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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》

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【第393話】

 
前書き
オリジナル鈴音回 

 
 木曜日の夕食時、今日のメニューは唐揚げに焼き魚、後はご飯とサラダ菜と控えめなメニューの食事を食べながら現在、夕方のニュースを見ていた。


『先日行われたレセプションには、各国の著名人、政治家等が――』


 ――と、日曜日に行われた大きなレセプションのニュースを連日取り上げていた。

 今週にはキャノンボール・ファストが開催される為、それが目当ての著名人も居るだろうし、各国要人は自国の代表候補生――特に専用機持ちの一年生の様子を見に来たのだろう。

 レセプションといえば、母さんも帰国した親父と共に何処かのレセプションに参加するって訊いたが――まさかこれじゃないだろ。

 そう思いながら一人で食事を食べ、ニュースを見ていると各国要人にコメントを求める場面になり、その映像が流れる後ろに何となく見覚えのある栗色の髪をセミロングに下ろし、背中が大胆に開いたドレスを着た女性が映し出されていた。

 ……なんか、母さんに見えるんだが――しかも、話してる相手がイギリス王室の人の様な……。

 ニュースに注視していると、突如チャンネルが切り替わり、バラエティー番組に替わった――夕食を摂りにきた女子生徒が番組を替えてしまった為、諦めて食事を摂る事に。

 流石に女尊男卑故に、チャンネル争いしても負けるので早く食べ終えて部屋でまったりしようと考え、ご飯に手をつけていく。

 話は変わるが、先日からキャノンボールの訓練をメインにやっているのだが、もしかすると当日になってコース内容が変わったりする可能性も否定できないため、色々な内容で練習をしている。

 コース周囲から、コースを飛翔する機影を捉えると自動射撃を行うターゲットによる射撃妨害、IS技術応用による浮遊機雷群を潜り抜ける――他だと、IS本来の宇宙活動を想定したデブリ地帯を潜り抜ける――この辺りは機雷同様だが、浮遊機雷と違って質量のある大岩を、反重力力翼を応用した無重力空間を想定しての内容なので、コース事態が色々大変な事に――まあ過剰な訓練かもしれないが。

