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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》

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【第308話】

 
前書き
遅れました

駄文ですが見てやってくだされ 

 
 ……何はともあれ、写真撮影も無事に終わり、黛さんは笑顔のまま三組へと駆けていった。

 俺と成樹のテーブルにも、点心×2が運ばれ、食事にありつけた。


「がつがつがつがつがつッ!」

「相変わらず気持ちのいい食べっぷりだね、ヒルト?」

「んむ?」


 口一杯に頬張った点心をもぐもぐと咀嚼し、食べながら頷くといつもの柔らかな笑みを浮かべて成樹は烏龍茶に口をつけ、一口。


「……成樹も食べないと力出ないぞ?」

「うん。 ……とは言うものの、僕は少食だからね」


 そういえば昔からそうだったな。

 箸をつけてはいるが、あまり食は進んでいない――。


「良かったら食べるかい、ヒルト?」

「ん? あぁ……。 でも、成樹は後一個ぐらいは食べないと」

「ん。 ……そうだね」


 そう言って進まなかった箸を進め、点心を食べる。

 ――無理して食べさせるのも悪いが、やはりもう少し食べさせた方が成樹も……と思ってしまう。


「……なあヒルト、こっち来て一緒に食べないか? ほら、俺も弾を紹介したいしさ」

「んむ? ……んぐんぐ。 ――一年一組、クラス代表の有坂緋琉人です。 此方は俺の親友の笹川成樹。 よろしく~」


 一緒に食べる気が無いので、その場で自己紹介――てか、別に一夏の友達と親しくなりたいと思ってないからな……念のため。


「ふふっ、よろしくね織斑君、それと――」

「あ、俺は五反田弾って言います。 気軽に五反田でも、下の名前の弾でもいいぜ」


 ニッと歯を見せる五反田――まあ下の名前でいきなり呼ぶのもあれだし。


「んじゃ、五反田で」

「そうだね。 僕も五反田君って呼ばせてもらおうかな?」

「お、おぅ」


 若干頭をかきながら、水を一口飲む五反田――と。


「ヒルト、一緒に食べないのか?」

「ん? 食べないぞ? ……てか、話題とか続かない気がするし」

「……そうか? 話すこといっぱいあるじゃん。 ほら、ヒルトの中学はどんな所とか、どんなゲームしてたーとか」

「……ゲームもしてたが、どちらかと言えば俺らってサッカーするかキャッチボールかバスケの1on1だったが――」


 そう思い返しながら答えていると、携帯の音楽が鳴り響く――しかも、俺のだ。

 携帯を取り出すと、着信はシャルからだった。


「もしもし、どうしたシャル?」

『ご、ごめんね休憩中に。 ……その、一夏がさっき休憩に出ちゃって、お客さんが一夏はどこだーってクレームが凄くて――』

「一夏?」


 そう言って一夏に視線を移す――今は五反田と談笑していた。


「一夏なら二組に居るが……呼ぼうか?」

『う、ううん。 さっき休憩に出たばかりなのを知ってるから流石に呼び戻せなくて……。 な、何か代案無いかな? 一夏が居なくてもクレーム出なくなるような……』

「……シャルが執事をするのは?」

『……やっぱり、それしかないのかなぁ……。 はぁっ……』


 電話越しにため息を吐くシャル……と、ふと成樹が視界に映る。

 俺が見てるのに気付き、軽く首を傾げる成樹――と。


「……一夏の代わりになる執事が居れば良いんだよな?」

『え? ど、どうだろう……。 お客さんは一夏をーって言ってるから、ヒルトを出しちゃうと怒るかも――ぼ、僕はヒルトの方が良いけど……ね?』


 さりげなくそう告げるシャルの言葉に、ドキッと高鳴るが、平常心で――。


「とりあえず、一夏の代わりを務められそうなのは居るが――確か助っ人は大丈夫だったよな?」

『え? ち、ちょっと待ってね? 鷹月さんに訊いてみる――…………』


 確か、外部からの助っ人も問題ないみたいな事を書いてた気がするが――と、成樹が。


「ヒルト。 困ってるなら力貸すからね? ……ヒルトはいつだって僕を助けてくれたし、僕もヒルトの力になりたいからね」


