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ドウテイ

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マキに会いたい


ぐっしょりと寝汗をかいていた。

携帯を確認する。
返事はない。
朝6:20。

俺はエロとか整理した。
本は全部ゴミ袋に入れた。
DVD。ブルーレイの隙間に入ってたやつ。
マキちゃん来た時の・・・。
捨てた。
結構いいやつとかを分けた。
何かほんと泣きそうになった。

マキに会いたい。

何かを得るためには何かを失おう。
結局めんどくさくなってDVDと保存動画全部捨てた。
結構雑誌とかでゴミ袋いっぱいになったんでゴミ出しに行く。

最近掃除してない。
ついでに洗濯。
久しぶりに部屋キレイ。
シャワー浴びようとした時マキちゃんからメール。

ちょっとメールじゃ話しずらいから会おうって。
今日休校でしょ
8時に学校でって。

メールする。
今電話していい?
ちょっと電車の中なんでXX。
電車?
分かったよ 
今から一時間後の8時ね?
メールした。

時間がない。
速攻シャワー。
着替えた。
ちょっと迷って、下はGパンに履き替える。
髪ざっくりと乾かして駅へ。
お金少し足りないかな?
ATMで迷ってるうちにバスが来る。ダッシュで乗る。

今考えると、あの時は成り行きでああなったけど、
ごめんなさい!さようなら・・って確立99.999%だ。
しかし俺は全くそんなことは思わなかった。
それより部屋を片付けてラッキーとか、
シーツとか干したのに雨降らねえかなとか考えていた。

バスは約束の10分前には着いた。
さすがに今日は運動部の学生ぐらいで閑散としている。
俺は駅からの1本道が見渡せる一角に座り、彼女が現れるのを待った。
夏を思わせる日差しが暑い。

しばらくして、彼女はゆっくりでも、急ぐでもない感じで、緩やかな坂を上ってきた。
こんなに遠いのに直ぐ分かった。
こんなに遠いのに脚凄くキレイなの分かる。
俺は彼女に向かって歩き出した。
彼女が段々アップになる。
走り出したい。
信号のところで彼女が気付く。
俺、手を上げる。
彼女はなぜかVサイン。

そうだね、戻んの、たるいしガストでいいよ。
さすがに休校で、店内はガラガラだった。
店員が掃除をしている。
俺はパンケーキとコーラのセットを、彼女は紅茶を頼んだ。

重い話かな?
まあね。
じゃ来てから話そうかって感じで、恭二がこの前とかバカ話を切り出した。
その恭二のことなんだけど・・・。
そこでパンケーキと飲み物が運ばれてきた。(早や!)

告られた…。

え?恭二に?
だってあいつ彼女いるじゃん。

マキが黙った。
彼女はため息をついて話す内容を整理しているようだった。

この前、私元彼と別れたのね。
学校でそのこと恭二に報告して・・。
いろいろ相談に乗ってもらっていたし、
とにかく誰かに話さないと頭おかしくなりそうだったし。
ともかは彼氏の家にべったりだし、結局恭二しかいないじゃん。
そしたらなんか凄く怒って、

もういい、ああ分かった!
じゃぁおまえ俺と付き合え。
彼女とは別れるって。

恭二の彼女は小柄で可愛いコだった。
高校からの付き合いで性格も良くて何でも出来る感じのいいコだったが恭二はあの性格だ。彼女の前で平気でおっパブ行きたいとか言う。
それでどうしたんだよ?
彼女は黙った。

いきなりキスされて胸揉まれた。
ふざけるな!って感じでもう怖いの。

私あやまったわゴメンナサイって。
あなたの気持ち考えていなかったって。
自分の都合いいときだけ相談してって。

でも許してくれないの。押し倒されて。
私、恭二に言ったの分かったって。
好きなだけキスしていいし胸も触っていいって。
でもそれ以上は絶対嫌だって。

そしたら彼、わかりましたって感じで、
Tシャツめくられて胸が赤くなるくらい揉まれたの。
凄く乱暴にキスされて。
私ほんとに号泣して、ずっと我慢してたんだけどぜんぜん止めてくれないし。
そしたら外でガヤガヤ誰か大騒ぎしながら来たの。
部屋には入ってこなかったけど何か前ではじめたんでその隙に走って逃げた。
マミもゆきも電話出ないし、一人で帰りたくないけど、
顔隠して泣きながら電車乗った。
駅で変なのに声掛けられるし最悪。

