IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
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【第328話】
前書き
遅れました
でわでわ
やって来た篠ノ之は、男に一夏がやられたことに対して怒りを露にしていた。
そんな様子の篠ノ之に対して、男の方は余裕があるらしく、口元を軽くつり上げ、ニヤリと小さく笑った。
「貴様か! 一夏を倒したのは!」
「……他に誰がいるってんだ? 篠ノ之束の【妹】、篠ノ之箒……?」
「……貴様!」
挑発じみた口調で言う男に、篠ノ之もまんまと挑発にのせられた形になった。
「……あぎゃ、俺様がムカつくなら俺様を倒せばいいぜ? ……第四世代型、それを駆るお前の評価――本当かどうか、俺様が確かめてやるぜ!」
「戯れ言を! ……良いだろう、紅椿の力……貴様に見せてやる!!」
二刀の刀を抜き取り、いつか見せたような二刀流の構えを取る篠ノ之。
それに対して、男は持っていたチェーンソー型の大剣を粒子化させ、口を開く――。
「あぎゃ、二刀流か……。 だが……その刀は二刀流に適した刀ではないな。 ……あぎゃぎゃ、篠ノ之束もその辺りを考慮出来ない辺り、頭の良い馬鹿って奴かな……あぎゃぎゃ♪」
「……ッ!? 貴様も篠ノ之剣術流をバカにするのか!?」
「あぎゃ、適した刀じゃない二刀流に怖さはねぇよ! 元来、二刀流は大太刀と脇差、流派としては二天一流が基本だが――お前のその長い刀じゃ、取り回しは――」
「黙れッ!! 二天一流が何だ!? 貴様など、篠ノ之剣術流で刀の錆にしてくれる!」
自身の剣術流に誇りを持ってるのか、男の否定する言葉に対して怒りを再度露にした篠ノ之は直ぐ様攻撃を開始した。
一刀から放たれた粒子の残光が尾を引き、男に迫る。
「あぎゃ、頂くぜ……エネルギー!!」
地面に突き刺したままの盾を引き抜き、腕部装甲に備え付けると再度盾の装甲が開く。
まるで盾に粒子エネルギーが吸い込まれるように粒子残光を空中に残し、消えていった。
「何だと……? ……ならばこれでどうだ!!」
振るった刀は構えたまま、紅椿から自律兵器二基を射出。
ガコンッ!――そんな音をたてながら射出されたそれは、一気に男に迫る――。
「っと! あぎゃぎゃ! 当たらねぇぜ、この程度!」
空中へと躍り出た男は、周囲を包囲する様に攻撃を行う自律兵器を巧みに避ける。
鮮やかに避けるその様は、敵ながら見事としか形容が出来ない。
シールドバリアーを多少掠める事はあれど、決定打となり得る自律兵器の攻撃の軌道は完全に避けきる辺り、腕前は相当な物を持ってるのが分かる。
「貴様! チョロチョロと逃げ回って……男なら、避けずに戦え!!」
「あぎゃぎゃ♪ 回避は戦闘の基本だぜ? ……お前の勝手な男のイメージ、俺に押し付けるんじゃねぇッ!!」
ふざけたような笑みから一変、辺りに響き渡る怒声に驚きの表情を見せた一同。
「けっ! 柄にもなく怒鳴っちまったな……。 あぎゃぎゃ、何にしても……性能を見せてもらうぜ、モップ!!」
「誰がモップだ!!」
さっきのチェーンソーとは違い、二振りの刀が粒子形成されて握られていた。
片方は大太刀、もう片方は脇差と構え、背部の翼から光の粒子が大量放出されると、爆発的加速で一気に肉薄した。
「……!?」
余りの加速の速さに、篠ノ之は驚きの表情になるものの直ぐ様刀を構え直す。
「ハァァアアッ!」
二刀流による二連撃――篠ノ之が振るった二振りの刀は十字を斬る様に振るうが――。
「あぎゃ!」
「何!?」
脇差を真っ直ぐに投擲――振るった左手の刀を弾く。
右の刀はそのまま受け止めるや、脇腹へと強烈な横蹴りの一撃を与えた――。
「あぐっ……!!」
「箒!? ――てめえ! 箒に何しやがるッ! 俺がもう一度相手してやる! 降りてこい! くそ野郎ッ!!」
一夏の怒声が聞こえるが、男は気にする様子もなく口を開く。
「あぎゃ、まともにエネルギーも無い雑魚が意気がるなよ? ……口先だけのビッグマウス野郎は大人しく見てな!」
「クソッ! 動け! 動けよ白式!!」
そんな一夏の声に応える事はなく、静かに機能停止する白式。
男は気にする事なく、篠ノ之に対して追撃を行うべく叫ぶ。
「フリューゲル・フィーア! フュンフ! ゼクス! ズィーベン! アハトッ!!」
各々の言葉に呼応するかの様に翼から射出される自律兵器――多分、あれにはBT兵器の技術もあるのかもしれない。
という事はドイツ・イギリス合同のIS――福音みたいな感じなのだろうか?
