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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》

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【第253話】

 
前書き
お待たせしました

未来対箒戦です 

 
――上空八〇メートル地点――


 シグナルが点灯し、ピリピリした空気が張りつめる。

 目の前には真剣な目付きで私を見る(正確には睨んでる)篠ノ之さんが二振りの刀を構え、口を開く――。


「……飯山、悪いが今日は勝たせてもらう。 ――例え、ISランクがSだろうと関係無い。 ランクの格差等関係無いという所を見せてやろう」

「……それならもうヒルトが見せてるんじゃ? ヒルトってランクEだけど、Aの鈴にも勝ってるし、ラウラにも勝利してるけど――」

「ふん。 ただのまぐれか二人の体調が悪かっただけだろう。 ……それか、機体性能に助けられたか――だな」


 ……言ってる事はカッコいいのかもしれないけど、ヒルトが訊くときっと――『お前が言うな』――って言いそう。

 ……あまり言っちゃうと、篠ノ之さんって自分の事を棚にあげちゃうから上手く言えないのが……。

 軽く溜め息を吐くと同時にシグナル二つ目が点灯。

 インストールした武器一覧表をチェック――。

 二学期始まる前に、ヒルトのお母さんが用意した装備の受け取りにサインし、インストールしたけど量がシャルの武装並に多い。

 シャルと同じ【高速切換(ラピッド・スイッチ)】技能――久しぶりに使うから上手くいけばいいんだけど……。

 不安になりそうな気持ちを払拭する為に、ゆっくり瞼を閉じる。

 不意に脳裏に思い浮かべたのはヒルトの笑顔で、顔に熱を帯びるのを感じた。

 ――でも、スゴく心地いい気持ちで胸がいっぱいになる……。

 手を胸に当てると、装甲越しにも心臓の鼓動が伝わってくる。

 そして――最後のシグナルが点灯すると、直ぐに模擬戦が開始され、私は――。


「行ってッ! 禍乃白矛ッ!!」

「させるかァッ!!」


 声に呼応し、周囲に浮遊していた【九式・禍乃白矛】が起動――一斉に篠ノ之さん目掛けて飛翔していく。

 そんな声に反応した篠ノ之さんは、やられる前にやれの精神で刀を振るうと、いつか見たときと同じエネルギーの帯が形成され、強襲してきた。


「……甘いよ! 私にエネルギー兵器は通用しないッ!!」

「何……ッ!?」


 脚部装甲から一部の装甲が開かれ、中から鏡面状の装甲と共にワイヤーが伸び、前面に展開されるそれは鏡面に光を帯びる。

 紅椿から放たれた赤いエネルギー光波はその鏡面装甲に吸収された。

 そして、次の瞬間にはその吸収したエネルギー光波を鏡面装甲から撃ち返す――。


「跳ね返した!?」


 篠ノ之さんの表情に戦慄が走った――理論は私にも詳しくはわからないけど、村雲の弱点を補う為にヒルトのお母さんが着けた装備だけど……。

 ……アニメの影響なのかな?

 私の考えも他所に、高エネルギー光波が紅椿目掛けて襲う――その光波は、紅椿から放たれた時よりも加速し、光の残光がまるで尾を引く彗星の様に青空に残していく。

 避けきれないと判断した篠ノ之さんは、腕部装甲を前面展開し、エネルギーシールドを形成させて防御体勢に移行――。

 それを見た私は、咄嗟に瞬時加速で左側から回り込む様に弧を描いて飛翔――

 粒子が掌に集束され、呼び出したフルオートショットガンを構えて左側面からの面制圧射撃。

 更に右側面からの九式・禍乃白矛の強襲する様に九基全部をマニュアル操作。

 エネルギー光波が紅椿のエネルギーシールドに当たるや光波は四散し、展開したエネルギーシールドも形成崩壊して光の粒子に――。
 そこへ右側面からの禍乃白矛九基による一撃一撃を受け、体勢を崩した所に左側面からの散弾の雨が降り注ぐ為、堪らず篠ノ之さんは――。


