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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》

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【第133話】

 
前書き
オリジナルバトル

村雲vs紅椿


下手くそな駄文ですが、見てやってくださいませ 

 
――IS試験用ビーチ――


いきなりの模擬戦宣言、それも相手は俺で、此方の有無すら言わせずにだ。

俺には模擬戦を受ける理由は無いので――。


「悪いがお断りさせていただきます。篠ノ之と模擬戦する理由も特に無いですし――」

「お前に無くても、箒ちゃんの試験運用を邪魔した。それだけでお前には仮想敵として箒ちゃんの相手をする義務がある。――相手をしてくれるなら、さっきまでの私や箒ちゃんに対する非礼、許してやってもいいよん♪」


最後の口調がおどけた子供っぽいが――どうせ許す気はないだろう。

多分真意はこうだ。

新型機の性能を他の生徒に見せつけるための当て馬に、俺を選んだんだ。

――断っても何かしらの子供みたいな理屈を突き付けるか、なんかするんだろうな……嫌がらせ的な。


「別に許さなくて結構だ。悪いが、あいつが専用機受領を納得してる生徒が本当に居るのかが疑わしいからな、居るなら篠ノ之の模擬戦の相手をしても――」


そう篠ノ之博士に言ってる途中、一夏が口を挟んできた。


「ヒルト。俺は箒の専用機受領、納得してるぜ?」

「……マジか、一夏?」

「おぅ」


――なんという幼なじみ贔屓、だからさっきセシリアが言われていても何も言わなかったのか……まあ本心がわからないからどうしようも無いが。

――ともあれ、一応納得してる人間がそこに居るのも事実、なら言った内容を破棄するわけにはいかないわけで……。


「……わかった。あいつの相手、してやればいいんだな?」

「そうそう♪――後、お前の後ろのデカブツ、使ってもいいよん♪束ちゃんお手製の紅椿の性能テストに持ってこいな中ボスタイプだし♪」


俺の背後にある強化外骨格【クサナギ】を指差す篠ノ之博士。

その前面装甲はさっきから開きっぱなしで、搭乗者を待っていた。


「……あれは模擬戦に使えない、攻撃力が高過ぎる。自分の妹が怪我をしてもいいのか?」

「……ハイエンドにしてオーバースペックの束ちゃん特製の最新型、【紅椿】が相手だよ?そんな時代遅れの装甲を使用した第三世代――ううん、アンティークもいい所な機体でお前が、箒ちゃんに勝てる筈ないからね♪せめてもの束ちゃんの優しさだよん♪」


