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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》

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【第381話】

 暫くショッピングモールを散策し、時計店を見つけて現在ディスプレイを眺めている。

 一夏の誕生日用のもあるのだが、シャルにも腕時計くらいはと言われていて、色々探してる最中だ。

 そんな俺を見たシャルが一言。


「ヒルト、どう? 気に入ったのあった?」

「ん? いや……正直どれが良いのやら……。 売れ筋が良いからといってそれを選ぶのも安直だしな」


 そう言いながらディスプレイの下の段を見ようと、中腰になって屈む。

 渋いタイプの腕時計や、シンプルな物、デジタルタイプに金メッキのやくざが着けてそうなタイプまで様々な種類があった。

 壁に掛けられているのは壁時計だし、置き時計とかも置かれてる。

 次のディスプレイへと移ると、男性店員が近寄ってきた。


「此方の商品等は如何でしょうか? 高校生にも人気のメンズウォッチですよ」


 そう言って見せられたのはGショックだ――高校生どころか、小学生とか中学生、そして大学生も欲しがる腕時計――確か、結構多機能がついてた気がする……。

 とはいえ、色が緑というのが気に入らない。


「このタイプの色違いはありますか?」

「えぇ、少々御待ちください」


 そう言って一礼をすると、店の奥へと消えていく店員。

 多分店の在庫の方に色違いがあるのだろう――ディスプレイに全色飾れば、色の種類の多い物だけで埋まるだろうし。

 とりあえず他のも見ていると、一夏が口を開いた――。


「そういえば蘭は時計持ってるのか?」


 退屈だったのか、隣の五反田さんに話しかける一夏。


「え!? いや、その……」


 言葉を濁し、しどろもどろになる五反田さんは、指を弄び始める。


「ん?」

「……持ってないです……。 け、携帯電話の時計で十分かなって」

「だよなぁ」


 そう言って頷く一夏だが、シャルは五反田さんが気になったらしく、少し眉根がつり上がり――。


「蘭ちゃん、ダメだよ。 女の子何だからお洒落な腕時計着けないと。 それに、レディースウォッチって可愛いのがいっぱいなんだよ? ほら」

「は、はいっ。 あ……確かに可愛い……」


 シャルの腕時計を見て、五反田さんは溢れるように言葉を言い、その時計を見ながら言葉を紡いでいく。


「……でも、その、時計ってお小遣いだけだと買えないですよ……」


 確かに、今見てる腕時計も基本万単位の金額で、安い腕時計は壁掛けに纏めて陳列されている。

 とはいえ、時計機能としてはシンプルだし、色も女性向けが多く、値段も安いものなら二千円ぐらいとリーズナブルな物ばかりだ。

 ただ、シャルが着けているレディースウォッチは、万単位の物なのでアルバイトでもしないと無理だろう。


「あ、そっかぁ。 僕達代表候補生は一応国に所属している公務員に近い立場だから、毎月支給金があるんだよね」


 そう説明するシャル、美冬も代表候補生候補の時から支給金は貰っていたので実際小遣いなど必要が無かったりする。

 一方の俺は、国からの支援金のみでそれも学内での備品や食べ物代に消えていく――食べる量を減らせばいいが、生憎と体力回復するには食べないといけない。

 そんな事を考えつつ、次のディスプレイへと移ると一夏が――。


「え、そうなのか?」


 ――と、すっとんきょうな声をあげる。

 ……というか、こいついつも俺は勤勉だぜって言ってる割には俺より覚えて無いよな……。

 そんな一夏のすっとんきょうな声にも、シャルは――。


「そうだよ、ヒルトも一夏も、まだ候補生じゃないんだよね?」

「あー、うん。 何か国際IS機関での審議が長引いてるってさ」


 一夏はそう言うが、実際はほぼ仮の代表候補生に選ばれつつある。

 一方の俺はというと、その可能性がほぼ皆無に近い気がする。

 ――というのも、男子の日本の代表候補生は一人で十分であり、一夏ならブリュンヒルデの弟という事もあってネームバリュー、スターとしての資質があるとか何とかでほぼ全会一致らしい。

