IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
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【第396話】
前書き
短いです( ´艸`)
――アリーナ観客席――
チアリーディングによるダンスが終わり、これからIS学園二年生のレースが始まるとアナウンスがアリーナ観客席に伝えられる。
「しっかし……まさに人類の坩堝だな、信二?」
「そうだな。 さっき売店に向かう途中だけでもさ、可愛い女の子居たんだよな! 年下っぽいけど、何か赤い髪が似合ってて何処かいい所のお嬢様学校に通ってるって感じの! あ、後は金髪のお姉さん的な人も居たな。 美人だったけど、あんまり俺の趣味じゃなかったけどな」
ヒルトの友達である信二が、購入したポップコーンを食べながら座席に座った。
ポップコーンに手を伸ばす拓斗、一つまみしてそれを頬張り、巻いていたバンダナを外してから――。
「可愛い子か、でも年下はなぁ……。 やっぱ同期か年上っしょ! ほら、ISモデルショットに紹介されてた更識楯無とか!」
そう言って拓斗は買ってきた雑誌を鞄から出し、ロシア国家代表更識楯無特集のページを開いて見せた。
「おおっ!? 超可愛いじゃん! しかも俺達の一個上――ヒルト、この人と知り合いじゃねぇのかな? 知り合いだったら紹介してほしいぜ!」
興奮して声が大きくなる信二に、遅れてやって来た成樹が、手にコーヒーを持ちながら歩いてきた。
「二人とも、周りの人がびっくりするから静かにしないとね?」
「よぉ成樹。 コーヒー買いに行ったっきり戻って来なかったから心配したぜ?」
拓斗がそう言うと、ふわりと柔らかな笑みを浮かべる成樹。
それをたまたま見ていた観客席に座っている女性は思わずドキドキしながら、その笑顔を目に焼き付けた。
「んと、僕自身は直ぐに戻りたかったんだけどね。 その……女の人に私たちと一緒に見ませんかって、色んな人から誘われちゃって……。 こんな時、ヒルトが居てくれたならって、彼に甘えたくなるよ」
既に冷えたコーヒーカップに口をつけ、それを一口飲む。
その姿も様になっていて、携帯の写メで何度も激写され、困ったような笑顔を見せた。
そんな成樹を見た二人は――。
「……チクショー! 俺だってモテたいぞー!」
「くぅっ! 泣くな信二! 前回の学園祭で交換してもらったメアド全部不発だったけど、今日はこんなにいっぱい居るんだ! 誰か一人ぐらい、御近づきになりたいよぉ……」
しくしくと涙を流す二人、前回の学園祭で色んな店を回り、メアドなどゲットして一喜一憂していたのも束の間、ヒルトのクラスのメイド喫茶にいけば休業中。
ほぼ全員生徒会主催の参加劇に赴いたと思ってせめて観客席でそれを見てからメイド喫茶で――そんな最中でテロリストの襲撃、結局二人はメイド喫茶に行けず、しかも後から成樹に聞けば、成樹が執事となってIS学園の子と一緒に働いていたというのだからがっくり肩を落として、成樹に慰められてしまったのだから更に落ち込んでしまった。
声も出さず、しくしく泣く二人をただただ困ったように見つめる成樹は、頬を指で掻くだけだった。
一方、別の場所では――。
「カァーッ! このアリーナ広すぎだろ! 母さんから貰った座席、何処だかわかんねぇよ!」
そんな呟きも、観客の喧騒に消えていく。
陽人は関係者では無いため、観客席から自身の子供達の応援と共に、先日イレイズドで見た襲撃者の顔を見て、一層警戒心を強めていた。
あの顔は織斑千冬に似ていた――無論、世の中には自分に似た人間は沢山居る。
だが、似すぎていると疑念に思うのは職業柄か、はたまた慎重な性格故の思いか。
日本では拳銃の所持は出来ないため、PPSのみ、何時でも起動可能状態にはしている。
勿論、使わないに越した事は無いのだが――。
「……ったく、とりあえず席を見つけねぇと落ち着いてホットドッグも食えねぇぜ」
そう言いながら最後の一口を頬張り、ゴミが散らかったゴミ箱に包み紙を入れ、ついでに散らかったゴミも纏めて入れると改めて観客席を移動し、自分の席を探し始めた。
場所は戻って成樹達の居る観客席。
レースの準備が出来たのか、コースには空中に敷かれた光のラインが、綺麗にアリーナをぐるりと一周回っていた。
どうやら前回同様のオーバルコース形式なのだろうと成樹は思う。
勿論、オーバルコースだから簡単という訳にはいかない。
バトルレース故の駆け引きとコースのシンプルさで、色々深い魅力を引きだしているのだろう。
「いよいよ始まるね、年に一度の……市の特別イベント、キャノンボール・ファストが」
そんな成樹の言葉が合図となったのか、ピットから勢いよく加速して飛び出すラファール・リヴァイヴ。
それに呼応して巻き上がる歓声と拍手の波……。
上空にはテレビ局の所有するヘリが飛び交い、空気を切り裂くローターの刃も、観客の歓声にかき消されて全く聞こえなかった。
スタート位置につく、IS学園二年生――その表情は真剣そのもので、中には緊張して表情の強張った者までいた。
シグナルが点灯すると同時に、歓声はピタッと止まる。
さっきまでの喧騒が嘘のように静まり返り、まるで今この瞬間だけが時が止まったかのような錯覚に襲われた。
二つ目のシグナルが点灯――息を飲む観客、注視する視線、まだ始まらないのかと思う一秒一秒が、今までの人生の中で一番長く感じる一瞬だった。
そして――シグナルが緑色に点灯、それと同時に先ほどと同様一気に巻き上がる歓声と共に、キャノンボール・ファスト第一レースは開催された。
後書き
一応観客視点?
冒頭の赤い髪の子は勿論五反田蘭どすえ( ´艸`)
金髪はスコール( ´―`)
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