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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》

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【第365話】

 
前書き
今回は短いです 

 
 水曜日の午後の昼休み、今日は午後の授業は一般科目なのだが珍しく調理実習――というのも、IS操縦者を目指すものならカロリー計算や栄養管理など出来て当たり前、いつも食事を作ってくれる食堂の職員の気持ちが何とかかんとか(あまりにも長かった為、途中から覚えきれなくなった)という訳で、調理実習だとか……栄養管理って言ったら、俺馬車馬並に食べるからなぁ……。

 とはいえ、作るメニュー自体は何でもいいという放任主義――おい、家庭実習しろよ。

 それはともかく、また班を決めるのに荒れるのが目に見えるんだよな……主に一夏で。

 ベンチに寝転がったまま、空を眺めるとゆっくりと雲が流れていくのが見え、遥か遠方には飛行機雲が伸びていく様子が見えた。

 今いる場所は学園の屋上、今日は珍しく誰も昼にここで食べていないため、俺はごろんっとゆっくり身体を休めている。

 ――と、不意に聞こえてくる屋上のドアの開閉音、頭を上げて誰かと確認すると。


「おっ、ヒルト。 こんな所に居たんだな、捜したんだぜ」


 爽やかな声でそう言ってやって来たのは一夏だ――何で俺の場所がわかったのかは、多分だが女子の目撃情報って奴だろう。

 身体を起こし、ぐぐっと両手を前に出して組み、軽い運動をすると一夏に視線をやって――。


「何か用事か? 今は身体を休めてる所だから手短に頼む」

「何だ? ヒルト、もう疲れたのか? 午前中の授業、そんなにキツくなかっただろ」


 暢気に一夏はそう言うが、俺は四月から早朝の走り込みをやっていてその溜まった疲れが最近になって少しずつ出てきている。

 ――まあ、放課後も訓練して、他にも色々やっててこれまであまり疲れが出なかった方があり得ないのだが。

 一応時折訓練せず、一日休む日も入れてはいるものの、大体そういう日はセシリアやシャル、ラウラや美冬、未来の誰かと話をしていたりする――最近その項目に新たに鈴音と美春が加わったが。


「たまに身体を休めたら一夏はそういうが……休むのは訓練とかもっと効率的にいきたいのと訓練ばかりじゃ気が滅入るからだ、勿論その中に疲れを癒すも入ってるがそんなに休むのがおかしいか?」

「いや、そういう訳じゃねぇよ? ただ、休んでたから午前中の授業、キツかったのかなぁって思っただけさ」


 左手を腰に当て、右手ではだらんっとそのまま伸ばしたまま言うその姿に、無自覚でカッコつけてる印象を俺に与える。

 まあいいや、言い争っても疲れるだけだし、要件だけ訊いてまた休むか。


「んで、要件は何だ?」

「ん? あぁ、そうだった。 今日の放課後さ、俺と模擬戦しないか? いつもなら箒とやってるんだけど流石にアイツとばかりじゃ飽きてくるからな。 だからって、他の専用機を持たない子に頼むのもおかしいだろ? 量産機と専用機じゃ、違いがありすぎだし、ワンサイドゲームになっても訓練にならないし」


 ワンサイドゲームって――お前、そこまで強かったか?

 何処から手合わせもしていない女子が自分より下手と思ったのかわからないが……少なくとも、俺が手合わせした理央、玲、鷹月さんはかなり強かった印象があるぞ。

 ――とはいえ、全員が全員、この三人の様に強いとは限らないのは事実だが……放課後に訓練してる女の子の数、一学期に比べたら明らかに少なくなってきてるし――多分、二年からある整備科への転向を目指したのかはたまた別の意図かはわからないが。


「それに、学園に二人だけだろ、男子の操縦者って。 鈴に頼もうかなって思ったけど最近のアイツ、何か前と違って俺に冷たくなってるからなぁ……。 だから頼みにくくてさ、その点ヒルトなら同じ男子だから大丈夫かなって。 良いだろ、模擬戦?」


 ……頼んでもないのに鈴音が冷たくなったからって俺を選ぶとは――まあいいけど。

 不意に鈴音とのキスを思い出し、唇にあの時の感触が蘇ると俺は唇に軽く触れた。

 一夏はその様子に、疑問符を浮かべながら俺の返答を待っているが――それよりも、こうして不意に誰かとしたキスを思い出すと、最近ではキスをしたくなる欲求に駆られる。

 キス魔じゃないと思いたいが……もしかすると、皆とキスし過ぎた為に脳内リミッターが外れたか馬鹿になったのかもしれない。

 ――自分の欲求の為だけにキスをするのはダメだ……。

 そう律する様に言い聞かせ、無理矢理払拭するかのように頭を振ってから俺は一夏に――。


「わかった、なら今日の午後四時に第三アリーナで模擬戦な」

「おう。 今日は負けねぇからな、いつまでもお前に負けてばっかりじゃ悔しいし。 んじゃ、放課後四時に」


 そう言って屋上を去った一夏を他所に、俺は再度横になると空へと視線を移した。

 さっきまで見えていた雲は既に視界から消え、飛行機雲もさっきより左方向に伸びていた。

 ゆっくりと時間が流れていく……。

 俺は軽く瞼を閉じ、太陽の陽光の暖かさを肌身で感じた。 
 

 
後書き
リクエストの模擬戦は次の話、その次にセシリアと( ´艸`)

てか実は五巻ってセシリアにマッサージする話があったりする

――と、まだ一応日にちはあるからリクエストあれば受け付けますぜ

なかったらセシリアの後は原作に戻りますん 
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