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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》

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【第122話】

――砂浜――


準備運動をしていた俺と一夏(別々だが)、そこに鈴音がやって来て一夏に飛び乗った――まるで猫の様に。


「あんた達真面目ねぇ。一生懸命体操しちゃって。ほらほら、終わったんなら泳ぐわよ一夏」

「お兄ちゃん、準備運動終わった?」


鈴音に遅れて現れたのは我が妹、美冬だ。

着ている水着はビキニ――美冬は基本、ビキニばかりだ。

今年の色は淡いピンク――ビビッドカラーだと派手すぎる――とか。

去年は黒のビキニだった――一緒にプールに泳ぎに行ったから知ってる。


一方の鈴音はオレンジと白のストライプ柄で、スポーティーなタンキニタイプというやつらしい――詳しくないからわからないが。

鈴音と一夏はわーきゃーと騒ぎつつ、鈴音は器用に一夏の身体をかけ上がり、肩車の体勢になった――と、美冬が呟く。


「……いいなぁ…あれ…」


そう羨ましそうに肩車されている鈴音を見ている美冬。


「……美冬、肩車しようか?」


俺がそう言うと、驚いた表情になりながらも――。

「えっ?――いいの、お兄ちゃん…?」


おずおずと聞いてくる――何だか最近の美冬は甘えることが少し少なくなってきて寂しく思う。


「当たり前だろ美冬?兄妹なんだ、遠慮するなよ……っと!」

「キャッ…!?い、いきなりはびっくりするでしょ、お兄ちゃん!!……もぅ………えへっ」


勢いそのまま、肩車をすると美冬は驚く声をあげ、落ちないように俺の頭を抱えるように腕を回した――と同時に頭の上に二つの膨らみが乗っかる――。


「………」

「……お兄ちゃん?」


急に黙った俺が気になったのか、上から俺の顔を覗き込む――と同時に、むにゅぅっと頭に美冬の胸が押し付けられ――。


「……いや、頭にお前のおっぱい乗ってるのが非常に気になってな」

「あ―――~~~~~ば、バカァ!!もぅっ!!お兄ちゃんのえっち!!」


指摘するや、直ぐ様上体を起こし、ぽかぽかと頭を叩く美冬。

叩かれて少しよろよろするが、体勢を整えて――。


「いててっ。――の、乗せたのは美冬だろ?……ったく…」

「だ、だって……」

「ハハッ、そう悄気るなよ。別に怒ってる訳じゃないし、えっちって言われてももう開き直ってるしな、これが」



そんなやり取りをしていると突如、声が聞こえてきた――。


「あっ、あっ、ああっ!?ヒルトさんっ!美冬さんも!兄妹で何をしてますの!?」

「ようセシリア――すげぇ……想像以上だ…」

「……むぅ…私だって負けてないもん…」


そんな美冬の声が聞こえるが、何にたいして負けてないのかがこの時は理解できなかった。

そして、声の主はセシリアだ――。

その手には簡単なビーチパラソルとシート、そしてサンオイルを持っていた。

それよりも――セシリアの水着だが、色は鮮やかなブルーのビキニ――セシリアのIS『ブルー・ティアーズ』に合わせたのか、セシリアの好きな色なのかはわからないがよく似合っていて、その腰にはパレオが巻かれていて優雅な雰囲気を漂わせる――。

水着で強調されたセシリアの胸は俺の想像以上に扇情的で、思わず生唾を飲んでしまい、視線が釘つけになる。


「……お兄ちゃんに肩車してもらって、胸を頭に乗せてるの」


言うや、また先ほどと同じように俺の頭の上に自身の胸を乗せる美冬――てか急にまた乗せるのはどういう事だ?


