IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
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【第272話】
前書き
まだ朝礼にはいかなかった
次はいきます
模擬戦を全て終えた俺は、理央達と別れてもう一度学園へと戻っていた。
アリーナの土に関しては、アリーナを管理していた先生によれば業者の方がやるそうなので、俺が整地しなくて済んだ。
……本来なら、余った時間を反省点含めてお復習するのだが、生憎と今回は背部ブースターをやられたため中止に。
機体フレームや外装等にはダメージは無いため、背部ブースターのみを取り付ければ良いのだが、一応有坂先生――母さんに報告と共に、ちょっと様子が気になったのもあり、職員室へと向かっていた。
そして、職員室前へとたどり着くと――。
「失礼します」
そう一声かけて、職員室へと入るとそれに気付いた山田先生がパタパタと足音を立てながら近付いてきた。
「有坂くんどうしました? 何かありましたか?」
「あ、はい。 母さ――じゃなくて、有坂先生に用事がありまして」
「ふふっ、やはり有坂くんも慣れずにお母さんって呼びますね? ちょっと待っててくださいね?」
慌てた様に奥に消えていく山田先生を見送ると、職員室を見渡す。
既に五時を回ってる為か、職員は殆ど居なかった――中学なら、この時間はテストの採点等をしてる先生等が居たのだが……やはりIS学園は他とは違うと改めて認識させられる。
――と、奥から母さんが出てきて俺に手を振りながらやって来た。
「うふふ、どうしたのかしらぁ? 先生に何か用事?」
「あ、はい。 ……さっきまで模擬戦を行っていたのですが、その時に背部ブースターを損傷して喪失しまして――」
「あら? ……うふふ、もしかして繋ぎ目を狙われたのかしらぁ?」
ズバリと言い当てる母さんに、ギョッと驚く俺――それを見た母さんは、柔らかな笑みを浮かべて。
「うふふ。 他には何処か不具合は出たのかしらぁ?」
「あ、後は墜落の衝撃からか脚部スラスターとランドホイールがオフラインに。 ……本当なら俺が調べないといけないけど、明日もまた授業があるし、まだまだ頑張らないといけないので……」
自分の機体なのだから、自分でしないといけないとは思いつつ、俺が自分でやれば下手すると明日の朝の朝礼にすら間に合わない可能性もある。
明日は、九月に行われる学園祭の説明とかで全校集会が開かれるのだ。
「うふふ、わかりました。 ……じゃあ、お母さんがちゃんと直しておきます。 明日の朝一にヒルトの部屋に届けにいきますからねぇ」
そんなふわふわした声で、首のチョーカーを外すとそれを預かった母さん。
申し訳ない気持ちながらも、母さんの様子も気になり、思いきって聞いてみる事にした。
「……学園はどうですか、有坂先生?」
「うふふ、もう五時を回ってるから母さんで良いわよぉ? ……教えることは、財団でも若い子に教えてましたからねぇ。 昔の教育実習を思い出しながら授業を行ってるわよぉ」
楽しげな声で言う母さん――身内が教師というのも、何だか変な感覚を覚える。
いつもと違う一面の母さんを見ることが出来るからだろうか?
……何にしても、今の母さんを見ると前に親父から聞いたテロリスト襲撃の事のショックは和らいだように思える。
一応親父とは毎日メールのやり取りで近状を書いてはいるが……。
……メールの検閲が厳しい所らしく、親父らしい文面じゃないのが気になる。
一体アメリカの何処に居るのだろうか?
……やはり考えても答えが出ず、考え事を止めることにした。
「そうか……。 何にしても、母さん。 あまり失敗しないようにな」
「大丈夫よぉ~。 うふふ、ヒルトは心配性ねぇ~」
ふわふわした物言いが不安になるも、まあここで心配しても仕方ないので――。
「じゃあ母さん、村雲の事は任せるよ」
「えぇ。 お母さんにドンと任せて~」
胸を張る母さん、山田先生の様にゆったりとさた服装の為、胸が揺れてもあまり変わらず――水着なら、弾むほど豊かに実った乳房が――。
…………母さん相手に何を考えてるんだ、俺は。
軽く頭を振ると、母さんは疑問符を浮かべながら思い出したかの様に言い始めた。
「あ、そうそう。 ヒルト、明日入港予定の船に、【クサナギ】が搬入されてるから時間がある時に書類にサインをお願いねぇ~? お母さんのサインは終わったけど、ヒルトのサインも必要だからぁ~」
クサナギ――臨海学校で使ったIS用パワードスーツパッケージだな。
「……サインなら今やるけど?」
「んと、今その書類を持ってないのよぉ。 だから、明日以降で構わないからよろしくねぇ」
母さんの手元を見ると、確かに現国の教科書やら出席簿しか持っていなかった。
受け持ちクラスは無いが、生徒の名前を覚えるのに何かするのだろうか?
「……わかったよ。 じゃあ母さん、俺は戻るから」
「えぇ。 私はまだもう少しここに居るから何かあれば来てねぇ~」
ひらひらと手を振る母さんに見送られ、俺は――。
「失礼しましたーっ」
頭を下げ、一礼すると職員室のドアを閉める。
まだ外は暑いのに、鈴虫の鳴き声が聴こえてくるのは慌てた鈴虫なのだろうか?
外は外灯の明かりが照らされていて、クラブ活動を終えた子達が寮に帰宅する姿が目に映る。
静寂に静まり返ったIS学園廊下を、俺の足音だけが響いていた……。
後書き
夢オチ内容だとやはりエロ辺りか又はパラレルワールドでのヒルトか……
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