水が煌めいていた。
「なあ、おっきー。」
「なぁに、まーちゃん。」
隣同士で座る俺ら二人。
なんだかんだでこういったことをするのは初めてだ。
「色々…あったよな。」
「だね。」
「探偵やろうっつって…いろんな人と会って、」
「いろんなこともあったね。」
長いようで短いような、
ほんとにたくさんのことがあった。
「でもさ。」
「?」
「多分、一人じゃここまで出来なかったろうよ。それかワイバーンに食われて死んでた。」
「…だね。」
「それもこれも、ここまで探偵やってこれたのもお前のおかげだよ。おっきー。」
「…え?」
なんだその変な顔はよぉ。
唐辛子みてーな口しやがって。
「だから、ありがとうな。」
「ま、まーちゃん?」
なんだよ。
「もしかして…消えるの?」
「消えねーよ!?なんだお前!?人が折角感謝の気持ちを言ってやってんのによぉ!!」
「そ、そうだよね!!なんか素直にそう言われて姫もテンパっちゃったな!!頭冷やしてくるね!!」
何を思ったのか席を立ち、プールに頭を突っ込むおっきー。
「ごぼ!!ごぼぼぼぼ!!!」
「おいやめろバカ!他のお客さんに迷惑だろ!!」
周囲からの変なものでも見るかのような視線を背中に受けつつ、おっきーを止めた。
「ま、まだ待って…!冷えてない!」
「もういいだろ!ほら!始まるって!」
なんだかんだでイルカショーは始まる。
プールからはイルカ達がジャンプし、始まりの合図を告げた。
そしてステージにはそのイルカ達を操るサーヴァント。
「レディースアンドジェントルメン!皆様!ようこそおいでくださいました!」
イルカを飛ばすからアーチャー。そんなブッとんだ理論でルーラーからアーチャークラスへとチェンジした人。
さらに2019年…おっきーの水着が実装された記念すべき夏イベ、『水着剣豪七色勝負』にてとんでもねぇキャラを引っ提げてきた聖女。
お姉ちゃんビームとかいう回避不可能の催眠光線を放ち、ありとあらゆるマスターを弟にし、自分をお姉ちゃんだと思い込んでる精神異常聖女。
その名も。
「ジャンヌ・ダルクじゃん。」
ジャンヌ・ダルク。
ルーラーからなぜああいうやべーやつになったのかは謎である。
「それでは最後までお楽しみください!」
そしてジャンヌはイルカ達に指示を出す。
ホイッスルを吹けば、イルカ達は一糸乱れぬ動きでジャンプし、観客を沸かせる。
持っていたフープを潜らせたり、さらには自分がイルカに乗って高く飛ばしてもらったり、とにかく見るものを魅了させた。
まぁここに見に来てる大半がイルカ目当てではなく…
「すごーい!」(子供の声)
「イルカさんジャンプしてー!」(子供の声)
「ジャンヌさんジャンプしてー!」(大人の声)
「あの胸でイルカの調教師は無理でしょ。」(大人の声)
「競泳水着!ポニテ!ベストマッチ!!!!」(大人の声)
ジャンヌ目当てなんだけどな。
さて、イルカ達がジャンヌの指示で様々な芸を見せ、ショーもいよいよクライマックスに差し掛かった頃である。
「はい!イルカさーん!」
ジャンヌの声で一匹のイルカが跳ぶ。
それと同時にビーチボールを投げあげるジャンヌ。
イルカが投げられたボールを返す芸なのだが…
「!?」
尻尾をボールに叩きつけようとしたその時、破裂したような音と共にイルカが横に吹き飛んだ。
「イルカさん!?」
「そこまでだ!!動物を奴隷同然に扱う悪魔め!!」
その直後、男の声が会場中に響き渡る。
振り返ってみれば出入り口には銃をかまえた男+そのお友達らしき人。
さらにさっきどこかで見た制服、つまり葛城財団の面々がいた。
「我々は人間同盟!!葛城財団と結託し、不当に扱われている動物達を解放しに来た!!」
つまりこいつら人間同盟の主張としてはこのイルカショーにてイルカ達が倫理的に問題のある飼われ方をしているということ。
「さぁ、今日こそこのイルカショーという名の見世物小屋を畳んでもらおうか!!」
銃を向ける男。
だがそれよりも早く
「へぶ」
イルカが男の顔面に体当たりする方が早かった。
「だ、大丈夫か!?しっかりしろ!!」
顔面にイルカの直撃をくらい、気絶した男に仲間が呼び掛けるも、当然返事はない。
「だから何度も言ってるじゃないですか。イルカさんの職場はホワイトです。奴隷同然に扱ってなどいませんよ。」
「嘘をつくな!!」
ジャンヌの主張を否定する人間同盟の奴ら。
「もう我慢ならん!今度こそ貴様を我ら人間同盟が討ち取ってみせる!!」
各々が銃をかまえ、ジャンヌのいるステージめがけ走る。
葛城財団と人間同盟。
この二つの乱入者によって楽しいイルカショーは急遽終わりを告げた。
今から始まるのは戦いである。
だが、
「そーれっ!」
誰一人としてジャンヌには近付けなかった。
彼女の号令にあわせイルカは飛び出し、敵を蹴散らしていく。