 そんな事を考えつつ、食事を摂っていると――。


「ヒルト、ここ良い? てか珍しいじゃん、あんたが一人で食事なんてさ」


 そう言って正面に座ったのは鈴音だ、今日は珍しく、鈴音はツインテールではなくサイドテールで髪を纏めていた。

 何気に似合うな、サイドテールも。


「今日はニュース見たくて早めに来たからな。 てか鈴音も一人じゃん」

「う……し、仕方ないじゃん。 ティナは先にお風呂に行っちゃったんだし、アタシは先に食べてからって思って来たらあんたが一人で食べてたから……その……」


 ゴニョゴニョと声が小さくなる鈴音、割りばしを割ると、頂きますと声をあげてからラーメンを啜った。

 お茶を一口のみ、何となく悪戯心が出たので靴を脱ぎ、足でちょんちょんとつついてみる。


「ひゃ!? ――な、何よ! 急にびっくりするじゃん!」

「ん? 足をつついてみただけだろ?」


 そう言って鈴音の足の肌の表面を、なぞるように足の指を動かすと、徐々に顔が赤くなり始めた。


「……っ。 ……ば、ばか……こんな所で何をしようとしてんのよ……っ」


 僅かに涙目になる鈴音、だが本気で嫌がってる訳ではなく、軽く身を捩らせていた。


「まああんまりちょっかい出しても迷惑だろうし、やめておくよ」


 そう言って足でちょっかいを出すのを止めると、鈴音は黙ってラーメンを食べ始めた。

 俺も食事が終わり、下らないバラエティー番組を眺めていると、不意に俺の足に触れられる感触があった。

 鈴音を見てみると、さっきの仕返しと謂わんばかりに舌を出してべーっと表情で表しながら、先程の俺と同様に足をなぞる。

 多少擽ったさはあるものの、我慢は出来るので我慢しながらバラエティーを眺める。

 お笑い芸人が大袈裟にパフォーマンスをするのが面白いのか、テレビを見ていた女子からは笑い声が漏れている――と、なぞる足が徐々に腿の付け根へと移動してきた。


「……鈴音」

「な、何よ」

「それ以上進むと、俺も同じことするかもしれないぞ?」

「や、やれるものならやってみれば良いじゃん……」


 恥ずかしそうに視線を逸らす鈴音、足の動きが止まってやめたのがわかると俺は――。


「っと、箸が落ちたな。 悪い鈴音、そっちに落ちたのとってくれるか?」

「し、仕方ないわね……」


 そう言って互いに机の下へと潜り込む。

 因みにこの席、机の下は皆の死角だったりする。

 下に潜った俺はまず、落とした箸を鈴音から受け取ると――。


「あ、あんまり腿の付け根に足の指をなぞらせるなよ……」

「あ、あんたが最初にやったんでしょ? し、仕返しよ、仕返し」

「……まあ確かに俺がちょっかい出したけどさ……。 とはいえ、流石に鈴音の股に足を入れるわけにはいかないからな」

「あ、当たり前でしょ。 こ、こんな所でそんな事されてバレたら大変じゃん。 せ、せめてあんたの家か部屋じゃなきゃ――って、何言わせんのよ」


 言いながら顔を真っ赤にする鈴音、サイドテールが似合いすぎてて非常に可愛い。

 しかも、よくよく考えたらここは死角なので、キスは出来たりする。


「鈴音」

「な、何よ……」

「可愛いな、今日の髪型」

「ば、バカ……か、髪型だけが可愛いの……?」


 照れを見せるも、髪型だけを可愛いと言われて少し複雑な表情の鈴音。


「髪型だけじゃなく、普通に全部可愛いぞ?」

「~~~~!? ば、ばか……。 て、てかいつまでも下に居たらおかしく思われちゃうわよ!」


 確かにそれはごもっともかも――とはいえ、キスもしたいと思ったりするが、やはり諦めるか……てか、キスのし過ぎで色々おかしくなってるな、俺。


「そうだな、んじゃ、箸ありがとうな」

「べ、別にいいわよ。 ……あ、ひ、ヒルト?」

「どうした?」

「……ぅぅん、何でもない」


 何か言いたそうにする鈴音を不思議に思いつつ、テーブルの下から出て箸を置くと鈴音は何故か出てこない。

 不思議に思い、下を見ると何故か顔が赤いまま俺を見ていた。

 ジェスチャーで下に来てと合図する鈴音に促され、また下に入り込むと――。


「どうした、鈴音?」

「ん、んとさ……。 ……うぅ、何でアタシから言わなきゃいけないのよ……」

「?」


 言いたい意味がわからず、疑問符を浮かべていると、意を決した様な表情を浮かべ、鈴音が急に俺の胸ぐらを掴んだ。


「な、なん――んむっ!?」


 そのままグイッと引っ張り寄せられ、鈴音の唇に俺の唇が触れる。

 唐突なキスだったが、前回同様、柔らかなその唇の感触に酔いしれ、そのまま俺は何度か啄む様に唇を重ね、鈴音の唇を堪能する。

 食堂内は笑い声が絶えない中、俺と鈴音が机の下でキスをしてるというこの状況、妙な高揚感が内から出てくる感じだった。

 唇を離すと、赤い顔の鈴音が――。


「……あ、あんたのせいだからね。 こんな所でキスしたくなったの」


 それだけを言って、机の下から出ると、鈴音は座り直した。

 流石にいつまでも下に居ては、他の女子に見つかると「有坂君が凰さんのパンツ覗いてる」という噂をされる可能性が高い。

 俺も机の下から出ると、何事もなかった様に振る舞いつつ、食器を片付けると――。


「さ、さて、先に俺は戻るかな」

「そ、そうね。 ……バカ……」

「ははっ、んじゃ鈴音、またな?」

「ぅ、ぅん」


 短く鈴音はそう返事をすると、また食事に戻っていった。

 俺はトレイに食器を載せ、軽くさっきのキスを思い出すと唇に触れる。

 ……何だかんだでキス魔だな、俺。

 そう思いつつ、食器を食堂のお姉さんに渡してお礼の言葉を告げ、寮の食堂を後にした。 
 

 
後書き
果たして、これは鈴音へのご褒美なのか、はたまたヒルトのご褒美なのか、或いはエロイベントの布石か……わからん 
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