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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》

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【第137話】

――風花の間――


【白騎士事件】

――この事件を知らない人間が居るとすれば、余程の辺境の人、ニュースを見ないお年寄りぐらいだろう。

十年前――目の前に居る篠ノ之博士が突如発表したISは、当初その成果を認められなかった。

それはそうだろう、当時として年端のいかない少女が――『現行兵器全てを凌駕する』――なんて言っても世間一般、どんなバカでも頭のいい人でも思うのは――頭打っておかしくなったのか――と。


「いやー、世界があんなにバカだとは思わなかったね。うふふ、私の才能を信じないくせに神様を信じてるなんて、偶像崇拝もいいところだよ。束さんは実像なのにね」


俺が知る【表向き】の白騎士事件はこうだ。

IS発表から一月、突如として事件が起き、日本に向けて攻撃可能な各国からのミサイル2341発。

それらが一斉にハッキングされ、制御不能に陥り発射される――。

だが、これに関しては眉唾物だ。

そもそも、ミサイルのハッキング自体が不可能と言ってもいい。


てかハッキングされるようなコンピューターを使ってる国ばかりということになる。

アメリカ等は、優秀なハッカー等を雇っていて、そういったハッキングからブロックするファイアウォール等を開発してる。

――仮にミサイルが本当だったとしても、精々多くても50発程度だと思われる――それでもあり得ないが。


そんな中、言葉を続ける篠ノ之博士。


「ぶった斬ったんだよねぇ。ミサイルの約半数1221発を。あれはかっこよかったな~」


そんな風に自身の頬に両手を当てて恍惚の表情を浮かべる篠ノ之博士。

――迂闊にも、少しだけドキッとしてしまった……。

――どこかの日記のヤンデレに見えそうで見えない……。

……話は戻すが、表向きはぶった斬ったらしいのだが、そもそも弾道ミサイルを高々剣らしきものだけでぶった斬る事が可能なのか?


親父が言ってたが、弾道ミサイルは遅い物でもマッハ5、速いものだとマッハ20というどう見てもISでは迎撃が難しい――それも、白騎士【一機】で行ったというのが信憑性にかける。

銀の福音がマッハ2.45――なら白騎士はその弾道ミサイルの迎撃――それも今言った1221発を単機で――それも剣だけで落としたとなれば、MAX速度はどれだけか計り知れないし、そもそもそんな速度で飛び回れば衝撃波による未曾有の大惨事になる。

これが仮に1000機以上居るならまだわからないが――仮に迎撃が出来たとしたら、白騎士の性能は少なくともここに居る専用機が幾ら束になっても勝てないということになる。

――それでも、白騎士はオーバースペックを持ったパワードスーツではあるが。

何より、兵器だが荷電粒子砲の開発が成功したのも大きいだろう。

――ともかく、ミサイル2341発はマスコミの捏造か、ISを支持する【権力者】辺りの圧力の加わった差し替え記事だろう。


その後の各国の対応の速さも異常だ――まるで最初から【日本を侵略】するつもりで配置されていたとしか思えないぐらいの巡洋艦やら空母――というか、空母が最低でも五隻沈められてるのもあり得ない。

空母自体が旗艦となり得るのに――トップがバカなのか、これも捏造か――【白騎士】が撃破、無力化した数はミサイル2341発(?)戦闘機207機――これに関しても疑問だが――巡洋艦七隻、空母五隻、監視衛星八基と――本当にやったなら、今頃地球は衝撃波で壊滅しててもおかしくない未曾有の大惨事、嘘なら数の水増しし過ぎ――だな。


「とまあ、こうして私のらぶりぃISはあっという間に広まっていったんだよね。女性優遇は、まあ、どうでもいいんだけどね、私はねー」


そんな感じで悪びれもなく話す篠ノ之博士、少なくともこのISを発表したから世界が混乱した――なら責任を取らないといけないのに当の本人はこんな感じ。



「でも隙あれば誘拐・暗殺っていう状況はなかなかにエキゾチックだったよ。ウフフ♪」


凄く楽しそうに話をする篠ノ之博士に、嫌悪感を抱きつつも話をそのまま黙って聞くことにする。


「しかし、それにしても~ウフフフ。白騎士って誰だったんだろうねー?ね?ね、ちーちゃん?」

「知らん」


きっぱりと言った織斑先生だが、篠ノ之博士は――。


「うむん。私の予想ではバスト88センチの――」


そう言ってる途中、鈍い音が風花の間に響いた。

織斑先生の手に持っていた情報端末が、ごすっ…と篠ノ之博士の頭にめり込んで見えた。


「ひ、ひどい、ちーちゃん。束さんの脳は左右に割れたよ!?」


「そうか、よかったな。これからは左右で交代に考え事が出来るぞ」

「おお!そっかぁ!ちーちゃん、頭いい~」


そう言ってじゃれつく篠ノ之博士を鬱陶しそうに引き離す織斑先生。


「あの事件では凄い活躍だったね、ちーちゃん!」

「そうだな。【白騎士が】、活躍したな」


そう白騎士部分を強調する織斑先生――。

まあ、この白騎士事件も実際この篠ノ之博士が裏で手を引いていたのだろう。

――理由は簡単、否定されたISを売り込むのに何かしらの【事件】を起こし、それをISで【解決】させれば良いのだから。

なら次は白騎士は誰か?

――当時から篠ノ之博士と仲の良かった初代ブリュンヒルデ――織斑千冬しか居ない……。

……まあ証拠がある訳じゃないから捕まえたとしても意味が無いだろう。

……しかし、その事件の後、コアは467個作られて世界に配布――その内機体としてあるのは322機、残り145機は研究開発用として各国研究機関かIS関連企業が所有、そしてそこから何機かの実験機――セシリアや鈴音、ラウラといった感じに専用機持ちへと渡されたのだろう。


学園に存在するISは、専用機と搬入される村雲と天照含めて33機。

そして今年は一年生に専用機持ちが五人以上いるというのが異常事態だ。

多くても三機、今の三年に一機、二年に二機――で、今年一年生は七機――美冬、未来、四組の更識さんのを含めたら10機。

――今年、これだけ専用機持ちが多いのは、多分一夏が起因だろう――俺だけだと、多分鈴音、シャル、ラウラは転入しなかっただろうし。

確かに世界初の男子操縦者は俺だが肝心のISランクはE――二人目の一夏がB――この事実が世界に流れると、関心も一夏に向き、俺への関心は少なくなったからな――。

更に、一夏は織斑先生の弟というのもあってのスターとしての資質もありって事だろうな…。

まあそういうのもあってか、各国が動き、貴重な機体を学園へと送ったのだろう。

――まあ、今さらどうこう言っても仕方ないのが事実、別に一夏に世界の目がいくなら俺も気が楽だしな。

そう結論つけると、考えを払拭するように軽く頭を振った――。 
 

 
後書き
白騎士事件は基本、設定としては無理がある

日本に攻撃可能なミサイルのハッキング=弾道ミサイルもあるだからねぇ

一機じゃどう見ても無理 
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