体当たりをするもの、尻尾で華麗にサマーソルトをかますもの、噛みついて海に引きずり込んで適度に怖い思いをさせるもの。
どんな強力な銃を持っていようが、まずサーヴァントには勝てなかった。
「つっよ。相手が弱すぎて最早余興だよ。」
ショーの続きだと言わんばかりにイルカ達が飛び交う。
しかし、
「ん…?」
開かれた天井。
そこに、何かが反射して光った。
「なぁ、おっきー。」
「うん?」
「あれなんだ?」
よく見れば人だ。
何やらごついライフルを持って狙いを定めている。
さっき日光に反射して光ったものはその銃身だ。
基本、サーヴァントに銃は効かない。
だが何か嫌な予感がする。
探偵の勘ってやつが囁いてるのさ。
あの銃は…あの弾丸にだけは当たってはいけないと。
「おっきー、捕縛しろ。」
「りょーかーい。」
奴が何かをしでかす前にこちらで先手を打たせてもらう。
幸いスナイパーは狙いを定めていることに集中しているため、自分の身に何かが迫っていることに気付かない。
「…!?」
自分の身体が動かないことに気付くが既に遅い。
彼の身体には折り紙の蛇が絡み付き、もはや身動きひとつとることなどできやしないのだから。
「な、なんだこれは!?」
あまりの出来事に驚いてついうっかり銃を手放し、落としてしまう。
そこそこ大きなライフル。
それが高いところから水に落ちればさぞ派手な音と飛沫を上げるだろう。
そしてそんな音がすれば、ジャンヌは嫌でも気づく。
スナイパーが最後に見た光景は、イルカ。
ジャンヌの指示で自分のところまで飛んできたイルカが、今まさに自分に噛みつこうとしているところだった。
⚫
人間同盟と葛城財団を追い払うことはできたものの、結局ショーは中断することとなってしまった。
さらにこれ以上奴らが何をするかわからないので今日のショーは全て中止。
並んでい待っていた観客達は皆ため息をついて帰っていったのだった。
「…。」
「…。」
誰もいなくなり、ただ波打つプールをぼんやりと見ている俺達。
「イルカショー、中止になっちゃったね。」
「ああ。」
なんだよあの葛城財団といい人間同盟といいよぉ!!
折角のデー…じゃなかった!慰安旅行を邪魔しやがって!
人の恋路を…じゃなくて人の休暇をじゃますんのがそんなに楽しいかクソボケ!!
「折角のデートだったのに…。」
「慰安旅行な。」
おっきーの顔見ろよ!しょんぼりしてんじゃねーか!
あームカムカする!人の楽しみ邪魔するやつは赤兎馬に蹴られて死ね!
「あの…。」
と、心の中でクソ野郎への怒りを募らせているとここの係員らしき人に声をかけられた。
「あ、閉館ですよね。いつまでも居座っちゃってすいません。」
「いえ、そうじゃなくて…」
おっきーを引っ張ってここから出ようとした時、また声をかけられる。
「あの時は、ジャンヌを助けてくれてありがとうございます。」
「あの時?」
あの時というのはおそらく、ジャンヌを狙うスナイパーを撃退したことだろう。
そしてこんなことを言うこの少年はおそらく…
「もしかして…あんたがマスター?」
「はい。ここのオーナーで、ジャンヌのマスターです。」
やはりマスターだった。
しかし俺とそんなに歳が変わらなさそうだというのに、ここのオーナーをしているのだそうだ。
「…いつも、ああなんすか?」
「はい、最近は特に多くて…無事にショーが出来るほうが珍しい状況なんです。」
なるほどな。
邪魔が入りまくっていて困っていると。
「ところでオーナーさん。」
「はい?」
「実は俺、こういう者でして。」
困っているのなら俺の商売相手だ。
別にほっとけないからとかここのオーナーが可哀想とかそんな主人公みてーな理由じゃない。ただこいつはオーナーなワケだし金はたっぷり持ってるってことだ。
だから事件を解決してやるのさ。
「ニノマエ探偵事務所…?」
「ええ、『多少高くつくが、依頼は必ず成功させる。』聞いたことありません?巷で噂の探偵。それが俺達なんすよ。」
「探偵さん?それってつまり…」
おっきーが「え?働くの?」みたいな顔してるが無視する。
後で嫌になるほど休むんだからよ。とにかくその夢を叶えるために俺達には金が必要なんだ。
それにな、
「その事件、俺達が必ず解決してみせますよ…!!」
嫌がらせしてきたあいつらに、とんでもねぇ仕返しをしてやりたいと思ったのさ。
後書き
⚫葛城財団
世界崩壊後、いきなり現れた謎の巨大企業。
人神教やFHA、そして人間同盟などの宗教組織への資金提供や町の復興、あらゆる事業に関わっている。
しかしその裏ではサーヴァントの捕獲、研究。邪魔な人物の暗殺やサーヴァントを奪える薬を密売しているなど黒い噂が絶えない。
実際、財団には実働部隊という武装された集団がおり、サーヴァントの拉致などを行っているという目撃情報がある。
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