だが、セシリアとラウラの二人の様子を見る限り、知らない様に見えるのだが――もしかすると、村雲と同じ様に日の目を見なかったのか、或いはペーパー・プランで終わったのか……。
何れにせよ、コア・ネットワークには登録されていない機体の為、情報が少なすぎる。
射出された自律兵器の内三基からはプラズマ粒子で形成された刃が現れ、残った二基はそのまま真っ直ぐと紅椿へ突き進む。
「迂闊な! 撃ち落としてくれる!」
雨月の打突――刃からエネルギー刃が連続で放出された。
「あぎゃ! 迂闊なのはてめえだ!」
二基の自律兵器から形成されたエネルギーシールドが、放たれた刃を全て防ぎきる――そして。
「ッ!? 動けない……これは……!!」
「切り刻め! フリューゲル!!」
プラズマ粒子の刃が四方から紅椿を襲う。
なす統べなく傷つけられていく紅椿――。
「く、くそ……! AICで動きを止めるとは卑怯な――」
「あぎゃ、自分は姉から最高性能の機体を使ってて、俺様がちょっとAICを使えば卑怯呼ばわりとは……質の高いブーメランだな! あぎゃぎゃ!」
「黙れ! 紅椿は私の為に用意された機体だ!」
「けっ! どうせ姉のコネみたいなもんだろ? 実力的に見ればてめえはその機体の性能の半分も出せてない様だしな!」
「ぬかせッ!!」
無理矢理一蹴する様に叫ぶと、腕部展開装甲が開きエネルギーシールドが形成され、斬撃を防ぐ。
「……ここで展開装甲のデータを取るのも悪くねぇな……」
男は一人小さく呟くと、展開していたフリューゲルと呼ばれるビットを背部の翼へと戻していく。
……俺とラウラ、一夏を拘束しているAICを発生させているビットを除いてだが。
『……セシリア、聞こえるか?』
『えぇ、感度は良好ですわ。 ……すみませんヒルトさん、篠ノ之さんの援護をするべきなのでしょうが――』
『いや、それは得策じゃないだろう。 ……あの盾がある以上、粒子系は効かないだろうし、あの男がエネルギー貰ったぜって言ってたから下手すると粒子エネルギーをシールドエネルギーに転換する機能もあるかもしれない』
『えぇ……それはわたくしもラウラさんも懸念していた所ですわ』
……流石は代表候補生って所か、動けなくても情報収集するのは当たり前だろうし。
『……俺の合図で、俺を拘束しているビットに攻撃してくれるか?』
『……わかりました。 ですが、効果は無いかもしれませんわよ?』
『あぁ。 ……あのビットが二つの事以上出来なければAICはこれで解除される筈だからな。 ……無理なら、俺達はなすすべなく機体を奪われるだけだ。 頼んだぞ、合図はアイコンタクトで送る』
チャネル通信を切り、セシリアを見ると小さく頷いた。
「AICが解除された……? ふっ、エネルギーでも切れたか?」
「あぎゃぎゃ、秘密だ。 ……行くぜ!」
大太刀を構え、地面に突き刺さった脇差を抜き取ると一気に紅椿に迫る。
「遅いッ! 紅椿、見せてみろお前の力を!!」
そう言って背部及び脚部展開装甲を開くと上空へて急上昇しつつ、雨月で射撃攻撃を行う。
「あぎゃぎゃ、地上にはお前の仲間がいるってのに攻撃とは……テロリストの才能あるかもな」
エネルギー刃を避けていく男――刃は公園の地面を抉り、弾け飛ぶ石礫が俺やラウラに当たる。
「っ……。 ラウラ、大丈夫か?」
「大丈夫だ。 シールドエネルギーの消費は微少――とはいえ、何度も受けたいとは思わないが」
見る限りは大丈夫そうだが……。
上空では苛烈なエネルギー攻撃が続き、男は余裕で先読みするかの様に避けている。
苛立ちを隠せない篠ノ之――空裂を振るい、帯状のエネルギー刃が広がり男に迫る。
「あぎゃぎゃ! 跳ね返してやるよ!」
脇差を再度紅椿へ投擲した男は、またも盾を呼び出すとそれを吸収――盾の真ん中が開くと、空裂から放たれた帯状のエネルギーがそのまま砲口から撃ち返す。
原理はわからないが、正直あの盾は相当厄介な代物と言えるだろう。
「クッ……!」
脇差を刀で弾き、迫る帯状のエネルギー刃を腕部展開装甲から形成されたエネルギーシールドで防ぐも明らかに劣勢な篠ノ之。
体勢を崩した篠ノ之に対して、追撃を行うべくミサイルランチャーを呼び出すと直ぐ様発射――バックブラストの煙がランチャー背部から放出され、煙が立ち込める中ミサイルは紅椿を捉えると轟音を響かせ加速――。
「……!?」
ミサイルを見た篠ノ之は、直ぐ様全身の展開装甲を開き、周囲にエネルギーシールドを形成させた――そして。
激しい爆音と共に紅椿を爆発が包む。
「――箒ぃぃぃッ!!」
爆発にのまれた篠ノ之の名前を叫ぶ一夏の声が、辺りに響き渡った。
後書き
今日が九巻発売日
売ってなかったら批評出来ないぜ
まあ正直文章力には期待してないですからな、後書きがどれだけ不快か
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