「クッ……! あんな武器でやられる私ではないッ!!」


 散弾の雨から逃れる為に急加速――何とか避けようとするが、苛烈極まる散弾の雨が少しずつ、じわじわとエネルギーを削いでいく。

 まるで少しずつ毒で弱らせていく様に――。

 拉致があかないと感じた篠ノ之さんは、目尻を吊り上げて防御に転じているのをやめ、攻勢に出るため背部展開装甲を開くと更に加速――。

 だがそれでもマガジンの切り替えが早く、銃の廃熱処理も考えながら同じタイプのフルオートショットガンを高速切換しつつ弾幕を張り続ける私に捕捉されているため、ダメージは受け続けていた。

 苦し紛れに放つエネルギーの弾丸も、跳ね返す事すらせずに避け、迫る篠ノ之さん相手に情け容赦なくショットガンの引き金を引き続ける。

 ――篠ノ之さんの戦闘傾向は基本的に接近戦主体。

 ヒルトや織斑君との模擬戦でもデータに出ている。

 専用機を手にした今でも、エネルギー兵器の効果が薄いと判断したから無理してでも接近戦に持ち込もうとするのが手に取る様にわかった。

 そのまま一定の距離を取りつつ、引き撃ちを続けていると――。


「クゥッ……。 飯山! 正々堂々と勝負しろ! 引き撃ち何て卑怯だぞ!」

「引き撃ちも普通の戦い方だよッ!! これが卑怯だって言うなら、貴女こそ正々堂々と腕を磨いて専用機を受理しなさいよッ!!」

「……ッ!?」


 核心をつかれた言葉に、驚きの表情と共に直ぐ様睨む様に見てくる篠ノ之さんに、私も流石に苛立ちを覚えつつ――。


「――良いわよ! そんなにこれが卑怯だって言うなら接近戦で相手するよ!!」


 構えたショットガンをかなぐり捨て、右腕部装甲から勢いよく刀身が伸び出る。

 太陽の光を浴びて輝きを放つ刀身で迎え撃つ。

 その間に展開していた禍乃白矛全基全てを機体周囲に待機させ――。


「もらったぞ!」


 接近戦なら分があると思ったのか、口元が緩む篠ノ之さんは単純に頭部、そして胴の生身部分目掛けて二刀一斉に振るう。

 左腕部装甲に備わった勾玉型チャクラムからエネルギー刃を発生させ、それが高速回転するとエネルギーシールドを形成された。


「なっ!?」


 一言驚きの声をあげる篠ノ之さんの二刀流による二連撃は、あっさりと私に受け止められた。

 彼女の太刀筋、頭に血がのぼってるから読みやすいのよね……だから、ヒルトに簡単に手玉に取られちゃうんだと思うな。

 発生したエネルギーシールドと刀から軽く火花が散る――。


「くっ……何でこうも簡単に受け止められるのだ……ッ」

「……篠ノ之さん。 もっと勉強した方がいいよ? 卑怯だ何だって言う前に……やっぱり、実力つけないと。 誰かに教わる方がいいんじゃない?」


 その一言に、表情を歪ませて口を開く。


「くっ……! ……聞く耳もたんッ! 私は私だ!」


 そんな言葉と共に、全展開装甲が開く――。

 力押しで叩き付ける気……なのかな?

 その考えが当たり、篠ノ之さんは全展開装甲を起動させ、加速――だけど。


「なっ!?」

「ごめんね? ……力比べとか、私は好きじゃないから……」


 加速したその瞬間に二刀の刀を捌くと、機体事勢いのついた篠ノ之さんは地面へと急加速――派手な激突音と共に試合終了のブザーが鳴り響いた――。


「……何だか、模擬戦呆気なかったなぁ……。 ノーダメージで終わっちゃった……」


 シールドエネルギーの残量は全く減ることがなく、私の完勝に終わった……。

 ……やっぱり、実力不相応な彼女が専用機を持つ何て、時期尚早だったんだなって思うな。

 私だって……本当ならまだ専用機を受理出来る程実力があるとは思ってないのだから……。 
 

 
後書き
何か書き方が一人称なのか三人称なのか安定しなかった気がする

更に未来が強いのかもまだ微妙にわからないかも

ぎゃふん 
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