それっていつ?俺は彼女に質問した。

先月の初め、2日とか3日とか。

そうか初めて2人でマック行った日の前か。
そういうことか。
どおりで恭二を誘うかっていっても、いいって言うし、
二人なんてはじめてだったし。

俺は激しい罪悪感に襲われた。
そんなひどい事された女の子に俺は恭二以上のひどいことをした。
彼女の顔を見られなかった。

その後恭二と喋った?
彼女はため息をついた。
私、次の日休んだの。
眼だってこんなに腫れちゃうし。
おっぱい痛いし唇がさがさだし。

そのあと会ったわよ、嫌でも顔あわせるじゃない?
そしたら 
ヨッ!だって。
バカじゃない?
完全無視よ。
そしたらメール来て、お前が話したくないならそれでいいが、俺はいつでもOKだ。
みたいなこと言ってくるわけ。
信じられる?
・・・・・
私恭二には何でも相談してきたわけ、
生理痛がひどいとか。
私がヤリマンだとかって噂知ってる?

俺は知らないふりをした。
元彼が捨てた女。可愛いけどほんと最悪の女でね。
はじめは放っておいたんだけどどんどん酷くなってね。
恭二に相談したわけ。

分かったって。
いきなり直接その女に言いにいったの。
こういうの止めてくれって。
どうすれば止めてくれるかって。
そしたら土下座とかって、なって。
彼女はここで言葉を切った。

これでいいかって恭二が・・・
そしたらその女、写メ撮ったわけよ。
恭二完全ぶち切れで、てめえ人が下手に出てりゃ調子に乗りあがってって。

結局それから学生課と警察。
完全にぶっ潰すとかいって。
呼び出しよ。
学生課で私と恭二とその女。
メールのコピー出して、この女が私の彼氏にやり捨てされて、
腹いせにこういうの回してます、処分して下さいって。
シラ切ってたんだけど、恭二が机バンバン叩いてぶちぎれて。

この女は関係ないだろ!
悪いのは男だろ!
そいつを訴えるなり刺すなり勝手にしろみたいな。
やってないなら携帯出せって。
消したって履歴残るからそれ持ってこれから警察に行くって。

その女、黙っちゃたわけよ。
学生課のおじさんが、まあまあ見たいな感じなんだけど。
恭二、納まらないのよ分かるでしょ?

結局どうなったの?

私が口を挟もうとしたんだけど、お前は黙ってろ!って。
でもその子に言ったの。
ハル君のことまだ好きなのって。
そしたらそのコ泣き出して。
もう何言っても泣いててだめなわけよ。
学生課のおじさんが君が認めるならちゃんと謝って。
こういうの犯罪になるんだからって。
でも恭二はこういう女は平気で嘘泣きするんですよとか言って。

最終的にはラチが明かないって事で、文書にしたわけ。
こういう事例がありました。
相手は認めません。
泣いていて話が出来ないので、携帯は学生課で一旦預かりますって。
その後はピタリと収まったの。
全くなし。
恭二はその後一切そのことには触れないの。

もう大丈夫になったよって言ったんだけど。
そうか。ってそれだけ。

コーラの氷がカランと鳴った。
一口飲んだが半分水だった。

やりマンの噂信じた?
デリやってるとかも書かれたんだよ。
平気でやらせると思った?
私、元彼と、その後と。
俺の顔を見た。
三人だけだよ。

何にも言葉が浮かばなかった。
何言っていいか分からない。
真っ白。
喉が渇いたがグラスを取ることも出来なかった。

彼女はうつむいて泣いていた。
俺は席を立って彼女の隣に座った。
ぼたぼたとテーブルに涙が落ちていた。
肩を抱いた。
震えていた。

マキちゃん?名前を呼んだ。
マキでいい・・・・。
泣き声で彼女。
俺は何て不謹慎なんだ。
こんな時に。
マキ マキ マキ 心の中で何度も彼女の名前を呼び捨てにした。
背中をさすった。

恭二とはどっちにしろこのままは良くないよ。
もちろん恭二が一方的に悪けど、
恭二さマキ・・・
が不幸になってくの耐えられなかったんだよ。
彼女が俺の顔を見た。

ゴメン俺も悪い。

やっと少し笑った。


 
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