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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》

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【第398話】

 
前書き
遅れましたー

たまにはヤル気も無くなるのだよワトソン君 

 
 スタートと同時に、全ての機体のスラスターが噴き、一気に加速。

 目に見える景色が、急激な加速で一瞬吹き飛ぶも、直ぐ様ハイパーセンサーからのサポートで視界が追い付く。

 最初のスタートからコーナーに入るまでは妨害禁止で、ここでトップを取るかビリかで立ち位置が色々と変わるだろう。

 とはいえ、他の機体と違ってトップスピードまではまだ遠く、あっという間に俺が最下位になり、第一コーナーへと入る。

 順位は現在トップからセシリア、未来、ラウラ、シャル、鈴音、美冬、篠ノ之、一夏、美春、俺となっている。


「ふふん、最初が肝心ってね! 一気に行くわよ!」


 真っ先にそう言って勝負をかけてきた鈴音。

 第一コーナーを抜け、直線に入った瞬間、鈴音は一気に加速、トップのセシリアとの距離を少しずつ差を縮めていく。

 その後ろを、ラウラがピタリと追従して追いかけていた。


「セシリア! 悪いけどもらったわよ!」

「!?」


 妨害用の衝撃砲が正面を向くと、速射性の高い弾丸で前面に弾幕を張る。

 直撃する前にセシリアは、サイド・ロールで右方向へと回避し、手に持つスターライトmkⅢによる牽制射撃で抜かせない様にと鈴音へ狙いを定めるが、それよりも速く加速、一気に抜き去り、トップに躍り出る。


「くっ! ですがまだレースは始まったばかりですわ!」

「こういうのは先行逃げ切りが一番なのよ!」


 言ってから更に加速していくが、その背後にはピタリと張り付くラウラが――。


「フッ……先行逃げ切りにはさせんぞ、鈴!」

「なっ!? い、いつの間にアタシの後ろに!?」


 セシリアを抜く事に集中していた為、ラウラに気づいていなかった鈴音は驚きの表情をあげた。

 スリップ・ストリーム効果を利用し、鈴音に勝る程の加速後大口径リボルバー・キャノンが鈴音を捉えると、轟音と共に放たれ、被弾。

 直撃になる前に身体を逸らした為、大ダメージでは無いものの一気にコースの外側へと押しやられ、減速、最下位の俺にも抜かされて鈴音が最下位。

 更に一位になったラウラは、セシリアへも牽制射撃を行い、彼女を減速させるに至った。

 直線コースに入ってからの順位はトップからラウラ、未来、美冬、シャル、一夏、セシリア、篠ノ之、美春、俺、鈴音の順だ。

 まだまだ長い直線コース――シャルが仕掛ける。


「一気に行くからね!」


 そう言ってキャノンボール仕様のアサルトライフルを構え、ラウラと未来に発砲――だが。


「迎撃モード起動! 禍乃白矛!!」


 天照周囲に浮かぶ九基の第三世代兵装から放たれるレーザー一つ一つがシャルが放った弾丸を灰塵へと変えていった。


「っ……やっぱり僕にとって相性の悪い装備だ……!」


 風を切る音が耳に届く中でも、シャルの言葉はハイパーセンサーが拾い上げる。


「ごめんねシャル。 ラウラ!」

「クッ!」


 加速した未来へと、照準を定めて発泡。

 何度も轟く轟音、リボルバー・キャノンの砲撃が二度三度と放たれるが、その弾丸はレーザーの盾によって届くことはなく、ダメージを負わせる事は出来ない。

 そして、未来はラウラと並走状態になるや、九式・禍乃白矛を近接モードで起動、無数に放たれる突きの攻撃を嫌がったラウラは一旦減速してやり過ごした。

 そんな時だった、アウトコースから放たれる無数のビームが未来を襲う。

 咄嗟に反応し、直ぐ様ワイヤーリフレクターを射出、ビームを放った相手へと跳ね返した。


「クッ……卑怯な……だが、私は貴様にも負けん!」

「卑怯って……! 妨害されるの前提何だから、その防御をするのは普通でしょ!」


 アウトコースから放ったのは篠ノ之だ、背部と脚部展開装甲から粒子が放たれていて爆発的な加速で未来へと肉薄と共に斬りつけ、未来もそれに対応する為、腕部装甲から刃が飛び出し、何度も斬り結ぶ。

