IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
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【第388話】
前書き
モッピー知ってるよ。
キャノンボールって、モッピーの独壇場って事。
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午前中の第六アリーナ、今日から実践的なキャノンボール用の授業が始まる。
「はい、それでは皆さーん。 今日は高速機動についての授業をしますよー」
右手を上げ、山田先生が此方に注目するように声をあげる。
先生の声はこの第六アリーナ内全体に響き渡った。
一組全生徒が注目するのを確認すると、上げた右手を下ろし、説明を始めた。
「この第六アリーナでは中央タワーと繋がっていて、高速機動実習が可能であることは先週言いましたね? それじゃあ、先ずは専用機持ちの皆さんに実演してもらいましょう!」
山田先生がそう告げると、勢いよく手を此方に向ける。
因みに、並んでいるのは俺、一夏、セシリアだ。
「先ずは高速機動パッケージ『ストライク・ガンナー』を装備したオルコットさん!」
先ず紹介されたのはセシリアで、通常時、サイド・バインダーに装備している四基のビットと腰部に連結されているミサイルビット二基の計六基全て推進力に回しているのが、ストライク・ガンナーの特徴だとか――一応天照も装着可能だが、ビットが無いため付ければただのデッド・ウェイトにしかならないと未来が俺に言っていた。
話は戻して、セシリアの射撃ビットの砲口を封印して腰部に連結する事で、ハイスピード&ハイモビリティを実現しているとセシリアが言っていた。
セッティングも既にキャノンボール仕様の為、今現在どれだけスピードが出るのかは俺には未知数だ。
「有坂君は、打鉄用高速機動パッケージは着けていませんが、増設スラスター組という事で各種スラスターを調整、高速機動仕様にして一周してきてもらいます!」
俺のもキャノンボール仕様へと変更し、後は訓練しながらの微調整という形になるだろう。
大型盾四枚の内側に増設されている為、下手な事さえしなければ速度はついていけるはずだ……多分。
多分としか言えないのは、増設したタイプのスラスターが大量製造品の量産タイプだからだ。
「そして最後に、通常装備ですが、スラスターに全出力を調整して仮想高速機動装備にした織斑くん! この三人に一周してきてもらいましょう!」
中央タワー頂上までのコースに、ガイドビーコンのラインと共にリング状の輪がコースに現れる。
今回、分かりやすくするための処置で、何だかレースゲームの印象を受ける。
「織斑くーん、頑張れー!」
「オルコットさーん! 代表候補生の実力、見せてよねー!」
「お兄ちゃーん! 気楽にねー! 順位は気にせずにー!」
一組生徒の声援に応える様に手を振るセシリアと一夏に倣い、俺も手を振り返す。
――まあ反応したのは一部生徒だけという悲しい事実がそこにあったのは内緒だ。
気を取り直し、打鉄用の高速機動用補助バイザーを粒子形成させ、モードの切り替えを行っていると――。
「なあヒルト、セシリア。 このバイザー、モード変えないといけないんだよな? どれがどれだか分からないんだが」
そう俺達に訊いてくる一夏、無理もない、先週の一部授業で習ったばかりだし――俺は前以てラウラ達に聞いていたとはいえ、思い出しながらのモード設定なんだし。
「織斑さん、バイザーのモードの切り替えをハイスピードにすれば大丈夫ですわよ。 それと、ヒルトさんもですがお二人とも、各スラスターを連動監視設定にするのをお忘れなく」
――そうだった、セシリアに言われ、思い出した様にまた設定し始める。
視線指定(アイ・タッチ)で再度ハイスピードモードの項目を選び、セシリアに言われた通りに連動監視設定を行い、切り替えると一瞬だが光の膜が視界全体に広がり、見ている空や中央タワー、第六アリーナ等がより鮮明に、詳細に視界に映り込む。
「お二人とも、慣れないと酔いますのでお気をつけて」
「ん、サンキュ」
一夏は短くそう返事をすると、周囲を見渡していた。
「セシリア、助かったよ。 一回だけじゃ流石に覚えられないな……」
「うふふ、何かあればわたくしに言ってくださいな。 何せわたくしはセシリア・オルコット。 オルコット家当主にしてイギリスの代表候補生。 ……そして貴方をお慕いするお一人なのですから……」
少し頬を染めてそう告げるセシリアに、昨日の出来事が脳裏に過ると慌てて頭を振って払拭した。
