IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
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【第102話】
前書き
未来の話
っても相も変わらず駄文ですが見てやってください
――公園――
教室棟と寮の間に位置する公園、植林したのかはたまた最初から在るものかは定かでは無いが、緑豊かな公園だ。
俺も癒されたいときはここのベンチに座りまったりと過ごしたり、軽いトレーニングを行ったりと世話になる場所でもある。
他にはラウラがたまに雨の日に傘を差しながら何かを眺めていたりしているのだが、その頃のラウラはまだ仲良く無かったので遠目でその姿を確認するのみだった。
そして現在、公園のベンチに俺と未来は腰掛けて座っている、公園の外灯が周りを照らすように明々と灯されていた――電気だが。
「じゃあヒルト、説明してくれるわよね?」
「……とりあえず言えることは、あれは流石に予測できない事だって事だな、これが」
「……まぁそうよねぇ…。私だってまさかヒルトが……もぅっ!」
こつんと軽く肩を叩かれる――と言っても全く痛くないが。
――未来は基本的に暴力に相当する事はしない、相手が悪いことした場合のみに頬を叩いたりするのみだ。
軽く冗談で痛くない程度に叩く事はあるが――それぐらいなら何も思わないからな、俺は。
――だが洒落にならないのは篠ノ之だ、たまに一夏に対して木刀を振るうとか……大怪我するぞ。
そして最近は刀を帯刀してるのが気になる。
まだ人に向けていないのが幸いしているのだが……ともかく、刀を使っての朝練は構わないのだが、出来れば刀は部屋に置いといてほしい……教室にまで持ってくるのは正直…。
――と、今更篠ノ之の刀をうんたらかんたら言っても意味がないからその辺りに捨て置く。
実際一度注意したのだが、思いっきり逆ギレされたので多分言っても仕方ないのだと俺自身に言い聞かせた。
――あいつが言うことを聞く相手って織斑先生と一夏ぐらいしか居ない気がする…。
クラスの女子もたまに話し掛けてはいるのだが、篠ノ之から話し掛ける事は少ないから本当に友達がいるのかが心配になるが……『余計なお世話だ!そんなこと、貴様に言われるまでもない!』……なんて言われるのが目に見えてる。
……まあ俺の幼なじみが未来で良かったって心底思うな。
バカとは言うが、それは事実だし…実際は未来も本気で言ってないのはわかるしな。
そんなことを考えていると、未来が俺の顔を覗き込む様に見てきた。
「ヒルト?考え事?」
「ん?あぁ、未来が幼なじみで良かったって思ってな」
言うや、未来の頬が徐々に赤くなり――。
「ば、バカ!いきなり何言うのよ!!……びっくりしちゃうじゃない……バカ…」
何て言いながらも、表情は嬉しそうな未来――そういや、今日はいつもと違って髪型ポニーテールにしてるな。
「未来、今日はポニーテールなんだな」
「あ、うん。たまにはね?篠ノ之さんと被るからあまりしないけど――」
「ん?篠ノ之のは長すぎるじゃないか、未来のポニーテールのが可愛いさ、これが」
「ば、バカ……、ありがと……ヒルト…えへへ」
――何だかんだで未来も褒められるのに弱いのかな?
