IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
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【第269話】
前書き
ヒルト対理央戦
シールドエネルギーの補給を早急に終え、直ぐ様模擬戦第二試合。
次の相手は――。
「ヒルト、次は俺が相手だぜ!」
そう言ったのは理央で、既にインストールされていたクアッド・ファランクスを呼び出し、装着していた。
前にも見た通り、樽型の弾装に七砲身の二五ミリガトリングが四門付いたのが特徴のパッケージ。
謳い文句は最強の攻撃力だとか――誰だよ、そんなバカな謳い文句書いた奴、ちょっと前に出てきなさいって感じだ。
……ともあれ、流石に連続で受けるとまずいのはどのISも一緒で、実弾に強い村雲でも受ければ外のシールドバリアーからエネルギー減少させられてエネルギー切れを起こすし。
……それに、今回は第三世代兵装の使用は封じられているため、常に動き回らないといけない。
「理央、模擬戦よろしくな」
「お、おぅ……。 ――へへっ、今回は勝たせてもらうぜ!!」
そんな強気の言葉に、俺も真剣な眼差しで応えると疾風を呼び出した。
前回の補助脚部攻撃は、多分バレてるだろうからどうするか……。
試合開始のブザーが鳴り、理央は四門のガトリング砲を俺に向け、狙いを定める。
構えた四門のガトリング砲の砲身が回転を始め、そこから一斉に四門の火砲から火を噴き、ラファール・リヴァイヴ前方を激しいガンスモークが立ち込める。
撃たれるその前に、上空へと跳躍した俺は前方宙返りを行いつつ、三本の矢をつがえる。
視界が反転し、ガンスモークが立ち込めるその中に俺は矢を放つ。
矢は空気を切り裂くと同時に、スモークの一部を晴らしながら突き進む――だが。
「へへっ、そう簡単にはやられねぇぞ。 今回の俺は!」
構えたガトリング砲二門を盾に構え、放った矢を弾く理央。
直ぐ様マルチウェポンラックからミサイルを装填――激しい轟音と共に一発のミサイルが射撃された。
「くっ……ミサイルか……」
上空へ急上昇――俺を追うようにミサイルも上昇し、そこで俺はミサイル迎撃の為に新たにエネルギー粒子の矢を形成――青白く光る矢は、周囲を明るく照らす。
追撃してくるミサイルに対し、放ち――それと接触すると激しい爆音と爆発に、機体が大きく揺れ、爆風でアリーナに張られたバリアーが僅かに震えた。
――威力高いもんな、ミサイル。
……一発の値段も物凄いらしいが、この辺りもISが開発されて技術向上したためか、前よりは遥かに安くなったとか何とか。
……そんな考えはさておき、理央の懐に飛び込む勢いで急降下――それを見た理央は、直ぐ様冷却を終えた四門のガトリング砲で弾幕を張る。
これを見て解るが、やはりISの弱点は対空兵器もあるだろう。
仮に戦争があって、本土進行して都市を目指しても様々な対空火器に身を晒さないといけない。
セシリアみたいに全機がスナイパーライフルを持ってる訳でも無いし――。
後、何気に巡洋艦等に積まれてるCIWS相手にはISはやられるだろう。
親父が言ってたが、あれは自動的に敵機を確認すると、弾幕を張って撃ち落とし、距離が離れたら撃たないいい子だとか何とか――。
――だからこそ、親父は白騎士事件に疑問を抱いたのだろう……まあ俺も、まずあの内容はあり得ないとしか言い様が無いが。
半分を剣で斬って、残り半分を撃ち落とす。
……マッハ30以上なければ無理だし、仮にそんだけ動き回ったら衝撃波で日本は未曾有の大惨事にしかならないからな。
……結局は、事実は闇の中だから全くわからないが――。
苛烈な火線を潜り抜け、地表に着地と同時に体勢を低くしたままランド・ホイールを起動。
ブースターを点火させ、スラローム滑走しながら理央に迫っていく――。
「チッ! ……あれだけ弾幕を張ったのに、大したダメージを負ってないなんて……!」
砲身を冷却させるため、構えたガトリングから手を離し、インストールされたマークスマンライフルを構えて射撃を行う理央。
撃つ度に、空薬莢が排出され、周りのガトリング砲から撃たれ、排出された薬莢の周りに落ちていく。
……何気に、掃除とか大変そうだ。
緩急つけたスラローム走行に、撃った弾丸は小さくアリーナの土を抉るだけで村雲には当たらず――。
「……このままじゃ、接近されちまう!」
そんな叫びと共に、引き金を引き続け、マガジンが空になると手元に着装したマガジンを込める。
その一瞬をつき、瞬時加速で急速に間合いを詰め――。
「もらったぜ、理央!」
「まだまだぁッ!!」
軽く跳躍し、振り下ろす天狼をマークスマンライフルで受け止める理央。
天狼の勢いのせいか、マークスマンライフルが少し曲がり、ライフルとしての機能は失われたように見えた。
「接近すれば、もうガトリング砲は使えないからな……。 悪いが、勝たせてもらうぜ?」
「くっ……。 ――ならッ!」
マークスマンライフルで天狼を押し退けた瞬間、クアッド・ファランクスを捨て、空へ身を踊り出す理央。
「……思い切りがいいな、理央?」
「へへっ、いつまでもクアッド・ファランクスに拘ってたらやられちまうからな!」
そう言ってマークスマンライフルをかなぐり捨て、近接ブレードを呼び出すと接近戦を仕掛けてきた。
振るわれた刃と刃が交差し、金属音が辺りに響きながら何度も紡いでいく。
互いに離れず、剣を交え、共にシールドエネルギーを減少させていき――。
「はぁぁああッ!」
「し、しまっ――」
理央の近接ブレードを弾き飛ばし、空中を待ってからアリーナ地表に突き刺さる近接ブレード。
それと同時に、既に理央の機体のエネルギーは僅かだったのか両手を上げて――。
「……悔しいけど、参ったよヒルト。 ……でも、ありがとな? いい勉強になったよ、俺」
額から出た汗を拭う理央は、何だかとっても綺麗に映った。
「……俺こそ、勉強になったよ。 ……まだまだだな、俺も……。 鷹月さんとお前との模擬戦で、改めてそう思わされたよ」
そう言って俺は手を自分から差し伸べる。
それを見た理央は、夕日のせいか少し頬が赤くなったように見えたが――。
「……へへっ、何だか照れ臭いけど……俺達はお前の事、応援してるからな!」
満面の笑みで言い、握手に応じた理央。
ラファール・リヴァイヴの装甲越しとはいえ、理央の体温が此方に伝わってくる――俺は、そう感じた……。
後書き
何気にクアッドを何回か出す俺
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