 一方の俺はランクEという低ランクが災いしてる為、ほぼ代表候補生という道は絶たれている。

 ――更に今は第二世代の打鉄が専用機ということで更に追い討ちかけられている……いくら扱いやすい量産機とはいえ、日本は他に打鉄の後継機の弐式に白式、まだ所属国家は決まっていないとはいえ紅椿もある。

 村雲や天照は一応日本所属だが、コア自体は母さんの持ち物なので完全には日本所属とはいえなかったりする。

 この辺りも結構立ち位置が難しいらしく、訊いても頭が痛くなるので聞かなかった……。


「俺は多分代表候補生にはなれないさ。 仮になれるとしたら何かの大会で優勝でもするしかないが……」

「そ、そうだったね。 ヒルト、ごめんね?」

「ん? 別にシャルが謝る内容じゃないだろ? 気にするなよ」


 そう言って俺は再度ディスプレイを眺めていると、先程店の奥へと消えていった男性店員が三種類の色の時計を持ってきてディスプレイの上に並べた。


「此方が先程の腕時計の色違いでございます。 左から白、青、銀色となっております」


 そう説明する男性店員……うぅむ、黒は無いのか。


「黒は無いのですか?」

「生憎と黒は扱って無いですね……。 このタイプの腕時計は、生産されているのがこの四種類のカラーのみですから……」

「成る程……。 とりあえずそちらはまだディスプレイに残してもらえますか? 他にも見たいので」

「畏まりました」


 そう言ってディスプレイの上にそのまま腕時計を載せ、店員は他の客の応対へと向かった。

 因みに高級腕時計のロ○ックスやオ○ガ等が並んでいる所なので、店員としては優先順位が高いのだろう……まあそれが客商売って奴だしな。

 そう思い、眺めているディスプレイの途中でそれほどデザインも悪くなく、見た目的にかなり頑丈そうな黒の腕時計を見つけた。

 CASIOのプロトレックだ。

 ……値段は三万弱と、結構いい値段の腕時計で、さっきのGショックよりも高いものの、デザインもシンプルであり、アナログなのが気にはなるがそれを補う程、俺の好みとしてもなかなか悪くなかった。


「ヒルト、何か気に入ったのあったの?」


 そう言ってシャルは屈み、俺の視線を追うとその腕時計の値段を見て。


「わ……結構いい値段だね、それ」

「……だよな。 買えない訳ではないが、ちょい高い気が……」


 そうシャルと喋っていると、一夏も五反田さんも気になったのかディスプレイを覗き込んだ。


「げ……結構高いな、それ」

「そ、そうですね。 私じゃ、小遣いいくらあっても買えないですよ……。 三万……」


 呟くようにそう言う五反田さんの吐息が耳にかかり、ゾクゾクしてしまった。


「……これにするかな。 そんなにデザインは悪くないし。 シンプルだし、めちゃくちゃ多機能が付いてる訳でもなさそうだし」

「そっかぁ……。 うん、僕は悪くないと思うよ? 値段は結構いい値段だけどね」


 確かにシャルの言う通り、普通に高いのだ……。

 高校生にとっても、三万は大金だし、アルバイトして一ヶ月分ぐらいだろう。


「うん。 なら一つはこれにするかな。 さて、残り一つ……此方が重要なんだよな」


 そう呟くと、シャルはわかったらしく、眉根を下げて頷く。

 ……一夏用の誕生日プレゼントだ、正直青汁とか、中身をわさびに替えたシュークリームとか考えたが、そんなの贈るのも人としてダメだろうし……罰ゲームならいいが。

 腕時計なら対して困らないだろう、使わないなら部屋に置時計としても使えるし、最悪インテリアとしても悪くないはず。

 後は腕時計何を選ぶかだが、この店に【ぼくのかんがえたさいきょうのうでどけい】があるかどうかだよな。


「一夏、悪いがそろそろ昼だし、何処か食事出来る店でそれなりに雰囲気も悪くない場所、探してきてくれないか?」

「え? おぅ、じゃあちょっと探してくるからその間に会計済ませろよ」


 そう言って店内を出ていく一夏、五反田さんが着いていかなかったのは有難い……今店員は他の客と接客中だし。


「シャル、五反田さん。 悪いがちょい手伝ってくれるか? 一夏の誕生日プレゼントに腕時計は決めたんだが。 フルスペック型の腕時計のあるディスプレイ、手分けして探してくれないか?」

