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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》

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【第408話】

 
前書き
誕生日会無いから早いザマス( ´艸`) 

 
 鈴音を駅へと送り、俺は駆け足で再度一夏の自宅周辺へと戻る。

 街灯の灯りが照らす中駆ける靴の音、曲がり角ではカーブミラーを確認し、車が来てないかを確認しつつ慌てて戻る。

 時間は午後の六時半、左手に巻いた腕時計で確認しながら自宅周辺へと戻ると一旦俺は近くの自販機へと足を運ぶ。

 秋の夜風があるとはいえ、走ればやはり汗は出る、財布から小銭を取り出し、ペットボトルの飲料水を購入するとそれは取り出し口に落ちていく。

 それを取り出し、早速口にしながら俺は一夏の自宅近くにある電信柱に背もたれしつつ、自宅を眺めていると時折楽しそうな声が聞こえてきた――多分何かゲームなどを行っているのだろう。

 そう思っていると、いつの間にかラウラが俺の側にまで来ていた。


「……暢気なものだな、キャノンボール襲撃事件があったというのに」

「そういうなよ。 あったからこそ一夏もそれを楽しい気分で忘れたいんだろ?」


 そう言いながら、俺はラウラにペットボトルを差し出す。

 今さら間接キスで照れるとは思わなかったが、ラウラは違うらしく白い肌に赤みが差すとそれを受け取り、一口飲む。


「……あ、ありがとう……ヒルト」

「気にするなって。 てか間接キスで赤くなるなよ。 キスだってしてるんだし、ていうか互いにもう裸見てるんだし」


 言ってからフラッシュバックされるようにラウラの肢体が脳裏に過る。

 暗い中とはいえ、今下半身に血液を集中させる訳にはいかないのだがそういう訳にはいかず、素直にジーンズにテントが張られて、押さえ付けられる感覚が苦痛に感じた為早く治まらないかと切に願いながら俺はそれをラウラに悟られないようにした。


