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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》

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第一巻
  【第三十五話】

――第三アリーナ――


 午後の授業も終わり、現在は放課後、場所は第三アリーナ。

 いつも通りセシリア、美冬の両名にIS操縦を教わる俺――だが今回は、織斑及び篠ノ之も一緒だ。

 一緒と言っても、向こうのコーチは篠ノ之だが。

 だが、聞いたところによると、彼女は擬音説明派らしい。

 以下、篠ノ之の説明する様子だ。


『ぐっ、とする感じだ』

『どんっ、という感覚だ』

『ずかーん、という具合だ』


 流石に頭の悪い俺にもわかる、この説明で上達するのは無理に等しいかと。

 セシリアの説明も、専門用語交えでの教え方なので、頭の悪い俺には苦戦させられるがそれでも動きを見せてくれるから何とかついていける。

 そんな感じで、明らかにコーチに向いていない彼女が、織斑のコーチをするとかは無謀に近い。

そして、そんな篠ノ之はIS『打鉄』を装着し、展開していた。


「な、なんだその顔は……おかしいか?」

「いや、その、おかしいっていうか――」

「ふーん、まさに侍って感じだな」


 その俺の一言に、また篠ノ之は此方を睨み付ける。


「ふん。――一夏、近接格闘戦の訓練がまだまだ足りないだろう」


 そう告げる篠ノ之は、打鉄の刀を粒子展開して構える――。


「では一夏、始めるとしよう。刀を抜け」

「お、おうっ」


 勢いのいい返事をするや、直ぐ様織斑は武装を展開した。


「では――参るっ!」


 短く、それでいて力強く言い放つ篠ノ之は、その刀を振り抜いた――。

 交差する刃、早速つばぜり合いで拮抗する二人。

 人のをいつまでも見ていても仕方ないな。


「美冬さん、遅いですわね」

「だな。――あ、来た来た」

「ごめーん、ちょっと遅れちゃった」


 謝りながら此方へ走ってくる美冬。


「構わんさ、これがな――なぁ、美冬、セシリア」

「なぁに、お兄ちゃん?」

「何でしょうか?」


「今日は二人相手で実戦形式じゃダメか?」


 俺の言葉を聞き、二人は互いに驚きながら顔を合わせた。


「ひ、ヒルトさん。流石にそれは――」

「そうだよ。流石に二人同時相手はお兄ちゃんも荷が――」


 二人の言葉を遮り、俺は喋り続けた。


「無茶は承知だ。だが――今のペースじゃ、いつまでも俺は……」


 言葉が続かない俺。

 まだ、本心では武器を振り回す行為を好きにはなれない、スポーツだと言われてもやはり殺傷力のある武器を振るうのだから。

 ちらりと、織斑や篠ノ之の特訓を見る。

 二人は、未だに刀同士のつばぜり合いを続けていた。
 織斑は何も感じていないのだろうか、それとも――俺に覚悟がないからだろうか。

 だが、もうそんなことも言っていられないのが現状だ。

 クラスの代表になった以上――否、学園に入ったからにはイヤでもやらなければいけない。


「……悪い。――ともかく、このままじゃダメなんだよ」


 そんな俺の重い表情を見たセシリアが――。


「……わかりました。ヒルトさん、展開してくださいな」


 そう告げたセシリアは、直ぐ様ISを纏い、武器を展開した。


「そうだね。――わかったよ、お兄ちゃん」


 同じく、訓練機を借りてきた美冬も打鉄を纏うと刀を粒子展開し、構える。

 望む望まざるは関係なく、既に俺はその道を走るしかない。

 ド素人で、ISの知識が無く、武器の扱いにも長けてない俺。

 だからといって、いつまでも――いつまでもこんな状況で『初心者だから仕方ない』なんていうのもダメだし、周りにそう思われるのもダメだ。

 今の目標は――少しでも、皆に追い付くことだ――。 
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