IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
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【第143話】
前書き
短いです
――福音との交戦空域――
『さぁてと……一応ヒルトがお世話になった事だし。少し遊んでやるかな』
オープン・チャネル通信のため、この辺り一帯に親父の声が鳴り響く。
突然の乱入者に、福音も判断できずにいたが――敵意を感じたのか、翼を迫り出す――だが。
『悪いな福音。そいつは使えないぜ』
「―――――」
親父が掌を福音に向けてかざす――迫り出した翼の砲口が開くが、一向に光の弾丸による攻撃が行われなかった。
『ハッハー!流石は財団の技術だな。これが昔の技術ってんだからびびっちまうぜ』
「……何で福音からの攻撃が止まったんだ?――親父、何かしてるのか?」
俺には相手に向けて掌を突き出してるようにしか見えないが。
何度も迫り出し、射撃を行おうとするが一向に攻撃が行われる様子を見せない――と。
『財団の保有する技術の一つ【マイクロ・ジャマー】だな。――まあ昔のやつを改良したって訊いただけだがな。ワッハッハッ!』
そんな高笑いが辺りに響く――と、赤いツインアイに光が点り――。
『……んじゃまぁ――お仕置きしてやるかっ!!』
「――――!?」
背部飛行ユニットからスラスターを点火――それはまるで、猛り狂う様な荒々しさで放出され、その熱による陽炎がゆらゆらと揺らめくように大気を焼いている様に見えた。
そして一気に加速――その加速力は凄まじく、凡そ十三メートルほど離れていた福音との距離を一瞬で――まるで、今居た所から福音の目の前に転移したかの様に思えた。
刹那、両腕部装甲から飛び出す様に柄が出、それを器用に両方の掌で三回転程回すと同時に、収束された光の刃が刃渡り四十五センチ程で形成される――まるで、ビームダガーの様に見えた。
『オラオラオラーッ!!』
「――――!!」
二振りのダガーによる的確な攻撃――福音はそれから逃れるように翼のスラスターを起動させて避けようとするが、スラスターは全く機能せずになすがままに切り刻まれていく。
一撃一撃は軽いジャブの様に振るわれ、その粒子の刃による残光が軌跡を描き、それが福音のシールドバリアーに触れ、更に何度も絶対防御を発動させていた。
『アアアアアアッ―――』
その攻撃に堪えきれないのか、まるで吼える様な機械音声が響き渡る。
だがそれでも親父の攻撃は止まらない――。
後方へと宙返り――その途中、ヒュヒュンッと空気を切り裂く音が聞こえた次の瞬間にはシールドバリアーを貫通――装甲に突き刺さると同時に親父が叫ぶ。
『爆散ッ!!』
形成された光の刃の粒子が不安定化する――刺さった装甲からは紫電が発生――そして、勢いよく爆ぜた。
爆発が福音を飲み込む――それに追い討ちをかけるかの様に虚空から粒子が集まり形成――ライフルの形に形成されるや、背部飛行ユニット上部にあるガトリング砲二門も可動――それが肩に備わる形で可動停止――。
そして――そのガトリング砲二門、形成されたライフルによる一斉射撃。
「……!?ビーム射撃――しかもこの粒子圧縮率は……!!」
暫定的な数値でハイパーセンサーに表示された数値は――IS用ビーム武器のそれを上回る数値を示していた。
これだけの濃縮された粒子だと、一撃一撃が相当な威力の筈――。
まざまざと見せつけられるその光景に、嫌に生唾の飲む音が響いて聞こえてきた。
――俺と一夏、篠ノ之三人が相手をしても翻弄するかのように福音は立ち回っていたのに――その福音をまるで赤子扱いするかのような凄まじい戦闘能力を発揮していた――。
――と、親父の攻撃が突如止まった。
福音はまるで膝を抱くよう抱え、身体を丸めるとともに頭部から伸びた翼が自身を包むように守り始めた。
『……そろそろ三分か。ヒルト、撤収だ』
「え?何でだ?もうアイツを――」
『わりぃが、【MAXモード】を使ったこいつはそろそろ約たたずになる。――とりあえずこの空域に足止めする事は出来たんだ』
「……わかった。――親父、それが何なのかは今は聞かないよ。でも――助けてくれてありがとう」
『ワッハッハッ!気にするなって!――じゃあ旅館花月まで撤収だ』
言うや、直ぐ様この空域を離れていった親父。
――助けられた事には感謝してるが……力が無いのが悔しい。
ギュッと握り拳を作ると共に、膝を抱くよう抱えた福音をその場に残して撤退した。
自分の力の無さ、大事な時に盾代わりにすら出来ない無力な自分――そんな俺自身が嫌になる……心の中で、そんな自分に嫌悪した。
後書き
親父無双です
亀更新になります
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