「ぅ、ぅむ……。 だが、やはり間接キスでもドキドキするのだ……。 そ、それだけ……私はお前の事が……」


 言葉が止まりながらも、指を弄ぶそのラウラの姿がいとおしく見える。

 少なくとも俺はラウラが嫌いでは無いのがわかる――まあ嫌いだったら、キスも断るのだが……。

 そうこうしてる間に治まる欲望の塊に安堵し、俺はまた再度ペットボトルに口付けし、それを飲む。

 喉から胃へと入り、全身に吸収される心地よさが好きだったりする――と、ラウラが。


「……ヒルト、こんな時に言うのも場違いかもしれないが――その……だな。 ――い、いつ……してもいいのだ……?」

「ん?」


 顔を覗き込むようにそう告げるラウラは、先程よりも頬に赤みが差していて何処か艶っぽさを醸し出していた。

 そして、ラウラの言葉に最初はわからなかったが、先日言った【また今度】の事だろうと思うと、ドキッと高鳴り、心臓が早鐘を打ち始めた。


「わ、私なら……いつでも大丈夫だ。 ば、バナナでこっそり夜中に練習もして……その……ゴニョゴニョ」

「ぅ……」


 生々しい特訓をしているラウラの様子が容易に想像出来、先程治まったばかりの欲望の塊が徐々に反応するのがわかる。


「ば、バカ……マジで場違いじゃねぇか……。 ……そ、そんな直ぐには……ってか、嫌じゃないのか? ……そ、その……口でするって」


 言ってて恥ずかしくなり、顔を背ける俺だが、ラウラは背けた俺に更に覗き込むように見上げると――。


「……イヤな訳ない。 イヤなら、流石に嫁であっても私からそういう事は言わない。 ……ヒルトは……私がするのはイヤなのか……?」

「そ、そうじゃないけどさ。 ……な、何かそこまで言ったら本当に不味い気がする。 ……こ、答えを未だに出さない俺が招いた事態だけど……」

「……だが、私も後悔はしたくないのだ。 ……ヒルトが私を選ばない可能性だってあると考えると、しないで後悔はしたくない気持ちが勝ってくる……」


 伏し目がちなラウラのその姿に、胸が締め付けられる――これも俺が招いた事態のせいだが、正直言えば……選べない状況になってきている。

 一夏的に言えば男として最低だが、皆各々に良いところもあれば悪いところも有り、俺自身それを含めても全員好意的に見てるからだ。

 ……優柔不断といえばそうかもしれない、これは否定できないし俺自身の悪いところでもあるだろう。

 自分自身に嫌悪感を抱きつつも、欲に押し負けそうな俺――。


「……っ。 な、なら……次に俺がシャワーを浴びてる時に来たら……な」

「……!? わ、わかった。 ……ぅむ……ぅむ」


 何度も頷くラウラ――シャワー入ってる時間事態はその日の気分で違う。

 早ければ五分、遅いと十五分掛かるが食事前だったり訓練後直ぐだったり寝る前だったりと様々だから、かち合う可能性は低いだろうし、そもそもシャワーの時はシャワールームにも鍵をするようにしている。

 以前楯無さんに入られた為、簡易的な鍵だが……。


 ……それはそれで期待に胸を踊らせるラウラに悪い気がするが、多分これで良いのかもしれない。


「……こほん。 ではヒルト、シャワーの時に私の特訓の成果を披露しよう。 ……遠慮なく性を解き放つのだ、いいな?」


 言ってて恥ずかしくないのだろうか……気持ちが勝っているらしく、僅かに声が弾むラウラに対して、俺は頷くとラウラも満足そうに頷く。


「で、では私はまた周辺警護へと戻ろう。 ……何かあれば私かパパに連絡するのだぞ」

「……ラウラ、パパっておかしくないか? 確かドイツ語でパパってファーターの方が自然じゃないか?」

「む? ……ここは日本だからな、郷に入れば郷に従え、だから私は教官の事をパパと呼ぶ。 ……だが、ヒルトがおかしいと言うならば、直そう」

「あ、いや、理由があるならパパで構わないさ。 悪かったな、ラウラ……」


 手を伸ばし、軽く頬を撫でるとラウラの体温が手のひらから伝わってきた。

 それに自身の手を重ねるとラウラは――。


「だ、大丈夫だ。 ……ではヒルト、気を付けるんだぞ」


 そう言うとまた辺りの警護へと戻るラウラ――……あんな事言ったが、やっぱり俺……何処かでそういう事をされるのに期待してるのかもしれない。

 夜空を見上げると、街灯の灯りはあるもののやはり空気が清んでるのか、星が放つ光が煌々と輝きを放っていた。

 一夏の家では絶えず笑い声が聞こえ、軽く欠伸が出つつも俺はひたすら玄関から一夏が出ない事を祈った。

 それから約一時間、途中で何度か親父やラウラに現状報告しつつも、周辺の住民に怪しまれないように時折その場から離れて別の箇所から監視をして様子を見、今は比較的街灯の明かりが無い暗い場所にて監視をしていた。

