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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》

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【第423話】

 
前書き
模擬戦だぜo(`へ')○☆パンチ!

視点がコロコロ代わりますΣ(゜∀゜ノ)ノ 

 
 グラウンド上空、空は快晴、太陽の光がこの俺の機体、黒夜叉の装甲に燦々と照り付ける。

 ――昨日真理亜からの連絡を受け、早速今日面接という事でここIS学園へとやって来た俺だが、ひょんな事から午後の授業の模擬戦で、特別講師をする羽目になってしまった。

 というか、採用条件が模擬戦で一年生相手に三連勝するという条件なのだが――それはつまり、ヒルトの嫁さん候補の子とも戦わなければいけないという事だ。

 もちろん、戦闘になれば俺自身もそんな甘い考えは捨てる。

 ……可能であれば彼女たちとは一戦交えたくないものである。

 後は特別講師中のコミュニケーションは筆談オンリーという条件の為、筆談で会話をしてみたのだが、どうにも慣れない……というか、PPSの機能の無駄遣いな気もするが。

 話を戻して、ラウラだが彼女に関しては別で、一度は手合わせしたいと思っている。

 彼女は小さい頃に俺がドイツへ単身赴任した時に出会った子だ、当時は今以上に感情表現が希薄だったが、今の彼女はヒルトの側に居るととても良い笑顔を見せる――何となく、ラウラの親になった気分に錯覚してしまうぐらいだ。

 それはそうと目の前の彼女、名前は篠ノ之箒といったか……織斑先生からの手話で徹底的に力の差を見せつけてやってくれとは言われたが、本当に良いのかなと思ってしまう。

 とはいえ、負けるつもりもまだ更々ない、だから彼女には悪いが勝たせてもらうつもりだ。

 ハイパーセンサーにシグナルが点ると、待機出力《アイドル》から最低出力《ミニマム》に切り替え、戦闘体勢をとる。

 そして、緑のシグナルに光が点ると、彼女の機体、名を紅椿と呼ばれる機体を駆り、間合いを詰めて接近戦を仕掛けてきた。

 一方で地上――。


 模擬戦が開始され、早速親父と篠ノ之の激しいつばぜり合いが繰り広げられる。

 親父の武器は何時ものナイフだが、悠々と篠ノ之の刀、雨月を抑え込むと新たに左腕部装甲からナイフの柄が飛び出し、それを握る。

 刃が形成され、逆手持ちながらも器用に篠ノ之のシールドエネルギーを削っていく。


「っ……非力なナイフに負ける刀では無い!」


 言いながら力を込める篠ノ之、だが親父はぴくりとも微動だにせず、ナイフ一本で簡単に防ぎ、空いた左手のナイフは執拗に絶対防御を発動させる箇所へと的確に攻撃していく。

 流石に不味いと思ったのか、篠ノ之は一旦距離をとると共に空裂を横に薙ぐ様に振るうと、そこから帯状の粒子ビームが形成され、黒夜叉へと突き進む。

 その一撃を、親父は身軽にその上を抜けるように跳び、避けるのだが――。


「もらったぞ!」


 雨月による打突、その刃から無数の粒子弾が発射され、親父の機体、黒夜叉へと迫る。

 空を舞う親父、視界が反転しているにも関わらず、器用にクロス・グリッド・ターンを使いこなすと打突の構えで硬直した篠ノ之の機体へと再度攻撃を行う。

 発光した二振りの刃の軌跡だけが見えるのだが、切り刻む速度の速さが上回っていて正直何回攻撃しているのかが目に見えない、ハイパーセンサーを使っても捉えられるかどうかもわからないぐらいの手数で圧していた。


「クッ……距離を取らねば……!!」


 各部展開装甲が開き、無理矢理その場から抜け出ると昨日の様に距離を離し、絢爛舞踏を発動させるため意識を集中させた。

 金色に染まっていく紅椿の装甲、まるで太陽がもう一つその場に現れたように輝きを放つ。

 目も眩む程の輝きの中、紅椿のシールドエネルギーは全快に回復した。


「まだ紅椿は戦える、行くぞ!!」


 そんな叫びと共に、雨月と空裂による遠距離攻撃を開始した。

 一方、空に居る有坂陽人は――。


 ……成る程、単一仕様の発動によって実質エネルギーが無限になるのか、ISの欠点を単一仕様で補う……こりゃ、普通に戦うにしてもキツいわな、【一年生には】。

 そう思うと、俺は最低出力《ミニマム》から一気に戦闘出力《ミリタリー》へと切り替えた。

 各部出力が一気に上がり、全身のスラスターの推進剤を燃焼させると爆発的な加速力を得、突撃と共に周囲に衝撃波が発生、地表は砂ぼこりが舞い、下の生徒たちに礫が襲うも埋設型シールドバリアー発生器によって阻まれていた。

