ドウテイ
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新宿
店に着いたのは約束の15分前だった。
なんなんだろう?
このマキとの距離感。
エレベーターでキスする。全くの無抵抗。
胸も揉む。
ピクンってマキが腰を引く。
店に入る前に手を放す。
迷ったが二人並んで席に着き、もう一人来るからと店員にオーダーを断った。
なんとなく飲み始めている気分ではなかった。
店長が気を利かせて日本茶を出してくれる。
恭二は、ほぼ定刻に現れた。
飲んでねえのかよ?と口を開いたが、
なんだよてめえらとか。
はあ~。
そういうことかよ。
俺の態度がおかしいのか、恭二の感が鋭いのか、
何にも話してないのに一方的にそんなことを言い出した。
ああ分かった、もういいとか言い出して、
勝手に生ビールを三杯頼み、
店員が置いたジョッキに、カチンと一人で乾杯して飲みだした。
マキが、そういうことでなくて、私になんか言うことはないの?
と言ったがほぼ無視。
仕方ない、泡の消えかけたジョッキを取る。
恭二が料理と追加の酒をオーダー。
恭二結構なペースで飲む。
この前のこと、こいつに話したのかよマキ?
マキ無言。
だいたい聞いたよ俺。
そうか。てか、お前らいつから付き合ってんだよ?
俺に内緒でか?
だから今、言ってる。
カズよぉ!
俺、マキのおっぱい吸ったぜ。
恭二の意地悪が始まった。
キスも200回ぐらいしたぜ。
マキが、最低!謝るどころか何よそれ!
だからよぉ、いつからだって聞いてんだよ!
俺:最近だよ、つい最近(正確には今日だが)。
え?あっそうか!はははそうか!!
恭二急にご機嫌。
マキ:意味わかんない。
過去ぐじぐじ言うようじゃ、女と付き合えないよなカズ!
こいつさ、いつも勝手な男と付き合って、やめろって言っても聞かねえし、すぐ泣くし。いつもよぉ。
マキ:だからってあんなの酷いじゃない。
すごいショックだったし。
ちゃんと謝ってよ!
恭二が真顔で、
マキちゃんおっぱい吸ってゴメンネ!
無理やり舌もいれてごめん!とか大声で言った。
やめてよ!とマキ。
もっとあやまってほしい?
もういい!!!
恭二はわけの分からないテンションで酒を飲み、
俺も居たたまれない気持ちで、ひたすら飲むしかなかった。
恭二が急に、もも呼ぶわ!といってその場で彼女に電話した。
今よぉ、いつもの店で飲んでるから来いよ、
カズとマキも一緒。いいから直ぐ来い!
彼女は何か言っているようだったが恭二は一方的に電話を切った。
恭二が一人で喋り続けた、
マキは機嫌が悪いし早くこの雰囲気を何とかして欲しかった。
一時間ぐらいして、ようやくももちゃんが来た。
いきなり恭二が抱きつく。
ももよぅ!
こいつらが俺を慰み者にするんだぜ~とか言う。
(日本語間違ってないか恭二)。
俺に黙ってこっそり付き合ってたんだぜこいつら!
二人でイチャついて見せ付けるんだぜ~とか言って、
ももちゃんのほっぺたにキスをする。
大丈夫?
なんでこんなに酔っ払ってるのよ。
あっそうなんだ!と言って、ももちゃんがマキを見た。
マキ、どの部分を肯定していいのか微妙なうなずき。
ももちゃんウーロンハイ注文。
カズ君良かったね!好きだったもんね。
俺超てれる。顔赤いと思う。
返事できない。
恭二が、そうなんだよ、
こいついつもマキのからだエロい目線でなめまわしてたんだぜ。
俺、ビール吹く。
何言ってんのよ恭二!
