IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
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【第274話】
前書き
ちょいオリジナル
隙間埋め的な
――一組教室――
全校集会を終え、休み時間の真っ只中。
どのクラスも今の話題は全校集会で宣言された【有坂緋琉人&織斑一夏争奪戦】で持ちきりだろう。
事実、一組でもその話題で持ちきりであり、一夏に群がる一組女子を遠巻きに眺めつつ――。
「……頭痛い」
そうぼそりと呟く。
……と。
「ヒルトさん、大丈夫ですか? 頭が痛いのならばお薬を飲むのがよろしいかと……」
近くの席に座っていたセシリアが心配そうな声で聞いてきた。
昨日の一夏との試合後、皆で甘いものを食べたお陰か今朝はいつも通りの彼女の様子に俺も胸をホッと撫で下ろした。
「……薬はいいや」
「……そうですか。 ……その、ヒルトさん。 大変な事になりましたわね」
セシリアの言う通り、大変な事だ。
否応なしに部活に強制入部させられる上に、待つ未来が雑用ばかりという女尊男卑まっしぐらな環境に落とされるだろう。
一夏は絶対にちやほやされるからアイツは気にしないだろうが……。
「……嘆いても仕方ないさ、なるようになるだろ? 刹那的な考え方だけどな、ははっ」
「そうですわね……」
机に突っ伏し、セシリアを見てると徐々に頬を紅潮させ――。
「あ、あの……? あ、あまり見ないでくださいな……。 好きな殿方に見つめられたらわたくしは……」
「あー、悪い。 ……いつになく綺麗な髪質だなって思ってな」
素直にそう言うと、照れたセシリアはカールされた髪をくるくると指で弄り始める。
「そ、そうですか? ま、毎日髪のお手入れを念入りにやってますので……」
視線を逸らし、更にカールされた髪を弄ぶセシリア。
……今さらだけど、シャルやラウラは仲良くお化粧室に、美冬と未来は何だか母さんに用事があるとかで教室にはいない。
鈴音は多分二組に居て、一夏の事に関して二組の子に迫られているのだろう。
「セシリアの髪の手入れって、大変そうだよな」
「そ、そうですわね。 朝は六時に起きてから……その、ね、寝癖を直してから髪を解かしていますの」
女の子ならではの手入れだろう。
見えない所でどんな女子も、そうやって綺麗になる努力を惜しまないのだろう。
事実、理央も最近は結構身嗜みに気を使っているらしいし……。
「たまにはセシリアもサイドポニーにしてみるのはどうだ? 鈴音みたいなツインテールとか」
「そ、そうですわね。 いつか……挑戦してみますわね」
そうにこりと笑顔で応えると、携帯の着信音が鳴り響く――セシリアの携帯だ。
携帯を取り出したセシリアは、掛かってきた着信番号を見ると表情に陰りが落ち、そのまま制服のスカートのポケットに閉まった。
「……? 出なくていいのか?」
「……えぇ。 …………」
暫く鳴り続けるが、セシリアが出ないと解ると着信音が切れ、ホッと一息つくセシリア。
「……セシリア。 もし何か悩みがあるなら、いつでも俺に言いな。 力、貸すから」
そう俺が伝えると、嬉しそうな表情でセシリアは――。
「……はい♪ その時は、お力を御借りしますわね♪」
力強い言葉に、俺も頷くと休み時間終了のチャイムが鳴り――。
「ま、間に合ったぁ……。 はぁ……」
「ふむ、まさか御手洗いでも今朝の内容の話題で持ちきりとはな……」
慌てて教室に戻ってきたシャルとラウラは、席に着席した。
「職員室でも今朝の話題で持ちきりだったよ? ねぇみぃちゃん?」
「うん。 ……やっぱり、学園で二人の男の子の入部だからだよね……」
いつの間にか戻っていた美冬と未来は、シャルとラウラの二人と話始める。
……二学期に入り、席替えを行ったのだが見事に専用機持ちであるセシリア、シャル、ラウラ、美冬に未来と俺の席から近い場所である。
――と、そうこうしてると、山田先生が入ってきて。
「皆さーん、お喋りはそこまでですよ~。 ――では、授業を始めますので教科書を開いてくださいねー」
そんな山田先生の言葉と共に、教科書を取り出すと二限目の授業が始まった――。
後書き
さて、セシリアの携帯に掛かってきた電話の相手は誰でしょうか……
続く
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