 衝撃波は紅椿を襲い、加速した機体を揺らがせ、背後の校舎にも衝撃波が襲うがビリビリと揺れるだけに留まる。

 ガラスも割れてなく、元からそういった衝撃波処置を施した設計なのだろうと脳裏に過った。

 彼女の放った粒子ビームは、機体から発生したプラズマフィールドによって阻まれ、粒子が四散、そして間合いを一瞬で詰める。

 彼女――篠ノ之箒の表情は有り得ないものを見ている様な表情だった。

 いくら私が接近していたとはいえ、一瞬で離れた距離を詰める何て有り得ない――と。

 だが、起きてる事は全て事実、出力の上がった黒夜叉にとっては造作も無いこと――握ったナイフによる連撃が、容赦無く彼女の機体を切り刻んでいく。

 せっかくの全回復も、振るうナイフの軌跡が描く剣閃によってまたも削られていく。


「ま、まだやられるものかッ!」


 されるがままという訳には行かないと、瞬時加速で再度距離を取る、展開装甲機動モードにより、加速力を得た紅椿は離れていくのだが、【黒夜叉のスピードより遅い為、易々と先回り出来た】。


「ば、バカな……あ、紅椿に追い付く――」


 驚き、身を強張らせた彼女に対して無情の一撃――二振りのナイフは紅椿の装甲に突き刺さると、俺は起爆させ、紅椿と俺は爆発に呑まれていく――だが、事前にプラズマフィールドを展開していた為、爆発で機体は揺らぎはしたものの、ダメージは皆無であり、爆煙が晴れると同時に模擬戦終了のブザーが鳴り響いた。

 先ずは一勝、残り二連勝すれば良いと思うと、俺は軽く息を吐いた。


 IS学園グラウンド、模擬戦第一試合はあっさりとした巻く引きで終了。

 篠ノ之は未だに負けたという事実が信じられないといった表情だ――だが、いつまでもそこに居ても邪魔なだけな為、織斑先生に降りてくる様に告げられる。

 一方で生徒たちはというと――。


「……何気にあの新型もそうだけど、特別講師の人も凄くない? ナイフ二本で勝ってるよ」

「……ぅん。 篠ノ之さん有利かと思ったけど、やっぱり特別講師に呼ばれるだけあるね」

「……どんな人なんだろう? 外部の自衛隊員なのかな?」


 其処らから聞こえてくる女子の声に、織斑先生は横目で睨むとピタッと声が止む。

 空から親父が降りてくると、またその場で待機し、篠ノ之が戻ってくるや、織斑先生は――。


「篠ノ之、何で負けたかわかるか?」

「……たまたまです。 今回の敗北は……初見の相手という事もありますので」

「成る程。 そう言って言い訳すれば門も立つ――という所か?」

「……っ」


 ギクッとした表情を見せる篠ノ之に、織斑先生は更に言葉を続ける。


「お前は少し機体性能と単一仕様に頼りすぎる所がある。 正直、紅椿の真の力等とのたうっていた様だが、私自身はお前自身、その機体性能や単一仕様に甘えてる様にしか見えん。 今のままなら、織斑同様他の専用機持ちの足を引っ張りかねん、誰かに師事を乞え。 でなければ、お前はいつまでも単一仕様頼りでの勝利しか出来ないだろう。 ……大会にはレギュレーション規定のものもある、お前自身がレギュレーションを否定しても、変わらぬこともあるのだ、肝に命じろ」

「………………」


 返事もなく、真一文字に唇を結ぶ篠ノ之、織斑先生は「列に戻れ」と小さく呟くと、篠ノ之はとぼとぼと列に戻った。


「さて、二戦目だが次は――」

「千冬姉、俺が二戦目に志願――」


 出席簿による一撃が、一夏の脳天にクリーンヒットする。

 快晴の空に響き渡る心地好い音、綺麗に頭を叩かれた証拠だ。


「織斑先生だ、いい加減学習しろ。 出来ないのなら出来るまでやれ」

「す、すみません……」

「まあ良いだろう、とりあえず二戦目は織斑。 黒夜叉先生もそれでよろしいか?」

「………………」


 画用紙に書き、又も筆談で答える親父。


【大丈夫です。 私も彼の現在の実力を把握したいので】。

「では、二人とも準備の方を」

「おぅ」


 威勢良く返事をする一夏だが、返事の仕方が悪すぎたため再度出席簿で頭を叩かれた。

 ……流石に返事ぐらいはちゃんとしろよと思う俺だった。 
 

 
後書き
二戦目は一夏( ´艸`)

ちょい遅れるかも?

遅れなかったらいつも通り更新します 
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