マジだぜ。
こういう面倒な女はやめとけって言ったんだよ。
たかみ、みたいな言うこと聞くブスで慣らしてからよぉ。
(それ以上言うな恭二)
マキがいろんな男にやられてんの想像して・・
何言ってんのよ!ももちゃんが言葉をさえぎった。
恭二、やってられないと言ってトレに行く。
ウーロンハイくる。
三人で乾杯。
おめでとう!は変かな?ってももちゃん。
俺の顔じっと見る。
何か男らしくなったよね。
彼女できたからかな?
ダメ?
これじゃ恭二と一緒?
マキちゃん?カズ君大事にしてくれるから…
うん。
恭二が帰ってくる。何か良からぬ相談だろ?
ももちゃんのおかげでようやく場がなごむ。
ようやく笑いとかが出る。
しばらく飲むが、恭二が寝る。
いつの間にか12時近い。
もう出ようってことに。
俺が払うといったが、そんなのダメ、ももちゃん。
みんなで割るかって言ったら、恭二起床。
ふざけるな俺に恥じかかすのかって言って1万出す。
ももちゃんまあいいからって、恭二にゴチになることに。
外に出る。
終電は大丈夫。
恭二川崎だから、ももちゃん、うちに連れてくって。
恭二道端に座り込む。
大丈夫だから先行ってって、ももちゃん。
駅まで連れてくとか言ってるうちに、恭二リバース。
俺背中をさする。
通行人あらら・・って感じでよける。
自販機で水を買い、うがいさせる。
服はセーフ。
ももちゃんにタクシーにする?
また 吐くかも。
取り合えず駅まで連れてくことにするが、
恭二立ち上がるとカラオケ行くゾ!って感じに。
ハイハイって駅に。
終電にはまだ時間はあったが結構電車は混んでいた。
ももちゃんは大丈夫といったが、俺たちは一緒に電車に乗った。
恭二を逆側のドアの横の床に座らせ、囲むように立った。
ほんとにゴメンね!
こんなになるのは初めて見たよ。と、
ももちゃんが床に座る恭二を見た。
いくらなんでも飲みすぎだよ。
マキが急に、それって恭二のプレゼント?ってももちゃんの指を見た。
え、あ、うん。
ももちゃん恥ずかしそうに左手で指輪を隠す。
うん。
高3のときにもらったの。
え!高3???
マキがびっくりした。
恭二ってそんなに金持ちだっけ?
ももちゃん 話しにくそう。ももちゃんゴメン、なんでもないから。
マキが謝ると、ももちゃんは小さな声で話した。
高3のときね、恭二は運動部だったから早くに引退みたいな感じだったけど、
私、音楽部だったから3年でも部活やってたのね。
そしたら1ヶ月ぐらい会ってくれなくなったの。
帰りも別だし、休みの日もいないし、
学校では少しは話するけど。
これってもうだめなのかなって、
せっかく楽しかったのに自然消滅みたいな感じで終わるのかなって。
怖くてはっきり聞けないし。
そしたらね、土曜日、部活やってたら急に電話してきて、
お前、指のサイズいくつだ?って聞くわけ。
指のサイズの意味わかんなくて、指輪のこと?
買ったことないしわかんないって。
そしたら今から学校行くって。
ダメだっていってるのに。
そしたら、音楽室にいきなり来て、
ちょっと来いってバイクで駅まで乗せられて。
銀座に行くって言うの。
私、制服のまんまだし。
電車乗って。
おなかすいたよ~とか、どうしたの?って言っても
腕組んで全く答えないの。
ももちゃんは床に座っている恭二を確認した。
ももちゃんは小さな声で銀座のティファニーと言った。
え?