「うん、わかったよ。 腕時計のディスプレイいっぱいあるもんね」

「わ、わかりました。 じゃあ私、向こうを探しますね?」


 そう言って指を指し、向こうのディスプレイへと足を運ぶ五反田さん、一方のシャルは。


「手分けした方が効率もいいから、僕はこっちを探すよ。 あったら知らせるね?」


 そう言って屈んでいたシャルは立ち上がると、スカートの裾を直して五反田さんとは反対側へと向かった。

 俺は正面にある腕時計がディスプレイされているケースを隈無く探していると、不意に服の裾をくいっと引っ張られた。


「あ、有坂さん。 向こう側にありましたよ?」

「そっか。 ありがとう。 ……シャル、あったって」

「あ、うん。 じゃあ合流するね?」


 そう言って早足気味でやって来たシャルと合流し、五反田さんに追従してフルスペック型の腕時計がディスプレイされているケースへと案内される。


「……これはまた多いな。 五反田さん、この中じゃ何れが一夏に合うと思う?」

「ふぇっ? わ、私に訊くんですか!?」


 話を降られ、狼狽する彼女にシャルが――。


「僕たち、一夏の好みとかわからないんだよね。 その点蘭ちゃんは一夏と昔から知り合いでしょ? だから大丈夫かなぁって」

「た、確かにお兄――兄が友達になってからの知り合いですけど……一夏さん、何が好みなのかわからないんです、私も」

「成る程。 んじゃ、あいつに何色が似合うと思う?」

「そ、それでしたらこれなんかは如何ですか?」


 そう言ってディスプレイを指差した五反田さん。

 その先にあったのは白を基調とした金属製の腕時計で、縁がゴールドホワイトになっているタイプだ――確かに白式はガントレットだし、それほど悪くないだろう。


「んじゃ、それに決定。 何気に俺の買う腕時計より高いが……まあいいかな。 五反田さん、ありがとうな? シャル、二人で外で待っててくれるか? 会計済ませるから」

「了解。 じゃあ蘭ちゃん、僕達は外で待ってよう?」

「わ、わかりました」


 そう言って立ち上がり、店内を後にする二人。

 男性店員は接客を終え、高級腕時計が売れたのか顔を誇らばせていた。


「すみません、ちょっと良いですか?」


 そう言って店員を呼び、ディスプレイ内にある腕時計を指差して出してもらい、さっき俺用に選んだプロトレックの腕時計もディスプレイから出してもらった。


「では、此方の二点でお会計は――」


 レジに表示される金額に、目眩がしそうになるも必要経費って事で支払いを済ませると腕時計を別々に包んでもらった。

 これならカッコつけの一夏に似合う【ぼくのかんがえたさいきょうのうでどけい】って事で似合うだろう。

 因みにスペックは、その日現在の気温、湿度、天気、何故か最新ニュースが見れる。

 横にボタンがあるのだが、そこから小型の空中投影ディスプレイが起動するのだ。

 そして電池は最新型の空気電池と太陽光発電、体温発電機能とまさに【ぼくのかんがえたさいきょうのうでどけい】というスペックだ――正直、そんな腕時計、俺は過剰過ぎていらないが。

 会計を済ませて腕時計を貰うと、店内を後にする俺。

 既に一夏は戻っていて――。


「ヒルト、そこのオープンカフェなんてどうだ?」


 そう言って指差した先のカフェは、値段の高さとで有名なオープンカフェだった……。 
 

 
後書き
【ぼくのかんがえたさいきょうのうでどけい】

こわしたやつはしぬ


さて、原作ではシャルがあげるやつをヒルトが……( ´艸`)

てかこの腕時計、まさに【ぼくのかんがえたさいきょうのうでどけい】だよな

多分他にもコンパス機能とか色々ついてそうだ( ´艸`)

一部伏せ字のメーカーと違うメーカーあったりしますが……な、何となく……かな('A`)

腕時計、俺もあるが今行方不明('A`) 
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