 コーナーへ入ってなおも続く接近戦に、徐々にスピードが減速されていき、未来も篠ノ之も順位を落としていく。

 ここでシャルがトップに躍り出ると、両手に構えたマシンガンで弾幕を張り、後方の俺達を減速させようとしていた。

 二周目に差し掛かるその時、反対側直線コース地表の開閉式地面が音を立てて開く。

 観客のざわめき声も、ハイパーセンサーが拾い上げる中、俺はそこを注視した。

 見ると、中からは無数の浮遊機雷が出てきて、直線コースに大量にばら蒔かれ、多少隙間はあれど密度の濃さが誰からの目で見ても明らかだった。

 やはりただのオーバルコースじゃなかったな。

 軽い呪詛の言葉を心の中で呟く――妨害自体は、シャルのマシンガンのみで大した事はないが、残り二周――現状ではまだ様子見だな。

 直線コースに入ってから二周目、現在の順位はトップからシャル、美冬、一夏、美春、未来、ラウラ、俺、篠ノ之、鈴音、セシリアの順だ。

 パッケージ装備の彼女たちが後ろというのは非常に気になる。

 更に謂えば、ここまで一夏は鈴音の衝撃砲を霞衣で防ぐ以外は目立った動きはない。

 美春に関しては、更に地上をランド・ホイールで滑走しながらの様子見程度で、まだ勝負をかけてくる様子もなかった。

 二周目の第一コーナー――そこで轟く一夏の声。


「先に行かせてもらうぜ! シャル! 美冬!」


 大型ウィング・スラスターが点火、外側から抜きに掛かる一夏はシャル、美冬へと迫る。


「残念だけど一夏! そう簡単には行かせないよ!」

「同じくね!」


 装填の終えたマシンガン二丁と、美冬の突撃銃【華嵐】の火砲が火を噴くと、無数の弾丸が白式に浴びせられ、堪らず一夏は減速と共にコーナーの更に外側へと追いやられ、更に――。


「邪魔だ」

「なっ!?」


 アウトコースを飛翔していたラウラは、目前の石ころでも弾くかの様にワイヤーブレード二基で脚部を拘束と共に、更に後方へと投げ飛ばした。

 一気に減速した一夏は瞬く間にビリへと追いやられ、少し会場がざわめき声をあげた。


「一夏っ!? ラウラ……貴様――」


 篠ノ之のそんな声に、つばぜり合いをしていた未来がいち早く反応する。



「レース中、しかも私と相対してるのに余所見? ――キャノンボール何だから、妨害は基本でしょ!」

「あぐっ……!? クッ……しまった……!?」


 刀を抑え込まれ、未来の左腕部から粒子エネルギー刃が形成されたチャクラムが大きく篠ノ之を仰け反らせ、スピードを減速させると、遅れを取り戻す様に加速していった。

 その一方、セシリアと鈴音の両名はトップの二人目掛けて射撃で妨害、何度もセシリアの粒子ビームがコース内側から抜けていった。

 それを盾で防ぐシャルとは別に、美冬は一旦減速してその射撃から逃れるとラウラが二位へと躍り出る。

 外れた粒子ビームや衝撃砲の弾丸は浮遊機雷エリアに到達、密集する機雷の何れかに当たり、小さな爆発が起きる。

 密集しているとはいえ、爆発の規模が小さいのか誘爆する事はなかった――言い換えれば、機雷排除してエネルギー消費するなら隙間を掻い潜る方が賢明な策といえるかもしれない。

 第一コーナーをトップで抜けるシャル――ここで更に順位の整理。

 トップからシャル、ラウラ、美冬、美春、俺、未来、セシリア、鈴音、篠ノ之、一夏の順だ。

 今なお俺に対しての妨害が少ないのは彼女達からの好意からではなく、現状妨害してもエネルギーの無駄になると思っての事だろう。

 とはいえ、全く警戒されてない訳じゃない、俺が勝負をかけてくると分かれば妨害行為は苛烈になるだろう。

 トップのシャル、ラウラが浮遊機雷郡へと侵入――二人とも、違うコースから入り、邪魔になる武装は部分展開や粒子化させて消し、決め細やかな操縦で触れる事なく抜けていく。

 美冬、美春の二人も侵入――続いて俺だが……。


『雅、悪いがナビゲートを頼む。 事前に浮遊機雷抜ける訓練したとはいえ、あの密集地帯を抜けるのはお前のサポートが無ければ難しいだろう』

『了解した。 主君、先ずは右斜め上の地点から侵入だ。 その箇所は遠目に見ると密集しているが、案外機雷ははなれている』


 ハイパーセンサーに表示される矢印のガイドラインと共に、右斜め上の一部がズームされた。

 確かにここからなら大丈夫かもしれない。

 そう思い、早速其処から機雷郡へと侵入、矢印のガイドラインに従い、機雷の密集度が少ない箇所を潜り抜けていく。

 未来、セシリア、鈴音の三人も侵入――と、一夏が。


「こんな機雷郡、月穿で薙ぎ払ってやるぜ!」

「私もだ! いちいち機雷郡を抜けるよりは、全て排除した方がやり易いからな!」


 二人は機雷郡に入る少し前で停止するや、共に最大出力で機雷郡へと射撃を行う。

 勿論これは違反ではない、妨害行為にも当てはまるが元々が妨害レースなので何も思わない。

 真っ直ぐ真ん中の機雷を抉るように突き進む月穿の荷電粒子砲と、その下を這う様に進む赤い帯状のエネルギーは、機雷を潰しながら機雷郡を抜け、そのエネルギーがアリーナ外壁と観客席のバリアーに当たって四散した。