今朝もラウラが横で寝ていたが、危うく寝てるラウラに悪戯しそうになるぐらい悶々としていた為、朝からシャワー室で欲望の塊を慰めるという事態に。
と、山田先生がフラッグを持ち、待機してるのを確認すると俺は空へと躍り出ると、スタート地点で静止。
スタート地点は、コースのゴール地点でもあり、ガイドビーコンの光のラインが伸びきっていた。
「ではいきますよー。 ……3・2・1・ゴー!」
フラッグが大きく振られると同時に各種スラスターを点火、セシリア、一夏、俺の順で一気に飛翔し加速、まず一つ目のリングへと向かってコースアウトしないように飛んでいく。
ハイパーセンサーに映し出される景色が流れていき、スタート地点にいる生徒が一気に豆粒みたいな小ささに成る程上昇していた。
『お二人とも、お先に♪』
そう言って先行するセシリアは更に上昇して一つ目のリングを通過、二つ目と通過していき学園のモニュメントである中央タワー外周のリングを潜って進んでいく。
最初だから順位は気にせずに――とは思えど、負けず嫌いの俺は機体制御にばかり気をとられず、更に加速していく。
『悪いな一夏、俺も先に行かせてもらうぜ』
『ま、マジかよ……。 そんなスピード出して、タワーにぶつかったりでもしたら知らねぇからな』
そんな一夏の言葉を他所に、俺もタワー外周へと入りコースアウトしないように加速、リングを潜り抜けて通過していき、前方のセシリアを視界に捉えた。
『やっと追い付いたな、悪いが俺は負けず嫌い何でな』
『うふふ。 そのままわたくしの魅力的なヒップに釘付けでもよろしいのに』
『かもな。 だが……行くぜ!』
更に燃焼させて加速、セシリアと並ぶと外側から抜きに掛かる。
『うふふ、あまり加速しますと、コースアウトしますわよ?』
そう指摘するセシリアの指の先は、頂上の折り返し地点で、今の速度だと一気にコースアウトは確実。
とはいえ、このままだとセシリアに置いていかれるのも事実だし、一夏も追い上げて後ろについている。
『主君、このままではコースアウトは確実。 どうするのだ!?』
雅の声が響く――。
『無茶は承知、男は度胸ってね!』
一旦アウトコースから折り返しに入り、インコースへと攻めるセシリア。
だが俺はインコースから抜きに出る――そして、折り返しで曲がる瞬間、盾を全部右側へと集中させ、盾内側に増設されたスラスターのみを瞬時加速――無理矢理急旋回させて一気にトップに躍り出た。
キャノンボール仕様での瞬時加速によるスピードアップは基本効果は無いため、誰も使わないし、エネルギーの無駄になる。
だがそこは発想の転換、瞬時加速を旋回用にと考えれば多少無茶な形でもインコースから攻める事は可能だろう。
とはいえ、失敗すればコースアウトは確実だし、ブラックアウトする可能性もあるから早々多用は出来ないだろう。
『む、無茶しますわね……。 で、ですが……わたくしも負けるわけには……!』
そう言ってセシリアが背後から徐々に迫ってくる――一夏も、折り返しを抜け、更に加速して追い上げてくるのが見えた。
折り返しから後半のリングを潜り抜けつつ、可能な限りインコースをとってタワー外周を降りていくが、セシリアは俺の機体の背後につき、風避けにして抜きに出る機会を伺っている。
一夏も、加速だけで徐々に迫って、いつ抜かれてもおかしくない状況だった。
ここで俺は身をもって知る――いくらカスタマイズしたとはいえ、二人の機体の性能やパッケージによる優位性、増設したとはいえ、俺のスラスターはIS関連の一般企業が作った正式量産タイプの大量製造品。
憤りを感じつつ、最後のリングを通過するその一瞬――。
『ヒルトさん、お先に♪』
『悪いなヒルト、置いていくぜ!』
最後の直線で勝敗は分けた――セシリアと一夏は同着ゴールを切り、俺は少し遅れてゴールを切り、結果はビリという結末。
「はいっ。 三人ともお疲れ様でした! 有坂君、まだ始まったばかりですから気を落とさないでくださいね」
「了解です」
――とはいえ、ただのレースだともろに機体の性能が勝敗をわけるな。
パッケージ装備も視野に入れて考えないと……本番は第六アリーナみたいなコースではなく、オーバルコースという単調なものだからそれを踏まえないといけないかもしれない。
まだまだ課題は沢山あると思うと、俺はため息をつくと足元に落ちていった――最近、ため息ばかり吐いてる気がする。
後書き
モッピー知ってるよ。
ビリって恥ずかしいって事。
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