 にこりと微笑む成樹――その言葉を聞いた二組の店員の子は頬を朱色に染めていた……。

 多分、脳内でヒルトと呼んだのを自分の名前に置き換えたのだろう。

 ……まあ、そこは個人の自由だからいいが――と。


『もしもし? 今鷹月さんに訊いてみたけど大丈夫って。 ……ヒルト、もしかして前に喫茶店で会った笹川君に頼むの?』

「あぁ。 ……成樹も力を貸してくれるって言ってるからな」

『そっかぁ……。 うん、彼なら僕も一夏の代わりになれると思うよ。 燕尾服は用意しておくから、出来るだけ早く来てね? 待ってるから』


 プツンッ――通話が切れ、携帯をポケットに仕舞うと……。


「……って訳で成樹、悪いけど今回は力を借りるよ」

「もちろんだよ」


 嫌な顔一つせず、いつもの笑顔で告げる成樹に、昔から変わらないなぁと思いつつ、その厚意に甘える。


「んじゃ、行くかな。 ……鈴音、会計よろしく。 一夏、お前はいつまで休憩取るんだ?」

「ん? 三十分ぐらいかな。 弾とも色々話したいし――てか、朝からダーツとかじゃんけんばっかりで疲れて疲れて――」

「ん? 一夏、じゃんけんとか何の話だ?」


 ――そういって食い付いたのが五反田、一夏がその説明をする所で鈴音がやって来て。


「もう戻るの、ヒルト?」

「あぁ。 まあ俺がいなくても問題は無いが、メインの執事が居ないからか苦情が多いらしくてな。 ――だから、成樹を助っ人に頼むんだよ、これが」

「そ、そっか。 ……笹川、その……ヒルトの力になってやってね? ……し、親友だから分かってると思うけど、ヒルトって何でも一人で抱え込む所あるからさ」


 ……そんなに抱え込んだつもりは無いのだが、やっぱりそう見えるのかな?


「もちろんだよ。 昔からヒルトは友達の力にはなるけど、自分の問題は自分で抱え込む所あるし」


 ……うーん、そんなつもりはないと言いたいが、端から見たらやはりそう見えるのかも……。


「ま、まあいいじゃん。 ……鈴音、会計済ませるから」

「ん? ……たまには奢ってあげるわよ。 何だかんだで、あんたからいつも奢ってもらってるんだし。 ……か、勘違いしないでよ? か、借りを返すだけなんだから」


 そう言ってぷいっとそっぽを向く鈴音――と。


「なんだ? お前、一夏からそいつに乗り換え――ぶごほっ!?」


 またも綺麗に顔面にぶちこまれるお盆。

 ……痛そうだ。


「う、うっさいわよ! ぶっとばすわよ、弾!」

「どわぁっ!? か、勘弁してくれよ! だ、代表なんたらってやつなんだろ!? ぶっ飛ばされたら死んじまうよ!?」

「分かってるなら口を閉じて黙って点心食べなさいよッ!? ……ひ、ヒルト、会計は私の奢りだから気にしないでいいわよ?」


 振り返る鈴音――多少頬が朱色に染まっていた。


「そっか。 なら今回は厚意に甘えるよ。 ……成樹、行こうぜ?」

「うん。 じゃあ凰さん、織斑君に五反田君も、またね」


 そう成樹が言い、俺も手を振ると三人共々手を振って見送ってくれた。

 そのまま二組を出、一組へと移動――成樹も後に続き、一組に入る。


「シャル、燕尾服の準備は?」

「うん。 今美冬ちゃんが用意を終えたよ。 ……笹川君、助っ人ありがとうね?」

「困った時はお互い様だよ。 ……とはいえ、僕なんかで織斑君の代わりになるかはわからないけどね」


 眉を下げる成樹だが、正直喫茶店で働いてるのだから問題ない気がする。


「お兄ちゃん。 準備できたよー。 成樹くん、久しぶり~」

「うん。 美冬ちゃんも変わらないね? ……ううん、前に見た時よりも可愛くなってるよ。 恋、してるからかな?」

「……な、何いってんだか。 こ、恋……してないし……」


 そう言って俺を見る美冬――視線が合うと、そっぽを向かれてしまった。


「せ、接客に戻るね? ……ほら、成樹くんは着替えて着替えて! お兄ちゃんも、簡単な仕草とか教えてあげないと!」


 そう言って無理やり簡易更衣室へと入れられた――。

 まあ、何とかなるだろう。 
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