 他の専用機持ちは被害の及ばない場所にて避けては居たが、一夏の荷電粒子砲は観客席直撃コースだったので少しヒヤリとした。

 無論、出力の大きなバリアーだから問題は無いが……と、またアリーナの開閉式地面が開き、中から浮遊機雷が無数に現れる。

 ――一定数が減ると補充されるのだろう、それだけがわかっただけでも、二人に感謝だな。

 一時止まっていた専用機持ちは皆再度、各々のコースから機雷を潜り抜けていく一方。


「っ……やっぱ機雷を抜けるしかねぇのか……」

「事前連絡ではこの様な仕掛けなど訊いていなかったのに……! 仕方がない、一夏、抜けるぞ!」

「お、おう!」


 そんな背後のやり取りもハイパーセンサーが拾い上げる――二人のマニュアル操縦で、無傷で潜り抜けるには俺と同じ様にナビゲートしてもらわないと無理だろう。

 案の定、背後から爆発音が響き渡る。

 二人ばかり気にしている場合ではなく、俺も何とか中間地点まで潜り抜けた。

 ナビゲーターが居るからか、前の四人との差がかなり縮まり、視界に捉えられる位置に皆が居た。


「は、速い!? ヒルト、あの機雷郡にその速度で追い付いてきたの!?」

「むぅ……!? 私やシャルよりも速い速度とは……」


 振り向いた二人が、驚きの表情を見せる中、妹二人は――。


「やるじゃん、お兄ちゃん♪」

「……コアがナビゲートしてる……。 でも……あの速度で怖くないの!?」


 正直、それほど速いペースで来てるとは思わない――が、ナビのお陰で機雷の少ない箇所を選んで進んでいるのだから、端から見ると速く見えるのかも。

 美春、美冬と追い抜き、トップのシャル、ラウラ組の背後に着くと同時に機雷郡を潜り抜けて、第二コーナーへと入る。


「ヒルト、抜かせないからねッ!!」

「私もだ、嫁とはいえ今はレースの最中……。 いくぞ!」


 部分展開で消していたリボルバー・キャノンが現れ、シャルの手にはショットガンが構えられていた。

 その火砲が俺を捉える――そこへ、俺の後に抜けてきた美春が俺に追い付くと。


「ヒルトをやらせない! 迎撃モード!」


 小さな光が放つと、シャル、ラウラの放った弾丸を次々に迎撃していく美春。


「っ……! やっぱり僕の武器じゃ、あれは抜けない!」

「クッ……ならば、これで妨害だ。 ヒルト、嫌いになるなよ、レースなのだからな」


 ワイヤーブレードが展開され、四方から俺へと攻撃、シールドエネルギーが削られるが、攻撃の隙をついて加速――第二コーナーを抜けた辺りでトップに躍り出ると、また開閉式地面が開くと、今度は中から大小様々な岩石が無数に宙に浮かび上がった。

 ……ここまで、訓練でやってきた内容がこうまで再現されると少し怖く感じる。

 ――と、ここで機雷郡を抜けた未来、セシリア、鈴音の三人の猛追が見え、一夏と篠ノ之の二人は大幅にダメージを食らったらしく、装甲に煤が所々に付いていた。

 今更だが、シールドエネルギーがゼロになると強制失格だ、だからこその妨害レースだろう。


『雅、またナビゲートを頼む』

『無論だ。 主君の為に全身全霊を持ってサポートに当たろう』


 後ろからの射撃を、シールドで防ぎつつ新たに表示されたナビゲートに従いデブリ帯へと侵入していった……。 
 

 
後書き
さて、日本政府がどうたらこうたらって人も居ますが、基本政府ってあんなものかと、爺ばかりが船頭にたってるんだし( ´艸`)

1から10まで説明書いてないですが、多少は書かない方があの世界での政府の事を自身の脳内で補完できるかと(またの名を丸投げ行為という)

ぶっちゃけ、全部が全部説明してどうとかすると設定厨乙と言われかねないし、想像が難しいのなら今の日本政府のまんま当て嵌めてくだされ(投げ遣り

まあですが、メディアの情報に踊らされたというのは案外現実でも間違ってないかもですよ( ´艸`)

モッピー知ってるよ。
実はモッピーが商標登録されてたって事。

    _/⌒⌒ヽ_
   /ヘ>―<ヘヽ
   ((/ ̄ ̄ ̄\))
   /    ) \
  /  | | //ヽ ヘ
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