常套句にするつもりはないが……似合ってて可愛いのは事実だし。
「……未来、話は戻すが予測できたらラウラにキスはされてないぞ?――まあ、俺の不注意なのは事実だが…」
「……もぅわかったわよ。私が怒ってももぅあれは変えられない事実だし……はぁ…」
納得しつつも、ため息が出た未来を見て――。
「未来、ため息は幸せが逃げるぞ?ほら、ニッコリ笑顔だ」
ニッと笑顔で未来を見ると、最初はぽかんとしていた未来だったが、途中俺が変顔して見せると――。
「ぷっ――――あはははっ♪何よー、いきなり変な顔にして~♪」
「いやいや、未来を笑顔にするためなら変顔だろうとなんだろうとする幼なじみだぜ?」
「ふふっ、でもその顔、セシリアとかシャルロットさんには見せない方がいいかもね?」
そんな二人の名前が出た瞬間、またフラッシュバックされるように思い出すさっきの出来事――。
忘れていた訳ではないが、思い出すとまた全身の熱が上がる感じがした。
――と、未来は俺の変化に気づいて。
「だ、大丈夫?何か急に顔が赤くなったけど……?」
「だ、大丈夫だ。ちょっとな……」
そう言うと未来は何も言わずに柔らかな笑みを俺に浮かべるだけだった――。
「……そういやさ、未来は何でIS学園に転入してきたんだ?」
「え……?……言わなきゃダメ…?」
何だか凄く言いにくいのか、その表情が困った表情になり眉を八の字に下げ始めた未来。
「いや、言いにくい事なら言わなくていいぞ?」
そう言うと安堵したのか表情が和らぐ未来。
「う、うん。なら言わない……ヒルトがIS学園に入るのが悪いんだし……」
「何だ?俺が悪いのか?」
「ぅ……相変わらず耳が良いんだから…工事中の建設現場で話しようかしら…」
「流石にそれは普通の会話すら聞こえなくなるぞ?……まあいいさ、同じ学校何だし、まあ一番喜んでたのは美冬だがな」
事実、美冬は未来と一緒にIS学園いけるものだと思っていて当時喜んでいたのを急遽俺が受ける私立に変えたのだからがっかりしていた――っても未来から理由を訊いてすぐに納得したから大丈夫だが。
「そういやまた話かわるが――専用機、母さんから受け取らないのか?」
「えっ?――うん、代表候補生として学園の試験パスして推薦されて転入出来たけど……やっぱりまだ時期尚早かなぁって」
「……まあ元から国が期待してたらしいからな、次の日本代表に…だから私立にいくって決めたときしつこく何度も来てたもんな、未来の家に政府関係者が――って話がまた逸れたな、未来なら受け取っても大丈夫じゃないか?もちろん美冬も俺は受け取っても構わないと思うが」
「……うん、でもやっぱりちゃんと実績積み重ねてからじゃないと…ね」
「……まあ、未来が決めたことだ――母さんなら笑顔ひとつでわかったって言うかもだしな」
頬を撫でる様に風が吹き抜ける――木々が揺れた後、また静寂に包まれると――。
「ん……そろそろ時間だし、戻ろうか?」
「……もうそんな時間か……今日は色々ありすぎた」
本当に色々ありすぎた……もうイベントのオンパレードの如く、次から次へと――。
俺たち二人がベンチから立ち上がり、歩き出そうとすると誰かが向こうから歩いてくる――。
「あ……ヒルト、隠れて」
「えっ―――おわっ」
隠れる必要はないはずなのだが、俺は未来に腕を引かれて公園の木々の合間に隠れた――。
暫くすると、向こうから歩いてきた人影が明かりに照らされる――篠ノ之だった。
あいつがこんな時間にここを歩くなんて珍しい事もあるもんだと思い、様子を見ていると辺りをキョロキョロと誰も居ないのを確認する篠ノ之。
そして手に持っていた携帯電話で誰かに電話をかけた――。
暫くすると、風に乗って篠ノ之の声が此方にまで聞こえてくる――。
「――。……姉さん」
――未来には聞こえなかった様だが俺には確かに聞こえた――篠ノ之が姉さんって言ったのを……。
その後の会話は何を言っているのかは聞こえてこなかった――。
だが、わかっているのは篠ノ之が自身の姉――『篠ノ之束』に対して連絡を取っていることを。
――要件が済んだのか、電話を切った篠ノ之はその場を後にし、また寮への帰り道を一人歩いて帰っていった……。
「篠ノ之さん、誰に電話してたんだろうね?」
「……わからん、まあ良いじゃないか。俺達も戻ろうぜ?」
言うや、木々の合間から抜け出す俺と未来――と、未来の髪に葉っぱがついていたので――。
「未来、動くなよ?」
「え?――わわっ、何で近づいてくるの…?」
「動くなって」
そう言い、徐々に赤くなる未来――そっと頭に手を伸ばすと、未来の髪についてた葉っぱを取る。
「ん……取れたな。もう動いていいぞ?」
「え?――う、うん……葉っぱ取るだけだったんだ…」
何故か残念そうに言う未来――。
「葉っぱつけっぱなしだと皆に笑われるからな、じゃあ戻ろうぜ?」
「――うん!」
笑顔で応えた未来は、俺の後ろから追従するようについてくる――。
六月だが、心地好い風が肌を撫でる様に吹き抜ける――そんな夜だった。
後書き
二巻エピローグの箒が束に電話かけてるエピソードを目撃するのを絡めての話
距離が離れていた為、他の会話は聞こえてなかったと思ってくれると幸いです
次はラウラとの話――というか、決着ついてない戦いでも書きまするφ(..)
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