そしたら恭二、好きなの選べって。
わたしいいよ、こんなのダメだよ、とか言ってるのに、
関係ないの。
選べって。
マキを見た。
恭二らしいね。
それでねシルバーのネックレスがいいって言ったの。
それでも1万とかだよ。
そしたら、こんなので俺に恥をかかせる気かって。
ヤクザじゃないんだから。
そしたら私の腕ひっぱってこれでいいかって。
ももちゃんは左手でまた指輪を隠した。
本当にやめてっていったの、こんなの普通じゃないし、
こんな高いのほんと困るって。
そしたら恭二が店員さんにこれ下さいって。
ケースから出されて指にはめてくれようとしたんだけど恭二が 。
自分で取って私の指に入れたの。
ももちゃんは黙った。
サイズがなくて、直すのに1週間っていうの。
そしたら恭二どうしても今日やってくれって。
私、今日電話きたとき、もうバイバイかと思ったし、
誕生日も一人だし、
いきなりティファニーだし、
こんな高いの買うし。
ほんとに何か言われたら泣きそうだし、
こんなところで絶対泣けないし、
ずっと下向いてたの。
そしたら何か事情があるのかって同情したのか、
偉そうなおじさん出てきて、今日取り合えずお持ちいただいて、
後日もちろん無償でサイズお直しします。
みたいな事を言ってくれたの。
恭二ダメだって。
あいつ大人に対して引かないとあるよね。
結構待たされて、
お客にじろじろ見られるし、
わたしずっと下向いてた。
そしたら何とかしますって夕方まで待ってくれって。
恭二ポケットの袋からお金出して払った。
なんか払う姿が見てられなかった。
恭二が大丈夫だよ、かっぱらった金じゃないし、ちゃんとバイトした金だから。
残してもしょうがねえんだからって。
急に機嫌よくなって。
店の中で手つないでくれて外に出た。
手つながれたら涙止まらないし。
恭二がおなか空いたってマック行ってばくばく食べて。
わたしショックで食欲ないし。
泣き顔恥ずかしくて、公園とかで時間つぶしてたんだけど、
まあ店行くかって感じで店の前で写メ撮ったの。
それは知ってる。恭二の家で見た。
恭二の携帯が鳴って、店入って、したまま帰りますって恭二が指輪はめてくれて。
ブルーの袋もってね。
電車のアナウンスがなった。
恭二を立たす、
反対側のドアへ。
ももちゃんの指、ハートの金の指輪。
恭二ホームでもリバース。
だめだよももちゃんタクシーで家まで送るよ。
タクシー4人で乗る。
ももちゃんのアパートに着く。
ここでいいよ、ほんとに今日ゴメンネ。
俺も遠慮してここでって。
タクシー動き出す。
後ろ振り返ると恭二座りこむ。
すみませんバックしてください!
運転手、困ったやつらだって感じでバック。
ちょっと待っててください。
降りて恭二に肩かして二階へ。
鍵開けてもらって中へ。
靴を、ももちゃんが脱がす。
ベッドに運ぶ。
作りかけの料理。洗濯ものとか、かかってる服。
見ちゃだめな感じだが、女の子の一人暮らしの部屋デビュー。
マキが、大丈夫だと思うけど、うつ伏せか横に寝かしてね。
ほんとにやばかったら救急車とか・・。
何かあったら電話してよ。
ももちゃん外まで送ってくれる、本当にごめんね。
俺、運転手にわびる。
マキ、家には帰りたくないって。
じゃあおれんち?。
終電、もうねえな。タクシー代だいじょうぶかな。
マキ、疲れたね?
うん。
恭二もいいとこあるね。
まあね。
ももちゃん幸せなのかな?
たぶんね。二人にしか分からないことってあるのよ。
マキは俺の肩に頭をのせた。
テイファニーを出てね、有楽町まで歩いたの。
指から外れて落っこどしたらどうしようって、
何回も確認したわけ。
そしたら恭二が、失くしても自分で買いなおしたりするなよって。(買えないよ)。
失くしたら嘘つかないで正直に言えよって。
また買ってやるからって。
大事にしまったりしないでいつでも付けててくれって。
付けてると恭二が喜ぶから・・・。
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