「い、いくら兄妹でも!そういうのはまずいと思いますわっ!――お、降りてくださいな!」

「むぅ、良いじゃん。兄妹だし……何ならセシリアもお兄ちゃんに肩車してもらえば良いんじゃない?」

「えっ!?そ、それは……」


そう美冬が言うと、手に持っていたパラソルやシート、サンオイルを落としてもじもじするセシリア。

その間、視線を一夏と鈴音に移すと女子達に囲まれていて「私も肩車してー」等、そんな声が聞こえてきた。

俺に言ってこないのは、まあ俺よりも一夏の方がいいって訳だろう…。

視線をセシリアへと戻すと、俺は口を開く――。


「ん、セシリアも肩車してほしいなら良いぞ?――恥ずかしくないなら、だがな。美冬は恥ずかしくないのか?」

「私は恥ずかしくないよ?兄妹だもん」


表情は見えないが、声色は喜色に聞こえる美冬の声。

――と、決意したのかセシリアが。


「わ、わたくしにも肩車してくださいな。は、恥ずかしくありませんからっ」


――と言ってるが、その頬は赤みが差し、紅潮していた。

でも、本人が恥ずかしくない――そう言っているので――。


「ん、じゃあ肩車するよ。――美冬、降ろすぞ?」

「うん。また後で肩車してね、お兄ちゃん?」


砂浜に屈むとそのまま降りる美冬――一方のセシリアはパレオを脱ぐ――その仕草がまた色っぽくて少し見とれてしまった。


「ん……じゃあ肩車するぞ?」

「え、えぇ…よろしくてよ?」

その声を合図に、背後に回ると俺は――。


「……よっ……と!」

「ひゃっ…!」


小さく声をあげるセシリアを他所に、肩車して乗せるや顔を締め付けるようにセシリアの両股が押さえつけられ――。


「ぐ……せ、セシリア…あまり締め付けるなって…顔が潰れる…」

「ご、ごめんなさいヒルトさん……。お、思っていたよりもその……高かったもので…」

「そっか……どうだ、肩車?」

「わ、悪くは……ありませんわ」

「ハハッ、なら良かったよ――しかし、何か逆に俺が恥ずかしいな」

「……?何故ですか?」

「……秘密だ。それよりもさ、確かサンオイル塗るってさっき約束してたな」

「そ、そうでしたわ。――ま、満足しましたので降ろしてくださいな」

「了解――よっと」


砂浜に屈み、セシリアはそのまま降りるやシートを敷き、パラソルを立てて先ほど脱いだパレオをシートの横へと置きなおす――。


「……お兄ちゃん、セシリアとそんな約束してたんだ?」

「ん?――あぁ、美冬はどうする?」

「……どうしようかなぁ…」

「そういやさ、未来はどうしたんだ?」

「みぃちゃんならお兄ちゃんに水着を見られるのが恥ずかしいって言って向こうの岩影に行っちゃったよ?」


そう指差す方向には、死角が沢山ありそうな場所が――あそこに誰か連れ込んでえっちな事してもバレないんじゃと思うぐらいの場所だ――連れ込まないけど……。


てかそもそも、着いてくる奴がいるのかどうかも怪しい――好意がある子でも、絶対警戒するだろうし。

――てかこんなバカな考えしてても仕方ないな…それよりも未来、後で探さないと。


「後で呼びにいくか、未来を――どうせ俺に見られる運命なんだから、早めにってな」

「ヒルトさん、準備が出来ましたわ」


セシリアがそう言うので、セシリアの方へと視線を移した。


「……確か背中だけでよかったよな?」

「ひ、ヒルトさんがされたいのでしたら、前も結構ですわよ?」

「え?良いの――」

「前は私がしてあげるよ、セシリア?」


俺の言葉を遮り、美冬が言う――結構強引に、何だか今日の美冬は少しおかしい気がした。


「わ、わかりました……前は美冬さんにお任せいたします。ですが背中はヒルトさんと約束致しましたので…」

「わかってるよセシリア?お兄ちゃん、遅くなっても約束は守るもん――セシリアとの勝負で勝つ約束は破ったけど」



美冬が言ってるのは四月の時の話だ……。

まあ確かに約束して果たせず戻ってきた俺はダメダメだが……。

セシリアと言い争いしたがあの時は――いや、今もだがこれから一年切磋琢磨していく仲間に対して攻撃するってのがなぁ…。

それでも、試合とかでは戦わないといけないし、やらないとこの学園にいる意味が無くなる=人体実験だろうし……。

……実際問題、俺が一番ヤバい立場だよな…。


――と、セシリアが俺の弁護をした。


「……美冬さん、あの時は……本来でしたらヒルトさんが勝ってましたわよ?」

「え?――本当、セシリア?」

「えぇ……。ヒルトさんが刀の刃がわたくしに当たる前に振るうのを止め、その直後にブルー・ティアーズのミサイル型ビットの直撃を受けて試合が終了致しましたもの――ですからわたくし、それに納得出来なくてあの時ヒルトさんに詰め寄ったのですわ」


四月の事を思い出す様に語るセシリア――だが、俺は少し恥ずかしかった為、ほどほどにあの頃の話をしてから話題を切り替えることにした。


「そういやそうだったな――でも、仮にあそこでそのまま攻撃していたとしても、俺はセシリアに負けていたと思うぞ?――あの試合で嫌って程素人と代表候補生の格の違い、見せつけられたしな――まあ、それはとりあえず置いといて……塗ろうか、サンオイル?」



「そ、そうですわね。それでは――」


言うや、首の後ろで結んでいた水着の上部分――ブラの紐を解くセシリア。

いきなりの出来事に、俺はびっくりしつつもセシリアは紐解いた水着の上から自身の胸を押さえ、シートに寝そべった――。 
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