そんな感じで母さんが設計、制作した【村雲・弍式】を侮辱する篠ノ之博士。

――何だか、怒ると言うよりは俺には哀れに思えてならなかった。


「何を言っても【クサナギ】は模擬戦で使わない。使わなかったから負けたって言い訳もしないしな――優しさか知らないが、そんな気遣い無用だ」

「……ふーん、せっかくの束ちゃんからの厚意を無下にして…。まあいいや、じゃあ早速始めちゃって♪」

「いや、レギュレーション決めないと――」

「そんなのは良いから♪どうせ銀髪の敗北がわかってるからねぇ~。ISランクEの君じゃあ、専用機を得た箒ちゃんに手も足も出ず、翻弄されて、はいおしまい♪」


楽しそうに笑う篠ノ之博士、言葉の端々で俺を馬鹿にしているのがよくわかる。

……こいつの相手する方が疲れるな。

馬鹿にされるのは昔から慣れてるから、特別ムカつかないが――こいつの会話を聞いているのは精神的に参るから大人しく篠ノ之の前まで飛翔して向かった。

ある程度砂浜から離れ、高度に達すると、背部ブースターを点火、加速し――篠ノ之の前で緊急停止した。


「……やっと来たか、有坂。――これで、前の借りを返せる。専用機を手にした、もうお前に負ける事も無いだろう」

「……えらく饒舌だな篠ノ之。お前さ、他の頑張ってる生徒に悪いと思わないのか?」


そう告げると、ぎくりとした表情になる篠ノ之――だが。


「……別に、悪いと思って等…い、ない…」


歯切れが悪く、視線も合わそうともせず、罰が悪そうな表情の篠ノ之。


「悪いと思ってるなら、これが終わった後にでも返せば――」

「う、煩い…っ!――何なのだお前はっ!」


俺の言葉が届かないのか、途中で割り込み、無理矢理俺を黙らせた篠ノ之。


「……言葉が届かないなら仕方がないな……。専用機を手に入れたから俺に勝てる――そんな甘い考え、払拭させてやる!!」


その言葉を合図に、ハイパーセンサーにシグナルが点される。

それと平行して俺は八式・天乃御柱を近接モードにセット――そして、天狼を呼び出し、空気を切り裂く様に振り抜き、構えた。

一方の篠ノ之も、もう語るつもりもなく、俺を睨み付けながら先ほど行った様に右腕を自身の左肩まで持って雨月を構え、右脇下に空裂を構える。

……何の構えかはわからないが、多分何かの流派だろう。

だが――結局、流派による型ではなく、経験の差で戦いは決まる筈だ。

――俺の自惚れだろう……だが俺も、毎日放課後アリーナギリギリまで使って基礎を徹底して鍛えたんだ――。


篠ノ之も努力はしてるとは思う、だが――俺が目にする篠ノ之は、一夏の気を引くために教える事に集中しているとしか見えない。

――あくまでも、俺が目にした篠ノ之であって、見えない部分では努力をしてるかもしれないが。


呼吸を整え、考えを払拭すると二つ目のシグナルが点灯した。

地表から上空200メートル――遠くではカモメの鳴き声が聞こえ、眼下に広がる海は、穏やかに波を打ち、夏の陽光が俺と篠ノ之のISを照らし、海面もキラキラと陽光を受けて輝く。

自然と天狼を握る手に力がこもる――。

そして――三つ目のシグナルが点灯すると同時に模擬戦が始まる。


「はぁぁあああっ!!」


篠ノ之が構えた雨月を振り抜く――。

その一瞬で無数のエネルギー粒子が収束され、形を形成すると共に弾丸となって此方を襲う。

それを、右回転し俺は避けた。

――だが更に、篠ノ之は横に一回転し、空裂を振り抜く。

すると――収束するエネルギー粒子が帯状に広がり、俺に迫る。


「なんのっ!そうそう簡単に当たるわけにはいかないんだ!これがなッ!!」


帯状に広がるエネルギー体を上昇して避けると共に天狼を篠ノ之に向かって縦に振り抜く。

そして、篠ノ之の名を叫ぶと同時に起動する――単一仕様【天叢雲剣】を。


「篠ノ之ぉっ!!」


まるで俺に呼応するかの様に、天狼はその刃から光を放ち始める。

それと同時に近接モードにセットされた八式・天乃御柱の、単一仕様【天叢雲剣】の恩恵でバリア無効化機能が発揮――天狼の攻撃に合わせて無数の突きによる連撃を浴びせようとするが――。


「くっ……離脱する!」

「逃がすかよっ!!」


開いた装甲から驚異的な加速力で天狼と近接モードの御柱による攻撃を、篠ノ之は後方に逃れることで避ける。

が、その後方に逃げたのを見逃さず、俺はそのまま一気に天狼を振り抜き――そこから刃状のエネルギー光波が放たれ、その光波による一撃が篠ノ之のISに直撃した。


「あぐ…っ…!」


小さく声を上げた篠ノ之を追撃するようにスラスターを後方へ向け点火、加速力を増しての体当たりによる一撃で追撃した。


「キャアァァッ…!」


激しく当たった体当たりの衝撃に、篠ノ之は悲鳴を上げた。

加速力を増した村雲の体当たりは、分子結合殻に覆われた強固な装甲とその質量により、基本当たり負けする事はない――同じ分子結合殻で覆われ、村雲より質量があると負けるが――。


墜落するように落ちていく篠ノ之に対して、更なる追撃をかけるように疾風を呼び出す――光の弦が現れ、虚空から粒子が集まり収束――。

それが光の矢を形成すると同時に弓の弦を引き――放つ。



その光の矢は、まるで空間を切り裂くかの様に光の尾を引き、篠ノ之目掛けて進むが――その一撃は、篠ノ之のIS【紅椿】の腕部装甲が開き、何かしらの防御機能が働いた為ダメージにはならなかった。