 このまま何も無ければ良いのだが――そう思った矢先、一夏の自宅の家のドアが開く。

 俺はそれを注視すると、出てきたのは案の定一夏本人だった――手には買い物袋一枚持っていて、何かの買い出しなのだろうと思うと直ぐ様親父に連絡した。

 コール音一回で繋がり、俺は早速今の現状を親父に報告する。


「親父、一夏が外出した。 手には買い物袋一枚あるから何かの買い出しかもしれない」

『わかった。 ヒルト、通話は切らずにそのまま報告だ。 俺も直ぐに向かう。 ラウラにも連絡を』

「了解」


 急な事態に、先程とは違った胸の高鳴りがする。

 プライベート・チャネルを繋ぐと、此方も直ぐに繋がった。


『ヒルト、織斑に何か動きがあったのか?』

『あぁ、今玄関を出て歩いて何処かに行くところだ。 手には買い物袋一枚あるから、買い出しかもしれない』

『わかった、直ぐにヒルトの元へと向かう。 通信を切る』


 チャネル通信が切れると、俺は再度一夏を注視する。

 すると若干足早に曲がり角を曲がっていくため、慌てて俺はそれを追うと同時に繋がったままの携帯で親父に逐一報告をし続ける。

 暫く後をつけると、一夏は自販機の前までたどり着くと同時に独り言が耳に聞こえてきた。


「お、よかった。 売り切れはないな」


 徐にポケットから財布を取り出し、小銭を入れて次々に飲み物を買っていく一夏。

 ――誕生日会の主役が買い出しというのもおかしいが、今はそんな些末な事を気にしてる場合ではないだろう。

 そう思いつつ、自販機から飲み物を買う度にそれを買い物袋に詰めていき、人数分買った所でそれを持ちあげる――だが、歩みは始めず、自販機の明かりが届かない暗闇を見ていた。

 この辺りの明かりは、自販機のものしか見えなく、街灯の明かりは何故か点いていなかった。

 足音を立てず、暗闇の中を俺は更に一夏側の近くの電信柱に身を潜める――ここまで来ると、連絡をすれば声でバレる為、通話を繋いだままズボンのポケットに携帯を押し込む。

 一夏が一歩踏み出そうと足を動かす――その前に、前方から誰かが一歩前に出てきて、自販機の明かりにその顔が鮮明に照らされる。


「…………!?」


 外見は幼い感じだが、その顔の造りは俺も一夏も知ってる人物にそっくりだった。

 織斑千冬――一夏の姉であり、俺の担任でもある――だが、よく見ると決定的に違うと分かる。

 最初こそ、パッと見は誰もが織斑先生を思うだろうがまず身長の違いもあれば顔も若々しく、似てはいるが少し異なっている。

 表情は伺えないが、一夏が言葉を洩らす。


「ち、千冬姉……?」


 脳があまりの出来事に反応してないのか、思わず自分の姉の名前を口にした一夏――。

 だが、一夏の目の前の少女は否定の言葉を口にする。


「いや」


 そして、徐々にその顔にうすら笑みを浮かべて言葉を更に続ける。


「私はお前だ、織斑一夏」

「な、なに……?」


 俺も耳を疑う――だが、明らかに一夏と風貌は似ていない、どちらかといえば圧倒的に織斑先生の方が似ているだろう。


「今日は世話になったな。 ――否、正確に言えば、お前のクラスメイトの有坂ヒルトにだがな」


 その言葉に、キャノンボール襲撃してきたサイレント・ゼフィルスが脳裏に過る――だから親父は一夏の命が狙われてると言ったのか。

 考えを他所に、二人の会話は続いていく。


「!? お前、もしかしてサイレント・ゼフィルスの――」

「そうだ」


 短く肯定の言葉を言い、更に一歩一夏へと近づくその少女――そして。


「私の名前は――――【織斑マドカ】、だ」


 その名前を聞き、一瞬時が止まったかの様な感覚を感じた。

 一夏も驚いているのか、僅かに一歩足を後ろに後退させる――そして、マドカと名乗った少女は何処からともなく拳銃を取り出す。

 それを見た俺は、親父が言っていた【一夏の命が狙われてる】という言葉が脳裏に再度過り、気付くと俺は駆け出していた。


「私が私足るために……お前の命をもらう」


 銃口が一夏へと向けられ、引き金を引くその瞬間、俺は叫ぶ――。


「一夏ァッ! しゃがめェェェェッ!!!!」

「!?」


 俺の声に驚き、一夏は俺へと振り返る――一夏までの距離は僅か三メートル――引き金を引く指先に全神経を集中させ、それを注視――そして、引く瞬間、俺は一夏を無理やり家の囲いへと叩き付ける様に押し込む。

 それと同時に、乾いた銃声が暗い住宅街に響き渡った。 
 

 
後書き
ここで六巻終わり( ´艸`)

さて、どうなるか……ラウラ間に合うか、実は親父か、はたまたカーマイン現るか( ´艸`)

次回最終回、ヒルト死す(ぇ

嘘っすm(__)m

まだ続きます( ´艸`)
 
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