「……一体なんだ、あの装甲は?防御も機動も加速もあれだけでこなしてるのか?」


考察しても答えは出ず、少なくともISの武装や装甲、使われているスラスターやブースターといった種類の本には載っていなかった。

体勢を整えた篠ノ之は、その場から雨月による射撃攻撃を行いつつ、まっすぐ加速して迫る――。

無数の光の弾丸が迫り、身体を横に反らして避けるとそれはそのまま遥か上空へと消えていく。


「まだ……私はやられない……ッ!!」

「……!?」


更に加速、一気に肉薄する篠ノ之に対し、まだ迎撃体勢をとれていなかった――刹那、俺の上を取った篠ノ之は、二振りの刀を上から俺の頭上へと振り抜こうと構える。

――その一瞬、咄嗟の判断でPICを切る――それと共に、浮いていた俺の機体は重力に引かれるように自由落下し、村雲の重量が身体にのし掛かる様に負荷をかけた。


「……なんだっ!?」

「ぐっ…重い……!」


振り抜かれた二振りの刃は、すれすれの所で虚しく空を斬る音だけが鳴った。

それを見た俺は直ぐ様PICを起動、それと共に身体にかかった負荷から解放される。

そして、PICが起動した事により、ピタリとその場で停止、直ぐ様全身のスラスターを点火し――まるでバッタが跳ぶ様な上昇力で篠ノ之の頭上を取る。


その上昇力に、篠ノ之は驚愕した――その一瞬の隙を逃さず、縦に一回転――加速力を付けたかかと落としを入れるのだが、オート回避機能が働いたのか、一瞬にして回り込む形で背後を取られる。


「もらったぞ、有坂!!」

「チィッ!そう簡単にいくかよっ!」


背後を取った篠ノ之は、二対の刀を左右同時に振り、横一閃――。


「……何ッ!?」

「へへッ、そう簡単にはいかないさ……ッ」


左からの一撃は天狼で受け止め、右からの一撃は振り切る前に手首を抑える形で止める。

全身のスラスターによってその場で180度回転――そして、そのまま攻撃を止めた――。



「クッ……離せ…ッ!!」


掴んだ手を払いのけようとじたばたし始める篠ノ之――それが起因してか、腕部装甲からエネルギー刃による攻撃を受けた。


「くっ……なんだ!?なんだっていうんだ!?」


そんな俺の声が響く――攻撃、防御、機動と全てに対応する装甲なんて少なくとも知らない――。

その一瞬の隙に、掴んだ手を離され、距離を取られると共に篠ノ之からの猛攻が始まる。


「はあぁぁぁあああっ!!」

「クッ…!海面まで引き寄せる…ッ!」


雨月による光の弾丸を、急降下して回避――。


だが更に猛追するように雨月を振るう――。

流石に数の差で全ては避けきれず、何発かは被弾し、装甲表面温度が上昇――外れた光の弾丸は、海面に着弾すると激しく水柱を建てた――。

海面すれすれを飛行し、それによって水飛沫が飛ぶ――それでも背後から迫る篠ノ之の攻撃を何とか最小限のダメージで抑える様に身体の角度を変えるが、その弾丸の量に対しては焼け石に水だった。

そんな状況を打開しようと、緊急停止――すると、篠ノ之もまさかいきなり止まるとは思わず、自身も緊急停止した。

そして、先に緊急停止した俺が宙返りし、背後を取ると同時に生身部分へと突きの一撃を加えた。


「くっ……まだ私は…やられる訳にはいかないんだッ!」


そんな叫びと共に、空裂を振り抜こうとする篠ノ之。

俺も、その動作を見て避けようと動く――。

だが、今の俺の居る後方には――皆が居るビーチがある事に気がついた。

もう既に、篠ノ之は空裂を振るうモーションに入っている上に、俺の背後にビーチがある事にも気づいていない様子だった。

俺が避けるとビーチに帯状のエネルギー刃がビーチを襲い、下手すれば怪我人が出て篠ノ之も最悪退学になる可能性がある。

だがもし避けて、先に篠ノ之を倒せばもしかすると大丈夫かもしれない。

なんて――考えるまでも無いか、俺がとる行動は。


覚悟を決め、俺は避けずにその場で防御を固める。

――刹那、振るわれた空裂からの攻撃が直撃し、一気にシールドエネルギーを持っていかれた――。


「このまま…押しとおる…ッ!」

「クッ…!」


やはり周りが見えていないのか、更に雨月による光の弾丸が直撃――更にシールドエネルギーは減少し、残り二桁まで削られ、更に悪いことに装甲表面温度が更に上昇――オーバーヒート状態に陥った。

「これで最後だっ!!有坂ぁっ!!」

「…………!?」


同時に振るわれた二対の刀による連撃――それがシールドバリアーに当たり、エネルギーを削られて残り1――だがその1も、同時に放たれたエネルギー刃によって削られた――と同時に、模擬戦終了の合図が鳴り――俺は敗北した。 
 

 
後書き
ヒルトが負けました

そして、この戦いが篠ノ之を増長さて、更に浮かれさせ、一夏負傷の流れへと参ります

下手くそなバトルでお目汚しすみません

結構早く書けたのでupしました 
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